一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

Peter Piper picked ・・・

2006-01-26 | 余計なひとこと

朝のTVニュースで新聞記事のピックアップとして紹介されていて、意味不明だったのでネットで見たらもっと分からなくなってしまったのが下の記事。

 ライブドア本体の粉飾決算、監査役の弁護士ら「適法」
(2006年 1月26日 (木) 03:05 読売新聞)

ライブドアの監査を担当する港陽監査法人(横浜市)は、こうした工作に不審を抱き、粉飾の可能性もあるとして調査を開始。一時は、「適正意見」を出す根拠が得られなかったことを示す「意見差し控え」を、監査報告書で表明することも検討した。  

これに対し、監査役の弁護士らは同期決算を「適法である」とする意見書を作成、監査法人側に示した。このため、監査法人は意見書に従って最終的に決算を妥当と結論づけ、「適正意見」を表明したという。

記事を読んでも、「監査役が依頼した弁護士」(A)なのか「弁護士である監査役」(B)なのかよくわからないのですが、Aだとしたらそんな意見書を聞く公認会計士なんているのかい(独立性ってどこにある?)てな話ですし、Bだとすると、(正しい日本語は「弁護士資格をもつ監査役」とか「弁護士である監査役」じゃないかと言う話はさておき)監査役として意見を言う相手を間違えている(業務監査の一環として会計監査人監査の内容を聴取するが、内容に異議を唱えるのはおかしい。本来「会計監査人は不適法と言ってるがどうだ?」と取締役に聞くべき話)わけです。

この弁護士が粉飾を知りながら、「適法」の意見書を作成していた場合には責任を問われる可能性もあるが、所属事務所は「取材には一切、応じていない」としている。

Aだとしたら、弁護士の責任ってない(第三者として意見を出しただけ)し、Bだとしても問われるべきは監査役としての責任のはず。なので「所属事務所に取材」というのがそもそもおかしいのでは?(タレントじゃないんだから・・・)

この記事に「弁護士」が6回「監査役」「監査法人」が各5回出てきますが、記事を書いていた記者が頭の中で舌噛んじゃったんでしょうかね?


ほかにもニュースをネットで検索していたらこんなのもありました

 ライブドア粉飾、連結決算外を装う 子会社利益で黒字化
(2006年 1月26日 (木) 06:08 朝日新聞)

投資事業組合とライブドアの関係が知られていないため、表面上はまだ連結対象とみられていないロイヤル社とキューズ社の預金を、ライブドア本体に入金させることなどによって黒字化を図ったという。

「預金を入金すると利益計上できる」と会計処理のほうが「連結はずし」よりもよほど変だと思うんですけど・・・

ライブドアの会計処理も相当いい加減だったようですが、報道する側も輪をかけて混乱しているようで。

**********************
(追記)

47thさんはいちいち報道に目くじらをたてるのを「やめとこう」と大人の態度を示されてますが、(寝起きのテレビで取り上げられたのでとてもひっかっかってしまった、というのもありますが)どうも私は大人気ないようでw

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライブドア事件に対する問題意識のまとめ

2006-01-26 | あきなひ
47thさんにいただいたTBをきっかけに、自分なりの問題意識をまとめてみました。
結局のところ2つに絞られるみたいです。

1 証券取引法158条の適用範囲を明確にすべき

以前「別件捜査」などと以前の記事で書きましたが、もしこれが「本件」だとすると逆に「取引スキーム全体で偽計取引となる」というような違法性の判断がされていることになります。
そうすると、通常の企業活動において取引スキームの工夫(オフ・バランスにするとか税制上のメリットを受けるとか)がどこまで違法とされうるのかについては、これを契機に議論を深める必要があると思います。


2 検察の捜査手法の強引さについて

私は「別件捜査」(=因縁をつけて強制捜査をして、そこから出てきた証拠を元に立件する)じゃないのかという問題意識をもったのですが、メールなどをごそっと丸ごと押収し、経営幹部を逮捕するという企業活動を停止させかねないような捜査手法への問題提起がされています。
これについては、今回も堀江社長のblogでもデータのコピーは認められたようで、日常業務の停止もたらしたのは、取締役会が少数の経営幹部だけで構成され、代表取締役も堀江社長1人だけという超中央集権的な組織設計の方に原因がある(ベンチャー企業としてはリスクを承知で意思決定の迅速さを選んでいるが、それが裏目に出ただけ)のではないのかと思います。

ただ、私としては検察(特に特捜部)の「無謬性神話」については、国民の信頼の面から言っても「両刃の剣」になりかねないという懸念を持っています。

すなわち本当の「巨悪」に対抗する場合に自らの神話が足かせになり謙抑的になってしまうのではないか、ということです。
検察がもし勝てる勝負しかしなくなってしまうとすると権力行使が矮小化してしまい、比較的脇の甘い「出る杭」を打って世間の溜飲を下げるだけの機関になってしまうおそれがあります。
※でも、「どの程度なら負けてもいいか」というのは難しいですが・・・


おまけ 検察の捜査に対する弁護士の関与について

47thさんが示唆されるような、「企業側の弁護士内部調査や証拠提出手続に関与することで企業の日常的な活動と捜査のバランスがとれ、「強制捜査をせずに野放しにする」/「強制捜査して企業自体の活動を麻痺させる」というデッドロック的な状況を回避できる」という点(刑事訴訟手続きにも米国流の証拠開示・争点整理の手続きを導入する事が前提になりそうですが)については、「確かにそううかもしれないけど、ようわからん」というのが正直なところです。
理屈で考えると、企業として捜査が企業活動への悪影響に対して防御するためには、形式的には別問題である経営者個人の容疑については積極的に捜査協力をする取引もありうるという部分でコンフリクトが発生するので、やはりライブドアのような経営幹部だけで取締役会が構成されている会社においては機能しないような感じもします。
そうなると、「企業の日常活動と捜査のバランスを取る」制度が導入されると企業の組織設計に対して方向性を与える(ベンチャー企業のような中央集権的な組織体制は市場から「リスキー」と敬遠され、社外取締役や委員会設置会社に誘導される)ことになるかもしれませんが、それが企業活動の自由度・多様性を損なう事になりはしないか、というところが問題なのではないかと思います。


PS 
ライブドアの経営手法については「違法だとしたらけしからん。以上。」です。

また、株価が暴落したのは検察のせいだとか云々に関しては上場企業すべてに潜在するリスクなので、粉飾決算だとしたら取締役や会計監査人の責任は追求すべきでしょうが、検察に文句を言うのは筋違いだと思います(「社会的影響があるから逮捕するな」では「伝統勢力」の発想と同じですよね)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする