堀江社長逮捕に関し、47thさんから検察の強制捜査から逮捕に到るまでのプロセスに関する疑問に関しTBをいただきました(TB元の記事はこちら)
別件捜査については私も拙い直感で前の記事で触れたのですが、toshiさんからのコメントで実務上は別件捜査(逮捕)の適法性を争う事は非常に困難なので、被疑者側の権利を守るためには証券取引法の構成要件を明確にすることが重要とのご指摘をいただきました(toshiさんの関連記事はこちら)
法律関係の詳しいことは上の皆様を始めとする専門家の方々に委ねるとしまして、素人の直感としては経済事犯についても「誰が悪い奴か」「悪い奴を懲らしめる」という問題意識を軸に検察の行動がなされているように思います(世論を気にする検察とマスコミの相互作用かもしれません)
なので、未だに具体的に何が堀江社長の嫌疑(何の行為が何の法律に違反し、それも正犯なのか幇助なのか等)で、何が宮内取締役の嫌疑なのかよくわからないままにそれに疑問(少なくとも質問)を呈さず「逮捕」の報道だけがにぎやかにされているのは(今回のライブドアが急成長・オーナー企業・マスコミへの露出の多さ・攻撃的姿勢というターゲットにされやすい要素をすべて持っていることもあるのでしょうが)確かに健全とはいえないと思います。
逆に(もはや遠い昔の話ように感じますが)カネボウの粉飾決算(こちらのほうが規模の大きい会社の話だったので社会経済的影響は大きかったはずです)のようにサラリーマン社長の犯罪は、世間的にもあまり注目を浴びずに済んでしまいました。
また、西武鉄道・コクドの件は堤義明氏逮捕で以上終わり、という形になっていますね。
ところで今回のライブドア問題を他の(特に従来型)の企業がどのように教訓にしているかというと、
「メールはまとめて持っていかれると危険なので、微妙な話はメールでしないほうがいい」
というような話が耳に入るのが多い事にちょっと脱力している今日この頃です。
違法行為を指示するのはもってのほかとして、いわゆるグレーゾーンの判断については専門家に確認して、会社内で十分検討した上での行動だ、という記録を残しておくほうが重要だと思うのですが。
それとも未だにトカゲの尻尾切りが通じると言う幻想があるのでしょうか。
ひょっとするとどこもかしこもヤバいことだらけなんだろうか・・・w
もっとも聞くところによると、金融庁の検査などでもメールサーバーでキーワード検索などをしてネチネチと細かいところをつつかれるのはたまらん、という話もあります。
また、現在議論されているように証券等監視委員会が権限強化された暁には、現在の(一部の?)国税のように「査察に入った以上は何かお土産がないと困る」というようにとことんあら捜しをされるんじゃないか、という危惧もわからなくはないです。
ただそれは不用意な、誤解を招くような表現をするな、という社内文書としてのメールの書き方を徹底すればいいことですよねぇ。
企業として注意すべきはむしろ
東証の開示に「書いていない」ことがあることが「偽計取引」になる
架空の売上計上をしたことが「風説の流布」とされる
という今回の証券取引法違反容疑の射程がどこまであるかなんじゃないでしょうか。
開示資料に「書いていない」ことが証券取引法違反の嫌疑をかけられるとすると、適時開示にあたっては、相当慎重にならざるを得ないと思います。
また、「決算対策」と称して損切り・益だしはどこの企業もやっていると思いますが、たとえば単純に売却した資産の売上をどの期に計上するかについてすら事後的に「風説の流布」とされうる可能性があるのでしょうか。
「まともな企業には捜査に入りませんよ」などと検察が言ってたりしたら、なおのこといやですねw