定期券ばなしの続きです。
定期券を買いに行ったところ、最近自動販売機でも購入できるようになったというので、早速試してみることにしました。
券売機を見ると、クレジットカードも使えるようです。
早速トライ
① 「現在お使いの定期券を入れてください」
はいはい
② 「生年月日を入力してください」
え? はあ、じゃ、入れましょうか
③ 「郵便番号を入力してください」
えええ?
通勤定期って証明書がなくても買えるわけなので、なんでそこまで本人確認が必要なんでしょうか?
しかも入力は手元の小さいテンキーでは出来ずに、画面にタッチする仕組み。駅の券売機なので、周りからは丸見えです。
(新幹線の券売機はクレジットカード利用が多いせいか、テンキーも見えにくい工夫がされているのと大きな違いです)
さらにそのあとに
④ 氏名を入れてください
そして最後に
⑤ クレジットカードをいれて、暗証番号を入力してください
となるんじゃないかと考えると、どれだけ個人情報をさらすことになるのだろうか心配になり、途中で手続きを取り消してしまいました。
そして、駅の定期券売り場の窓口に行ったところ、なんと使用中の定期券を差し出すだけで、何の本人確認もせずに(もしされたら
名前が判読不能なのでやっかいだった)、クレジットのサインだけで買うことが出来ました。
なぜ、機械の方が危ないのだろうか、と考えると、個人情報保護法の問題に行き当たります。
個人情報保護法では、個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データについての安全管理義務があります(個人情報保護法20条)。なので、クレジットカードを扱う従業員がスキミングしたりすると、企業の責任になります。
しかし、個人情報の提供の局面で他人に見られてしまうのは理屈上は個人の側のリスクなわけです。
であれば、個人情報の漏洩を心配するなら、逆に漏洩のリスクを個人の側に負わせてしまったほうが楽だ、という発想も成り立ちえます(過度な法規制に対しては、このような対応を取りたくなる気持ちもわかります)
消費者保護法制が整備される事自体は総論としてはいいことだと思うのですが、「何か不都合が起きたらすべて企業のせいにする」という個人対「法律で規制されるのなら、法律の規制のかからないところで個人の自己責任に任せたほうが得策」という企業のせめぎあい、という構図がしばらくは続くのかもしれません。
この典型的な例として、最近ゴルフ場の貴重品ロッカー(テンキーで自分で暗証番号を入れる方式)の暗証番号盗み見による盗難(テンキーのカバーの上に小さなCCDカメラを設置して読み取るらしい)が多発したという事件があります。
これに対しては、ゴルフ場側もテンキーの内側に異物を設置できないようにしたりしてい対策を施しています。
これの損害で訴訟になったという話はきかないのですが(保険会社がバッファーになっているのでしょうか?)企業側にも「個人情報の提供局面で個人が入力する情報を盗み見られないようにするような安全措置をとる義務」というのが抽象的には観念されつつある野かもしれませんね(それとも単にレピュテーション・リスクを回避しようというだけかもしれませんが)
個人情報については、個人の責任と企業の責任の線引きが落ち着くにはしばらく時間がかかりそうですね。