一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』

2018-02-19 | 乱読日記
考えさせられた。

前半ではAIにできること、できないことを、世間の誤解も含めて明快に解説している。
後半では本来AIに対して優位に立つべき「意味を読み取る力」が落ちている現状を大規模に実施したリーディングスキルテストの結果をもとに厳然たる事実として提示している(大人も含めてなので今に始まったことではないのかもしれない)

印象的だったのが、AIは観測も数量化もできないことは無視してサンプルとの差を最少となることを目標とする、すなわち真の世界と確率を意図的に混同しているというところと、「学」から始まる単語を見ると「学級」でも「学年」でも「学業」でも全部「がっこう」と読む生徒になぜか、と訊ねたところ「その方がよく当たるから」と答えた、という話。

ドリルと暗記だけでそこそこの大学までは行けてしまう(のでそこそこの会社には入れてしまう)という現状は「AIに淘汰される仕事」以前に「人間がAIのレベルに下りて行っている」という自殺行為であり、それを止めないとAIが進歩しなかったとしても先がないように思える。

「東ロボ君」プロジェクトを主導し、現在は中高生の読解力をあげるための研究開発をしている著者の、現状へのいらだちが伝わってくる。

★5



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『主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿 』

2018-02-12 | 乱読日記

共著者の伊勢崎賢治氏は最近メディアやtwitterなどで盛んに情報発信しているが、本書は日米地位協定と今の日本の主権のありようについて、過去の歴史や他国の事情も含めて詳しく説明している。
憲法改正について考える前に必読の書だと思う。

憲法とは、国家の骨格を決めるものです。しかし、今の日本は、日米地位協定によって、国家から主権が骨抜きにされている状態です。主権を回復せずに改憲を論じても仕方がありません。国論を二分する改憲論議をする前に、まずは政府と国民が一つになって地位協定の根本的な改定に取り組み、主権国家としてアメリカと「対等」な関係をつくりなおすべきではないでしょうか。

 ちなみに、自民党内でも2003年に「日米地位協定の改定を実現し日米の真のパートナーシップを確立する会」という議連が日米地位協定の改定案を出したことがあった。その時の議連の幹事長が現外務大臣の河野太郎衆議院議員であり、当時の発言からも地位協定の問題点は十分認識していると思われる。
憲法改正議論になった時に河野太郎外務大臣の身の処し方に注目したい。

★5

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