一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

「電子居住」の意味するもの

2014-12-07 | あきなひ

これはけっこう重要な試みかもしれない。

突っ走るエストニア、「電子居住」が可能に!

この国では、世界ではじめて「イー・レジデンシー(電子居住)」をできるようになった。選挙での投票や居住IDカードの取得はできないが、どこからでもエストニアの全ての電子サービスにアクセスできるようになる。これには銀行口座の開設や企業経営も含まれる。

移動・物理的な居住というハードルをなくすことで、その国の魅力、何が国際競争力があって何がないかが明らかになり、今まで議論されてきた「国際競争力強化のための方策」について有効な補助線を引くことができる。

外国人が他国に企業を設立しようとする際に、物理的な居住が不要であれば、魅力的な国内マーケット、安くて優秀な労働力、法人税の安さ、資金調達の容易さが選択の中心になる。

その一次選抜を通過したうえで、さらに居住を選択してもらうための魅力が問われる。

それは居住者への税金の安さ、治安の良さ、物価の安さ、子供の教育などだろう。


前者については最近法務省、外資系の登記規制を年内に廃止-日本居住の代表者がいなくても法人登記可能に などの取り組みが見られるが、「(東京の)国際競争力の強化」として取り上げられている項目はたいてい後者に属するものである。

たとえば以下をご参照
「『東京国際金融センター』構想に向けた取組」について
【課題①】海外の企業・人材が東京でビジネスをしやすい 環境づくり

BEPSの議論のように既に企業の所在と所得の発生場所はすでにバーチャルなものになっており、個人についても富裕層は税効果を考えて居住地を決めている人も多いなかで、今さらちょっとナイーブな議論のような気がする。

いたずらな減税競争では意味がないが、政策的な税優遇や制度優遇などをする代わりに日本国内で資金を回して雇用を生む「損して得とれ」という作戦を議論すべきではなかろうか。

電子居住はエストニアという小回りのきく国だからできる、という意見もあるかもしれないが、企業の盛衰においては小回りのきく方が強いということを忘れてはいけない。

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みんなで大家さん

2013-06-01 | あきなひ

ネット上で話題になってましたが、けっこう影響が大きいかもしれません。

大阪府「不動産特定共同事業者に対する行政処分について」…都市綜研インベストファンド株式会社
http://www.pref.osaka.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=13478

5.処分の理由
平成24年5月より実施している立入検査の中で、被処分者の平成23年度貸借対照表において、下記1から4の会計処理により約32億円の資産過大計上となっていることが判明した。
(過大計上約32億円を控除した被処分者の資産の状況:平成23年度末)
(3)  純資産 
▲約31億円((1)-(2))

実はこの会社は既に昨年行政指導を受けています。

不動産特定共同事業者に対する行政処分について(2012年8月28日)
--大阪府が不動産特定共同事業法に基づき行う処分は初めてです。-- http://www.pref.osaka.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=11162

この段階では債務超過の(その前に資本基準を満たさない)可能性についてチェックできなかったわけです。


昨年の8月にはファンドの販売会社である都市綜研インベストバンク株式会社という別会社も同時に行政処分を受けています。

東京都「不動産特定共同事業者に対する行政処分について」(平成24年8月22日)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/08/20m8m500.htm

しかも、この時点で両社は処分に対しこういうリリースをしています。

監督官庁からの行政処分についての詳細のご報告及び再発防止に向けた体制強化のお知らせ(平成24年8月30日)
http://www.minnadeooyasan.com/_/news/upload/13463129038511_hpkaiji2012.8.30.pdf

(1)会計処理にについて
 当社は会計方針や会計基準については原則として法人税法関係諸法令(法人税法、法人税法施行令、法人税法施行規則及び法人税法令解釈通達、以下「法人税法等」という。)の規定に基づき会計処理を行って参りました。これは不動産特定共同事業法(以下「不特法」という。)の許可を取得し、事業を開始した当初より、不特法が目的とする事業参加者(出資者)の保護と不特法事業の健全な発達に寄与するために、健全な会社経営を行うためには、税務上の要因による比重がキャッシュ・フローに大きく影響を及ぼす事が理由です。
 また不特法は会計処理に対して何ら法規制は無く、当社は非上場企業ですので、金融商品取引法以上にコンプ ライアンスに重点をおいた法人税法に則り会計処理をしております。当然そのベースには企業会計原則を元に会計処理をしておりますが、より法人税法において健全性・保守主義の原則に則り処理しております。

(3)その他記載ミス等について 対象物件「みんなで大家さん6号」においては交付書面の一部に・テナント名称の記載漏れ・最近5年間の賃料と費用が無い旨の記載不備が認められましたが、これら一連の記載漏れの原因を当該書面の作成担当者に確認したところ、当該記載漏れは故意にやったことでも、悪意で行ったことでもなく、単純なミスとのことでしたので、不正行為は認められませんでした。

などと、投資ファンドの運営が家族経営の町工場か商店の経営と同じといわんばかりのアヴァンギャルドな主張をしています。

これを見てなお投資するような客層を対象にしているという点でも、(「行政処分は初めてです」などと浮かれていないで)継続的に監視する必要はあったと思うのですが、
更に、「バンク」社の方は

【一部事業分割の予定のお知らせ】(平成24年11月5日)
http://www.minnadeooyasan.co.jp/cms/uploadfolder/1.3520844331232E+15_news_kaisyabunkatu241105.pdf

 ・・・先日発表致しました企業方針に則り、不動産の売買・分譲・開発等の事業を行っている当社の事業部門を会計監査の対象となる不動産特定共同事業部門と分離する予定と成りましたのでご連絡いたします。 具体的には不動産特定共同事業を行う部門を存続し、新名称を「みんなで大家さん販売株式会社」と致します。また、それに伴いまして不動産の売買・分譲・開発等の事業を継承する新会社を設立し、「都市綜研インベストバンク株式会社」の名称を継承致します。

と これは平成25年4月1日の不動産特定共同事業法施行規則の一部改正 (参照) により、不動産特定共同事業の許可申請において監査を受けた財務諸表の提出が義務付けられたことへの対応だと思われますが、 要するにまともな会計処理をしていなかったし、必要がある部分しかするつもりはない(贔屓目に見ても能力がない)、ということを言っているわけです。

当局には変更届が出されているはずなので、一度行政処分を出している会社がこのような動きをしているのであれば、そこでも要注意のフラグを立てるチャンスはあったわけです。


不動産特定共同事業法(不特法)は、国土交通省と金融庁の共管になっていますが、金銭出資型でかつ終了時の残余財産・出資の返還が金銭により行われ るもの以外は国土交通省の所管になっています。(法49条)

ただ、今回のようなことが起きると、「大阪府住宅まちづくり部 建築振興課 宅建業指導グループ」とか 「東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課」では荷が重いのではないか、という議論が出るかもしれません。

さらに、元をたどれば、不特法はバブル期に自らが運用する不動産に投資を持ち掛けて出資者との間でトラブルになったことから、それを規制しようとした法律なので、こういうのが続出すると、監督の強化以上により規制が厳しくなる可能性があります。
しかし現物不動産である以上分別管理が難しいので、投資家保護を突き詰めていくと、今度改正される法律で導入されるSPC型か信託に入れる必要が出てきます。

信託受益権になるとそもそも有価証券ですし、SPC型もSPCへの出資権を有価証券としてしまえば金商法でひとくくりにできるじゃないか、ということになり、不特法の存在意義自体が問われかねません。
不動産業者にもできる証券化手法が必要、と言っても、「不動産業者にやらせるからこんなことになるんだ」という批判への答えを用意する必要があります。

不動産証券化市場に確保した不特法という「出島」を維持するために、国交省はどういう策を取るのでしょうか。


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日経15段広告!

2013-05-30 | あきなひ
Jトラストが...

最下段に小さく
「(注意)本公国は当社の株主等への一般的な情報提供を目的としたものであり、当社の株式又は新株予約権への投資勧誘を意図するものではありません...」
とあるけど、ライツオファリングの説明と会社の成長(=投資先として有望)を語っています。
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Jトラスト

2013-05-25 | あきなひ

懐かしい名前が出てきましたが、ゆかしともお友達なのでしょうか。

東大医学部卒社長の540億円の「賭け」(YUCASEE media)

日本では1000億円超の過去最大のライツ・イシューを実施するJトラスト。最大の焦点でもあるのは、発行済み株式の約5割を保有する藤澤信義社長(43)が総額で約540億円もの権利行使を行うかどうか。個人で用意する金額としては大バクチとも言われるが、そうした注目が集まる中で開催した24日の投資家向け説明会で「自分のことより会社の成長を優先させる」と語り、安定株主への譲渡や株を担保にしても借入などを行うべく交渉を行っていることを明らかにした。

藤澤信義氏といえば、このブログでも、2009年のレナウンの経営をめぐる争いを取り上げた中で登場しています。 

 レナウン
 レナウン、その後
(2009年当時は、まだ日本振興銀行も木村剛氏も元気だったんですね )

当時藤沢氏はネオライン・ホールディングスという会社を経営していたのですが、ネオライン社はその後変転を経て昨年Jトラストの連結子会社になっています。
そのときに筆頭株主になったのかと思ったら、その前から骨がらみだったようです。

ネオラインホールディングス株式化会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
 なお、今回の取引を行うことで、下記7「藤澤氏からの借入について」記載の筆頭株主であり代表取締役を努める藤澤氏からの多額な借入が解消されます。また、当社とネオライングループとの関連当事者取引の解消にも繋がります。  

今回のライツイシューはノンコミットメント型なので資金調達が主眼という感じでもないですし、藤澤氏にとっては、上場した新株予約権を上場後売却すれば、原価はタダなので安くしか売れなくても全部利益になるという構図ですね。

新株予約権が上場した後、株価を刺激するネタが出たりするのでしょうか。
生温かく見守りたいところです。

PS
ちなみに記事には「東大医学部卒社長」とありますが、正確には藤澤氏は「東京大学医学部保健学科」を卒業されたようです。
そのへんの記事の省略の仕方もゆかし「らしさ」かもしれませんが、受け止める側としては、経営者や運用者を学歴で判断していては金融資産1億円は難しいような気がします。


<参考>
ライツ・オファリングについて(Jトラスト)

以下wikipedia
藤沢信義
JTインベストメント(「ネオライン・ホールディングス」から転送)
Jトラスト

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TSUTAYAが以前よりつまらなくなった件

2012-11-24 | あきなひ

昨日久しぶりにTSUTAYAに行きました。

レンタルビデオ店の値下げ競争が激化していると聞いていたのですが(参照)、実際旧作は2泊3日で100円というのができ、一方で準新作の当日貸し出しはなくなりました。

新作(当日貸出しあり)は回転率を上げ、準新作は料金回収をメインに、旧作は借りてくれたらもうけもの(しゃれた言い方だと「ロングテイル」とか言うのでしょうか)という戦略だと思います。

ただ、料金以前に、店舗が分かりにくくなっていることに業界の苦戦の原因があるように感じました。

その一番の原因はタイトルが多すぎること。

新作といっても日本で公開された映画だけでなく「TSUTAYAだけ」という、おそらく独自に権利を買ったタイトルもあり、また、人気のタイトルは準新作にとどまる期間が長いのか、新作・準新作のコーナーだけでもA級B級作品とりまぜてごった煮状態になってます。
(B級はB級でいいのですが、いかにも引っ掛けのようにコバンザメ作品を横に並べるのはあざとすぎる)
旧作に至っては簡単なジャンルわけをして50音準に並べただけで、しかもジャンル数も以前より少なくなった感じがします。

以前のように棚を前にして、あれを借りようかこれにしようかというわくわく感が減り、逆に考え込んでしまうようになりました。(歳のせいかもしれませんがw)

こうなると目的のある人はネット配信に流れ、店舗は情弱の集まりになってしまい、しかもそれらの人に商品情報をうまく提示できていないと、新たな需要を喚起できないように思います。

TSUTAYAとしては将来的にはネット配信や宅配DVDをメインにするつもりなのかも知れませんが、そうであればより豊富なコンテンツの魅力的な提示の仕方を工夫したほうがいいように思います。


 

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ガラパゴス諸島の島々

2012-10-10 | あきなひ
防災特集や「スマート・ハウス」などの話になると、必ず電気自動車やプラグ・イン・ハイブリッド車を家庭用の非常用電源として使う、という話が出ます。

既に自動車会社各社は出揃っているようです。

EVを家庭用電源に変える取り組み、各社が製品化にメド

走る電源、進化するEV 三菱自・日産開発、ためた電力を家庭に供給 住宅で実証実験、停電しても1週間自給

トヨタが電力供給型「プリウスPHV」を投入へ、ガソリン満タンなら一般家庭4日分

しくみとしてはこんな感じ(これはトヨタの例)





ところが、それぞれのメーカーで、自動車と家庭用の電源をつなぐ設備の仕様が異なるため、例えばプリウスのPHVを持っている家庭に三菱のi-MiEVや日産のリーフをつないで非常用電源にすることはできないんだとか(何でそうなのかは詳しく聞けませんでしたので五回かもしれませんが)。

EVの充電方式については日本勢と欧米勢との間で「チャデモ」と「コンボ」の争いがあるようですが、同じチャデモ陣営の中でもここまで互換性がないとすれば、ダーウィンもびっくりですね。

チャデモがガラパゴスにならずに世界標準を勝ち取ったとしてもまだまだ先は長いのかもしれません。



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懐かしい名前

2012-05-11 | あきなひ

(株)アインテスラ [東京] 産業機械卸売 破産開始決定  

(株)アインテスラ(中央区日本橋2-12-6、設立平成16年4月、資本金1億8880万円、篠原猛社長)と関連会社の(有)STAホールディングス(江戸川区西葛西3-10-33、設立平成18年1月20日、資本金300万円、清算人:篠原猛氏)は4月25日、東京地裁より破産手続開始決定を受けた。

(中略)当時東証2部に上場していた春日電機(株)の株式を買い進め20年6月、実質的に篠原氏が春日電機のオーナーとなった後、春日電機からアインテスラに不正な融資が行われた。この融資が回収できなくなったため春日電機は21年6月、会社更生法を申請し経営破綻。これが特別背任の刑事事件となり23年1月に篠原社長は逮捕、前後してアインテスラは春日電機からの借入返済ができず営業実態はなくなっていた。

このブログでも2008年にこちらのエントリ以来、折にふれて取り上げてきた春日電機ですが、結局みな篠原氏に食い物にされてしまったということです。

合掌

<関連エントリ>
春日電機元社長逮捕―やっぱり事前に洩れるんですね
春日電機(の元社長)に動きが?
久しぶりに春日電機
春日電機 会社更生申立て(ここの末尾にそれ以前のエントリのindexがあります)

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「顧客志向の経営戦略」とか

2012-05-01 | あきなひ

 今週号の日経ビジネスからのメモ

視野狭窄に陥っていないかをもう一度考え直そうと自戒。


「顧客中心」と言い張る企業の“嘘”を教えよう 米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾスCEOインタビュー(前編)

顧客を中心に考えていると言い張る会社の行動を見て下さい。実際に何を言っているのか、何をしているのかを見れば、決して顧客中心でないことが分かるでしょう。メディアに対して最大の競合他社の名前を挙げる。これは競争相手中心であることの明らかな兆候です。もちろん、私はこれを間違いだと言っている訳ではない。会社によってはそれでもいいのです。

我々は市場シェアを自分たちで決めることはできないと常に思っています。最高の顧客経験を提供することに重点を置いてビジネスを展開するだけ。あとは顧客がアマゾンのシェアを決めます。アマゾンで買い物をするのか、それとも別のところでするのか。これは常に顧客が決めることです。  

しかし、新しい事業に進出する際には、私たちは経験が不足しています。その費用を顧客に払わせるようなことをしてはならない。初めて何かをするときには、必ず授業料を払わなければならないのです。未経験で分からないことがあるから我々は学習します。学習をしている間は投資期間です。うまくできるようになったら、投下資本利益が向上し、その投資は利益を生むものに化けます。

きれいごとなのか、本気で言っているのかわかりませんが傾聴すべきところは多いです(でも、日本に税金払えよ)。


 “問題児”に革新を託せ 日の丸電機再生への提言

これは『経営戦略を問い直す』の三品和弘神戸大学教授と元マイクロソフト日本法人社長の成毛眞氏との対談

(成毛)
「iPhone」もソフトがいいんじゃなくてハードがいいから評価されていると見ています。iPhoneは、ファナックのNC(数値制御)工作機械であるロボドリルを使って切削して作っているのできれいなんですよ。
 
一般的にはこういう製品は、金型を使った射出成型で作っているでしょう。それではデザインで勝ち目はないんです。でも、日本企業の経営トップや幹部の多くは、削り出しで作った製品を手に取って自社の製品と比べてみても、どちらが美しいかを見分けられない。この経営者たちのセンスが問題だと思いますね。

(三品)
モノ作りを現場に任せきりにしているからですよ。現場に委ねたら、少しでも製品を軽量化したり薄くしたりと、分かりやすい目標に向かって努力する。その点は責められません。
・・・日本のメーカーは製品の加工方法以前に、どこを目指すんだということがずれちゃってる気がしますね。


(成毛)
あらゆる企業は勝ったから強いのであって、強かったから勝ったという証拠はあまりないでしょう。  

僕はマイクロソフトにいたが故に、そう思っています。勝ったから強いんですよ。うまくやったから勝ったとか、経営がよかったから勝った。そういうことではなくて、勝ったから経営もいいと評価される。  「これでうまくやってきたから勝つことができた」と自賛しているような会社は、どうかと思いますね。

「ベンチマーク」と言ってるような企業は結局ベンチウォーマーから脱することはできないのかもしれませんね。

 

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「間抜けではあるが違法ではない」

2011-10-20 | あきなひ

オリンパスの騒動のつづき
昨日オリンパスが一連の報道に対する当社の見解についてという適時開示をしましたが、これがまた突っ込みどころ満載です。

1.当社が同士の解職を決議した経緯について

これはオリンパスの従来からの言い分を書いてあります。
問題はつぎ。前社長が疑義を持ったM&A取引に関してです(下線は筆者)

2.M&A案件に関する一部報道に対する当社の見解
(1) Gyrus Group PLC(以下「ジャイラス社」)買収におけるフィナンシャル・アドバイザー(以下「FA」)への支払いについて
 ① FAとの当時の契約の概要 
  FAの業務内容:1.M&Aターゲットの提案
    
        2.M&Aトランザクション推進のためのチーム編成と運営管理
             3.トランザクションの最適ストラクチャーの設計、提案
             4.トランザクションに必要な分析、評価、交渉および必要な
             関連サービス
 
   契約締結日:2007年6月21日 
   支払い金額:基本報酬 500万米ドル
           成功報酬 買収金額の5%
                               (ただし買収金額に応じて所定の範囲で変動する)
                   内、現金15%(ただし上限1,200万米ドルとする)                                                 オプション85%
                              (ただし現金の上限超過部分はオプションに加算する)
                    ワラントの付与
 
※上記報酬にはFAを通じて外部に委託する法律関連等の費用も含む。

② FAに対する支払いの金額およびその内訳
 2006年6月16日  基本報酬          300万 
  2006年6月18日  基本報酬          200万 
  2007年11月26日 成功報酬(現金)  1,200万 
  2008年9月30日  ワラントの買い取り  5,000万 
  2008年9月30日  オプションの買い取り  17,698万
                           (以上FA報酬) 
  2010年3月31日  優先株の買い取り  44,302万
                   (優先株の値上がり分)
                     支払合計   68,700万

③ FAから取得した優先株の詳細について 
 発行経緯:資本参加を希望するFAの要請によりジャイラス社の優先株を発行
 発行主体:Gyrus Group Limited (Gyrus Group PLCの変更後社名)
 発行時期:208年9月30日
 発行価格:1億7,698万米ドル
 買取価格:6億2,000万米ドル

④ FAから優先株を取得した経緯 
 ジャイラス社を当社の100%保有とするため、FAに発行した優先株を2010年3月31日に6億2,000万米ドルで買い取りました。買取金額は双方の時価算定の中間値(当社は第三者による算定)によって決定しております。

⑤ その後のFAの状況について 
 当該FAと当社との取引関係は優先株の買い取りをもって終了しておりますので、当該FAのその後の状況については当社では認識しておりません。

⑥ ジャイラス社の買収に関する当社の認識について 
 本件買収により、成長を期待される外科事業における当社ラインナップを強化することに加え、ジャイラス社の得意とする米国での販売網を拡充することができ、当社の企業価値の最大化に大きく貢献すると判断しました。買収金額については、デュー・ディリジェンス等を通じてジャイラス社の資産内容、事業内容他潜在的シナジー等について総合的に検討を重ねた結果、妥当な金額であると判断しました。

⑦ ジャイラス社の買収に係る決議に関する監査役の意見 
 監査役全員一致の見解として、「取引自体に不正・違法行為は認められず、取締役の善管注意義務違反および手続き的瑕疵は認められない」との結論に至っております。

そもそもFAに成功報酬を大きくしてにぎった上で「ターゲットの提案」「分析・評価・交渉」まで任せたら、FAとしては手っ取り早く買えそうな会社を見つけてきて割高な評価をして緩めの交渉をしようというインセンティブが働くはずです。
そこで報酬として買収先の株を持たせれば利害が一致すると考えたのかもしれませんが、FAがもともとそっちはおまけと考えられていたら意味がありません。

それに、買収して1年半後には100%保有にするためにFAから買い取っているわけで、当時からそういう約束があった(またはその意図を見透かされて足元を見られた)と思われても仕方ありません。
当初そういう意図がなかったとしたら、買収1年半で(交渉期間を入れれば実質1年くらい?)いきなり資本政策を変更した理由が知りたいです。

取得価格にしても、オリンパス側は第三者評価をしたと言ってますが、相手の根拠不明な評価額(言い値?)との中間値で買ってるというのはかえって言わない方がよかったと思います。

しかも、FAが何者かについての言及がないところも怪しいです。WSJによればタックスヘイブンに籍のある会社だとかで、そのへんの説明がないのは反論としては弱いです。

百歩譲ってやましいところがなかったとしても、相当脇が甘い感じです。


⑦については、今回改めて意見を求めたのか、当該取引の年度にかかる監査報告書について言及しているのか不明なので、記載の趣旨がわかりません。
今回監査役が独自に調査したのであれば、その報告書自身を開示したほうが説得力があると思います。


つぎに 別のM&Aに関する論点

(2) 株式会社アルティス(以下「アルティス」)、NEWS CHEF株式会社(以下「NEWS CHEF」)および株式会社ヒューマンラボ(以下「ヒューマラボ」)買収およびその後の減損処理について

2006年5月から2008年4月にかけて(段階的に?)買収した3社(住所が同じで業種がばらばら、しかもオリンパスの本業とも関係なさげ、という時点で胡散臭い感じです)について2009年3月期に「リーマンショック等により外部環境が悪化したことを考慮し、保守的に減損処理を行なった」としています。
減損処理金額は

          アルティス     NEWS CHEFF   ヒューマラボ
買収総額   288億12百万円  214億8百万円  231億99百万円
減損処理額 196億14百万円  176億99百万円  183億70百万円

と、それぞれ70%~80%も企業価値が減少しています。
算定方法の当否についてはよくわかりませんが、いくらリーマンショックがあったとはいえ、3年前から前年まで株を買い進めていて、当然財務内容には精通していたはずの会社が一気に企業価値が1/4~1/5になるのは解せません。
しかし当時の適時開示はさらっとしたもので、「リーマンショック」にも言及していません。

これについても「監査人全員一致の意見」が出てきますが、手続きが適法だからといって経営責任(善管注意義務違反でなく経営者として適任でないという点で)を問う声はなかったのでしょうか。

ちなみに、いちいち引き合いに出される監査役について、有価証券報告書を見ると、社外監査役2名は菊川現会長兼社長が当初社長になって最初の監査役改選期に就任した人で、奇しくも同い年(早生まれ等で学年は違う人が1名)。
いずれも他の企業の役員等をやっていたサラリーマン上がりの人で監査の分野に専門性がある感じではありません。
社長の同級生とかじゃないだろうかとググッた範囲でわかったことは、島田誠氏は菊川氏(経歴はこちら)と同じ慶応大学法学部卒ですが卒業年次は2年違い(ここの3ページ目上段の記事参照)、中村靖夫氏は北海道大学理学部出身(こちらの下のほう)のようです。
中村氏は合成繊維の研究をしていた人のようで社外監査役としてはやはりちょっと異色な感じがします。


「違法ではない」ということを強調したいがためにM&Aの下手さを詳細に述べて突っ込みどころを増やすという展開が味わい深いですし、まだ黙っていることも多そうで、今後もいろいろ出てきそうです。
お鉢を回された監査役あたりが次のキーになるかもしれません。

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「独断専行」と「迅速な業務執行」の狭間

2011-10-18 | あきなひ

話題になっているオリンパスの社長解任騒動。

おさらいをすると、 17日の日経新聞では取締役会側の解任理由は以下のとおり

ウッドフォード氏がデジタルカメラなど各事業のトップを通り越して現場に直接指示を出し、独断専行的な経営判断で組織間の連携を損なった。

一方 18日の読売新聞によると、ウッドフォード氏の言い分はつぎのとおり

英紙フィナンシャル・タイムズによると、ウッドフォード氏は、一部雑誌で社長就任前の過去の買収を巡っての疑惑が報じられたことから調査を行った。  

その結果、2008年に英医療機器メーカー「ジャイラス」を9億3500万ポンド(当時約2150億円)で買収した際に不透明な支出があったことが分かったという。具体的には、買収のフィナンシャル・アドバイザー(FA)を務めた、カリブ海の英領ケイマン諸島の企業に総額6億8700万ドル(同約730億円)を支払ったとしている。  

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ウッドフォード氏はFAへの巨額報酬について、過去3週間にわたって菊川剛会長(当時、現会長兼社長)らに書面でただした。解職2日前には、「深刻なガバナンス(企業統治)の懸念」を理由に菊川氏に辞任を促したという。ウッドフォード氏は、こうした行為が自らの解職につながった可能性があると主張している。

これに対して、内部情報を外部のメディアに流したと見られることに、会社側が「法的措置を含めて対応する」という報道もなされています。

会社としては会計処理が適切だと言っているので、(内部告発の正当性の議論を置いたとしても)「守秘義務違反」でなく「風説の流布」なんじゃないの?とか、正しい会計処理の根拠となる情報を漏えいしたとしても解任以上の更なる「法的措置」って何なんだろう?などという素朴な疑問がわいてくるのですが、そのへんは専門家の方が整理されるのを待ちたいと思います。  


それはさておき今回興味があるのは、ウッドフォード氏が外部からのお雇い外国人社長でなく「生え抜き」であること。

2011年2月23日の日経ビジネス「時事深層」 “生え抜き外国人”社長の勝算によると、

(ウッドフォード氏は)経営のプロとして出資先や提携先から招かれたのでなく、オリンパス一筋の生え抜きだ。20歳で英子会社の医療機器の営業マンとして入社して以降、勤続年数は30年に及ぶ。  
30歳でこの英子会社の社長に就き、その後も医療部門を中心に現地の要職を歴任。地域別営業利益で221億円(2010年3月期)と、米州の3倍以上を稼ぐ欧州事業の拡大に貢献した。「欧米でオリンパスのあらゆる事業に関わってきた」(ウッドフォード氏)。活躍の場が地球の反対側で日本人社員の目には留まらなかったが、日本的な出世レースを制して白羽の矢が立ったとも言える。

ということです。 

雇われ社長が保身のために騒いでいるというのとは性格が違うようです。  

さらに同じ記事での就任時の菊川社長(当時、現会長兼社長=解任した張本人)のコメントがこれ。

菊川社長によると、「リーダーシップと決断力、迅速な業務執行」が持ち味だ。  

これが半年たつと「独断専行」になってしまうのですから、人物評価は難しいということでしょうか。

さらに(日経ビジネスの記者の見立てですが)  

外国人の抜擢という点に注目が集まっているが、もう1つ見逃せないのは、医療畑から社長を出したこと。同社は歴代、映像部門が社長を輩出してきた。ウッドフォード氏の社長就任で、「オリンパスは医療機器の会社」というイメージが社内外で一段と強まる。  

映像畑の菊川社長は会長兼CEO(最高経営責任者)にとどまるが、米国のゼネラル・エレクトリックや独シーメンスといった医療機器の巨人と伍していくにはウッドフォード氏の手腕に頼らざるを得ないと言える。  

また、しがらみの多い日本人とは違い、外国人なら気兼ねなく同社の本流である映像部門に大ナタを振るえる。まして落下傘型の“助っ人”でなく、社内実績が十分なウッドフォード氏であれば、周囲の納得も得られやすいだろう。同氏に求められるのは、そんな“生え抜き外国人”であることを生かした改革だ。  

と菊川会長自身も大ナタを振るうことを期待してたんじゃなかったの? という疑問を持つ人もいると思います。  


今回で日本企業のの経営者が「結局外国人は生え抜きだとしても先輩に対する配慮に欠けるからあぶない」という意識を持ちそうですね。

「英語を公用語にしたけど役員会は日本語」とかいう会社が続出しなければいいのですが。


逆にこれを機に、どこかのマスコミが上場企業の(創業者以外の)社長に対して「自分を指名してくれた前任の社長時代の会計不正の疑問がでたらどうする?」というアンケートをとってもらいたいものです。  

日本企業における模範解答は「第三者委員会で不正の有無を追及する」(でも解任レベルの責任追及は経理担当役員(社長交代時に既に引退していればなおよし)にとどめる)というあたりでしょうか。

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農業・漁業への固定概念

2011-09-16 | あきなひ

やまけんの出張食い倒れ日記に15日の日経の社説「農業を成長産業に変える改革を急げ」への批判が載っていました。

日経の社説はTPPの推進のために農業改革に取り組むべきという趣旨でこう述べています。

 「まず取り組むべき課題は、生産性の引き上げである。農地の集約を急ぎ、農家一戸あたりの農地面積を広げる必要がある。
・・・政府の「食と農林漁業の再生実現会議」が8月にまとめた中間提言は、平地での目標面積を20~30ヘクタールとした
・・・農家一戸あたりの農地面積は現状では1ヘクタール未満が55%を占め、平均は2ヘクタールにとどまる」

これに対してやまけん氏はつぎのように批判します

「日本農業は弱いから市場開放できないという後ろ向きな姿勢では農業の未来像は描けない」という。つまり「強くすれば開放しても大丈夫」と言う方向に持っていきたいわけだろう。しかし強くなるためのネタといえば、この社説では「大規模化による生産性引き上げ」である。これが成れば「強くなる」などという論理は、農業関係者であればその多くが「ばっかじゃないの」と思うはずだが、他産業に就くビジネスパーソンからすれば「そうなんだろうなぁ」と思ってしまうだろう。

再三書いてきたけれども、大規模化にはお金がかかる。単に農地をたくさん持つことが出来ても意味が無く、一枚の農地面積が数ヘクタール規模になり、均一な条件で大型機械による作業ができるようになれば、確かに大規模化には意味がある。しかし実際、日本の狭い農地事情ではどうやっても無理だ。いまの時点で田圃や畑は畦に阻まれていたり、高低差が大きかったりする。これを一枚にまとめるには膨大な土木事業費が必要になるのだが、その金はどこから出るのか?

僕も「他産業に就くビジネスパーソン」なので一瞬日経の言うとおりとも思ったのですが、日経の言う「平地での目標面積」と「農家一戸あたりの農地面積」を直接関係させるのは整合性が取れていないのではないか(=山間地を含めた平均値は当然低くなるはず)と思ったので、耕地面積に占める大規模農地面積の割合を調べてみました。
とはいえこの手の統計に詳しくないので、とりあえず見つけた農林業センサスの経営耕地面積規模別経営体数(参照)を参考に概算(たとえば2.0~2.5haは2.25と中間値を取る)してみると、20ha未満の農家数は98.9%、耕地面積(面積の全国合計は別のところから取りました)は76.7%になります。
その残りの部分、20ha以上の大規模農家1.1%で耕地面積の23.3%を経営していることになります。

耕地のうちどれくらいが平地部なのかは不明ですが、仮に2/3が平地部にあって大規模農家はすべて平地部に属するとすると、35.0%が20ha以上の耕地、10ha以上まで入れると47.4%と、実は既にけっこう大規模化は進んでいて、さらに農業の集約を進めるにはやまけん氏の言うようにかなりの投資が必要になるのかもしれません。(ほとんど「当て推量」なので自信はありませんが)。

農業とTPPをめぐる議論は「原発反対・推進」と同じで原理的な対立になりがちなのですが、原発のリスクよりは計量可能だと思うので、もっと具体的な数字をベースにした議論をすべきだと思います。


あと、ふと思ったのは日経の社説にあるこのフレーズの違和感

「このままでは日本は東アジアに吹く自由貿易の風に乗れず、経済成長の道が狭くなってしまう」

一方で日経は円高による製造業の空洞化を懸念しています。
そして製造業においては町工場は「日本のものづくりの原点だ」とは言っても「製造業の約7割が従業員数10人未満(平成18年事業所・企業統計調査参照)だから効率が悪い」という言い方はしません。

そして同じ日に、ユニクロの海外展開については、課題はあるとは言うものの批判的ではありません。
国外で製造し海外の売上げを主にしようと言う点では円高対応を進める製造業と同じ行動なんですけど、もともと国内で製造していない企業だから「空洞化」にならないからいいのでしょうか?


先日の漁業権の話(参照)もそうですが、TPPや震災復興に関して農業・漁業を語る際には必ず現状の「補助金・既得権・非効率」と「民間企業の参入」が語られますが(そういう部分はあるのかもしれませんがしても)、もう少しきめ細かい分析が必要なように思います。
(ユニクロと同じ紙面で取り上げられている特集記事「離陸する農ビジネス」で取り上げられているものも農地としてみれば小規模な取り組みだったりしますし。)


東北地方を回ると、被災した漁師さんや農家のなかには相当稼いでいた人もいるようでした。
ただし自然が相手なので、リスクも大きいが当たればでかい、その「当たればでかい」を目指して先行の設備投資をする、という意味では、ベンチャー企業と似ている部分も多いのではないかと思うのですが、なぜか農業や漁業を語るときには「前近代的な産業」という切り口で語られます。
そして、不思議と都会のベンチャー企業のやる小さな農業が誉めそやされたりします。

投資とリターンのキャッシュフローの構造としてとらえてみれば、農家や漁師がやろうと「企業家」がやろうと同じわけで(製造業だって補助金や税金の優遇措置を受けているところは山ほどあります。新聞の再販制度はここでは触れません(って触れてるしw))、それを同じ土俵で議論するところから始めたほうがいいと思います。

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タイミング、C調、無責任

2011-09-04 | あきなひ

車でクレイジーキャッツを聴いていて、改めて奥が深いと感心。

無責任一代男の一節

人生に大事なことは
タイミングにC調に無責任

映画『ウォール・ストリート』でゴードン・ゲッコーが揶揄した「人の金でハイリスクな投資をして報酬を稼ぐ投資銀行の連中」を想起します。

そのときどきの流行に乗った投資のストーリーを作って、せっせと営業して投資家の金を集め、自分が負うのは(無責任ではないけど)受託者責任という限定的な責任。

「タイミングにC調に無責任」というのは金儲けの金言かもしれません。


でも同業者の競争を勝ち抜いて、しかも以前に損をさせた相手からも金を集めるのは相当の努力が要ることも事実。

それについてはゴマスリ行進曲がいいことを言っています。

朝も早よから 夜中まで
身震いするよな うまい事言おう

「身震いするよな」ストーリーを描いて、しかも客に食いつかせるために昼夜を分かたず努力する必要がある。


無責任も楽じゃないということですな。

 

(おまけ:マイケルもそう言ってますw)


 

 

 

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ババ抜き、その後

2011-06-01 | あきなひ

最初は「あれ、またTMKが破産だわい」と思ったのですが。

特定目的会社芦屋シニアレジデンス 破産開始決定 / 負債総額 約99億4400万円

不動産所有の特定目的会社。不動産開発会社である(株)ゼクスが企画開発した介護付有料老人ホーム「チャーミング・スクウェア芦屋」の施設不動産(総数578室)を取得し、直接の運営は外部企業に委託していた。ただ、不動産取得前から課題であった施設入居率の低さは最近においても一向に改善せず、投資に関わる費用が重荷となり経営は安定性を欠いていた。入居者からも今後のサービスの安定、経営の堅実性に対しての懸念が囁かれる中、事業の再構築を意図した債権者から破産を申し立てられ、当措置に至った。

なお、「チャーミング・スクウェア芦屋」は別途運営法人とスポンサーによって今後も運営は継続される。

ゼクスの介護ビジネスのその後は何回か取り上げたことがあります。
馬事公苑の高級施設はグッドウィルともめたあと結局東急不動産が買って、グランクレール馬事公苑というシニアレジデンスになってます(経緯は過去のエントリをご参照)。
そしてその他はジェイ・ウィル・パートナーズが引き継いでいました。
たまたま今月「ジェイ・ウィル・パートナーズ」で検索してくる人が増えたこともあり「ババ抜き」などという失礼なタイトルが当たってしまったのかと思ったのですが、調べてみると、この物件はジェイ・ウィル・パートナーズは買わなかったようです。

チャーミングスクウェア芦屋売却、土地含め115億円で富士薬品に・・・ゼクス  

さらに兵庫県芦屋市の「チャーミング・スクウェア芦屋」については、9月30日に設立される運営会社(法人名は施設名と同じ)ごと、医薬品の製造や配置販売事業、ドラッグストア運営で知られる富士薬品(埼玉県さいたま市)へと譲渡することを発表した。譲渡予定日は、会社分割と同じ9月30日。なお、富士薬品は特定目的会社芦屋シニアレジデンスを100%出資で設立し、土地および建物を115億円(税込)で取得した。決済は9月3日に完了している。  

富士薬品は1930年創業の老舗。平成20年3月期の売上は1367億4200万円。一般家庭を対象にした配置薬事業で全国350万件を顧客として抱えるほか、ドラグストア「セイムス」を展開している。また、ここ数年はM&Aにも積極的に取り組んでいる。  

「チャーミング・スクウェア芦屋」は昨年3月1日に開設した総戸数578室の大型シニア住宅。ただし、山の上に行けば行くほど高級住宅地になっている芦屋市で海岸沿いに建設したことで地元の富裕層が入居に対して消極的になったことやゼクスの認知度が関西ではそれほど高くなかったことから入居状況については苦戦が伝えられていた。  

となると代わりにババをつかんだのは富士薬品という会社だったようです。 

ただ、「事業の再構築を意図した債権者から破産を申し立てられ」「運営法人とスポンサーによって今後も運営は継続される」とあるので富士薬品は債権者で他にエクイティ出資者がいたのかもしれません。 
でも、富士薬品が投資家を必要とする感じもなさそうですし、もともと富士薬品はTMKで買うつもりもなかったのでこれを機に本体で取得して立て直そうとしているのではないかと推測。


ところで、ケアつきマンションはランニングコストがかかるうえに預託金を高くするにも限度があるので、初期投資をできるだけ抑えないと一般的に採算は苦しいようです。
なので、遊休化した社宅などを安く買い取って改装したり、経営が立ち行かなくなった施設を引き受けて運営の効率化によって収益を上げる、または施設は地主などに持ってもらって自分は運営に特化するというようなパターンが多いようです。
今回は既存の施設を買収して参入、というところまではよかったのですが、115億という価格が高すぎたのでしょう。

ただこのビジネス、現状では自社の遊休地の利用とか、既存の経営資源の流用ができるとか、はたまた新規事業としてとりあえずやってみる、というような「特殊解」の事業者が多いようです。ただ、そろそろ収支構造の「一般解」を確立しないと、何が「ババ」かもわからないので新規参入が増えず、結果公的施設への依存が続いて施設不足は解消しない(または税金が際限なく投入される)ままになってしまいます。
なので、富士薬品も本業はしっかりしているようなので、ぜひ再建をがんばってほしいものです。


ところで弁護士に転じ、一時債務整理のTVCMを流していた浜田卓二郎センセイが本件の申立て代理人になってます。
さすが地元埼玉には強いというところでしょうか。

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「痛みポイント」

2011-05-30 | あきなひ

ちょっとひっかかったのでリツイートしたこちら

何で引っかかったのかと思ったら引用先で参照されている本を読んだことがあったんですね。買おうと思って商品説明を見て気がつきました(苦笑)
そのときのエントリはこちら

この本では飛躍的に向上したコンピューターの記憶容量と計算速度を利用して極めて大量のデータを回帰分析にかけて、有意な因果関係を探る「絶対計算」がマーケティングに威力を発揮していることが実例を挙げて説明されています。

Tweetの引用先ソーシャルゲームが大流行する「薄気味悪さ」ではこの本から「痛みポイント」という概念を取り上げています。

例えばカジノ経営の米ハラーズは、「顧客を逃がさずにどこまでお金を搾り取れるかについて、実に高度な予測を使っている」という。スロットマシンなどの使用状況や勝ち負けなどをリアルタイムで監視し、その顧客の年齢や居住地の平均年収といったデータと組み合わせて分析する。これにより、顧客がお金をすっても楽しんでまた来店するのはいくらまでかを予測し、「この魔法の損失額数値を『痛みポイント』と呼んでいる」(46ページ)という。
このカジノでは、顧客が痛みポイントに近づくと、店のおごりでレストランに案内するといったこともしているそうだ。(中略)

ジンガがこうした統計手法をCity Ville(注:本稿で取り上げている米の人気ソーシャルゲーム)で使っているかどうかは不明だが、ユーザー行動を追跡して予測に利用する技術がエンターテインメント分野に広がっているのは間違いない。

僕はソーシャルゲームはやらないのですが、はまっている友人の話を聞くと雰囲気はわかります(新規客を誘うとポイントになるのか知らんが、たまに誘いが来ます)。

そこにつぎのTweetにあったのがペニーオークションめぐるトラブル増加、弁護士会など実態把握へ

これは記事を見る限りでは詐欺っぽいのですが、これを真っ当な商品を提供しサクラのいないオークションにしたうえで上の「痛みポイント」を利用して、たとえば「落札できなかったら入札に使った○○以上のポイントは戻ってくる」とかのサービスをつければ、実質的には○○ポイントは損なのですが、けっこう繰り返して参加する人も増えるかもしれません。

そういう合法ではあるものの射幸心をギリギリのところまで煽るビジネスが増えるのがいいのかどうかは別ですけど。


その意味ではパチンコの出球制限は「射幸心を刺激して『痛みポイント』のハードルを上げる」ビジネスへの規制とも考えられます。

パチンコは人口が膨大なので、景品交換比率とか来店客のプロフィールだけでなく遊興費の出所(絶対額・可処分所得に占める割合、調達金利)などのデータも入手できるなら非常に興味深い統計データになりそうです。

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諸行無常か終の住処か

2010-11-23 | あきなひ

懐かしい名前つながりのニュースが2つ。

ひとつは 
株式会社ゼクスに係る有価証券報告書等の不提出に係る課徴金納付命令勧告について (平成22年11月19日 証券取引等監視委員会)  

もうひとつは  
世田谷区上用賀一丁目所在住宅型有料老人ホームの取得について(平成22年11月16日 東急不動産)  

東急不動産株式会社会社は、東京都世田谷区上用賀一丁目所在の住宅型有料老人ホーム「バーリントンハウス馬事公苑」の土地建物を取得し、名称を当社のシニア住宅ブランドである「グランクレール」を冠した「グランクレール馬事公苑」に変更いたしました。  

この「バーリントンハウス馬事公苑」というのは、2006年にJASDAQから東証一部上場になり元気だったぜクスが2007年に、当時経営危機に陥っていたグッドウィルグループから引きついだものです。 

当初の事業承継のスキームは老人ホーム事業を廃業・清算済みの㈱コムスンから吸収分割により承継し、土地・建物は保有している親会社のグッドウィル・グループ㈱から取得するというものだったのですが、2008年の引渡し前になって建物の構造強度に疑義が生じてしまい、ゼクスが引渡しを拒んだ結果、事業はゼクスが承継したものの資産はグッドウィル(ゼクスは資産を賃借)という宙ぶらりんな状態になってしまいます。  

ところがそのうちにゼクスも本業がうまくいかなくなり、2008年の決算の有価証券報告書でGC注記がつくという状況になってしまいます。(参照) 

そしてゼクスは高級介護施設である「バーリントン」シリーズ以外の介護事業をおこなう孫会社に対して2008年8月にジェイ・ウィル・パートナーズから出資を受け入れますが、一方でバーリントンハウスを巡る争いはグッドウィル改めラディア・ホールディングスとの間で訴訟になってしまいます。(参照)  

最終的にはバーリントンハウス事業については、結局2009年に事業ごとラディア・ホールディングスが買い戻す形で決着しました。(参照:連結子会社の会社分割によるバーリントンハウス事業承継に関するお知らせ)  

そして今回東急不動産が取得することになったようです。  
東急不動産もゲンの悪い物件を買ったなぁと思うのですが、入居者よりも経営主体がくるくる変わってきた介護施設がこれで終の住処になるといいですね。 
ただ筆頭株主の東急電鉄もシニア住宅事業を始めているので(参照)、将来的にグループ内の再編があったりして・・・  


さて、その他の関係者のその後です。  

最初の経営主体のグッドウィルは、その後ラディア・ホールディングスとなり、サーベラスとモルガン・スタンレーの出資を受け、事業再生ADRにより再生中で、社名をアドバンテージ・リソーシング・ジャパンに変更しています。(参照)  

ゼクスは冒頭のSESCによれば  

しかしながら、同社は、資金繰りに余裕がないこと等を理由に、会計監査人の選任並びに上記四半期報告書及び有価証券報告書の作成を未だに行わず、長期に亘って、こうした同社の財政状態を同社の株主等市場関係者に対して何ら開示していない状態を継続しているものである。  

という状態です。 
上場廃止にはこういう手もあるんだなと妙な関心をしてしまった有価証券報告書不提出ですが、相変わらずの開き直り気味のようです。
上場廃止後もしばらくは有価証券報告書の提出義務は残るので、会計事務所も引き受けたがらないのかもしれません。
(ところで株主代表訴訟とか起きていないのでしょうか? )

ジェイ・ウィル・パートナーズはその後も元気なようで、民事再生になったマンションデベロッパーのモリモトのスポンサーになったり(参照)、会社更正になった穴吹工務店のスポンサーになったり(参照)と活躍しています。 
政策投資銀行の資金がバックにあるからなんでしょうが、政投銀大丈夫か?

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