一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

FCレジの時間差攻撃

2011-02-10 | M&A

成り行き上フォローしているFCレジデンシャル投資法人ですが、動きがあったようです。
それもちょっと怪しげ・・・
(過去のエントリーはこちらこちら参照)

まずは投資法人のリリース
投資主総会の招集請求書受領後の一連の経緯と今後の方針について(2011年2月8日)

12月の解散請求から今まで何をしていたかというと  

本投資法人は、解散を目的事項とする投資主総会の招集を決定するに当たり、本請求書に記載されている投資主総会の招集の請求理由である本投資法人の解散および本投資法人の保有する全資産の売却手続が安定的に行われるかどうかの検証作業を行ってまいりました。具体的には、本請求書記載の資産購入希望者(以下「本希望者」といいます。)が行うデュー・ディリジェンスに協力し、その結果、本希望者より平成23 年1 月 21 日付で一定の条件の下で本投資法人の保有する全資産の購入を希望する旨の申し出を受けましたので、当該申し出で提示された条件および売買価格の妥当性につき、法令及び資産運用委託契約に基づいてどのように取り扱うべきかを検討したうえ、資産運用会社に対し検討を依頼し、その検討結果を待っている状況でございました。

つまり、解散請求したSJも、既に買い手候補を見つけてきていて(まあ、そうでなければ解散しても叩き売りになってしまいますから)そこに価格提示をさせていた、ということですね。
その価格が資産評価額より安ければ解散して売るのは得策でない、という理屈でしょう。

 一方で かかる状況下、本投資法人はともに平成23 年2 月7 日付にて解散を目的とした議案に反対する意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を下記投資主(以下「反対投資主」と総称します。)より下記内容を骨子として受領いたしました。

(1) Ichigo Asset Management International, Pte. Ltd.の意向表明書
・ 投資口保有比率:Ichigo Asset Management International, Pte. Ltd は、本投資法人の発行済投資口総数の約33.24%を保有している(平成23 年2 月8 日付で33.24%を保有している旨の大量保有報告書が同社より提出されております。)。
・ 表明された意向の概要:本投資法人の解散を目的とする議案には不同意とすることを決定し、解散を目的とした投資主総会の開催を決定しないように依頼する。
・ 反対の理由:投資主の皆様のための価値向上の最良の方策は、今後も継続法人として投資主価値の最大化を図ることである。

いちごはもともとスポンサーのファンクリと提携関係にあるのですから、裏切らずにサポートすることにしたのでしょう。
投資口も従来29.41%だったものを3.8%買い増しています。

(2) JPE Capital Management LTd.の意向表明書
・ 投資口保有比率:JPE Capital Management LTd.は、本投資法人の投資口保有比率について言及していない。(ただし、平成22 年10 月31 日の最終の投資主名簿において同社は実質的に本投資法人の発行済投資口総数の8.08%を保有している。)
・ 表明された意向の概要:本投資法人の解散を議案とする投資主総会が開催された場合、かかる議案の採決につき否決することを決定した。よって投資法人の執行役員においては、かかる議案を目的とした投資主総会の開催を決定しないように依頼する。
・ 反対の理由:特に記載なし。  

こちらはファンクリが説得したのでしょうか。  
その結果

・・・エスジェイ・セキュリティーズ・エルエルシーによる解散を目的事項とする投資主総会の招集請求に対して、発行済投資口の保有割合で合計3 分の1 を超えると思われる投資主より解散に反対する旨の意向表明を受領しており、よって解散を目的とする決議が成立しない蓋然性が高い状況になりました。
また、反対投資主により本投資法人に対し投資主総会の招集を決定しないよう要請があり、本投資法人が投資主総会の開催を決定することは投資主総会の開催費用の費用負担を生じさせ、かえって投資主の皆さまの利益を害する結果になるのではと懸念しております。
したがいまして、本投資法人としましては反対投資主の本投資法人の投資口の保有比率等を早急に確認の上、また、本希望者により提示された条件および売買価格の妥当性に関する資産運用会社の検討結果を受け、速やかに結論を出す所存でおります。  

要するに、解散決議の否決に必要な1/3は確保したので総会を開いても無駄になるので解散の総会招集請求には応じないぞ、と匂わせています。  

ファンクリが時間稼ぎしながらがんばった、というように読めます。


ところでいちごの大量保有報告書(発行者コードE14150で検索してみてください)を見てみると、2月2日に3.82%を市場外で@300,000円で取得した、としています。
2月2日の終値が@245,600円ですから34%ものプレミアムがついています。

では誰から買ったのかですが、そもそも3.82%以上持っている投資主はいちごとSJを入れても5人しかいません。うち4人は5%超持っているので、他の4人が売った場合は大量保有報告の提出義務があります。
2月2日の取引だと大量保有報告書の提出期限は2月9日なので翌日チェックしたところ、JPEが3.82%売却していたという報告書が提出されました。  

要するにJPEに対して「寸止めプレミアム」を払って投資口を取得した、という構図ですね。

でも、

① いちごの大量保有報告
② FCレジのリリース
③ JPEの大量保有報告

というリリースの順番は、示し合わせた感じがします。

特に

JPE Capital Management LTd.は、本投資法人の投資口保有比率について言及していない。(ただし、平成22 年10 月31 日の最終の投資主名簿において同社は実質的に本投資法人の発行済投資口総数の8.08%を保有している。)

という部分はカマトト風です。  

JPEの大量保有報告を遅らせたのは(もしそこに意図があるとすれば)なぜかと考えてみると、 「いちごがJPEから高値で投資口を1/3ギリギリまで買いました。JPEも解散には反対です」というと、JPEといちごの親密さが目立ってしまい、「議決権を共同で行使する合意が成立しており、TOB規制違反ではないか」という疑いを避けたのではないかと思われます。
でも、@300,000円という価格は「高く買うからついでに反対してよ」というやり取りを想像させますね。

また、そもそもいちごは投資ファンドなのでFCレジが解散しようが高値で売り抜けられれば問題ないはずです。
にもかかわらず今回SJの解散請求を時価より34%高の@300,000円で買い増してまで阻止しようとしたのは、いちごがSJの連れてきた「資産購入希望者」の購入希望価格が低いと知っていたからではないか、という疑念が生じます。

そうすると、3.82%の取引はインサイダー取引にならないのでしょうか?

バスケット条項に該当するかどうかというところなのでいろんな見方があると思いますが、解散請求時における投売り価格の提案というのは重要事実になるようにも思えます。
特に今回の手続きで解散請求まで進めた場合、デューデリをしている「資産購入希望者」は実質的にはアドバンテージがあるわけなので。


そんなこんなでFCレジの反撃は時間差攻撃にで始まったようですが、タッチネットやトラベリングにならないのか生温かく見守ろうと思います。

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いちごはどうする

2010-12-01 | M&A

前回のエントリに関連して。

FCレジデンシャル投資法人の投資主は、今回解散請求をしてきたエス・ジェイ・キャピタルが23%を保有しているのですが、筆頭投資主は29%を持っているいちごアセットです。
いちごアセットはFCレジデンシャル投資法人や運用会社ファンドクリエーション不動産投信と提携をしたうえで投資法人の第三者割当増資を受けて45%を握ろうとしたところ(参照)、エス・ジェイ・キャピタルの増資差し止め仮処分にあって断念したまま現在に至っています。  

そのいちごアセットですが、別のリートで動きが。 

いちごグループホールディングス株式会社:ジャパン・オフィス・アドバイザーズ株式会社の全株式取得(子会社化)に関するお知らせ  

ジャパン・オフィス投資法人の運用会社であるジャパン・オフィスアドバイザーズ株式会社の全株式をいちごトラスト(ケイマン籍のSPCでいちごアセットマネジメント・インターナショナル・PTE.Ltd=シンガポール籍の投資運用会社に投資一任)から取得したという取引、つまりいちごトラストの投資家が保有している運用会社の株式を買ったということのようです。 

ちなみに、いちごアセットはこちらのリートの投資口の30%(+いちごアセットマネジメント・インターナショナルが10%)を保有しています。  

当社グループは、日本における長期投資に特化した資産運用グループであるいちごグループの中核企業として、不動産を中心とした資産運用分野におけるエクセレンスを目指しております。本件 M&A の実施により、今後REIT 事業に参入し、私募ファンド、REIT、PM(プロパティマネジメント)、 BM(ビルマネジメント)、その他不動産サービス機能をグループ内に有する不動産運用グループとして、確固たるブランド構築を目指してまいります。  

というのが本気なら、FCレジデンシャル投資法人の運用会社についても触手を伸ばしてオフィス系と住宅系の2つを持つ気なのかもしれません。 

当初のFCレジリートとの提携では、親会社のファンド・クリエーション・グループには第三者割当で5%を保有させたものの運用会社は渡さずというファンクリに有利なディールだったのですが、今回の解散請求に対し「運用会社の株(の全部か過半)を渡すなら反対してやる」というようなことを言ってくるとか。 
ただそうなるとリート運用会社からの収益が大半であろうファンド・クリエーション・グループ本体が持たなくなってしまうので、ファンクリ側としてはウンと言いにくいかもしれません。 
となると親会社の時価総額も15億なので、TOBでもかけて親会社ごとまとめて買ってしまって、「投資法人も立て直すからエス・ジェイ・キャピタルさん焦らず待っててね」、という展開もあるかもしれません。  

まあ、このへんは僕の妄想なので、いちごアセットが何を狙っているか次第なんですが。

逆に「ジャパンオフィスがあればFCはいらない」といって解散に賛成してしまう可能性も十分あると思います。  



ちなみに上のリリースで 

本件は、第1号案件であるタカラビルメン株式会社に続く、第2号案件となります。

とありますが、これは今年3月、いちごアセットの社名がアセットマネジャーズの頃のディールです。
タカラビルメンは、昭和56年創業の龍ヶ崎に本社がある会社(参照)で、平成18年にワイズテーブルコーポレーションの子会社になったものを買ったのですが、ワイズテーブルコーポレーション自体XEXやサルバトーレ・クオモをやってる飲食業なので(参照)、そもそもワイズが何でこの会社を買って、それをいちごに転売したかは本件とは別に興味があります。
(なので「不動産事業への戦略的な投資」も眉唾かもしれませんし。)

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賛成の反対の賛成なのだ

2010-11-26 | M&A

目を離していたらこんなことになってました。

投資主による投資主総会の招集の請求に関するお知らせ
(2010年11月24日 FCレジデンシャル投資法人)

1. 請求の内容
(1)請求者  
 エスジェイ・セキュリティーズ・エルエルシー

(2)総会の目的たる事項
  本投資法人の解散の件

(3)当該請求の理由
  本投資法人を解散し、本投資法人の全資産を売却する手続を通じて、本投資法人の投資主に対して、早期に投下資本回収の機会を与えることは、全投資主との関係においても唯一最善の策であることを理由とするものです。

前回のエントリのあとフォローしていなかったので、その後の経緯はyurakuさんのエントリをご参照ください。

今後ですが、請求に対して会社が投資主総会を招集しない場合は、内閣総理大臣の許可を得て招集することになります(投信法91条3項)。

そして投資主総会の決議方法ですが、投信法では解散決議は過半数の投資主が出席した投資主総会で出席投資主の2/3以上(規約で上積み可)の多数が必要になります(93条の2、2項3号)。

一方で、投資法人では「みなし賛成」という制度があって、投資主総会に出席しなかった投資主も総会に出席して賛成したとみなすと規約で規定することが出来るとされていて(93条)、FCレジデンシャルの投資法人規約にもその規定はあります。

解散を請求したSJは投資口の23.24%を持っていて、スポンサーであるファンドクリエーションと提携しているいちごアセットは29.42%を持っているのですが、いちごが反対したとしても一般投資主がみなし賛成に回ると解散決議が可決される可能性もあります。

ところで上の投信法93条では「(複数の議案が提出された場合において、これらのうちに相反する趣旨の議案があるときは、当該議案のいずれをも除く。) 」という除外規定があります。
これはたとえば役員候補者が定数を超えてしまった場合とか、規約の改正案が複数出たときなどにはみなし賛成が機能しなくなるために置かれた規定だと思います。

今回、スポンサーのファンクリも(繰り返しますがいちごアセットが味方に付いた前提で)解散決議の否決を確実にするためには「相反する趣旨の議案」を出せばみなし賛成をなくすことが出来ます。

ただ、解散決議に相反する趣旨の議案となると「解散しない決議」ということになりますが、それは単に「解散議案に反対」なだけなので個別の議案として成立しないのではないでしょうか。

投信法では   

投資主総会は、この法律に規定する事項及び規約で定めた事項に限り、決議をすることができる。
(89条)

と定められていて、「解散しない」という事項は決議事項としては定められていません(まあそれが普通でしょう)。

となると、今回「相反する趣旨の議案」を出すことは難しいのではないだろうか、というのが素朴な疑問です。


「賛成の反対の賛成なのだ」はバカボンのパパの口癖ですが、運用会社・スポンサーの対応、いちごやその他の投資主がどう動くかに注目です。
そして、解散になった場合、物件売却をどうやって進めてどれくらいで売れるのか、バルクセールの価格と鑑定評価の関係という意味ではかんぽの宿問題にも共通する論点もあったりするので、そちらも話題になりそうです。


最終的に「これでいいのだ」という落着になるのかどうかまで目が離せません。

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これからは「レナウン小姐」?

2010-05-24 | M&A

タイトルで年がバレますね(汗)  

TBをいただいて自分が過去にエントリを書いていたことを思い出したのですが、こんなことになってました。

レナウン、中国企業の傘下に 数十億円出資受ける方針
(2010年5月23日3時18分 朝日新聞)

経営再建中の大手アパレルメーカーのレナウンに対し、中国の繊維大手、山東如意集団(山東省)が出資を検討していることが22日、わかった。出資金額は数十億円とみられ、株式の3分の1超を取得して筆頭株主になり、グループ傘下に入れる方針だ。  

関係者によると、レナウンが山東如意を引受先として数十億円の第三者割当増資をする予定で、近く発表する。山東如意は現在、レナウン株の約25%を持つネオラインホールディングスを抜いて筆頭株主になる見通し。経営の重要事項の拒否権を持てる3分の1超の株式を握り、事実上傘下に入れるとみられる。 

過去のエントリはこちら
レナウン、その後(2009.5.9)
レナウン(2009.4.17)
一昨年からネオライン・ホールディングスに株を買われていて、経営権をめぐる争いがあったようですが(最近話題の木村剛氏なども登場していたようです)、ネオラインも(おそらく)金詰まりでこれ以上買い進めず、という状況はその後も続いていたようで、 今年の株主総会でも会社提案に反対するぞ、などと言っていたようです。

この一手はネオラインにとってはけっこうきつくて、中国側に自分の株を買い取らせせようとしてもTOB規制にかかってしまうので、出口がなくなってしまいます。

こうなったらネオラインとしては新株発行差止請求といくのでしょうか。


PS
昨日ネーミングの話を書きましたが、手元不如意のネオラインの上を行ったのが山東如意集団というのも皮肉。

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ネーミングの難しさ

2010-05-23 | M&A

インサイダー情報にかかわるような業務上の案件、特に相手先の会社名自体が明らかになるとまずいような場合は、案件名をコードネーム(暗号)で呼びます。  
このコードネームは、取引完了または没になるまでずっと使い続けるので、ネーミングのセンスが問われます。  

よくあるのが相手先の会社名や商品名をもじったりするものですが、あまりにばればれで暗号になっていないようでは困ります。 

たとえばトヨタ自動車との取引に「レクサス」とかまんま商品名をつけたり、「高木株式会社」を「ハイツリー」と単に感じに英語を当てはめただけ、というのではだめです。  

また、文字を置き換えてアナグラムにするというのもあります。 これはうまくはまるとかっこいいですけど、「YAMAHA」を「HAYAMA」にしたくらいではまるで「ギロッポン」でこれも暗号になってません。  

いちいち考えるのが面倒くさいのでシリーズものにしているという会社もあります。 
たとえば宝石で「ダイヤモンド」「ルビー」「パール」・・・とか。 
これは投資ビークルのネーミングではよくあります。  


コードネームや投資ビークルの名前はなんだかんだいっても使い続けていると慣れてくるので、だんだん違和感はなくなってくるのですが、忘れた頃になってネーミングが妙なネタになってしまうということもあるので注意が必要です。 
「湖」シリーズにしたときに「猪苗代」とか「浜名」ならいいんですけど「阿寒」がデフォルトしたらアカンだろう、とか。 実際使うのはカタカナ名前なものですから。
(ちなみに湖シリーズというのは昔提案したことがあったのですが、どさくさにまぎれてラムサール条約に指定されている由緒あるここを使おうと言い出すに違いないと勘ぐられ、没になったことがあります←悪ふざけという点では信用がないw) 

たとえば、いろいろ話題のFCレジデンシャル投資法人の3/25日付 資産の取得に関するお知らせに、物件の取得先として「ポイヤック・プロパティー合同会社」「オーブリヨン・プロパティー合同会社」というのが出てきます。 
それぞれ親会社のファンクリがアセットマネジャーをやっている利害関係人取引なのですが、5大シャトーの名前を付けるあたり、ファンクリが物件を仕込んだ頃はずいぶん鼻息が荒かったことが彷彿とされます(でも、6件目以降はどうするつもりだったんだろう)。 

まあ、こんな感じで、調子に乗ってとか言われかねないわけです。 
  
もうひとつ、上場審査時から粉飾決算をして上場廃止から一気に破産になってしまったFOI(参照)という会社があります。 
これなんかIPOのプロジェクト名に上のフレンチつながりで"foie gras"などと付ければ社名もこっそりはいっているし粉飾さえなければちょっと気の利いたネーミングだったと思うのですが、粉飾が明らかになった挙句の果てに肝硬変でご臨終になってしまうと、最初からグルだったろと言われても仕方のない状況になりかねません。  

ホント、小さいことなんだけど結構大事だったりします。

コメント (2)
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イチゴ狩り、または栗拾い続報

2010-05-13 | M&A
とりあえず本体の方にはお金は入ったようです。

第三者割当による新株式発行の払込完了に関するお知らせ

こっちは5%強だし、発行価額も55円と時価(昨日の終値56円)なので誰も文句は言わないようですね。

いちごとしてはFCレジリートは買いそこねたわけですが、こっちだけお金を入れてどうするつもりなんでしょうか。
まあ、ここで払い込みをせずに、ファンクリが資金繰りに窮したりしたら自分の評判が落ちることを考えたら、1億円くらいけちってる場合ではないという判断なのかもしれません。

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いちごのつまみ食い禁止

2010-05-12 | M&A

あらあら

細かいつっこみですが、1.のあとに3.が来ているあたり、混乱が伝わってきます。

仮処分決定の認可決定に関するお知らせ
(2010年5月12日 FCレジデンシャル投資法人)

本投資法人が平成22年5月11日付にて発表した、新投資口発行行為差止仮処分命令申立事件についてなされた仮処分決定につきまして、同日、東京地方裁判所に本件にかかる保全異議申立てをおこないましたが、同日、東京地方裁判所から仮処分決定の認可決定を下記の通り受けましたので、お知らせ致します。
                 記
1.本決定の概要
(1)決定日  平成22年5月11日
(2)決定の内容
平成22年4月6日に開催した役員会の承認に基づく新投資口発行について、その払込金額が投信法82条6項の公正な金額とは認められず、その発行がなされると本投資法人には回復ができない損害が生じるおそれがあるためその発行を仮に差し止めるという、東京地方裁判所が平成22年5月10日にした仮処分決定を認可する。
3.今後の対応本投資法人としましては、平成22年4月6日の役員会で決議いたしました新投資口発行は、上記認可決定を受け中止いたします。

いちごアセットの資本参加を決めたFCレジデンシャル投資法人ですが、蚊帳の外に置かれていた現筆頭投資主から、新投資口発行無効の仮処分が出されていたものです。

いちごアセットの資本参加の公表が4月6日で、その前に 3月31日に3物件を36億円で新規取得 して、同時に「取得資金および関連費用に当てるため」38億円の借り入れをしていますが、借入金比率は低かったとはいえ、昨年10月の時点で鑑定評価が取得価格を10%下回っている(2009年10月期有価証券報告書参照)投資法人に取得物件価格以上の融資をしたのは、当然いちごアセットの資金を前提にしたものだと思うので、投資口発行が無効になった場合、ローン契約条項に抵触する恐れがあるかもしれません。
適時開示はなかったので、いきなりデフォルトにはならないようですけど。

いちごは、同時に母体の株式会社ファンドクリエーショングループにも同時に5%出資していてこちらの発行期日も5月12日なのですが(参照)、こっちは(12日朝の時点で)適時開示がないということは実行しちゃうんでしょうか。

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日本コマーシャル投資法人の合併比率がひどすぎる件

2010-04-24 | M&A

相手のユナイテッド・アーバンは自分の投資主のために値切り倒すのが仕事でしょうが、ずっと交渉した挙句にこれって、日コマの運用会社は何をしてたんでしょうか。 

挙句の果てに日コマのときのように「運用会社の雇用維持が目的」とかってしれっと言うとしたら投資主は本気で怒るでしょう。   


今回の合併についての論点はyurakuさんのブログをごらんいただければと思いますが  

日コマの投資口価格が一番安かった時期を基準日に選ぶとは、あまりにも恣意的で投資主をなめてます。 
それに配当(分配金)をベースにした評価額とか...そんなの(スポンサーがいないため)ファイナンスコストが高い日コマがやたら不利になるの超当たり前。なんとしてでも0.167を正当化できるような数字を恣意的に算定したといううんこくささがきついです。

については禿同。  


日コマも物議をかもすのは覚悟でやったので、合併に必要な投資口の2/3の賛成がとか、反対投資主の買取請求対策については十分検討済みだと思いますが、けっこうもめる(世の中そんなに甘くないのでは)と思います。


まずは合併の効力発生要件の「投資口の2/3の賛成」のハードルを越えられるか。
2009.8月期の有価証券報告書をみると、上位10社で46%という株主構成ですが、支配株主といえるとような株主はいません。
また、個人株主比率がどれくらいかもわかりません。
日コマとしては、投信法(投資信託及び投資法人に関する法律)93条で投資主総会に欠席し・かつ議決権を行使しない投資主は賛成したものとみなす、という制度があるので、組織的な反対運動でも起きないかぎりは大丈夫と踏んでいるのでしょうか。

ところで、会社法と違い、投信法では1口であっても投資主の帳簿閲覧権が認められています。(*1)  
なので、投資主名簿を閲覧して合併への反対を働きかけることも可能かと思います。
そういう運動が話題になると、大口投資主である機関投資家(とか、もはや更正会社になったPMCも)おいそれと賛成しにくくなるのではないでしょうか。


また、合併が成立したとしても、投資主総会前に反対の意見を表明し、買い取り請求をする投資主も相当数出てくるんじゃないかと思います。 
この買取請求は、会社提示の買取価格に同意できない場合は裁判所で争うことができます。

上のyurakuさんのブログでも疑義が呈されているように、価格算定時期の妥当性とか、交渉を引っ張ったのは株価がジリ貧になっていくのを待ってたからじゃないかなど、つっこみどころは満載です。 
公表直前の4/13期限の社債償還のために不動産市場安定化ファンドから高利の金を借りたのも、(参照)企業価値を減らす工夫だったんじゃないか(逆に合併契約がもっと早期に公表されていれば一般金融機関からもう少し有利なつなぎ資金の調達ができたのでは?)とも思います。
ユナイテッド・アーバン側に粘られたとしても、社債償還ができたとしたら他の合併先を探すとか、資産を切り売りしていく、という選択肢も検討すべきだったかもしれません。  


このへんが裁判(非訟事件)で争われると、レックス・ホールディングスのMBOについての最高裁決定についで話題になりそうです。  


実は私も、(ニューシティレジデンス民事再生申し立ての時に買っておけば清算手続きなども見られるて面白かったのに、という教訓をもとに、)昨年の監査意見不表明--すわ倒産か、いやJ-Reitはつぶれないだろう、いやいやニューシティのこともあるしわからんぞ--という頃に1口買っているれっきとした投資主であります。 
経済的には損をしたというよりは儲けが減ったという程度の立場なのですが、考えれば考えるほど、反対意見表明・買い取り請求をしてみたいという気持ちがむくむくとわいてきていますw



(*1)  会社法では  

第四百三十三条  総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。
(中略) 
2  前項の請求があったときは、株式会社は、次のいずれかに該当すると認められる場合を除き、これを拒むことができない。 
一  当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。  
二  請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。  
三  請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。  
四  請求者が会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。  
五  請求者が、過去二年以内において、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

とあり、3%以上の株主でなければ帳簿閲覧権は認められていません。 
一方、投信法では  

第一二八条の二 投資主は、投資法人の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。  
 一  会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求  
 二  会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を内閣府令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求  
2  会社法第四百三十三条第二項 (第三号を除く。)の規定は前項の請求について、同条第三項 及び第四項 の規定は親法人の投資主について、それぞれ準用する。  

と、準用されているのは会社法433条2項(3号を除く)だけなので、保有投資口数のハードルはないようです。

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兄弟ゲンカ ドイツ版

2009-06-28 | M&A

こちらも一種の「兄弟ゲンカ」で、しかも同じく二転三転してます。

VWがポルシェ買収提案=グループ内で主導権狙う-独誌
(2009年6月28日(日)00:03 時事通信)  

独誌シュピーゲルは27日、欧州自動車最大手の独フォルクスワーゲン(VW)が、同社に約51%出資する独高級スポーツ車メーカーのポルシェに対し、買収提案を行ったと報じた。ポルシェは現在、巨額債務を抱え資金繰り難に陥っており、中東のカタールからの出資受け入れ交渉を進めている。  

同誌によると、VWは同社に20%出資する独ニーダーザクセン州とともに、ポルシェ株式の49%を30億~40億ユーロ(4000億~5300億円)で買収することを提案。次の段階として、ポルシェが保有するVW株式の購入権を中東のカタールが取得し、最終的にはVWとポルシェが合併する計画という。   

最終的な仕上がりとしてはカタールのお金はVWに入れて独ニーダーザクセン州とVWがポルシェを吸収する形にしたいということのようですが、現在ポルシェはVWの株式の51%を持っているので、子会社が親会社をどうやって買収するんだろう(そもそもドイツの法律だと子会社は親会社の株式を買えるのか?)などドイツの法律を全然知らないので、どういう順番でやれば上手くできるのかさっぱりわからなかったところ、もっとわかりやすい記事がありました(途中まで書いちゃって悔しいので残しておきます)。

独ポルシェと独VW、合併に向け協議することで合意
(2009年 05月 7日 10:35 JST ロイター) 

独高級車メーカーのポルシェと独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)(VOWG.DE: 株価, 企業情報, レポート)は6日、合併に向け協議することで合意したと発表した。  合併の協議に詳しい関係筋によると、ポルシェの既存株主は、設立される新会社への最大50億ユーロ(67億ドル)の増資を負担する。増資は2009年中または2010年に実施される見通し。増資を目的とした既存株主以外への株式売り出しは、現在検討されていないとしている。  

ポルシェ・オートモビル・ホールディングを率いるポルシェ一族と、VWの大株主であるピエヒ一族は、オーストリアのザルツブルグに集まり、ポルシェが抱える総額90億ユーロの負債とVWの株式取得の原資獲得について、1日かけて話し合った。その結果、合併に向け協議することで合意したという。  

最後の部分の原資にカタールの資金が関係してくるとすれば、時事通信の元ネタのシュピーゲル誌の記事とも整合性がつきそうです。  


でもこれだけでは「兄弟ゲンカ」ならぬ「親子ゲンカ」なのですが、もともとこの2社は親子会社だったのではないのですが、資本関係以外でもさまざまなつながりがあります。 

もともとVWとポルシェの関係は、遡れば「ビートル」をフェルディナンド・ポルシェ博士が設計したところから始まります。
その後ポルシェ氏はスポーツカーメーカーを創業します。 ポルシェ博士の没後、同属の争いを避けるためポルシェ家の一族はポルシェ社の経営陣にはならないというルールができ、それに従ってポルシェ博士の孫にあたるフェるディナンド・ピエヒ氏がポルシェ社からアウディに転職し、アウディの社長、そしてアウディの親会社であるVWの社長、2002年には会長に就任します。
一方VWは戦後しばらくは国営企業のままでいましたが、1960年に民営化する際に、筆頭株主のニーダーザクセン州以外の株主の議決権を20%に制限する法律が定められ、EU加盟によりその法律が改正されたものの依然としてニーダーザクセン州は拒否権を持つという今でも特殊な会社です。  
(このへんの詳細は07年の記事ですがWebCGポルシェとフォルクスワーゲン、経営統合でこれからどうなる!?を参照)  


ところで業績好調だったポルシェは、07年以降VW社の株を買い進め、今年の年初に50%超を取得します。
ポルシェがフォルクスワーゲンを子会社化
(2009年1月6日21時33分 朝日新聞)  

ドイツの高級スポーツ車メーカー、ポルシェは5日、同社が取得した自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の株式が50%を超え、子会社化したと発表した。  

DPA通信などによると、ポルシェのVW持ち株比率は42・6%から50・76%に引き上げられた。昨年10月末にポルシェがVW株を08年中に50%超、09年に75%超の取得を目指すと発表した後、VW株が急騰。ポルシェは08年中の過半数取得を見送っていた。  

ただ、ポルシェがVWを完全支配下に置くには課題もある。持ち株比率にかかわらず議決権を最大20%に制限する法律が改正されたものの、代わりに株式の約2割を持つニーダーザクセン州に拒否権が残されたためだ。欧州委員会やポルシェ側は引き続き、独政府に法改正を求めている。  

しかし、金融危機の影響でポルシェ社の業績は急速に悪化し、自らの資本増強が必要になってきてしまいました。
(投資銀行の従業員とか金融資産を持っている人が主要な顧客だったんでしょう。)

そして二週間前にはこんな記事まで出ていました。
ポルシェのオーナー一族、カタールによる出資を支持=独誌
(2009年6月15日(月)15:55 ロイター)  


VWとしては、このチャンスに親子関係を脱却し対等・または自分が主導権を握りたい、というところでしょうし、フェルディナンド・ピエヒ氏にとっては新会社にすることでポルシェ社の「同属禁止」ルールを超えて晴れて頂点に立つことができるということを意味するのかもしれません。  


M&Aもヨーロッパだと特別法に基づく拒否権とかが残っていたり、「一族」や「個人筆頭株主」という人々の発言権が大きかったりと、また米国流と違った趣がありますね。  

日本の会社法・M&Aの議論もアメリカ以外にも参考になりそうなものはいろいろあるのかもしれません。
(日本のワインも、デラウエア種ばかりでなく在来種の甲州を使ったりメルローなどを丹念に育てて美味しいワインを造る蔵が増えてきていますしね。)

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一澤帆布 今回は三男の勝ち

2009-06-27 | M&A

ニュースを見ただけでは決着がついたのかつかないのかいまひとつわからない話ではあります。
同じ遺言書の効力について最高裁判決が異なるということですが、訴訟物(訴えた内容)の異なる訴訟を提起したということでしょうか。

ネットの記事で一番詳しかったのが東京新聞ですが、これでもはっきりはしません。(下線筆者)
一澤帆布相続争い 今度は『無効』確定 最高裁、長男側の上告棄却
(2009年6月24日 東京新聞)  

京都の人気かばん店「一澤帆布工業」が兄弟の間で分裂する原因となった相続をめぐり、二通あったとされる父親、一澤信夫さんの遺言のうち、「自社株を長男と四男に相続させる」とする二通目の無効確認などを求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は二十三日、長男と四男の上告を退ける決定を出した。信夫さんから経営を任せられていた三男信三郎さんの妻の請求を認め、二通目の遺言書を無効とした二審大阪高裁判決が確定した。  

三男自身が起こした同様の訴訟では二〇〇四年に最高裁で敗訴が確定、第二の遺言書が有効とされており、同じ遺言書をめぐって最高裁の結論が食い違う事態になった。  

遺言書の効力が、二つの最高裁判決で異なったことに妻の代理人の菱田健次弁護士は「今回の訴訟の結論が正しいと考えている」とした。しかし、今後の相続手続きには「相手が応じるか分からないが、話し合いをするしかない」としている。

たぶん、下線の「など」というところか「妻の」(=当事者が違う)というあたりがポイントだったのではないかと思いますが。
また「相続手続きに相手が応じるかどうかはわからない」ということは、前回も今回も相続財産の帰属についての争いではなかったのでしょうか。  

一方で
勝訴の弟「今後は社業に専念」 遺言巡る一澤帆布訴訟
(2009年6月24日19時27分 朝日新聞) 

判決を受け、同社の代表取締役に復帰することになった信三郎さんは「今後は世間を騒がせないように本業に専念したい」と話した。  

という記事もあるので、今回の訴訟は株主総会決議不存在確認訴訟だったようにも読めます。


僕としては、職人がついていったという信三郎氏の方を応援していたので、とりあえずはよかったと思います。
(参照:一澤帆布改め「一澤信三郎帆布」デビュー

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セシールへのTOB

2009-05-16 | M&A

セシールにTOB フジ・メディアHD ディノスと合併へ
(2009年5月15日(金)08:05 産経新聞)
通販のセシールも郵便割引制度悪用、2287万円返還へ
(2009年5月14日(木)21:58 産経新聞)

新聞では経済面と社会面に分かれていたのですが、東証の適時開示は決算短信の発表と同時に3つなされています(この順番)

低料第三種郵便物を利用した不適正なDM送付について

株式会社フジ・メディア・ホールディングスの完全子会社である株式会社フジ・メディア・サービスによる当社株式等に対する公開買付けに関する賛同のお知らせ

株式会社フジ・メディア・ホールディングスの完全子会社である株式会社フジ・メディア・サービスによる株式会社セシール株式等に対する公開買付けの開始に関するお知らせ


TOBも市場内取引なので、未公開の重要事実を知って取引した場合はインサイダー取引になっていまいます。そのため、買収前のデューディリジェンスなどで知った重要事実はTOB前に公表をして「未公開」でなくしておく必要があります。
なので決算発表と同時に郵便不正問題も公表せざるを得なかったのだと思います。 

ちなみにセシールは東証に適時開示したにもかかわらず自社のIRサイトにはこのリリースは載せていません。
他者に比べると少額だしできればこのタイミングで言いたくはなかったのでしょうか。


このTOBはそのほかにもいくつか興味深い点があります。  

まずはセシールの意見表明 

公開買付者が新たに当社の筆頭株主となることにより、フジ・メディア・ホールディングスグループの一員になることが当社の企業価値の向上に資するものと判断し、平成21 年5 月14 日開催の取締役会において、公開買付者の行う本公開買付けに賛同の意を表明する旨を決議いたしました。 

ただし、本公開買付けの買付け等の価格は、公開買付者と公開買付者への株式の譲渡を希望する当社の筆頭株主であるLDH との間の交渉により決定されたものであるため、必ずしも買付け等の価格が当社に係る公正な株式価値を反映したものではない可能性があります。そのため、本公開買付けに応募するか否かについては、株主の皆様に判断を委ねることといたしました。  

TOBには賛成だけど一般株主がこの価格で応じるかどうかについてはノーコメント、というわけです。


つぎはフジのTOBのお知らせ  

(5)本公開買付け後の予定 
本公開買付けが成立した場合、対象者は、フジ・メディア・ホールディングスの間接子会社となりますが、フジ・メディア・ホールディングスは、ディノスと対象者との統合シナジーを最大限引き出すべく、対象者をディノスと合併すること(以下、「本合併」といいます。)を、対象者に要請する予定です。・・・本合併の実施にあたっては・・・利益相反や一般株主を害する不公正が生じることを回避すると共に、保有株式の流動性その他一般株主の利益に配慮した措置を講じる予定です。(対象者の一般株主に非上場のディノスの株式が交付されることとなる合併を行うことは予定しておりません。)   

また、公開買付者は、本公開買付けの結果、対象者の普通株式(対象者の自己株式を除く。)の概ね 80%程度の応募があった場合には、本合併に先立って、公開買付者を完全親会社、対象者を完全子会社とする株式交換の方法(以下、「本株式交換」といいます。)により、対象者を公開買付者の完全子会社とする可能性があります。 

仮に本株式交換を行う場合、完全子会社となる対象者の株主(公開買付者を除く。)に対して、金銭が交付される予定です。

前段はフジ・メディア・ホールディングスの株を交付する三角合併を念頭においているのだと思います。そして、後段の金銭対価の株式交換とあわせて、合併「会社法では新たにこういうことが認められます」というものをフルに使った提案です。

別にセシールを上場企業のままで維持していてもいいわけですが、それだと今あえて株を取得する理由が乏しいとか、「ライブドア」銘柄なので、また痛くもない腹を探られるとかの事情があったのでしょう。
単に提案した弁護士事務所が「やってみたかった」というんじゃないですよね(笑)

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レナウン、その後

2009-05-09 | M&A

連休前の開示ですが、以前取り上げたレナウンの経営権を巡る争い(参照)のその後。

 株主提案権の行使の取り下げに関する書面の受領について
取締役選任議案に関するお知らせ
(2009年4月30日)

なお、ガバナンスの強化という観点から、筆頭株主より、社外取締役として一名を派遣いただくことが当社にとって最善であると判断し、平成21 年4 月15 日に開示いたしました、「当社定時株主総会における株主提案に対する当社の考え方について」における取締役候補者に、一名追加変更しております。

筆頭株主のネオラインの持株会社の社長である藤澤信義氏を加えました。

お互い兵糧も限られているので、顔の立つ形で手打ち、というところでしょうか。

とりあえずのメモ

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レナウン

2009-04-17 | M&A

「M&A」のカテゴリにしたのですが、お金がないので「買収」の手前で主導権争いという話。

レナウン:社長ら5人の取締役総退陣 解任提案に「先手」
(2009年4月16日 毎日新聞) 

経営再建中のアパレル大手レナウンは15日、中村実社長(58)ら5人の取締役全員が退陣し、後任社長に経営企画部長の北畑稔氏(47)を昇格させるトップ人事を発表した。中村社長は昨年3月就任したばかりだが、異例の早期退任で相談役に退く。同社は筆頭株主の投資ファンドから4月1日付で取締役3人の解任を求める株主提案を受けており、現経営陣の総退陣と経営トップの若返りで、株主の理解を得る狙いがあると見られる。 

筆頭株主の「SPICA2号」(東京都港区)はレナウンの発行済み株式の24.87%を保有しており、日本振興銀行会長の木村剛氏のほか、ローン会社「ネオラインキャピタル」の関係者2人を取締役にするよう求めている。 

レナウンが発表した新人事案は、社内から新社長を含む3人を取締役に昇格。社外取締役に産業再生機構執行役員としてカネボウ再建などを手がけた経営コンサルタント・片山龍太郎氏▽ジャケット「VAN」ブランド創始者の故石津謙介氏の長男でデザイナーの石津祥介氏を招く。5月28日予定の株主総会を経て正式決定したい考えだ。

レナウンのリリースはこちら、ネオラインのリリースはこちら
Wikipediaによれば、ネオラインは 

元々はロイヤル信販株式会社として、1969年11月に設立。2004年10月に株式交換によりライブドアの子会社となり、同年12月に株式会社ライブドアクレジットに社名変更。 その後、2006年12月20日に、親会社の株式会社ライブドアフィナンシャルホールディングス(現在のかざかフィナンシャルグループ株式会社)の全株式がアドバンテッジパートナーズLLPに譲渡され、ライブドアグループを離脱したことに伴い、2007年2月にかざかファイナンス株式会社に商号(社名)変更。さらに、2008年11月17日に、ネオラインキャピタル株式会社に商号(社名)変更し、2009年1月7日にかざかフィナンシャルグループから離脱している。

という沿革の会社のようです。  
藤澤信義氏は3月までネオライン・キャピタルの代表取締役でしたし、日本振興銀行はネオラインキャピタルの融資元で、ホームページにも「提携先企業」として載っているので、木村剛さんもお仲間のようです。 
株の取得は昨年の9月なのでファンドの資金はアドバンテッジ・パートナーズが出しているのでしょうか。  

レナウン株の19%を取得した去年の9月(参照)から株価はほぼ半値になってしまっていてファンドも含み損を抱えている一方で、ネオライン本体の貸金業自体が上限金利引き下げなどで経営が苦しいうえに融資を受けるのも厳しい状況なので、本来なら株価が低迷している機会にTOBで会社で支配権をとってしまえ、というところなんでしょうが、こちらもお金がないという中での窮余の一策ということでしょうか。


PS
ちなみに本筋とは関係ないですが、レナウン側の社外取締役候補者の片山龍太郎氏は片山さつき氏の旦那さんですね。

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楽天、TBS株買取請求へ

2009-04-02 | M&A

しばらくフォローしてなかったのですが、背景事情はこういうこと。

楽天 二つの誤算
(2009年4月1日 読売新聞) 

楽天側にとって大きな誤算だったのは、TBSの認定放送持ち株会社への移行だ。楽天が経営統合案を発表した時にはこうした制度はなく、総務省の調査研究会が06年にまとめた報告で導入方針が決まった。認定放送持ち株会社制度の導入は、民放キー局が設立した持ち株会社傘下に経営環境が厳しいローカル局を統合して支援することが狙いだった。ただ、改正放送法が持ち株会社の1株主の出資比率(議決権ベース)を33%以下に限ったことが結果的に、TBSにとっては事実上の買収防衛策として機能した。

「買い取り請求」についてはTBSのIRサイトがわかりやすいです。
株主からの株式買取請求に関するお知らせ
(平成21年4月1日 株式会社東京放送ホールディングス)  

当社は、平成20年12月16日開催の当社臨時株主総会決議に基づき、本日平成21年4月1日をもって、当社のテレビ放送事業及び映像・文化事業を当社完全子会社である株式会社TBSテレビに承継させる吸収分割を行うとともに、認定放送持株会社へ移行致しましたが、昨日(3月31日)、上記臨時株主総会においてこの吸収分割議案に反対した楽天株式会社ほか1名の当社株主より、以下のとおり、会社法第785条第1項に基づく当社株式の買取請求権行使の申請を受けました。  

自分が持ち株会社になるために事業の部分を子会社に吸収分割して切り離すという方式を取るので、分割に反対した株主である楽天に買取請求権が発生し、会社との協議が成立しない場合は裁判所に価格決定の申立をすることができるということになります。

会社法ではこの買取価格を「公正なる価格」と定めてますが、今回は持ち株会社に移行するだけなのでグループ全体の企業価値は変わらないはずなので、「1/3以上の議決権を取得することができなくなる株式になる」ということによって株式の価値がどう影響を受けるのか、ということが論点になるのでしょうか。 
これはこれでけっこうややこしそうな感じです。

買取請求をした「ほか1名」の株主というのもちょっと興味あります。
僕もTBS株を持っていたとしたら、こういうときに会社がどういうロジックでくるのか興味本位で買い取り請求してみたかもしれません。(←こういう野次馬みたいな奴が増えると会社の手間ばかりかかってしょうがないんですよね・・・)

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パナソニック、三洋電機へTOB

2008-11-03 | M&A

このニュースを見て改めて我が家を見わたしたところ、パナソニック製品も三洋製品もほとんどなかった(ドライヤーくらい)のが意外でした。

パナソニックの子会社化合意 「三洋」ブランド存続 金融3社とTOB価格詰め
(2008年11月3日(月)08:05 産経新聞)

パナソニックが三洋電機を子会社化することで、両社首脳が基本合意したことが2日、分かった。三洋の社名やブランドを残し、雇用も維持する方針で、7日にも正式発表する。パナソニックはTOB(株式公開買い付け)による年内の子会社化を目指しており、連休明けの4日から三洋の主要株主の金融機関3社と具体的な協議に入る。

今後は、パナソニックが三洋の企業価値に基づき、TOB価格をいくらに算定するかが、最大の焦点となる。
金融3社の一部は三洋株の高値での売却を主張しており、交渉が難航する可能性もある。

三洋電機は三井住友銀行、大和証券SMBCグループ、ゴールドマン・サックスグループの3社が優先株を引き受けていて普通株換算で約7割の議決権を持っているので、金融3社が応じるか否かがTOBの成否を分けるわけです。

ただ、金融商品取引法上は、大株主との「TOBに応じる」という合意が「売買予約」とみなされると市場外取引=TOB規制違反になる可能性があります。
しかし、友好的TOBを大株主への事前打診なくガチンコでやるのも現実的ではないので、「売買予約契約成立に至らない程度の事前打診と意向の表明」あたりにとどめているわけです。

また、インサイダー取引の問題もあります。
金融3社が三洋電機の未公開の重要事実を知ってTOBに応じた場合や、逆にパナソニックが金融3社との「交渉」において重要事実を知ってそれをそれが未公開のうちにTOBをかけた場合はインサイダー取引規制に該当します。
後者についてはTOBの直前に三洋電機から公表してもらえばいいのですが、金融3社側はパナソニックとの交渉にあたって開示したものに限らず知っている経営情報が重要事実に該当する可能性があるので、なかなか微妙です。
特に価格交渉においては不利な材料は必要以上には提示しないのが一般的である一方で、「重要事実」の認定が村上ファンド事件に代表されるように厳しくなっている中で「パナソニックとの交渉では言及しなかった(当然三洋電機からの公表もない)もののなかで重要事実に該当するものがない」という「悪魔の証明」をしないと完全には安心できないというのはなかなかしびれるものがあると思います。

理屈で言えばそうなってしまうのですが、全くの事前打診なしでやるというのも現実的でないので、結局このへんはそれぞれの当事者の法律的立場に配慮していわば「プロレス」でないと成り立たないということになります。

だからこそ「友好的TOB」と言うのかもしれません。


逆に言えばこのへん重箱の隅をほじくれば、(裁判で有罪にはできなくても)なんらかの因縁はつけることができるわけで、検察や証券取引等監視委員会に目をつけられないように普段から品行方正にしていることも大事といういことですね(これを裏返せば「国策捜査」を是認することになってしまいますか(汗))。
今回は関西の「大店」同士の話なので、検察や証券取引等監視委員会が最初から目をつけたりはしていないとは思うので、そのへんの安心感はあるんでしょうか。

もっとも、検察として、今までの「プロレス」のレベルがやりすぎだ、という状況認識があれば別かもしれません。
また、三洋電機の創業家の経営陣からの追い出しの後遺症でお家騒動体質が残っていると(真偽は別としての)内部告発のリスクがあるかもしれません。


さらに、今回のように報道が先行すると配慮しなければいけない要素が増えるので、そっちの面もやっかいですね。
特に今回のように追加報道が重なってくると、証券取引所からも「TOBするなら早く公表しろ」と矢のような催促がくるでしょうし(報道のように7日発表だとすると週明け宙ぶらりんの日数が多すぎますね)。


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