一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

今年の桜

2013-03-31 | うろうろ歩き
先日もUPした先週末の東京ミッドタウン。
ちょっと寒かったけど人手は多かった。




先週平日の日銀前




昨日、としまえん付近の石神井川
このあたりは今が満開という感じでした。



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六本木で花見など

2013-03-27 | うろうろ歩き



週末、花見がてら東京ミッドタウンで開催されたG-tokyoに行きました。
先週末は六本木アートナイトとして、東京ミッドタウン、六本木ヒルズ、
新国立美術館、そして交差点周辺の商店街がまとまったイベントもやってました。

G-Tokyoは複数のギャラリーが出展するアートフェアで、本来はコレクターが対象なのですが、私を含め購入を検討している風な人よりは見物の人が多かったという印象でした。

その中で目立って購入客が多かったのが、ヒダリジンガロという陶芸のギャラリー。ギャラリーというよりは皿やカップなどの小物中心で、一点数千円なのでけっこう買っている人がいました。
ただ、アートフェアの中ではの陶器雑貨店という感じで、他の現代アートのギャラリーに並んで出展しているのは異色だったのですが、ここは村上隆率いるカイカイキキがプロデュースするアート雑貨店でした。

村上隆といえば、以前NYのギャラリーで作品が数億円の値段がついて有名になりましたが、ルイ・ヴィトンとのコラボや六本木ヒルズのキャラクターデザインなど自分の作品や他のアーティストのプロデュースなどを積極的に手がけ、現代アートをビジネスとして成立させようとしています。
そのことについて日本では「商業主義」という批判も多いようですが、反面、現代アートの市場は欧米のギャラリーが主導していて、日本の存在感が薄いという事情があるようです。

もともと米国の美術館は個人のコレクションが元になったものが多く、定期的に資金集めをしたり作品の寄贈を募って収集品を増やしてきた反面、
日本は明治以来公設の美術館がお上の予算で収蔵品を購入するという形だったので(さらに税制の違いも大きいようです)「マーケット」「富裕層のお金を取り込む」という感覚が薄いという伝統も影響しているようです。(このへんについては以前ちょっと書きました
「ブリヂストン美術館」「山種美術館」「ポーラ美術館」などはありますが、創業者の蒐集品+企業のバックアップからは出ていない感じがあります(誤解だったら失礼)

一方で、現代アートについてはArt BaselFrieze Art Fairが世界の二大アートフェアと言われているようですが、
Art BaselはスイスのUBS銀行、Frieze Art Fairはドイツ銀行のそれぞれプライベートバンク部門がスポンサーになっていて、富裕層の資金を取り込む仕組みができているようです。
(同時期に東京国債フォーラムで開催されたアートフェア東京はFrieze Art Fairの系列だそうです。)

さらに最近は、1月に開かれたArt Stage Singaporeなど、香港・シンガポールがアジアの富裕層の資金を取り込もうと現代アートの中心として名乗りを上げているようです。
「クール・ジャパン」と言いながら「ものづくり」はするものの流通市場を押さえられて利益に結び付けられない、という風にはならないように願いたいものです。

その意味では、上のヒダリジンガロも、アートフェアの中で作品をマネタイズできるのは画廊でなく雑貨屋のほうだ、という日本の現代アートの現状に対する批評性をもっているという意味で、ひとつの出品作といえるのかもしれません。


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『沈黙の町で』

2013-03-24 | 乱読日記
地方都市での中学生の死をきっかけに、事故か自殺かの真相をめぐり、関係者が疑心暗鬼と混乱に巻き込まれていくという話。
朝日新聞の連載だったらしい(知らなかった)。

奥田英朗は、昔読んだ『最悪』では、登場人物の設定の妙、構成の上手さとスピード感が印象的だったが、構成の上手さは相変わらず。
特に今回は死んだ少年をめぐる中学生たちとその親、そして関係者という三層それぞれの中での利害関係・力関係のからませ方、そして話が進むにつれてその層がからみあってくるあたりは読んでいて引き込まれる。

最後に「真実」が明らかにされるのだが、真実それ自体よりも、それぞれの当事者がどういう風に考え行動するかというところのリアリティが、「いじめ」「自殺」というテーマを奥田流に料理した本書の味わいどころといえるのではないか。


新聞連載で読んでいたら登場人物と同時並行で一日一日が進んでいく感じがして面白かっただろうに。
そこが残念。




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酒蔵の社長の話

2013-03-18 | よしなしごと
先日福島の酒蔵の社長の話を聞く機会があったので備忘。


TPPについて

米国にも輸出しているが、向こうでは「SAKE」は日本の米で日本の酒蔵で作ったものとして受け入れられており、アメリカで作られている酒は「Rice Wine」として料理用に使われている。
なので、日本酒は米国産がいくら安くなっても国産の米を使うことになるだろう。

米国では日本酒は高級品として受け入れられているので、輸送も定温コンテナで品質管理がされている一方で、アジアへの輸出はコストの問題もあり、通常のコンテナ船で運んでいるため、輸送途中で品質が劣化しやすい。
たとえばタイでは104%の関税がかかっているが、TPPでこれが撤廃またはかなり引き下げられれば、輸出価格は下げずにその分を定温コンテナなどの品質管理にあてれば、もっと輸出は増えると思う。
(地元ではTPP賛成などとは言えないが)



放射能問題、農政について

食品の放射性物質安全基準は100ベクレル/kg以下。
しかし酒米は10ベクレル/kg以下のものしか使わない。なぜなら酒造りには精米をして芯の部分しか使わないため、精米後の酒米は10ベクレル/kgだったとしても、米ぬかの部分は(外側なので?)80ベクレル/kgくらいになってしまうので、それ以上だと精米所が引きうけてくれない。

低価格帯向けの商品に使う米は福島県沿岸部から仕入れていたが、ここが立ち入り規制区域になり供給がストップしてしまった。
県中部の農家から買おうと思ったが、戸別所得補償制度ではコシヒカリのような高価格で売れるブランド米がとれないところは、安い米を作って米の直接支払交付金(15,000円/10a)を受けるより、米粉用米や飼料用米を作って水田活用直接支払交付金(80,000円/10a)の交付を受けたほうが手取りが多くなるので(参照)、食用米を作ってくれない。
そのため、家畜は新米を食べ、酒は古米を使うということになっている。
また、備蓄した古米を供給してくれるよう行政にかけあったが、「備蓄米は非常時にしか出せない」と言われた。今以上の非常時があるのだろうか?

一方で行政からは「基準値以下なので20ベクレル/kgの米を使ってくれないか」と言われたりするので、馬鹿も休み休み言ってほしい。



「国酒」の色紙

歴代内閣総理大臣は「国酒」と書いた色紙を揮毫して、酒蔵などはそのレプリカを飾るところが多いが((参照)、菅直人の色紙は東北地方では皆断ったので、今持っていればプレミアムがつくかもしれない。

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『何者』

2013-03-16 | 乱読日記
就職活動をめぐる小説。

自分が就職活動をしたころはSNSはおろか携帯電話もインターネットも普及していなかったし、今や面接をする側に回ってしまったオジサンとしては、今風の「シューカツ」ってこんな風なのかと思いながら読んだ。

読みながら、そもそも就職活動って自分のことだし友人の活動とは独立した事象なんだから、友人と一緒に相談したり友人の動向を気にしながらやるもんじゃないだろう、という違和感を持ったり、若者の心の動きを描く題材にはいいのか、どの進路を選ぶかとかどの企業に就職するかよりも内定を取る事自体がとても難しくなっているから仕方ないのか、と思ったり。

で、その辺にからんだ落ちが最後にあって、結局就活を題材にしたプチ・ビルドゥングスロマンでした、ということになるのだが、その教訓は就活の時ではなく就職してからの人生においてのほうが、より意味を持つんじゃなかろうか。

社会人になって年を取ってからのほうが思うようにいかないことは多いわけで、ここで描かれているようなことがよりイタイ感じであらわれたりするわけで。
だから、人生が手垢にまみれてしまったオジサンとしては、簡単にまとめるなよ、と思うと同時に、(よく言われる教訓ではあるものの)ちょっと自分を顧みたりもするわけです。


なので、オジサンにとっては、青春の微細な部分についての微細な教訓を含む物語を垣間見る機会としてはそこそこ面白い本とはいえる。
作者は『桐島、部活やめるってよ』(映画しか見てない)も書いているので、もともとそういう世界が得意なのかもしれない。

ただ、そこから先に広がるにはちょっと構えが小さいかな、という感じだが、そこまで求めるのは酷か。



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『日本林業を立て直す』

2013-03-10 | 乱読日記

先日林業についてのセミナーで本書の著者が社長をつとめる三重県の速水林業のことが取り上げらtれていたので早速購入。

印象的だった部分をいくつか


日本の森林は今がいちばんいい状態

江戸時代は木材の需要が多く、無計画な伐採がされたため、森林は悲惨な状態だった。
* 屋久島に行った時にかなり高いところにある「天文の森」が天文年間の切り出し所だと知って驚いたことがあります。博物館では江戸時代には屋久杉の伐採はほぼ山の頂上近くまでおこなわれ、禿山に近くなってしまった歴史が展示されています。

明治になって植林が始まったが、第二次世界大戦でまた大量に伐採された。 戦後は伐採と同時に造林が進められ、現在日本の森林は2500万haと終戦時の2倍になり(うち1000万haは人工林)、現在は日本林業の最も豊かな状態にある。
しかし皮肉にも  

戦後、延べ10億人の人間を使い、現在の金額に換算して約25兆円分の投資をしたにもかかわらず(日本林業経営者協会の試算)、木材価格が安いためにビジネスとして林業が成り立ちにくくなっている


広葉樹が善玉で針葉樹が悪玉というわけではない

戦後のスギ、ヒノキという針葉樹中心の植林が山を崩れやすくしたと言われる。
もちろん広葉樹もある多様性のある森林は重要だが、植物の多様性や土砂流出防止には下草がしっかり生えていることが大事で、そのためには適切な手入れが必要。(コナラやブナなど広葉樹の一部にはアレロパシー(他感作用)という他の植物を寄せ付けない性質を持つものもある)  

ある単一樹種を植える林業は、針葉樹であっても広葉樹であっても、その段階ですでに生態を破壊している。それは日本の林業の前提である。だからこそ、林業は植物の多様性に可能な限り配慮しなければいけないのである。


社会的循環と生態的循環

リサイクルというが、金属やコンクリートなどは製造過程で膨大なエネルギーを消費している(だからこそリサイクルが必要)。
一方で木材は生態系の循環の中にあり、CO2の循環も含めて自然界の中でリサイクルされているもので、バイオマス全体がもっと評価されるべき。



志の高い著者の熱気が伝わってくるだけでなく、日本の林業について、産業として、治山・治水、そしてCO2排出などの環境問題の歴史から現状まで幅広く、かつわかりやすく語れらていて、林業、森を守ることなどに関心のある方にとって非常に参考になるだけでなく、トレッキングなどの際にも森への理解が深まると思います。


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『会議の政治学』

2013-03-03 | 乱読日記

bizlaw_styleさん経由。

「あるある」とニヤリとしながら楽しむもよし、「高級社畜」の参考書としても役に立ちます。

本書は東京大学公共政策大学院初代院長をつとめ、現学習院大学法学部政治学科教授の森田朗氏が、政府の審議会の委員や座長を多数つとめた経験から、政府の審議会の運営の実態や会議運営のノウハウについてエッセイ風にまとめたもの。

第一章の「会議の政治学」は会議運営の手続きと手法について、第二章「会議の行政学」が事務局の役割と行動について、第三章「会議の社会学」は世論やメディア対応について、と、タイトルだけでなく細かいところまで(ちょっと乾いた)ユーモアが行きわたっています。
さらにご丁寧に巻末に索引(これもネタだと思う)までついているので、作者の意図を考えながらこちらを先に読むのもいいかと。


内容も、委員のタイプを「バランス配慮型」「自己主張型」「自己顕示型」「専門閉じこもり型」「理念追求型」「無関心型」「拒否権行使型」の7つに分け、毒にも薬にもなりうるそれぞれのタイプを扱い、配合するコツを語っていたりと、政府の審議会に興味がない人でも、会議全般に通じる知見・分析は企業などでも参考になります。

そして、座長に求められる資質を語っている部分  

諮問した役所の意向・・・を重視しすぎると「隠れ蓑」批判を招くことになるが、・・・で述べたように、そもそも答申を受けた役所が実施できない、あるいは実施する気になれないような答申を出しても、せっかく出した答申が画餅に帰すことになりかねない。実行可能性のある提案をするには、座長は単なるまとめ役だけではなく、それなりの考え方を持っていなくてはならない。かつ、役所の言いなりにもならず、一定の見識を示すことが大切である。  

「諮問した役所」を「上から降りてきたお題」、「隠れ蓑」を「茶坊主」や「社畜」と言い換えれば企業にも共通しますね。  

その意味では、組織人全般への参考書としても有用かと思います。


 

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