47thさんにいただいたTBをきっかけに、自分なりの問題意識をまとめてみました。
結局のところ2つに絞られるみたいです。
1 証券取引法158条の適用範囲を明確にすべき
以前「別件捜査」などと以前の記事で書きましたが、もしこれが「本件」だとすると逆に「取引スキーム全体で偽計取引となる」というような違法性の判断がされていることになります。
そうすると、通常の企業活動において取引スキームの工夫(オフ・バランスにするとか税制上のメリットを受けるとか)がどこまで違法とされうるのかについては、これを契機に議論を深める必要があると思います。
2 検察の捜査手法の強引さについて
私は「別件捜査」(=因縁をつけて強制捜査をして、そこから出てきた証拠を元に立件する)じゃないのかという問題意識をもったのですが、メールなどをごそっと丸ごと押収し、経営幹部を逮捕するという企業活動を停止させかねないような捜査手法への問題提起がされています。
これについては、今回も堀江社長のblogでもデータのコピーは認められたようで、日常業務の停止もたらしたのは、取締役会が少数の経営幹部だけで構成され、代表取締役も堀江社長1人だけという超中央集権的な組織設計の方に原因がある(ベンチャー企業としてはリスクを承知で意思決定の迅速さを選んでいるが、それが裏目に出ただけ)のではないのかと思います。
ただ、私としては検察(特に特捜部)の「無謬性神話」については、国民の信頼の面から言っても「両刃の剣」になりかねないという懸念を持っています。
すなわち本当の「巨悪」に対抗する場合に自らの神話が足かせになり謙抑的になってしまうのではないか、ということです。
検察がもし勝てる勝負しかしなくなってしまうとすると権力行使が矮小化してしまい、比較的脇の甘い「出る杭」を打って世間の溜飲を下げるだけの機関になってしまうおそれがあります。
※でも、「どの程度なら負けてもいいか」というのは難しいですが・・・
おまけ 検察の捜査に対する弁護士の関与について
47thさんが示唆されるような、「企業側の弁護士内部調査や証拠提出手続に関与することで企業の日常的な活動と捜査のバランスがとれ、「強制捜査をせずに野放しにする」/「強制捜査して企業自体の活動を麻痺させる」というデッドロック的な状況を回避できる」という点(刑事訴訟手続きにも米国流の証拠開示・争点整理の手続きを導入する事が前提になりそうですが)については、「確かにそううかもしれないけど、ようわからん」というのが正直なところです。
理屈で考えると、企業として捜査が企業活動への悪影響に対して防御するためには、形式的には別問題である経営者個人の容疑については積極的に捜査協力をする取引もありうるという部分でコンフリクトが発生するので、やはりライブドアのような経営幹部だけで取締役会が構成されている会社においては機能しないような感じもします。
そうなると、「企業の日常活動と捜査のバランスを取る」制度が導入されると企業の組織設計に対して方向性を与える(ベンチャー企業のような中央集権的な組織体制は市場から「リスキー」と敬遠され、社外取締役や委員会設置会社に誘導される)ことになるかもしれませんが、それが企業活動の自由度・多様性を損なう事になりはしないか、というところが問題なのではないかと思います。
PS
ライブドアの経営手法については「違法だとしたらけしからん。以上。」です。
また、株価が暴落したのは検察のせいだとか云々に関しては上場企業すべてに潜在するリスクなので、粉飾決算だとしたら取締役や会計監査人の責任は追求すべきでしょうが、検察に文句を言うのは筋違いだと思います(「社会的影響があるから逮捕するな」では「伝統勢力」の発想と同じですよね)。
結局のところ2つに絞られるみたいです。
1 証券取引法158条の適用範囲を明確にすべき
以前「別件捜査」などと以前の記事で書きましたが、もしこれが「本件」だとすると逆に「取引スキーム全体で偽計取引となる」というような違法性の判断がされていることになります。
そうすると、通常の企業活動において取引スキームの工夫(オフ・バランスにするとか税制上のメリットを受けるとか)がどこまで違法とされうるのかについては、これを契機に議論を深める必要があると思います。
2 検察の捜査手法の強引さについて
私は「別件捜査」(=因縁をつけて強制捜査をして、そこから出てきた証拠を元に立件する)じゃないのかという問題意識をもったのですが、メールなどをごそっと丸ごと押収し、経営幹部を逮捕するという企業活動を停止させかねないような捜査手法への問題提起がされています。
これについては、今回も堀江社長のblogでもデータのコピーは認められたようで、日常業務の停止もたらしたのは、取締役会が少数の経営幹部だけで構成され、代表取締役も堀江社長1人だけという超中央集権的な組織設計の方に原因がある(ベンチャー企業としてはリスクを承知で意思決定の迅速さを選んでいるが、それが裏目に出ただけ)のではないのかと思います。
ただ、私としては検察(特に特捜部)の「無謬性神話」については、国民の信頼の面から言っても「両刃の剣」になりかねないという懸念を持っています。
すなわち本当の「巨悪」に対抗する場合に自らの神話が足かせになり謙抑的になってしまうのではないか、ということです。
検察がもし勝てる勝負しかしなくなってしまうとすると権力行使が矮小化してしまい、比較的脇の甘い「出る杭」を打って世間の溜飲を下げるだけの機関になってしまうおそれがあります。
※でも、「どの程度なら負けてもいいか」というのは難しいですが・・・
おまけ 検察の捜査に対する弁護士の関与について
47thさんが示唆されるような、「企業側の弁護士内部調査や証拠提出手続に関与することで企業の日常的な活動と捜査のバランスがとれ、「強制捜査をせずに野放しにする」/「強制捜査して企業自体の活動を麻痺させる」というデッドロック的な状況を回避できる」という点(刑事訴訟手続きにも米国流の証拠開示・争点整理の手続きを導入する事が前提になりそうですが)については、「確かにそううかもしれないけど、ようわからん」というのが正直なところです。
理屈で考えると、企業として捜査が企業活動への悪影響に対して防御するためには、形式的には別問題である経営者個人の容疑については積極的に捜査協力をする取引もありうるという部分でコンフリクトが発生するので、やはりライブドアのような経営幹部だけで取締役会が構成されている会社においては機能しないような感じもします。
そうなると、「企業の日常活動と捜査のバランスを取る」制度が導入されると企業の組織設計に対して方向性を与える(ベンチャー企業のような中央集権的な組織体制は市場から「リスキー」と敬遠され、社外取締役や委員会設置会社に誘導される)ことになるかもしれませんが、それが企業活動の自由度・多様性を損なう事になりはしないか、というところが問題なのではないかと思います。
PS
ライブドアの経営手法については「違法だとしたらけしからん。以上。」です。
また、株価が暴落したのは検察のせいだとか云々に関しては上場企業すべてに潜在するリスクなので、粉飾決算だとしたら取締役や会計監査人の責任は追求すべきでしょうが、検察に文句を言うのは筋違いだと思います(「社会的影響があるから逮捕するな」では「伝統勢力」の発想と同じですよね)。