一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

1984年の予言

2012-07-05 | 原発事故・節電・原発問題

こちら経由で知った1984年のゴルゴ13のエピソード「2万5千年の荒野」

以下引用(孫引き)

あらすじはゴルゴ13データベースより。

ロサンゼルス市北方80㎞に位置する南カリフォルニアG&E社「ヤーマス原子力発電所」通常運転開始をロス五輪開会に間に合わせるため現場は無理を強いられ、小さなミスが続出していた。安全主任のバリー技師は稼働を延期して不安箇所を点検するよう進言するが政治的理由で受け入れられず、運転開始日には現場から締め出されてしまう。

大統領補佐官を招いての式典のさなか停電で外部電源が喪失。自家発電機も整備ミスで起動が遅れる。炉は安全に緊急停止したかに思われたが、バリーが点検を進言していた逃がし弁の故障で炉心に冷却水が入らなくなる。

上がり続ける温度と圧力、迫る炉心溶融(メルトダウン)の危機。崩壊した原子炉からばら撒かれるプルトニウム239の半減期は2万5千年。ロサンゼルス壊滅を防ぐには放射能蒸気の充満した原子炉内で詰まった配管の一点を撃ち抜き冷却水を入れるほか方法はない……!

さいとう・プロダクションでは、ゴルゴ13のエピソードの原案を分業制で入念なリサーチを行なって作っているそうで、実際けっこう最新の国際情勢の、しかもけっこうニッチなトピックの勉強になったりもするのですが、1984年の時点で全電源喪失とか緊急冷却装置の故障というのがリスクとして認識されていた(リサーチに引っかかる程度に話題になっていた)んですね。

われわれはいかに忘れやすいか、日常に流されやすいかのいい証拠でもあります。



単行本は64巻、文庫版は55巻に収録されています。

 

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大飯原発はそもそもの安全性のレベルの問題を除けば普通の再稼動手続きをしているだけなんだけどな

2012-06-24 | 原発事故・節電・原発問題

議論や関心がどんどん妙な方向に行っているような・・・

大飯原発:水位の警報作動 発表半日後で陳謝
(毎日新聞 2012年06月20日)

保安院などによると、警報が鳴ったことは、同原発に近い大飯オフサイトセンターに設置した「特別な監視体制」が発生と同時に把握。監視体制には保安院や関電、福井県などの担当者が常駐しているが、「安全への影響がなく、法令に基づく異常事象でもないので、夜中に発表する必要はないと判断した」という。
保安院の担当者は20日、「前倒し発表をする認識はあったが、結果的に発表が遅れたのは、判断を誤った」と説明した。

法令の「異常事象」の範囲が甘い、という批判であればまだわかりますが、大きなリスクでない事象を即座に報告しないことは非難されるべきことではないと思います。

機械装置である以上は何らかの不具合は起きるわけで、それが事故にならないようにすることが大事なはずです。
細かい不具合自体を許容しないかのような姿勢は「絶対安全神話」を支えた心理の裏返しのように思います。

こうやって非難される

と、隠蔽か過剰反応かどちらかにならざるを得なくなります。

その結果がこれ。


大飯原発で送電異常の警報 大気不安定で無線途切れる
(中国新聞 2012年06月24日)

関電は公表対象のトラブルではないが、特別な監視体制の下にある現状を踏まえて発表したとしている。再稼働準備作業への影響はないという。


心配するなら、普通の再稼動手続きをやっている大飯よりも、トラブルからの復旧途上にあるもんじゅの方をより心配すべきだと思います。

もんじゅ来月中、復旧見込み 中継装置の機能試験。無事終了
(MSN産経ニュース 2012年06月22日)


電力会社・保安院が責任追及されることに過敏になる→専門家も「大したことないですよ」とは言えずリスクを大きめに予測して万が一のときの責任を回避する→不安が不必要に拡大する→そのうち受け止める側が「オオカミ少年」ととらえてしまい、重大なリスクの兆候を見逃してしまうという展開にならなければいいのですが。


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大飯原発再稼動と多重防御

2012-06-10 | 原発事故・節電・原発問題

 大飯原発、16日にも再稼働決定 福井知事も同意意向  

首相は8日夕、官邸で記者会見し「国民の生活を守るため、大飯3、4号機を再起動すべきだというのが私の判断だ」と表明。これを受け、西川知事は「重く受け止める」とコメントし、事実上同意する意向を示した。

おおい町長、大飯原発再稼働説明で首相会見を評価 「非常にありがたい」

福井県おおい町の時岡忍町長は8日、関西電力大飯原発3、4号機(同町)の再稼働問題をめぐる野田佳彦首相の会見を受け、町役場で報道陣に「原発の必要性と、立地自治体が果たしてきた役割を明言してもらい、非常にありがたい。今日まで時間がかかったが、納得できた」と述べた。

個人的には再稼動をやめた延長で脱原発というのも乱暴だと思うのですが、ただ一度再稼動してしまえば安全対策が曖昧にされてしまうのではないかという危惧を持っています。

地元の首長としては、一度再稼動を承認してしまうと逆に弱い立場になってしまうので、再稼動を承認する条件として上のような情感処理を求めるのでなく、万が一の事態に備えてより具体的な要求をすべきだったように思います。

たとえば政府が東日本大震災と同程度の震災(=千年に一度レベル)に対して安全性を主張しているのですから、万が一事故が起きたときに福島のように賠償額や東電の破綻リスクなどでもめたりしないように、事故が起きた場合にそのレベルに応じて事前に賠償額について関西電力と合意するとともに国の保証をとっておくべきだったように思います。

具体的には、事故レベルに応じて住民一人当たりに対する賠償額をかなり多め(たとえば住民登録をしている人に一律一人一億円+被曝推定量により増額)に決めておいたうえで、個別にそれ以上の損害を立証できた場合には請求を妨げない、さらにその損害賠償請求については国も連帯保証する、というのはどうでしょうか。
関電や国としても「安全」と言っている以上断りにくいはずです。
そして実際に万が一原発事故があった場合にも、住民の生活維持に対して最後のセーフティ・ネットにもなります。

さらに、大飯町に住民登録をすれば、いわば国の原子力政策に対してプットオプションを買うことができるわけで、国の原子力政策を信用していない人は住民税を掛け金にして「宝くじ」を買うこともできるわけです。
それを見越して大飯町も住民税率を少し上げれば、数十年後に脱原発になったときに備えて町の財政を強化することもできるのではないでしょうか。

事故があったら結局お金の問題になるのだから、地元自治体としては技術面にとどまらない多重防御の仕組みをとっておくべきだと思うのですが。

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原因の想定より結果の想定

2012-05-12 | 原発事故・節電・原発問題

メモ
日経ビジネスオンラインでの池上彰と齊藤誠一橋大学大学院経済学研究科教授の対談
原発是非論の前に知っておくべき福島原発2つのミス 経済学者・齊籐誠さんに聞く「原発事故」【その2】

齊藤:繰り返しますが、東電福島原発事故については、工学的な技術の面でいうと、時代遅れで、安全性のチェックを自前でやらないままに古い設備を使い続けていた、という工学的視点がないままで運用していたという問題と、いざ事故が起きたときにどのように対処するか、という経営面から見たリスクマネジメントの欠如という問題があった。  

工学的視点の欠如とリスクマネジメントの欠如という経営やガバナンスのまずさが惨状を招いたわけです。原発の是非を問う前に、そもそもこの2つのミスが事故を起こした、という明確な認識を共有すべきではないでしょうか。

(中略)

池上:「何メートルの津波が来る」「震度いくつの地震が来る」という事故の原因となる方を想定しろ、というのではなく、原因が何であれとにかく「1次冷却系が全く機能しない」という事態の方を想定しろ、というわけですね。

齊藤:その通りです。「原因が何であれ、1次冷却系が完全に動かなくなった」という状態は、工学的に考えれば平常時に十分予見できる、いや、しなければいけないことです。さらに詰めていくと、「完全に動かなくなった」ときに何をどうすべきか、命令系統をいつどんなかたちで本社から現場に移すか、周辺住民や政府とのやりとりはどうするか。あらかじめ行動パターンをシミュレーションできたはずなのです。

池上:今回の原発事故で東電経営陣が口にした「想定外」とは、津波や地震の規模といった「事故原因」のことを指していましたが、「1次冷却系が完全に動かない」という「結果」はどう考えても十分「想定内」にしなければいけなかった。でも、していなかったから事故が起きてしまった。

「こんなに高い津波が来るとは想定外だった」という主張は一定の共感を呼ぶと思いますが、津波だろうが某国のミサイルだろうが、原因はさておき不具合が起きた場合(機械を使っている以上理論的には起こりうる)の対処法を決めていなかったのはまずかった、という指摘は、実はあまりされていないのではなかったでしょうか。

 

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脱原発にも原子力工学は必要

2012-02-14 | 原発事故・節電・原発問題
福島第1原発2号機のニュースを見ていて、解説に「原子力工学」を専門とするの大学教授が出てきたので思ったのですが、今後「脱原発」が国の方針になり、また諸外国でもトレンドになると、当然企業や大学での研究者の需要は減るわけで、これから大学で研究分野を選ぼうとする学生にとっては原子力工学の分野は魅力的でなくなってしまうと思います。

一方で脱原発をするにしても、廃炉や使用済み核燃料の処理などは数十年(数百年?)単位の仕事として残るわけで、それに対応する人材も数十年単位を見ながら育成する必要があるのですが、それが可能なのかと心配になります。

もっともそれが原発推進の根拠になるのは本末転倒なのですが、脱原発といういわば撤退戦はものすごい長期戦になるわけで、今いる兵力だけでなくこれから撤退戦に従事するための兵力を育成し投入していく必要が生じます。


はたして撤退戦だけをおこなうところに優秀な人材が集まるのでしょうか?


仮に優秀な人材を確保できたとしても、原子炉の廃棄と廃棄物の処理は電力会社だけではできずに国の統一した施策になると思いますが、それが唯一の職場・活躍の舞台となった場合に、チェック&バランスが働かなくなるおそれもあります。

たとえば「安全を保証できない」という理由で巨額な予算を要求された場合に、それを批判的に検証することは可能なのでしょうか。


「原発村」がなくなったとしても「脱原発村」ができてしまっては意味がありません。
しかもそこには希望者が少ないがゆえに競争原理が働かないとしたら、へたをすると今より悪い状況になってしまうかもしれません。

脱原発には直接的な費用だけではなく、そのための研究者や従事する体制も含めた検討が必要だと思います。


まあこれはいわば当たり前のことなんですけど、日本では(日本に限らない?)、後始末・川下・事後処理の仕事はとかく軽視されがちだという自戒も含めて。


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そんなことではなかろうかとは思っていたが

2012-01-23 | 原発事故・節電・原発問題
やはり残念。

NHKニュース 政府の原災本部 議事録を作らず

責任追及以上に、どういう情報を元に意思決定をしたのか、どういう情報が必要だったのか、何が想定外だったのか、何を準備すべきだったのか、指揮命令系統への反省点、緊急時の意思決定において陥りがちな陥穽など、今後に生かすべき情報が山のようにあったでしょうに。

証拠を残さないという明確な意思があったなら事の是非はさておきまだましですが、自分たちのやっていることの意味を理解していなかった、または対応に追われて考える余裕がなかったとしたら、そういう冷静な視点を持てない程度のレベルだったというところから反省して立て直す必要がありそうです。


このニュースを見て思い出したのが、映画『プラトーン』の最後の方の場面。
基地がベトコンの猛攻で陥落必至となり、司令官が爆撃機に基地を爆撃目標として指示する場面。
ここで司令官は爆撃機のパイロットに「これは俺の指示だと記録しておけ」と言います。(下の動画の7分50秒あたり)

このセリフは最初に映画を見たときから妙に印象に残っていたのですが、戦闘における意思決定は生死を伴う判断なので、記録に残して指揮命令や責任の所在をはっきりするという習慣があるのでしょう。


震災のときに官邸でも自衛隊からきた若手が冷静さを欠かずに頼りになったという話がありましたが
こちらの2~3ページ参照)、自衛隊しか頼りにならない、という状態は長期的にはよろしくないと思うので、政府の緊急対策本部のメンバーになる人たちは、非常時の対応について一定の訓練を受けおいたほうがいいように思います。


(戦争映画なので人が死ぬ場面が大量にありますのでご注意を)
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チリも積もれば流れ出す

2011-10-13 | 原発事故・節電・原発問題

(追記あり)

東京でもホットスポットが見つかったという話が話題になってます。

東京・世田谷で高線量 2.7マイクロシーベルト
(2011年10月12日 asahi.com)

今回の数値は、計画的避難区域の福島県飯舘村役場のモニタリングポストで12日に測定された毎時2.115マイクロシーベルトより高い。ただ、毎日8時間を外で、残りを木造家屋で過ごしたと仮定して計算すると、年間被曝(ひばく)量は14.2ミリシーベルトとなり、国が避難を促す目安としている20ミリシーベルトよりは低い。

数値の持つ健康被害に対する意味を科学的に説明せずに、ここで飯館村を引き合いに出すのはなぜなのでしょうか?
「(危険な)飯館村より放射線量が高い(ので危険だ)」という妙な三段論法風を用いるのは如何なものかと思います。(先般辞任した「放射能うつっちゃうぞ」大臣と根っこのところは似たような発想のような・・・)

それはさておき、 国の除染基準、1ミリシーベルトに引き下げ 環境省案(2011年10月10日 asahi.com)によると

除染は事故で過剰に被曝(ひばく)する放射線量(追加被曝線量)が年1ミリシーベルト以上の地域、災害廃棄物の処理は1キロ当たり8千ベクレル超を基準に、国の責任で対処する。

とのことなので、ここの除染費用も国が負担することになるのでしょうか。 
比較的時間に余裕のある都市部で早期に念入りな測定が始まり、そちらに除染の予算と人手が割かれて福島県などの被災地に手が回らないということのないように願いたいものです。

さて、冒頭の記事では 

野口邦和・日本大学専任講師(放射線防護学)は「これぐらいの高い値のまま放射性物質が都内に降ったとは考えにくく、雨水がたまるなどして濃縮されたのではないか。(以下略)

とありました。 

ならば雨水が流れ込む下水道施設は放射線量を測っていないのだろうかと東京と下水道局のサイトを調べるとちゃんと測定していました。

下水道 放射線情報

そこにある「下水処理における放射能等測定結果」をグラフにしてみました。
「脱水汚泥」(下水を処理する際に発生した汚泥から水分を取り除いたもの)を測定したもので、単位はBq/kgです。
測定対象は放射性ヨウ素131、放射性セシウム134、放射性セシウム137の3種類です。

放射性ヨウ素131




放射性セシウム134




放射性セシウム137




これをみると、5月以降順調に減っていたものの、ヨウ素は7月以降場所によって濃度が高いところがでてきていて、8月から9月にかけては5月を上回るところもあることがわかります。
またセシウムはおおむね順調に減っているものの、7月には一度高くなっています。

ちなみに下水道局の測定は脱水汚泥を焼却した汚泥焼却灰についてもおこなわれていて、9月26日時点でも国が災害廃棄物の処理費用を負担する1kgあたり8000ベクレル超のセシウムを検出しているところもあります。


素人考えですが、原発事故時に地上や樹上に堆積した物質が大雨や台風のたびに下水に流れ込んだためこのような測定結果になったのではないかと思います。
その意味ではまだまだ地上に蓄積している量は多いのではないかと推測されます。
そしてそれが地上でたまっていたのが上のホットスポットなのではないでしょうか。


東京都民も放射能とは息の長いおつきあいが必要なようですし、除染も他人事ではない人が増えれば、技術も従事する人も増えるので、考えようによっては逆にいいことかもしれません。


***************

(追記)

文科省「原発と無関係」と断定 瓶の中身はラジウム

だったそうです。

戦前から戦後にかけてはラジウムががん治療に広く使われていたといい、処分費用が高額だったため不法に廃棄されるケースもあったとされる。

って、そっちのほうも心配。


 

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サンマ

2011-10-08 | 原発事故・節電・原発問題

<福島第1原発>半径100キロの海域「操業禁止」サンマ漁
(10月7日(金)21時10分 毎日新聞)

前日の
<サンマ>金華山以南扱うな…北海道の流通加工団体が要望
(10月6日(木)22時34分 毎日新聞) を受けたものです。

今後漁場になってくる100キロ圏以東の海域は今月中旬、100キロ圏以南は11月上旬に検査し、操業できるかどうかを決める。

とのことですが、北海道サンマ産地流通協議会の主張は  

サンマの漁場は今後、北海道沖から南下するため、同協議会は、同原発から100キロ以上南で漁獲されるサンマも福島沖を南下する際に放射能の影響を受けている可能性があると心配している。 
会見に同席した幹部は「水揚げされても競りに参加しない」「一匹でも放射能が検出されれば、国内のサンマ業界はすべて駄目になる」

というものなので、今回の意思決定についても「自粛緩和にならず前進したが、要請通りではない」と言っています。

サンマのような足がはやく単価が安い魚について全数検査体制を引くのは現実的ではないので、「君子危うきに近寄らず」で行こうというのは消費者側から見ても安心です。  

ただ、これによる水揚げ減が東京電力の補償対象になるかというと微妙なところなので、漁協としてはできれば水揚げを増やしたいところなのでしょう。 
しかし、水揚げをしたサンマから放射能が検出された場合は、廃棄コストや相場の下落、風評被害防止のための検査強化費用を損害として東電に請求することになりますががその場合も、相場の下落については漁獲量とも関係するので東電が争ってくるリスクもあります。

不法行為の損害賠償請求一般についても言えるのですが、裁判になった場合に損害額の認定というのは損害の回復に対して現実的には不十分なことが多く、しかも金銭賠償なので失ったものが戻ってくるわけではありません。結局「やられ損」になってしまうわけで、今後の被害を少なくするためには、原発事故の影響を最小限に食い止めようという努力を会社や個人が自腹で行なう必要が出てきます。  

一方で、愛知県の花火や大阪府の橋梁工事などにも影響が出ているので、賠償請求の範囲が想定以上に広がる可能性もあり、東電としては、最悪バンザイしてしまうという選択肢もあるわけで、そうなると破たん処理になり、間接的に国民の負担ということになります。  

だとすると、このような放射能被害(風評被害も含む)を未然に防ぐ努力は事業者だけでなく国民のためにもなるわけです。
そうすると消費者としても不必要に消費を手控えないことも大事だし、生産者も安心感を与えるために努力をするという好循環を作っていく必要があります。

その点からは、今年は福島以南は全面禁漁という北海道サンマ産地流通協議会の主張には共感できます。  


ところでサンマ以外にも、回遊している魚(マグロやカツオなど)の蓄積の有無というのは継続的にモニタリングする仕組みができているのでしょうか。


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昨日の補足

2011-07-18 | 原発事故・節電・原発問題

女子サッカーW杯優勝おめでとう。
2度も追いついた後の見事な勝利。


これが「なでしこ」なら日本男児はどうあらねばならないかと考えてしまった。



昨日早寝してしまっったんだけど、風呂に入っているとき、昨日のエントリを何で書く気になったんだったのか思いついた。


「原発は危険だから脱原発・再生可能エネルギーだ」という思考回路は「自民党政権がダメだから政権交代」という思考回路と似通っているんじゃないか。
政権交代も大事だけど、一番大事なのは交代することじゃなくてちゃんとした政治をする政権を選んで監視すること。
それに懲りてるはずなのに、脱原発・再生可能エネルギーへの移行が全てを解決するというのは同様の判断停止に陥ってはいないだろうか。

電力供給は政権交代以上にコストもかかるし、一度方針転換すると元に戻すのも大変だから、よりきっちりした議論と検証が必要なのに、お互い違う土壌から罵り合いみたいな議論は不安を覚える(どちらが勝ったとしても)

まあ、政権交代よりましなのは、選挙だと一度選んだはずの議員が多数派工作によって連立とか政党を代わったりして妙な政権になったりすることがあるけど、太陽光発電所が急に原発に変わったりはしないというあたりは少しはましだけど。

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半原発

2011-07-17 | 原発事故・節電・原発問題

自分自身は原発については反対か推進か意見が定まっていない。

原発をいきなりなくすのは現実的でないと思うが安全対策については再検証したほうがいいとは思う。
また、今までの原発神話を前提にした地元自治体に運転再開の意思決定を委ねるという仕組みや発電量に比例する補助金というのも、リスクに見合った、そして責任の所在を明確にした合理的なものにしたほうがいいと思う。
一方で再生可能エネルギーによる発電を増やしていくのも必要だと思う。

という、まあありきたりな考え。


一番の理由は、推進派の意見も反対派の意見も、どうも腹に落ちてこないこと。


推進派、たとえば経団連的な主張-電気の安定供給がなければ製造業は成り立たないし、海外移転・国内の空洞化が進む-など。

海外移転云々は円高のときにも言われているし(*)、海外移転する企業はとっととしている。でなければ「人材のグローバル化」などと言わないはず。
(* ちなみに輸出入でも円建て取引が進んでいるし、輸入はドル建てであれば円高はかえって企業収益にプラスなのでこの円高議論ももう少し精査したほうがいいと思う)

それに、電気の安定供給というのは震災の前から経営の重要課題だったわけで、実際大企業では新規参入の電気事業者(PPS:特定規模電気事業者)と契約しているところも多い。(リスク分散というよりコスト面のメリットが大きかったのかもしれないが)
そして今回PPSからの供給を受けている大規模事業所もなぜか経産省の電気使用制限の対象になっているが、それに経団連や大企業は表立って異議を唱える様子もない(さらに計画停電のときに東電の送電網が使えず、せっかく買ったPPS電力を使えなかったことについても文句-送電発電の分離論-が出た様子はない)。

また東電の安定供給を信用していたという経営判断があったのであれば、今回の自体は「想定外」ということになるが、もう一度原発に回帰するのであれば安全性の確保についての需要者側としての要求を出すのが普通である。

この辺をおいて原発推進といっても、日本経済というよりは「お仲間」意識を優先していると見られかねない。


一方で、反原発派も、「原発は危険だからなくせ派」と「再生可能エネルギー推進派」の間の温度差があるように感じる。後者の専門家は技術的なハードルを意識しているのに対し、前者から来ている人はその点を楽観視、または当然乗り越えるべきハードルとして議論をしているように思える。

「日本は地震大国(ひいては津波のリスクもある)だから原発は危険だ」という議論は前者の人からよく言われる。確かにリスクとして存在することは間違いない。

でも、ふと思ったんだが、日本は地震大国でもあると同時に火山大国でもある。
フィリピンのピナツボ火山の噴火では、噴煙で日射がさえぎられ冷害の影響が出たわけで、太陽光発電への依存度があまりに高くなると、今度は火山の噴煙で影響を受けるリスクなどもあるのではないか。
今回の原発事故について869年の貞観地震を想定に入れなかったことが反省点とされているが、1707年に宝永大噴火を起こした富士山の噴火と火山灰のリスクも考えないと片手落ちになろう。



ということで、結局よくわからない。


こんな自分の立場を「僕は半原発派です」と言っているが、これはウケるときとスベるときがある。

スベるときは議論が原理的な対立に終始しているときが多いような気がする。


まあ、そういう状況を承知で発言するんだから自殺行為なんだけど。

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九電「やらせメール」補足

2011-07-09 | 原発事故・節電・原発問題

toshiさんの続報へのコメントでこんなことを考えました。

今回私が九電はよくないと思っているのは

① 一般市民をかたるのはアンフェアである
② 組織的行為ということが露見したときにかえってダメージになるということがわからない(または露見しないだろうと思う)リスク管理のセンス

という点なのですが、考えてみると

③ 一般市民をかたらないと原発再開に向けての説得力ある意見が提示できないと電力会社自体が認めている

という意味では最初から九電の負け試合で、そこに問題の本質があり、「やらせメール」は最後に自ら止めを刺しただけだったのかもしれない。


九電の社長辞任の当否についてはいろんな意見があるようですが、自らの進退を会長に相談しないといけないような人は社長の職責には向いていないと思います。
そういえば、電力会社は株主総会の議長は皆社長でなく会長なんですね。

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九州電力「やらせメール」問題

2011-07-07 | 原発事故・節電・原発問題

既にtoshiさんのブログで取り上げられているのですが、そこの追記にこんなことが  

たいへん反響が多く、数名の方からご異論を頂戴いたしました。私も本エントリーをアップする時点より予想はしておりましたが、「九電のやらせメールのどこが悪いのか?」「支援企業であれば、これくらいは当然だろう!」「愛社精神があるなら、依頼メールを送るのが当然」「これは典型的な九電パッシングであり、世論とマスコミは意見が違う」など、であります。(以下略)  

「数名の方」の反応なので多数ではないのかもしれませんが私はちょっと意外でした。  

私の考えは、「九電関係者が一般市民と偽って番組に意見を出すのはアンフェアだし、それ以上にそうやって情報操作ができると思うこと自体がそもそも稚拙な発想だ」というもの。 

個人が自分の考えを言うとか仲間を募って発言するのは自由ですが(今回も、「九電の関係者ですが、個人的な意見として・・・」というメールでありそういう呼びかけであれば、物議はかもすかもしれないので広報的には嫌がるかもしれないけど問題はないと思います。)、会社の業務の一環なり業務上の関係に基づく依頼であれば不適切でしょう。  

会社のリスク管理からいっても、情報操作的な手法は万が一表に出たときの事を考えるとリスクが大きすぎるので、組織(少なくとも広報とかリスク管理部門)の意思決定であれば決して取らない手法だと思います。  


毎日新聞 などによると、九電原子力発電本部の課長級社員が九電の他の部署や子会社の社員に、九電関係者と分からないように「発電再開容認の一国民の立場から、県民の共感を得るような意見や質問を発信してほしい」と依頼したということのようです。

この課長としては愛社精神を発露したのかもしれませんが、私が九電の広報やリスク管理担当だったら「とんでもないことをしてくれたもんだ」という反応をすると思います。  

* toshiさんの2度目の追記によると、この依頼は部長級の指示に従って行なわれたとのことです。偉くなるほど世の中の常識からずれていくという典型のようですね。

さらに疑問なのが、メールを受け取った人が「こういうのまずいんじゃないか?」とこの課長に疑問を呈したり止めたりしなかったのかということ。 
子会社の社員は立場上言いにくいかもしれませんし、九電の社員もたとえば元上司部下の関係で言えなかったのかもしれません。 ただその場合は内部通報制度などを利用することができるはずです。

九州電力のコーポレートガバナンス報告書には

当社及びグループ会社の社員等からコンプライアンスに関する相談を受け付けるため、「コンプライアンス相談窓口」を社内、社外にそれぞれ設置し、相談者保護など、適切な運営を図っております。

とありますので子会社も利用できるようです。  

しかし結局「やらせメール」が発信されたということは、考えられるパターンはつぎの5つでしょうか。

① メールを受けた社員も依頼内容が不適切だと思わなかった(広報部などに相談する必要もないと思った)
② おかしいと思ったが上司に逆らうのが怖かった
③ 内部通報制度の利用に心理的に高いハードルがあり利用できなかった
④ 他の社内の人(広報部など)に相談したが問題視されなかった
⑤ 内部通報制度を利用したが問題視されなかった  

いずれにしてもどこかのレベルで従業員に価値観の統一・徹底がなされておらず、「愛社精神の暴走」(ひょっとしたら内部的には「愛社精神の発露」だったのかもしれません)を止められなかったという点で組織的に問題があったように思います。  

九州電力グループ行動憲章を見ると立派なことは書いてあるのですが、もっと単純な「フェア・アンフェア」というような視点があったほうが末端まで浸透しやすかったかなと思います。  


今日になってついに九電社長、辞意固める やらせメール問題で引責ということになりました。

マスコミにバッシングされたとか海江田大臣に国会で非難されたし処分必至なので社長の首を出さないと収まりがつかないというところからの判断なのでしょうが、どこに責任を感じたのか、何を変えるのかを明確にしないと、現時点では部長クラスまで仕切りが利いていない会社だということが明らかになったので、同様のことがまた起きそうな気がします。

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「節電は自己責任で」

2011-07-04 | 原発事故・節電・原発問題
節電を呼びかけながら「でも熱中症には注意しましょう」と申し訳のように付け加える報道に違和感を感じるい今日この頃。


そこで期待するのが日弁連。
3月のエントリで日弁連の「東日本大震災法律相談Q&A」をくさしたのですが、せっかくなら「節電Q&A」というのも作ってほしいと思います。

たとえばこんなやつ。


Q1:電力会社の節電要請に従ってエアコンの使用を我慢したのですが、熱中症で入院をすることになりました。電力会社に損害賠償請求はできるでしょうか?

Q2:電力需要が供給余力を上回りそうになったときの計画停電や、万が一の事故停電のときはどうでしょうか?

Q3:会社で節電のために照明を落としているのですが、それで視力が低下しました。これは労災になりますか?

Q4:節電の義務のある大規模事業所ですが、デスクワークがメインで空調を大幅にカットしないと削減義務は達成できそうもありません。事務所の温度が28度を超えて従業員が熱中症などになった場合、労基署から事務所衛生基準規則5条3項違反として指導を受けることになるのでしょうか?


そもそも節電は「要請」に過ぎず、また電気供給約款上は電力会社は護られているし、不法行為や労災も因果関係の壁もあります。
節電は自発的意思に支えられている以上結果についても自己責任なわけで、構造的には「正直者がバカを見る」という構造になる、というあたりをはっきりさせるべきだと思います。


このご時勢にそんなことを言うと非難されそうですが、世の中の流れに抗しても国民の権利を護るのが日弁連の役割の一つだと思うので一石を投じてもらいたいと思います。

そして自主的な節電のリスクを承知したうえで、どのように節電に取り組むかを一人ひとりが考えないと夏は乗り切れないように思うのですが。

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節電関係余談

2011-07-03 | 原発事故・節電・原発問題

先週聞いた話あれこれ。


各社節電に試行錯誤の様子。

総務部が自ら範を示そうとしたものの、もともと空調の利きの悪い部屋に人数を押し込んでいるので、空調を28度に設定しても軽く30度を超えるところがあって困っている。

一方で、厚い寒いの感じ方には個人差が大きく、女性だけでなく男性でも28度超えても背広の上着を着たまま涼しい顔をしている人もいるので、室温分布をベースに席替えをしようか検討中。

クールビズでポロシャツを認めようという議論の中で、さすがにシャツの裾はズボンの中に入れようという話になったところ、人事部の若手が「生まれてこの方ポロシャツを中に入れて着たことがありません」といいだし、結局そんなことでもめるのもバカらしいのでポロシャツはNGになったなどということもあるそうです。
そうでなくても人事が作るドレスコードは解釈が微妙だったりするし、いちいち確認すると薮蛇になったり挙句の果てに高校の校則みたいになってしまうので、結局は適当なところで大人の判断でやってるところが多いようです。

役所では外気温が30度を超えないとそもそも空調をつけないという運用が多いようで、仕方ないので窓を開けると薮蚊とか入ってきて過酷な状況らしい(窓の開かない新しい庁舎での運用はわかりません)。

ピークシフトのために輪番操業をやったはいいが、大手メーカーだと業態ごとに休む曜日が違うので各部門から人を集める会議を何曜日に設定するか困っている。
(そのおかげで不要不急の会議が減るというメリットもある?)

東京電力に依存しない独自の電源(ガスとか自分の発電所とか)をもっているところでも、事務所をギンギンに冷やすのは世間体が悪いので、ちょっと温度を高めにして、しかも入り口に「冷房には独自の電源(熱源)を使っています」などと断り書きをしている。
(このへんはとても日本の会社らしいですね。)



節電関係ではないものの、保安員の西山審議官が更迭された件で、公務員は職務を果たせばいいので私生活上の問題で更迭するのはやりすぎでは?という感想を述べたところ、大企業の広報的には、(事の是非を問わず)マスコミに突っ込まれるスキを与えること自体が問題で、広報担当というポジションであれば交代はやむをえない、という意見も。

ただ、それが社内的に出世に響くかどうかは別問題。その人が優秀な人材ならほとぼりが冷めたら別の部署で復帰するんじゃないか。
役人の世界も、そもそも大臣とかも不倫騒動の前歴(細野原発大臣は有名ですね)があるので、キャリアに×がつくということはないのではないか。

大人の世界はいろいろむずかしいようで。

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楽しい節電

2011-06-24 | 原発事故・節電・原発問題

電力不足問題、消費電力のピークは暑さがピークになる13時~15時と予測されていたが、実際は16時台が一番電力消費が大きかったらしい。

家庭では子供や主婦が家に戻ってエアコンをつけたり、会社でも外出者が戻ってきてパソコンを起動させたり空調の我慢が限界に達した頃だったりするからだとか。

勤務先でも節電のお達しが来たのだが、前者一律のためにルールが杓子定規にならざるを得ないということはわからなくはないが、目的が「節電」でなく「我慢」「自粛」になってしまっている感じがする。
ゲーム感覚で楽しんでやらないと「やらされ感」ばかりつのって生産性が落ちると思うんだけど。

そこで考えたアイデアをいくつか

  • 部署ごとに時間帯ごとの目標消費電力を設定して内訳は好きにさせる。
    そもそも使用電力の削減といってもピーク時電力のカットが重要なのだから、早朝とか夜間まで照明を減らす必要もないし、また部署の仕事内容やオフィスのレイアウトによって執務環境における空調と照明の影響が違うので、そこは各部署の裁量に任せたほうがいい。電気の子メーターくらい簡単につけられそうだし。
  • いっそのこと勤務時間帯も部署ごとの裁量制にする
    就業規則や労働協約の問題はあるだろうけど、取引先の関係や季節的な繁閑でお盆シーズンは開店休業状態のところとはまとめて休みにするとか、8月は全般的に暇であれば月水金は半ドンにするとかを部署ごとに決められるようにしたらいいのではないだろうか。
    もっと極端には、6時始業12時終業にして空調を効かせて効率よく仕事するとか。
  • 執務室の温度をいくつかに分け、自由に部屋を選べるようにする。
    全社フリーアドレスにするのが前提ですが、若い女性ほど通勤時に薄着でしかも寒がりだったりするので設定温度の高い部屋に集まる→男も集まる→結果的に設定温度の高い部屋の割合が増える、となるのではないかと。
  • 執務室内裸足可とする
    体感温度的には効果あると思うのですが、足が臭い奴の扱いとか靴をはいていると「シークレットシューズ疑惑」にさらされるなど、社内の人間関係に悪影響を及ぼすかもしれない。
  • 役員への説明をポイント制にする
    大概役員室は上の階にあるので、エレベーターを使うのは節電に良くない。なので役員とのアポ1回あたり何ポイントとポイント制にして、それ以上は階段を使わなければいけないようにする。そうすれば説明も効率よく行なうことになるし、メールでの連絡で代替すればITに苦手な役員のスキルアップにもなるはず。
    ただし茶坊主が多い会社は、汗をかきかき「馳せ参じました!」という輩が増えて逆効果か・・・

供給側、需要側とも全然スマートじゃないw

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