一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

東急電鉄と東急ストアの株式交換

2008-03-31 | M&A

地元の駅の高架下にある東急ストアに行ったら、いきなり「閉店セール」をやっていました。
改装するとも書いておらず、でも、やめてしまうほど赤字店舗とも思えないし、東急グループとしては他のスーパーを入れるわけにもいかないだろうと思い、店員に聞いてみたところ、駅舎の耐震改修工事のために2年間閉店するとのことでした。

そこで思い出したのが先週見かけた記事

東京急行電鉄株式会社による株式会社東急ストアの株式交換による完全子会社化に関するお知らせ

東急ストアは、新中期3か年経営計画に従って、「継続して成長できる企業力の確立」に向け、「スクラップ&ビルドによる利益改善」、「既存店収益力の回復」、「業務改革、業務改善による効率化の推進」を基本方針として、営業利益の安定的拡大を目指してまいりますが、経営計画の進捗を確実なものとするためにも、東急グループの中核会社である東急電鉄との協調体制のもと、スピーディな経営判断を行っていくことにより東急グループのシナジー拡大に貢献することが必要であると判断するに至りました。

現在でも東急電鉄は東急ストアの39.6%の株主ですが、より一層のシナジーを、ということのようです。

確かに東急ストアは東急電鉄の高架下に駅と一体的にあるものも多く、耐震補強工事をするとした場合には既存の借家人を立退かせる必要があります。
東急ストアに対しても、筆頭株主とはいえ他の株主もいるので立退料を1円も支払いません、というわけにもいかないですし、かといって移転実費を上回る分は利益として税流出したり他の株主に配当としていくとなると、連結ベースではあまり意味のない支出になってしまいます。

耐震補強にとどまらず、沿線の再開発にあたっては利害関係を完全に一致させることが大事ですし、そもそも東急ストアの時価総額は350億円なので、妙な輩に買い占められたり株主代表訴訟を起こされたりするならいっそのこと買ってしまえ(しかも株式交換ならキャッシュはいらないし、配当利回りも1%台なので)という判断なんだと思います。


それにしても、高架の耐震性のほうは大丈夫なんでしょうか(冷汗)
柱の補強は順次やっていたようですが、まだテナントをどかさないといけない部分は未了なんですかね。


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『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』

2008-03-30 | キネマ
タイトルは原題の直訳で、そこから想像されるように相当強烈なパロディーです。

ボラットというカザフスタンのTVレポーターが、成功の秘訣を探るためにアメリカに渡ってドキュメンタリー番組を作る、という設定で、そのことでアメリカのおかしな部分をパロディにすることを意図しています。

全編にわたり男尊女卑、ユダヤ人やジプシーへの偏見、知的障害者などアブナい表現がちりばめられています。

ボラット役でプロデューサーのサシャ・バロン・コーエンは(カザフスタンとは何の関係もない)ユダヤ系イギリス人、監督のラリー・チャールズも『隣のサインフェルド』の脚本家と、いかにも一癖ありそうな連中の作品らしいともいえます。


アメリカ人はともかく、カザフスタンの人は怒るだろうなぁ、というのが一番の感想です。
特に導入部はそのへんの引っ掛かりがあって大笑いとはいかない部分がありました。

サシャ・バロン・コーエンの痩せ型長身・ヒゲに黒髪という風貌が一番の理由なのでしょうが、主人公をアフリカ人にすると差別だと言われ、北朝鮮だと普通過ぎる、というあたりで中央アジアを選んだ、ということもあるのかもしれません。


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差し込み印刷型マーケティング

2008-03-29 | あきなひ

マンションの郵便受けに入っているチラシの中で

「○○マンション」(このマンション名)を探してらっしゃるお客さんがいます

という不動産会社の広告を見かけます。

よほど有名な物件でない限り物件を特定で探しているなんてことはないわけで、「○○マンション」というところを差し込み印刷で印刷して配っているのだと思います。

仲介会社は売り希望客と買い希望客の両方がいないと成り立たないので、あの手この手で見込み客を発掘するわけですね。
多分チラシを見て「売りたいんですけどお客さんを紹介して」と言ったら、「他で決まったけどほかにもこの地域で探している人が・・・」などと言って、今度は「未公開物件!」などといって買い客へ流すんだと思います。


似たような仲介ビジネスでヘッドハンティング会社があります。

期末近くなると、ときおり電話がかかってきたりします。
大体共通するのが女性がかけてきて、

○○さんですね、私××の秘書ですので××に代わります

などと言います。
場合によっては

××がぜひお会いしたいのでアポイントを取りたい

などというのもあります。
本人を出させておいて向こうは秘書(といっても多分「テレホンアポインター」とかで求人した人なんでしょう)しか出ないというのも大概失礼な話なのですが、こういう処理の仕方をするということは、「絨毯爆撃」の一環(顧客からの名指しの引き抜きではない)ということを自白しているようなものです。

本当に転職を考えている人なら最初から登録するように思うのですが、この手の顧客開拓ってどの程度の効果があるのでしょうか。
これで、一度会ったりすると今度は求人企業向けの「転職希望者紹介」にプロフィールを乗せられたりするんでしょう。


そういえば以前の職場で、電話を代わった外人がいきなり英語でまくし立て始めたことがあります。
こっちは日本の会社なんだからいきなりこちらも英語で話し始めたら出来の悪いコントみたいですよね。
逆に英語が普通に飛び交う職場だと会話の内容もバレバレになるのでいずれにしても営業センスのない奴だなぁなどと思い、「エイゴ、わかりましぇ~ん」と言って電話を切ってしまいました。


このような「差し込み印刷型マーケティングは」いろんなビジネスで行われているということは、飛び込み営業などの「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」式の営業よりは少しは効率がいい、ということなんでしょうけど、あまり見え見えなのは逆効果のようにも思います。

 

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一橋は×だったようで

2008-03-28 | 法律・裁判・弁護士

一橋・北海道など4法科大学院に「不適合」評価
(2008年3月27日(木)23:43 読売新聞)

法科大学院の評価機関「大学評価・学位授与機構」は27日、大学院9校の評価結果を公表し、一橋、北海道、千葉、香川の国立4校を、教育内容に最低限必要な水準を満たさない部分があるとして「不適合」と認定した。  
26日にも別の評価機関が愛知大を不適合としている。74の法科大学院のうち昨春以降24校の評価結果が出たが、2割を超す5校が不適合と判断された。  
同機構の評価報告書によると、一橋大は行政法など3科目で、最大80人と定められている一クラス当たりの人数が83~100人に上り、「少人数で議論しながら授業を行う基本が守られていない」と指摘された。千葉大は、期末試験の成績が悪くて単位を落とした学生を翌年度の再試験で救済する仕組みを設けていたことが問題視された。  
北大は法学未修者を想定した3年制コースの入学者選抜で、法律科目を重視した選抜方法を採用していた点、香川大は教員の専門分野と指導科目にずれがある点がそれぞれ不適切とされた。  
不適合となった大学院は、文部科学省の調査対象となり、必要に応じて改善指導を受けることになるが、学生の募集や、在学生の修業、修了者の司法試験受験資格に影響はない。新潟、金沢、熊本、上智、専修の5校は「適合」と認定された。

おとといのエントリで紹介したように、漏洩疑惑のあった慶應大学は「適合」だったのとのバランスがよくわかりませんね。

ただ、記事をよく見ると、上の「不適合」格を出したのは独立行政法人大学評価・学位授与機構で、慶應を「適合」としてのは、財団法人大学基準協会と異なっています。
大学基準協会のサイトによると

2002年の学校教育法改正に伴い、2004年度以降わが国の大学は、文部科学大臣の認証を受けた評価機関による評価を7年以内の周期で受けることが義務づけられました(認証評価制度)。

という制度の中でそれぞれが認証を受けた異なる評価機関に評価を依頼したということのようです。

評価者によって多少のばらつきはあるにしろ、今回はちょっと差が目立つ結果となりました。


建築確認において審査が緩いと評判な民間審査機関があったり、耐震偽装事件の反動で今度は急に厳格になったり、の二の舞にならないといいですが。
今回は「評価」というより主観的な作業にかかわることなので、もっと面倒かもしれませんね。


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Bernanke has no idea. FED ia asleep !

2008-03-27 | あきなひ
といっても去年の話。





昨年の夏にベア・スターンズが運用していたヘッジファンドが破綻した頃、経済専門チャンネルCNBCの人気番組「Mad Money」のホストで、元ヘッジファンドマネージャーでもあるJim Cramer氏が"Stop Trading!"と叫んでいる番組。

ウォールストリート日記さん経由のネタです。

この時点ではアメリカの金融メディアやアナリストの多くがまだ今回の危機の重大さに気づいていなかったそうです。

当時もプロの間では潮目の変化は実感されていたのでしょうが、うまく言っている中で手仕舞いするのは難しいということですね。
実際マーケットがクラッシュしたのは半年以上後(一度昨年の10月に落ち込みましたが)なので、去年の夏時点で降りることは相当勇気がいると思います。
私の巡回範囲ではぐっちーさんが同じ頃いちはやく警鐘を鳴らしていました(参照)が、なかなか本気でまずい、と言う人は去年の初夏の時点では少なかったように思います。


私自身、昔バブルの頂点から下降局面で、潮目の変化を感じていたものの数字は上がっているので弱気なことも言いにくいという経験をしたので気持ちはよくわかります。


まあ、そういう中でCDOを売りまくって巨額の利益をあげたGSはやはりプロといえると思います。



ところでこのCramer氏の気持ちのいいところは、一切カメラ目線がなく、ひたすらキャスターに話しかけている(噛み付いている)ところです。
ここまでの熱さは番組のホストとしては貴重ですね。
最後に出てくる"quick reminder"の「これはクレーマー氏個人の見解でCNBCの見解ではありません・・・」というおきまりのフレーズも本当に必要だと思わせるくらいの迫力があります。




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KO漏スクール

2008-03-26 | 法律・裁判・弁護士

などと昨年来2ちゃんなどでは言われているらしいですが・・・

新司法試験で教授が不正な受験指導、慶大に改善勧告
(2008年3月24日(月)20:40 読売新聞)

法科大学院の評価機関「大学基準協会」は24日、慶応大法科大学院の評価結果を公表し、新司法試験で出題担当だった同大教授(辞職)が不正な受験指導をしたことについて「大学院の授業時間が(新司法試験の出題科目に)過度に偏っており、そうした教育姿勢が司法試験問題漏えい疑惑につながったとの見方を否定できない」として改善を勧告した。その上で、評価基準には適合していると結論づけた。  

同協会の評価報告書によると、慶応大は新司法試験に出題される法律基本科目で、授業後に「フォローアップタイム」と呼ばれる補習を実施。また若手弁護士を講師とするゼミを設け、新司法試験対策の指導を行っていたといい、報告書は、こうした大学院全体の教育方法が不正の背景にあった可能性を指摘した。  

同協会は、次回の評価を行う5年後までに毎年、不正防止策の実施状況を報告することも要請。慶応大法科大学院は「評価結果を 真摯 ( しんし ) に受け止め、速やかに改善を図っていきたい」としている。  

ロースクールを卒業しないと司法試験を受けられない、という制度を作った以上、ロースクールに入学する人のほとんどが(というか例外的に勉強熱心な人を除いてほぼ全員が)司法試験を受験するつもりだと思うのですが、司法試験対策重視の教育方法はよろしくない、というのでしょうか。

であれば、今回「評価基準に適合しない」という評価をすべきだったと思います。 
また考査委員である教授が類題を出した行為は「大学院全体の教育方法が不正の背景にあった」というなら不正は組織的なもの、と(昨今の企業不祥事に対するマスコミの論調でいえば)言えるのではないでしょうか。


とても中途半端な対応のように思います。

たとえば今回の事件が合格率の低い弱小私立大学や新設国公立大学のロースクールで起きたななら「評価基準に適合しない」となったのではないでしょうか(そういう大学の教授は司法試験の考査委員にはならないだろう、という問題はさておき)。  


そもそも、僕も含め世の中の人の大半はロースクールは司法試験の予備校に近い機能を果たしていると思っているのではないでしょうか。
現に知り合いのロースクール(慶応ではない)の先生が自校の卒業生の司法試験の合格率に一喜一憂してますし、雑誌『ビジネス法務』で「法曹資格を持たないロースクール修了者の企業での採用を考える」という特集が組まれるくらいですから(こちらのエントリなどもご参照)。

慶応大学自体も「教育方針を見直す」というコメントはしていないわけですし、そうだとするとコメントの「速やかに改善を図ってい」くというのが、何の改善を図るのかよくわかりません。 
たぶん大学自身も教育方針がまずい、とは思っていないんじゃないでしょうか。

慶応のロースクールは司法試験の合格率は高いのようですし、不正に関係なくその数字が達成されたのであれば、教育方針としては問題はないどころか望ましいじゃないでしょうか。
医師国家試験の合格率の低い医学部はレベルの低さが問題にされるのに、法科大学院は受験に焦点を当ててはいけない、というのもちょいとおかしいです。


もし試験結果と評価機関の考える教育のレベルに正の相関関係がないというのであれば、真っ当な教育を受けた法科大学院生が合格できないような、受験テクニックが必要な司法試験のほうを問題にすべきではないでしょうか。



まあ、将来法律家になるには、この程度の本音と建前の矛盾は当然に飲み込んでロースクールを選択するはずなので、評価機関は理想論を言っておけばいい、ということでしょうかねぇ・・・


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ゴメンで済むなら警察はいらない

2008-03-26 | よしなしごと
納税者不在の議論です。

新銀行東京、「最終責任は私にある」石原知事が初めて謝罪
(2008年3月25日(火)23:57 読売新聞)

問題は追加出資の400億円で新銀行東京の経営が持ち直す見込みがあるかどうかだと思うのですが、それについての精査がないまま責任論に終始した感があります。

頭を下げたら400億円出てくるのだったら、私ならナンボでも下げますって(でも400円も出てこないかも)

これで溜飲を下げて追加出資に賛成した都議会議員は、将来新銀行東京が破綻したときには(新たなビジネスプランの提示がない以上、そう遠くない将来破綻すると思いますが)自らも責任を負う、ということを自覚しているのでしょうか。

少なくとも私は覚えていようと思います。

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『愚直に積め!』

2008-03-25 | 乱読日記

著者は、主にアーリーステージの会社への投資と育成を「ハンズオン」というスタイルで行っている現役のベンチャーキャピタルリストです。

「ハンズオン」とは本書によると「投資先企業に対して積極的な経営関与を行う」スタイルを言います。
(このへんの世界には明るくないのですが、逆に言えばお金をドンと(またはちょびっと)突っ込んで「果報は寝て待て」というスタイルのベンチャーキャピタルも結構いるということなんでしょうか。)

話を元に戻すと、著者は自らの経験から、(本書はタイトルにもあるように)企業の継続的な成長には「愚直な積み重ね」が大事である、ということを様々な形で説いています。

いわゆるよくあるビジネス本が「成功の秘訣」を説くのに対し、著者はこういいます。

成功を望む起業家は、勝因と言う青い鳥を探しがちです。しかし勝因は結果から逆算した寓話であり、実際にはほとんど役に立ちません。成功のために本当に重要なことは、成長に至るまでの歩み方です。

本書の特徴は、「愚直な積み重ね」がいかに大事かを説くのでなく、それが如何に難しいか、を著者の実体験から語っているところにあります。
たとえば「仮説と検証が重要」と言うのでなく、仮説を立てる際にどのようなバイアスがかかるか、仮説をそのまま実行しないことがいかに多いか、結果を冷静に検証することがなぜ難しいか、そして検証の結果を次の仮説に生かせないのはなぜか、について様々な切り口で説明してくれます。

本書は99の節に分かれています。
それぞれに起業や企業経営だけでなく人生にも役立つような教訓が数多く含まれているので、その中から、自分の心に響く言葉をいくつか見つけることができれるのではないかと思います。

僕が一番印象に残ったのは

わかったのであれば、変わっていなければいけない

という言葉です。
行動を変えさせる側、リーダーシップ論から言えば、行動が変わらなければ「わかった」ことにはならない、という言い方になりますしし、現に節のタイトルはこっちでしたが、僕は逆に本文の中にあるこの言葉に、自分自身への戒めとして心に響くものがありました。



余談ですが題字・装丁が長友啓典、イラスト(下の写真の表紙の右側にバンザイしている人の絵)が黒田征太郎、というコンビも僕の世代的にはうれしいです。

 

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『iPodをつくった男』

2008-03-24 | 乱読日記
本書はタイトルのような「iPod開発物語」でもなく、また副題の「スティーブ・ジョブズの現場介入型ビジネス」のようなアップル社の経営をモデル化した本ではなく、アップル社とスティーブン・ジョブズのこれまでの仕事を概観する内容になっています。

その意味では、私のようなWeb0.2の人間にも非常にとっつきやすい本です。

消費者が欲しいものでなく自分たちが欲しいもの(消費者を先導するもの)を作る、「世界で最初のもの」でなく「世界で最も優れたもの」を作る、そのための機能やデザインへのディテールに至るまでの徹底した作りこみと、その企業文化を作ったスティーブン・ジョブズの姿を新書と言う少ない紙数で浮き彫りにしています。

ジョブズ自身、そのエキセントリックさから一度は自ら創業したアップル社を更迭されます。
その後ジョブズはネクスト社での挫折、ピクサー社での成功を経て「ある程度大人になって」アップル社のCEOとして復帰し、業績不振だったアップル社を復活させます。

このあたりは企業風土とリーダーシップの相乗効果の見事な見本です。
ただ、創業者以外はなかなか真似できない所であるのも事実です。
(現場に介入してディテールに口を出す社長や役員が(リップサービスでなく)有効に機能している例はほとんど聞きませんよね)

しかし「全く他人事」としてしまうにはあまりにもったいないほどユニークなエピソードが豊富なので、何かひとつでもヒントを得られれば十分元が取れる本だと思います。


おまけとして、スティーブン・ジョブズがスタンフォード大学の卒業式で行った有名なスピーチを日本語訳つきでYoutubeでupしてくれた人がいたのでリンクしておきます(下のが(1)で、(2)が後半です)。

ジョブズは新製品発表などのプレゼンテーションの名人なだけでなく、事前に完璧なまでの準備を(それも自ら)することでも有名だそうです。
このスピーチも、背後にそういう努力があると考えると感動もひとしおだと思います。







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『エディット・ピアフ-愛の讃歌-』

2008-03-23 | キネマ
僕にとっては「愛の讃歌」といえばテレビの懐かしの歌声特集のような番組で越路吹雪が歌っているものというイメージがあり、シャンソニエといえば企業のエライさんの行きつけの店に連れて行かれて「趣味のよさ」にお愛想を言ったりしたような思い出しかないのですが、この映画は予告編を見て気になっていました。

題名の通りエディット・ピアフの生涯を映画にしたものですが、「映画の総合力」を感じさせるいい作品でした。


俳優陣の好演、ピアフのデビュー前から晩年までをカバーしたメイク、戦前から50年代までを再現した美術、昔の音源(歌はピアフ自身の音源からとったものだそうです)をうまく映画にフィットさせた音響など完成度が非常に高いです。

中でも主演の主役のマリオン・コティヤール(『Taxi』シリーズの女優だったんですね)の熱演は特筆です。
歌も「口パク」を思わせない歌いっぷりですし、本人の歌い方や身ぶりまで相当研究したと思われます。

下にYoutubeのピアフ本人の映像がありますが、映画を見た後にこれを見て、舞台に登場したときのちょっと猫背でひょこひょこ歩く姿がこれほど本人に忠実だったかと鳥肌が立つ思いでした。






劇場で観たかったな、と思える作品です。



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赤坂サカス

2008-03-22 | よしなしごと
休日ということで漫然とテレビをつけていたら、しきりと「赤坂サカス」という新しくオープンした商業施設をとりあげていました。

TBSが本社の隣でやっているものなので、そのチャンネルがTBSだったのでしきりと取り上げていたようです(そのせいか他局ではほとんどやってませんね)。

自社の商売のことを集中してPRするのは放送法だか電波法の求める公共性に反しないのでしょうか。
まあ、そういってしまえば、日曜の午後などは次週の放送の予告編のような番組ばかりですが・・・

楽天の提携の要求に対しては頑なに拒否しているTBSですが、要するに「電波の私物化は自分のものだ」ということなんでしょうか。


ところで「サカス」(SACAS)の由来は赤坂の「坂」や「咲かす」をかけたということですが

 AKASAKA


  SACAS

もそれぞれ回文になっています。


このへん、依然として

 しんぶんし

への対抗心があったりして・・・




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運慶

2008-03-21 | 乱読日記

運慶仏像、三越が落札 NY
(2008年3月20日(木)04:33 産経新聞)

運慶といえば「護国寺の三門で仁王を彫っている」という話が夏目漱石だか芥川龍之介だかにあったなあ(多分中学か高校の頃に教科書だか課題図書で読んだのでうろ覚え)と思い調べてみると、一つは夏目漱石の『夢十夜』のなかにありました。

第六夜  

運慶が護国寺の山門で仁王を刻んでいると云う評判だから、散歩ながら行って見ると、自分より先にもう大勢集まって、しきりに下馬評をやっていた。
 (中略)
「なに、あれは眉や鼻を鑿で作るんじゃない。あの通りの眉や鼻が木の中に埋(うま)っているのを、鑿と槌の力で掘り出すまでだ。まるで土の中から石を掘り出すようなものだからけっして間違うはずはない」と云った。
 自分はこの時始めて彫刻とはそんなものかと思い出した。はたしてそうなら誰にでもできる事だと思い出した。それで急に自分も仁王が彫ってみたくなったから見物をやめてさっそく家へ帰った。
 (中略) 
 自分は一番大きいのを選んで、勢いよく彫り始めて見たが、不幸にして、仁王は見当らなかった。その次のにも運悪く掘り当てる事ができなかった。三番目のにも仁王はいなかった。自分は積んである薪を片っ端から彫って見たが、どれもこれも仁王を蔵しているのはなかった。ついに明治の木にはとうてい仁王は埋っていないものだと悟った。それで運慶が今日まで生きている理由もほぼ解った。
(全文は青空文庫参照)

実は芥川龍之介に『寒山拾得』という作品があり、そこでも護国寺の運慶が登場します。

久しぶりに漱石先生の所へ行つたら、先生は書斎のまん中に坐つて、腕組みをしながら、何か考へてゐた。「先生、どうしました」と云ふと「今、護国寺の三門で、運慶が仁王を刻んでゐるのを見て来た所だよ」と云ふ返事があつた。この忙しい世の中に、運慶なんぞどうでも好いと思つたから、浮かない先生をつかまへて、トルストイとか、ドストエフスキイとか云ふ名前のはいる、六づかしい議論を少しやつた。それから先生の所を出て、元の江戸川の終点から、電車に乗つた。
(これも全文は青空文庫参照)

で、運慶が何で寒山拾得になるかというと、森鴎外にも同名の『寒山拾得』という作品があります。
芥川は文書の最後に

自分は吊革につかまつた儘、元の通り書物を懐に入れて、へ帰つたら早速、漱石先生へ、今日飯田橋で寒山拾得に遇つたと云ふ手紙を書かうと思つた。さう思つたら、彼等が現代の東京を歩いてゐるのも、略々無理がないやうな心もちがした。

と書いています。
なぜあえて師匠の夏目漱石に森鴎外の話をするんだろう、と鴎外の『寒山拾得』を読むと

この無頓著な人と、道を求める人との中間に、道と云ふものゝ存在を客觀的に認めてゐて、それに對して全く無頓著だと云ふわけでもなく、さればと云つて自ら進んで道を求めるでもなく、自分をば道に疎遠な人だと諦念め、別に道に親密な人がゐるやうに思つて、それを尊敬する人がある。
(中略)
こゝに言ふ中間人物なら、自分のわからぬもの、會得することの出來ぬものを尊敬することになる。そこに盲目の尊敬が生ずる。盲目の尊敬では、偶それをさし向ける對象が正鵠を得てゐても、なんにもならぬのである。
(これも全文は青空文庫参照)

というくだりがあります(短いので全文をお読みいただけるとニュアンスはわかりやすいです)。

芥川は、切り口の方向は違うものの両者には共通するところがあると言いたかったのではないでしょうか。

いずれも三者三様の「らしさ」を感じさせる作品です。



今日は以上です。


「仁王は埋まっていない」だの「盲目の尊敬」だのからJ-SOXに話をつなげたりはしません(・・・ってつなげてるし(苦笑))

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根岸の里の侘びずまい

2008-03-20 | ネタ

最近○○を自動生成するシステムが流行のようで、勝手にブログ評論なるものを遅ればせながら試してみました。
ブログのurlを入れると、おそらくいくつかの評論風のお決まりのフレーズにに使用頻度の高い(または最近使った)単語を組み入れて文章にしてくれます。

5文字言葉+「根岸の里の侘びずまい」や5・7・5+「それにつけても金のほしさよ」
をつけると俳句や狂歌ができるというのと同じ発想ですね。

「総合得点」がつくというのも微妙なくすぐりになっています。



比較的面白かったものをいくつか

そもそも平凡なることは、決して恥じるべき事ではない。内部統制報告制度もまた同じである。
(総合得点:97点)

まあ、とりあえずは横並びで様子見、ということでいきましょうや。

偉大なるルーブルのキュレーターであっても、弁護士法72条を値踏みするのは難しい。
(総合得点:71点)

弁護士法違反も、微妙な事案を横並びで展示してみると論点がわかりやすくなるかもしれません。

タクシー券の魅力は言外のものである。
(総合得点:56点)

だからといって道路特定財源を使うのはさすがに・・・

セーヌ川のほとりに、うち捨てられた裁判員制度がちらほら見える。見るに堪えない。
(総合得点:38点)

確かに日本の裁判員制度はフランスの制度に似ているようです。(参照


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日銀総裁の「空席」

2008-03-19 | まつりごと
この不安定な国際金融市場の動向の中で中央銀行総裁が不在でもどうにかなってしまう(円売りの原因にならない)ということ自体のほうが問題なのかもしれませんが。

日銀総裁、空席確実に…田波氏就任に民主が不同意方針決定
(2008年3月18日(火)21:09 読売新聞)

自民党も民主党も、日銀総裁の任期切れの日も参院が与野党逆転していて国会法上拒否権があるることもわかっていたのですから、自民党としてはもう少し前倒しで与野党協議をしておくとかあまりにゴネると民主党も得をしない、というように追い込むようなやり方もあったのではないか、また一方、民主党も反対するなら対立候補を立てるくらいの気概が欲しかったと思います。


結局「二大政党制」にはまだお互いに慣れていない、ということなのかもしれません。

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「もらえるものはもらっておこう」二題

2008-03-18 | よしなしごと

まずは、納税者の皆様、ごめんなさい。

道路財源から国交職員のタクシー代 5年で23億円以上
(2008年3月17日(月)11:14 朝日新聞)

実は私も、旧運輸省の方から宴席の帰りにタクシー券のご相伴にあずかったことがあります。
(言い訳がましいですが公務員倫理規定などが出るよりもっと前ですし、私が接待したわけではありません、って何の自慢にもならんが)
そのときのタクシー券は、役所の名義ではなく外郭団体のもので、当然のように職員が使っていたので、そのこと自体は「あれまぁ」と思ったのですが、道路特定財源にまで思いは至りませんでした。
それよりタクシー券が個人タクシーとか大手4社でなく中堅どころの東都自動車のチケットだったので、やはり所管官庁としてはいろいろ配慮をしてるのかな、とか逆にタクシー会社が便宜を図ってるとしたらまずいんじゃないか、などと思ったことが記憶に残っています。


ことほど左様に「もらえるものはもらっておこう」という気持ちは私も多かれ(少なかれ)持っているのですが、下の記事のようにブローカーに金を払って(しかも福祉関係の予算を)というのはあきらかな詐欺ですね。


聴力偽り?障害手帳、北海道300人返還 同じ医師診断
(2008年3月17日(月)10:39 朝日新聞)

耳が聞こえるにもかかわらず、最も重度な「聴覚障害2級」の障害者手帳を受けていたとして、手帳の返還命令を受けたり自主返還したりする人が北海道で相次いでいる。いずれも札幌市で開業する同じ耳鼻科医(73)の診断で認定され、返還者は14日現在で約300人に及ぶ。この医師の診断で手帳を得た人は判明しただけでも他に約400人いるという。

取得者らは、複数のブローカーらから医師を紹介され、仲介の謝礼を払ったと話しており、不正取得が組織的に行われていた疑いが持たれている。   

この問題をめぐっては、04年12月、医師を名指しして「不適切な診断書を作成している」とする告発が道に入り、道と札幌市などはそれ以降の申請の大半について交付を留保していたという。  
道と市などは、この医師の診断で手帳を得たことが確認できた人を今年2月ごろから呼び出し、職員や専門医の呼びかけに反応するかどうか調査を開始。その結果、面談した人の約9割に当たる約200人(3月14日現在)について「明らかに聞こえている」としてその場で手帳を返還させたという。

さらに道庁、7年前の告発放置 聴覚障害偽装(2008年3月18日(火)03:01 朝日新聞)なども。
 
道庁が動き出したのは、例のタクシー代の不正受給が発覚した頃からだと思うのですが、04年からわかっていたら、とっととやれよ、という感はあります。
返還だけでなく、受給者もきちんと詐欺で刑事告発くらいしていかないとこの手の話はなくならないようにも思います。

一方で医師の診断なく「その場で返還させる」というのは、これはこれで手続上いいんでしょうか。
逆に「予算削減に熱心な公務員」が乱用しなければいいですが。

コメント
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