今日もいろいろありました。
ライブドアの件ですが、報道の中心が粉飾決算に移りつつあるようです。
しかし、本丸が粉飾決算にあるとすればそれって「別件捜査」なんじゃないか、というのが非常に気にかかるところです。
目星をつけた企業に別件捜査に入って、資料一式を押収してからゆっくりあら捜し、という手法を容認すると検察権力への抑制が働かなくなるような感じがします。
そうだとすると、ライブドアの粉飾決算(もしあれば)より大きな問題なのではないか、と思います。
どうも報道機関は東京地検のリークの後追い中心のようで、そもそも推定無罪の原則(よく考えると1回捜査に入っただけで、逮捕も起訴も、任意の事情聴取すらもされてない)とか、別件捜査の適法性(捜査令状の名目はなんだったのか)についてはどこも関心をもっていなさそうなのが気になります。
(「風説の流布」かどうかはともかく)タイムリーなM&Aや株式分割で市場の期待を煽って株価を上げてきたライブドアは、東京地検の奇襲攻撃とその後のタイムリーなリークにしっぺがえしされても自業自得という部分はあるのですが、この手法がその他の堅気の企業に応用されるとなるとえらく迷惑な話です。
そこについては今後も注目していきたいと思います。
今回のライブドアの行為の違法性ついては47thさんの「ライブドア事件にみる経済事犯リテラシー」が掘り下げて考察されています。また、「ライブドア本体(単体)粉飾疑惑の気になるところ 」で、「別件問題」にも私などより鋭く言及されています。
また、会計士の視点からはGrandeさんの記事も参考になると思います。
で、ライブドア・マーケティングの案件についての続きです
(以下は会計知識に乏しい中での頭の整理のためのメモ程度にお考え下さい)。
今日の新聞で特集されていますが、「VLMA2号投資組合」というのは民法上の任意組合のようです。
今日の日経新聞では
(投資事業組合とは)民法によって設立が認められた「任意組合」の一種
上場企業の出資先は証券取引法で開示が義務付けられており、議決権が20%以上の出資先企業は連結決算に含める必要がある。
ただ、ファンドへの出資の場合は資産運用など純粋に投資を目的とするものも多い。そうした場合には開示をしなくてもよい決まりだ。
投資事業組合の場合は議決権という考え方がないため、お金を出資している企業の「実質支配」が及んでいるかがポイントとなる。組合の運営者を派遣しているか、どのくらいお金を常時出しているかなどが基準。最終的な判断は会計士だが、曖昧な部分があることは否めない。
とあります。
民法の任意組合の規定では
(組合財産の共有)
668条 各組合員の出資その他の組合財産は、総組合員の共有に属する。
とあります、要するに権利としては株式を共有しているわけです(組合が解散した場合財産の分配=換金してなければ現物の共有持分が戻ってくることになります)が、実際は株主名簿上は「〇〇組合業務執行組合員XX」が株主になります。
それを出資者のB/S上任意組合への出資とするか株式とするかの評価が分かれる、ということなんでしょう。
株式となれば出資シェアで案分したぶんだけ保有する事になります。そうなると「既に子会社なのを隠して株式交換をした」となります。
一方、投資組合は株を投資目的で保有しているのですぐに売ってしまうだろうし、いちいち組合資産の内容を資産計上するよりは出資として計上するほうが正確、と考えれば「任意組合出資」などとなります。
多分形式上は「投資組合」が有価証券の売買を目的とし、業務執行も第三者に委任しているのであれば、株式として計上しないから当然に違法とまでは言えないかもしれません。
となると問題は、もともとのマネーライフの株主が最初から投資組合に売却するつもりだったのか、ライブドアのかわりに投資組合が出てきたのか、ライブドアマーケティングとの株式交換を前提に合意したところ投資組合による取得に切り替わったのか(そのような記事もありました)というマネーライフ株取得の経緯にしぼられてくるのでしょう。
でも、ここでクロになると、会計監査人や監査役の責任も問題になってきますね。
奇襲作戦が常套作戦になるかもしれません。そこで、この158条の適用範囲を厳格に解釈する必要があるのでは・・というのが私の問題意識です。
おっしゃるとおり別件逮捕の問題もありますが、これは刑事弁護人をやっております弁護士の立場からしますと、非常に難しいところでありまして、残念ながら突破できる手段をいまのところ、持ち合わせておりません。弁護人の情熱によって今後も叩いて行く必要があるのかもしれませんね。
そう考えると、証券取引法の規定は行為規範としてはさておき、刑事責任を問う規定としてはかなり曖昧ですね。