東横イン、二重図面で偽造工事 条例違反の状態
(2006年 1月27日 (金) 06:05 朝日新聞)
ビジネスホテルチェーン大手「東横イン」(東京都大田区)が、横浜市に今月オープンしたホテル建設をめぐり、法律や市条例で義務づけられている身障者用設備や駐車場を設けた建物をいったん建てながら、市などの完了検査直後にこれらの設備を撤去・改造する工事をして開業していたことがわかった。撤去前の設計でなければ、建築確認はおりなかった。
とまあ、建築確認関係でまたもや、ということなのですが、「完了検査の後に改造工事をする」という事自体は、実際はけっこう行われていると思います。
個人住宅などでも、網入りガラスをあとから普通のガラスに変えるなど工務店が「気を利かせる」ことはよくありますし、個人住宅の場合工事完了検査を受けないこともけっこうあります(罰則とかあるんですけどね)
また、大きなビルやホテルの地下駐車場などの一部を倉庫や控え室にしたりというのもけっこう行われています。
ただ、今回は最初から確信犯で改造を前提に計画されていたらしいこと、条例やハートビル法で義務付けられた身障者用設備を撤去して、というところが悪質だとは思います。
でも、
行政によるチェックは、完了検査後は難しいのが現状。市は「こんな手口は初めて知った」としている。
というのは絶対にウソだと思います。
朝日新聞の写真(asahi.comから転載ごめんなさい)を見ても、完了検査時の仕上げを見てそのまま営業すると思うほうがおかしいくらいの「仮仕上げ」ぶりです(壁なんて石膏ボードのようなペナペナだし)
建築基準法でも
第9条 特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については・・・当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
とあるので、行政も「完了検査は建築確認申請どおり出来ていればいい、後は一切現場をチェックしなくてかまわない」というわけではないんですけどねぇ。
まあ、今回は行政の怠慢があったとしても、人の生命身体への危険があるわけではないし、行政が損害賠償を求められるわけでもなく、いろいろ配慮する必要がないためもあってか
「とんでもない話」北側国交相 系列ホテルも調査へ
と北側大臣もいきなり歯切れのよい批判をかましてますので、今後行政からの責任追及がなされそうです。
でも、行政も完了検査申請に応じるだけで、確認をおろした建築物で実際完了検査を受けずに竣工しているものがないかどうかのチェックはしてないだろうし、それを全数検査した場合、個人住宅とかは大混乱になると思うんですけど・・・
ライブドア事件などではやりのスピード違反の例えで言えば、何キロオーバー以上を取り締まり対象にするか、という議論がここでも出てきそうですね。