一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

映画もろもろ

2013-06-29 | キネマ

『ダイハード/ラストデイ』

実は主人公のジョンには前作に登場した娘だけでなく息子もいたらしく、それとのからみ。

見どころは冒頭のモスクワ市内のカーチェイス。
メルセデス・ベンツがスポンサーになっていて、他社の車が蹴散らされ、踏みつぶされる中で、ベンツ の車だけは大丈夫という、昔の「西部警察」における日産車をほうふつとさせる。

この映画のおかげでウニモグが1、2台売れたかもしれない。


 


 『Promised Land』
 
マット・デイモン演じるシェールガスの採掘権を獲得するために住民の同意を取り付けるガス会社の腕利き社員がある田舎町に赴き、順調に進むと思っていたが・・・という話。

マット・デイモンのキャスティングから期待される役柄から微妙にずれていって、どうやってまとめるんだろうと思ったが、最後ひねりを効かせてきれいに着地。

マット・デイモンの相棒役を演じるFrances McDormand(『ファーゴ』の主人公の女性警官(保安官だっけ)役)がここでもいい味を出してる。

途中、ちょっと印象に残るカメラワークでとらえられるレモネード売りの女の子に注目。
最後のところで、いいセリフを言います。

 

『Side Effects』

NY在住の女性に処方された精神安定剤の新薬が予期せぬ副作用を生んで・・・というサスペンス。

スティーブン・ソダーバーグ監督、薬を処方した医師役でジュード・ロウ。
ネタバレになるので(しかも、その仕掛けが映画の面白さの大半を占めている)細かいことは言いませんが、ソダーバーグだけに単なるサスペンスだけでなく製薬会社と医師の関係など社会問題を背景に織り込んでいる。
映画としては途中まで何を焦点にしたいのかわからない感があるが、これも最後のほうで「そうくるか」とわかります。

問題作、というよりはよくできた小品。



『PREMIUM RUSH』

自転車便(バイク・メッセンジャー)が事件に巻き込まれる、という話。
ニューヨークの土地勘を思い出すのに役立つかなと思って観たのだが、ストーリー上は北から南に秘密の荷物を運ぶ、という話だったので、あまり役に立たず。
現地の人の話では、バイク・メッセンジャーは一時非常にはやったのだが、交通ルールを無視し、事故も多いので取り締まりも厳しくなり、一時期ほど多くはないらしい。
この映画は2012年の作品なので、全盛期だったころに製作が決まったのだろう。
映画としては多少の無茶をするほうが面白いのだが、確かに現実にこれをやられるとたまったものではないだろう。

ストーリーは可もなく不可もなく、普通。
自転車アクションシーンが見せ場の映画。

 

 

『Identity Thief』

クレジットカード情報を盗まれた主人公が、犯人のオバチャンと珍道中を繰り広げる、という話。
犯人役のオバチャンはアメリカで人気のコメディアンらしい。
脇役も含め登場人物の設定や演技が過剰な感じ。
ストーリー展開もどこかで観たようなシーンの焼き直しが多い。
それがウケるのかもしれないが、観ていてちょっと食傷気味になる。

 

 

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社畜考

2013-06-27 | うろうろ歩き

出張ネタ続き。

サンフランシスコはGoogleやfacebookなどのテクノロジー企業でとても景気がいい。
若手の社員はナイトライフ目当てにシリコンバレーでなくサンフランシスコ市内を好むので、市内の家賃が高騰しているらしい。

Googleなどの企業はサンフランシスコ市内から本社までG-Busというシャトルバスを何本も運航しているし、社員食堂は家族も含めすべて無料。社員食堂といっても多様な人種に合わせて各国の料理があり、しかもそれぞれとてもおいしいらしい。
一度家に帰ってから家族で社員食堂に出直す人もいるとか。
あげくのはてに社員食堂のシェフの引き抜き合戦も起こっているそうだ。

日本で「会社の仕立てたバスで通勤し、社員食堂で食事をする」といえば、真っ先に「社畜」というレッテルを貼られそうである。

一方でGoogleの社員を社畜とは言う人はほとんどいない(と思う)。


また、Facebookの本社は"1 Hacker Way"という自ら名づけた(と思う)住所にある。シアトルのMicrosoft本社も"1 Microsoft Way"にある。

でもそれを言うなら、トヨタ自動車の本店所在地は「豊田市トヨタ町1番地」である。



この違いはどこから来るのだろうか。


会社で若い奴に聞いてみたら「そりゃGoogleやFacebookのほうがかっこいいからでしょ」と即答された。

まあ確かに、自分のイメージでは日本の社員食堂は「トレーの上にプラスティックの食器にメンチカツか何かが盛り付けられた日替わり定食500円」という感じで、おしゃれとかかっこいい、とは無縁な感じがする。
一方で社員食堂をモチーフにした丸の内の「タニタ食堂」は人気である。

おそらく社員食堂も、高度成長期の昭和30年前後は先進的で衛生的でオシャレだったのではないか。
車も普及せず、公共交通機関が行きわたらなかったころは、専用バスは必要な足だったであろう。
社宅という制度もそうだったのだろう。
それらの進展にそって、一定条件を満たした会社の福利厚生は給与所得として課税しないなどの税制も整備された。

しかし制度は固定化する。

そしていつの間にか時代遅れでニーズに合わなくなっているが会社側は税制優遇の範囲を上限とし、従業員は安いから仕方なく使う、というものになってしまったのではないか。


格好悪いのは、社員食堂などの結果ではなく、そういう考え方のほうなのかもしれない。



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米国駆け足

2013-06-25 | うろうろ歩き

駆け足で出張。

ニューヨーク

昨年のハリケーン・サンディのときにLower Manhattanは広範に浸水したのですが、ビルの地下に設置したボイラーなどの機器が取り出せないため、こんな感じで外付けにしている建物が多かった。

日本のビルも東南海連動地震による浸水リスクを考えると、考慮したほうがいいのかもしれない。



スローガンは目標であり、目標ということは現時点では達成できていないということなのだろうか。




自転車シェアリング。CITIBANKがスポンサー




自転車シェアリングは流行らしく、ワシントンでも



上下は関係ないけど(ビルオーナーが中国系?)なんか縁起がよさそう。








 

 

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都議会議員選挙

2013-06-23 | まつりごと

都議選の投票に行ってきたが、昨年の総選挙に比べてかなり閑散としていた。

改めて選挙公報や投票所の前にある選挙ポスターを見てみたが、都議会議員のアピールするポイントというのがどうもしっくりこない。

特別区には日常生活にかかわる多くの事務の権限と予算があるので、都議はより大きな政策や予算配分に対する判断が求められるはずだ。

しかし、「区議会議員の実績」をアピールする候補者や、「子育て支援」のような区の権限+国の法律や補助金関係のことを主張していたりする候補が多い。
さらには「この区初の女性都議を」という、なぜ区単位で考えなければならないのかわからない主張をする候補もいる。

そもそも都議会議員は区ごとに選挙区を設ける必要があるのだろうか?

地域の利益代表であれば、各区・市の区議会から代表を出して1議席与えればいい。
島部の代表を1出してもこれで52。
そして「全都区」の大選挙区で定数40の比例代表にすれば、中小会派の意見も反映しながら現行の定数127から3割削減できる。
それに、各区・市からの議員の歳費は各区・市からも支給されることを考えれば現状の半額~1/3程度でいいかもしれない。

「全都区」だと選挙に金がかかる、という意見もあるかもしれないが、東京都も一部出資している東京MXテレビで長めに政見放送を流すとか、ネットでの配信などで補えるはず。
(そもそも都議会議員選挙は告示から9日間しか期間がなく、それに加えて1ヵ月くらい前からの事前運動もどきの街頭演説程度なので、現状でも候補の主張が十分伝わっているとは思えないのだが。)

政治家としては、区議→都議(→国会議員)という出世双六があるのかもしれないが、区議と都議の選出方法やインセンティブの在り方が近すぎるような気がする。



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統一球考

2013-06-22 | よしなしごと

統一球の騒動では、「品質管理のできないミズノから買わずに、メジャーリーグに供給しているメーカーから同じものを買えばいいのではないか」という議論はなぜか出てきていないようだ。

それこそ本当に「統一球」になるし、WBCにしろオリンピックにしろ、違和感なくとけこめるのではないか。

1980年代に日米貿易摩擦で米国製金属バットへの関税などが問題になったことがある。
TPP加盟を目指す中でもいい話題作りになるのではないか。

こういう話をすると、日本の野球用品メーカーを守れ、とか日本の野球文化を守れ、とかいう議論が出そうである。

なんだかTPPと農業をめぐる議論に似ている。

食糧安全保障や食の安全を守ることイコール農協や農家を無条件で守ることではないのと同様、統一球の問題において守るべきはプロ野球のルールの透明性と公正な運用の担保であって、用具メーカーではない。
国産用具メーカーが公正さを確保できないのであれば、国産メーカーであるということは、保護される理由はない。

日本の産業が国際競争力を取り戻し、企業が世界で戦えるようになるための象徴として、統一球の調達も世界に開くべきではないか。

そんなことを、読売新聞あたりが書かないだろうか。

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統一球

2013-06-21 | よしなしごと

ごぶさたしてますが、生きてます。


プロ野球の統一球について、協会がボールの反発力を選手・球団に伝えないで変えていたことが問題になっている。
協会というのが何の目的のためにあるのか、歴代有識者が就任しているコミッショナーという存在については改めて議論したほうがいいと思う。

ただ、そもそも一番の問題は、「統一球」といいながら規定の反発係数を下回るボールを提供していたミズノなのではないか。
それではそもそも「統一球」になっていない。

野球用品の老舗としていかがなものか。

統一球 言い訳せず世間の反発を抑えたミズノの謝罪力は高い
統一球で「中国産」リスクにはまったミズノ 反発力数値が下ブレ

という意見もあるが、協会との力関係云々の前にメーカーとしての能力が問われてしかるべきだし、中国で作ろうがどこで作ろうが、自社製品として出荷するのに検品が適正に行われていなかったことには変わりがない。


得意と言われている「日本のモノづくり」は大丈夫なのだろうか?



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『小田島隆のコラム道』

2013-06-15 | 乱読日記

小田島隆のコラムは面白い。


理路の足元を照らしながら歩くような語り口についていくと、気がついたら切り口が景色として目の前に提示されている。
まあ、最後までグダグダなのもなくはないが、そのグダグダも面白い。


本書は小田島隆がコラムについて語る、という自己言及はなはだしい本。
エッフェル塔の足元ではエッフェル塔がどう見えるかというような企画である。

なので、理路グダグダ感が満載で、面白いことこのうえない。
まずは読んでいただきたい。


ネタバレになってしまうが、気に入った個所をいくつか紹介。

 どうしてアタマの良い人が、良い文章を書けないというようなことが起こりうるのだろうか。
 おそらく、このことは、魅力的な会話を成立させる能力と、マトモな文章を書くための能力が、まったくかけはなれているということに由来している。


 技巧のない書き手は、どんなに良い話を持っていてもそれを良質のテキストとして結実させることはできないし、意欲を高く保ち続けることのできない書き手は、最終的に、原稿を読める水準の作品として着地させることができない。


 つまり、モチベーションは、書きすぎると、枯渇するわけだ。
 とはいえ、書かないでいると書かないことによる枯渇が訪れる。
 ダブルバインドだ。


 ともかく、やってみればわかることだが、現実的には、「全体を受け止める」ことと、「印象的な一行を書く」ことは、非常に両立しにくい作業なのだ。っていうか、ほぼ無理だと思う。
 ・・・結局のところ、われわれは、「流れ」と「印象」のいずれかを選択せねばならないことになる。


 問題は、乗れているときに書いた原稿の出来が、必ずしも素晴らしくないことだ。


最後のは特に。

 

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「みんなのミシマガジン」

2013-06-12 | 乱読日記
自由が丘(と京都)の小さな(失礼!)出版社ミシマ社がWebでやっているみんなのミシマガジンのサポーター会員というものになった。

サポーターというのは、同期と結果を逆にして経済事象面だけでいえば紙版のミシマガジンを前払いで年間購読することでwebの運営費用の一助にしてもらおうというもの。(詳しくはこちら参照)


早速紙版の「ミシマガジン」が送られてきた。

Webのコンテンツ同様の日めくりカレンダー風の仕立て。ちょっとおまけがついている。

毎日アクセスするのも面倒だし場所も選ばないので個人的にはwebよりも読みやすい。
また、スマホで読み飛ばす時よりもいろんなことに考えが広がるので、アナログ(かつ初期老眼)な人間にはうれしい。


サイズと厚さが似ていたので、昔の「本の雑誌」を思い出した(今は知らない)。
昔というのは80年前後の頃。
まだ池袋西口には芳林堂書店があって、「本の雑誌」や「広告批評」という当時まだマイナーだった雑誌が置いてあった。

なんとなくそれと同じような熱量を期待したのだが、もっとスマートな感じ。


一番の違いは、編集者の「我」が表に出ていないこと。

それは出版社の編集者と雑誌の編集者の違いなのかもしれない。

webコンテンツでの連載が面白ければ書籍化するという目論見も当然あるのだろうが、それはあくまでも結果であってほしい。

出版を目的にしてしまうと、下手をすると「小説新潮」などの小説雑誌(売れているのだろうか)と同じようなものになってしまいかねない。

サポーターとしては、せっかくなら、もっとミシマ氏や他のスタッフの趣味趣向が前面に出たほうが、もっと面白いと思う。


「みんなのミシマガジン」でなく「俺のミシマガジン」くらいがちょうどいい。



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『学び続ける力』

2013-06-10 | 乱読日記
学生や社会人になりたての20代の若者にはいい本だと思う。
ハウツーでなく動機の部分を読み取ってほしい。


オジサンとしては、オジサンの側から若者にわかりやすく伝える見本として参考になる。


著者ほどの実績や信頼がないときにうまくいくかは別問題だが。


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『企業家たちの幕末維新』

2013-06-09 | 乱読日記
幕末から明治にかけて、江戸時代の商家の盛衰をわけたもの、維新後の企業の盛衰の歴史を、企業家・人材に焦点をあてて書いた軽く読める本。

明治初期は政府の予算が乏しく、資本市場も未発達の中で企業が事業を行うには、少数の発起人とその縁故と信用に依存せざるをえず、必然的に企業でなく個人が注目される時代であった。
その中で、資本家や財界、政府を媒介する役目として渋沢栄一のような「財界人」が登場した。
そういう時代背景から、活躍した企業家-財界人だけでなく財閥を形成した資本家や経営のプロとしての企業家など-を幅広く取り上げている。

「個体発生は系統発生を繰り返す」とすると、新興国でのビジネスは、日本の明治初期のような資本が乏しく個人の信用に依存した時期と、海外での国の資金調達が可能になった日露戦争、世界銀行の融資で新幹線や首都高速ができた第二次世界大戦後、そして金融市場がグローバルにつながった21世紀がギュッと圧縮して、しかも順不同で現出するわけで、一概に「人脈中心の社会で遅れている」などと評価しないほうがいいかもしれない。

逆に本書で取り上げられている明治の企業家達も、資金調達方法が多様にあり、個人資産の海外で有利な運用先があり、安楽で楽しい生活ができる時代であれば、個人資産の事業への再投資をしなかったかもしれない。また逆に、資本側が強い状況では、こういう企業家がは出られないのかもしれない

「明治の人は偉かった」とよく言われるし業績から見ればそのとおりだが、現代に引き直すときには新興国・発展途上国を比較対象にしてみると、何が日本の閉塞感を生んでいるかも含めての頭の整理になると思う。


もっともそんなことを考えずとも、明治初期や江戸時代に創設した歴史のある企業の人と話すときのネタ仕入れという使いかたができる本でもある。



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みんなで大家さん

2013-06-01 | あきなひ

ネット上で話題になってましたが、けっこう影響が大きいかもしれません。

大阪府「不動産特定共同事業者に対する行政処分について」…都市綜研インベストファンド株式会社
http://www.pref.osaka.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=13478

5.処分の理由
平成24年5月より実施している立入検査の中で、被処分者の平成23年度貸借対照表において、下記1から4の会計処理により約32億円の資産過大計上となっていることが判明した。
(過大計上約32億円を控除した被処分者の資産の状況:平成23年度末)
(3)  純資産 
▲約31億円((1)-(2))

実はこの会社は既に昨年行政指導を受けています。

不動産特定共同事業者に対する行政処分について(2012年8月28日)
--大阪府が不動産特定共同事業法に基づき行う処分は初めてです。-- http://www.pref.osaka.jp/hodo/index.php?site=fumin&pageId=11162

この段階では債務超過の(その前に資本基準を満たさない)可能性についてチェックできなかったわけです。


昨年の8月にはファンドの販売会社である都市綜研インベストバンク株式会社という別会社も同時に行政処分を受けています。

東京都「不動産特定共同事業者に対する行政処分について」(平成24年8月22日)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2012/08/20m8m500.htm

しかも、この時点で両社は処分に対しこういうリリースをしています。

監督官庁からの行政処分についての詳細のご報告及び再発防止に向けた体制強化のお知らせ(平成24年8月30日)
http://www.minnadeooyasan.com/_/news/upload/13463129038511_hpkaiji2012.8.30.pdf

(1)会計処理にについて
 当社は会計方針や会計基準については原則として法人税法関係諸法令(法人税法、法人税法施行令、法人税法施行規則及び法人税法令解釈通達、以下「法人税法等」という。)の規定に基づき会計処理を行って参りました。これは不動産特定共同事業法(以下「不特法」という。)の許可を取得し、事業を開始した当初より、不特法が目的とする事業参加者(出資者)の保護と不特法事業の健全な発達に寄与するために、健全な会社経営を行うためには、税務上の要因による比重がキャッシュ・フローに大きく影響を及ぼす事が理由です。
 また不特法は会計処理に対して何ら法規制は無く、当社は非上場企業ですので、金融商品取引法以上にコンプ ライアンスに重点をおいた法人税法に則り会計処理をしております。当然そのベースには企業会計原則を元に会計処理をしておりますが、より法人税法において健全性・保守主義の原則に則り処理しております。

(3)その他記載ミス等について 対象物件「みんなで大家さん6号」においては交付書面の一部に・テナント名称の記載漏れ・最近5年間の賃料と費用が無い旨の記載不備が認められましたが、これら一連の記載漏れの原因を当該書面の作成担当者に確認したところ、当該記載漏れは故意にやったことでも、悪意で行ったことでもなく、単純なミスとのことでしたので、不正行為は認められませんでした。

などと、投資ファンドの運営が家族経営の町工場か商店の経営と同じといわんばかりのアヴァンギャルドな主張をしています。

これを見てなお投資するような客層を対象にしているという点でも、(「行政処分は初めてです」などと浮かれていないで)継続的に監視する必要はあったと思うのですが、
更に、「バンク」社の方は

【一部事業分割の予定のお知らせ】(平成24年11月5日)
http://www.minnadeooyasan.co.jp/cms/uploadfolder/1.3520844331232E+15_news_kaisyabunkatu241105.pdf

 ・・・先日発表致しました企業方針に則り、不動産の売買・分譲・開発等の事業を行っている当社の事業部門を会計監査の対象となる不動産特定共同事業部門と分離する予定と成りましたのでご連絡いたします。 具体的には不動産特定共同事業を行う部門を存続し、新名称を「みんなで大家さん販売株式会社」と致します。また、それに伴いまして不動産の売買・分譲・開発等の事業を継承する新会社を設立し、「都市綜研インベストバンク株式会社」の名称を継承致します。

と これは平成25年4月1日の不動産特定共同事業法施行規則の一部改正 (参照) により、不動産特定共同事業の許可申請において監査を受けた財務諸表の提出が義務付けられたことへの対応だと思われますが、 要するにまともな会計処理をしていなかったし、必要がある部分しかするつもりはない(贔屓目に見ても能力がない)、ということを言っているわけです。

当局には変更届が出されているはずなので、一度行政処分を出している会社がこのような動きをしているのであれば、そこでも要注意のフラグを立てるチャンスはあったわけです。


不動産特定共同事業法(不特法)は、国土交通省と金融庁の共管になっていますが、金銭出資型でかつ終了時の残余財産・出資の返還が金銭により行われ るもの以外は国土交通省の所管になっています。(法49条)

ただ、今回のようなことが起きると、「大阪府住宅まちづくり部 建築振興課 宅建業指導グループ」とか 「東京都都市整備局住宅政策推進部不動産業課」では荷が重いのではないか、という議論が出るかもしれません。

さらに、元をたどれば、不特法はバブル期に自らが運用する不動産に投資を持ち掛けて出資者との間でトラブルになったことから、それを規制しようとした法律なので、こういうのが続出すると、監督の強化以上により規制が厳しくなる可能性があります。
しかし現物不動産である以上分別管理が難しいので、投資家保護を突き詰めていくと、今度改正される法律で導入されるSPC型か信託に入れる必要が出てきます。

信託受益権になるとそもそも有価証券ですし、SPC型もSPCへの出資権を有価証券としてしまえば金商法でひとくくりにできるじゃないか、ということになり、不特法の存在意義自体が問われかねません。
不動産業者にもできる証券化手法が必要、と言っても、「不動産業者にやらせるからこんなことになるんだ」という批判への答えを用意する必要があります。

不動産証券化市場に確保した不特法という「出島」を維持するために、国交省はどういう策を取るのでしょうか。


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