一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

備忘

2012-09-30 | よしなしごと

<メモ> 「日本は"tier1 nation"であり続ける意思があるのか」と問題提起をしたアーミテージ・ナイ報告書

こちら経由で 本文 http://csis.org/files/publication/120810_Armitage_USJapanAlliance_Web.pdf

海上自衛隊幹部学校による日本語による概要 http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/topics-column/col-033.html


<おまけ>
上の概要をまとめた海上自衛隊幹部学校だけでなく陸自空自の幹部学校も目黒(恵比寿の南側、山手通りから田道の交差点を入った清掃工場やプールの近く)にまとまってあるんですね。

目黒基地の沿革

安政4年(1857)に徳川幕府が砲薬製造所を設立したのが始まりで、その後海軍技術研究所、英連邦エビスキャンプをへて技術研究本部第1研究所(1研)の設置及び防衛研究所(防研)の霞ヶ関からの移転の後、平成6年に統幕及び陸海空幹部学校が市ヶ谷から移転し現在の形となりました。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『円のゆくえを問い直す』

2012-09-27 | 乱読日記
結論に至る前段がとても長い本ですが、とても勉強になります。

当の前段では、為替変動についての理論的枠組みや、金本位制→固定相場制→変動相場制という国際通貨制度の変遷と為替レートの変動についての動向とその原因の分析を丁寧に説明してくれます。

経済学や金融政策などを体系的に学んだことのない身としては「国際金融のトリレンマ」「マンデル=フレミング効果」など、言われると知識としては思い出すものの、道具として適切に使えるとは言えないので、記事やブログなどでの「専門家」の主張を読むといちいち「ごもっとも」と思ってしまいます。
それが重なると、最後は結論部分だけつまみ食いして「この人はリフレ派ね」などと生半可な知識でタグ付けしてしまい、どのような意見が有力そうか(とか直前に聞いたか)という感覚で自分の考えを決めてしまったりします。

その意味では、本書は手元において参照するには、厚めの新書というちょうどいいサイズの本でもあります。

著者の主張はつぎの通り

政府と日銀が円高に対して金融緩和策やその他の政策を実施してきたが、政府の「円高対応策」はデフレと超円高が並存する状態から脱するための政策ではなく、効果を持ち得ない為替介入の度重なる実行とあいまって、むしろデフレと超円高の悪影響を助長し、政策の信頼性を低下させることに手を貸している。
日銀の金融政策が効果を持ち得なかった理由は

 ・短期間に大規模な金融緩和を行っていなかった
 ・オペレーションの政策効果を高めることができなかった
  (短期国債・残存期間1年未満の長期国債の買い入れに偏重)
 ・金融政策を行う「枠組み」もしくは「指針」を明確化して、
  政策当局が設定する予想インフレ率への誘導を確実なものにできなかった
  (これを確実にするには日銀法の改正が必要)
 ・以上を通じてレジーム転換(政策についての基本原理の体系の変化
  を周知させることで人々の認識や期待インフレ率などについての
  予測を変える)を果たせなかった。

したがって、デフレと円高から脱却するには、この逆を行う必要がある。


私自身は例によって「なるほど」とすぐ説得されてしまいましたし、本書を批評するに足る知識もないのですが、後半の結論部分だけ取り出したような本でない分、少しは理解が深まったような感じがしました。





コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『反ポピュリズム論』

2012-09-23 | 乱読日記
「清武の乱」などでヒールになっているナベツネ氏の、本業である政治についての本。
帯に例のご尊顔と「橋下現象」などと売らんかなの感じが見え隠れするのですが、中身はスポーツ新聞に書かれているような放言ではなく、けっこうまともです。

確かに現在の読売新聞主筆としての主張の繰り返しや自慢話・昔話も多いですが、

 4章ポピュリズムの理論的考察
 5章大衆迎合を煽るメディア

あたりは真っ当で面白いです。


4章については、欧米における選挙の大衆化についての研究の紹介や分析が主で、50年前の論考が意味を失っていないことは新鮮です。
ただ、なぜ現代の日本でそれが問題になっているのか、そこにはどういう背景があるのかをもう少し踏み込んで欲しかった感じがします。

ナベツネ氏は選挙制度改革において単純に欧米を見習って中選挙区→小選挙区にしたのがいけない、と言いますが、では欧米とどういう背景が違うのか(ちょっとだけ言及はありますが)、どこが一番問題なのかが詳しく語って欲しかったところです。

1955年の保守合同体制は70年代の保革伯仲状況から曲がり角に来ていたわけで、にもかかわらずそれを生き永らえさせたのが中選挙区制ではないか、中選挙区制における安定に政治が安住していたのではないか、そして今中選挙区に戻したからといって課題は解決できるのか、また同様の轍を踏んでしまうのではないか、という疑問に対する回答は本書にはありません。

たとえば低成長下の税収伸び悩みや社会保障費増加、社会資本の老朽化などの現在の課題は、合計特殊出生率は50年代末に既に2を切っていたし70年代には住宅戸数は世帯数を上回っていたわけで、そもそも55年体制においても顕在化していた(少なくとも予見可能だった)はずです。
そこの課題解決の遅れは政権の安定も一因だったのではないでしょうか。


また、低成長化においては以前より政治の課題の難易度が上がっているのか、そうであれば、政治家に期待される資質も異なってくるのではないか、というあたりも突っ込んで欲しかったところです。

田中角栄は自民党幹事長のときに当時の大蔵省の課長クラスに直接電話していた、という話が紹介されていますが、一方で現代の複雑な制度の下ではブレーンも必要だと語っているものの、昔の政治家は大物が多かった、ブレーンも強力だった、という話になってしまっているのが残念です。


5章ではメディア、特にテレビの政治に与える悪影響について触れています。
ウォルター・クロンカイトの自身への戒めも含めたメディアへの辛らつな評価のところは非常に面白いですが、ナベツネ氏はもっぱらテレビ朝日の悪口に終始しているのが残念です。
少なくとも自らが取締役になっている日本テレビ放送網はどのようにあろうとしている、という言及があればもっとよかったのに。


「近いうち」は修正されつつあるようですが、選挙や自民党総裁選を前に通勤電車で斜め読みするには悪くはないかなと思います。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『原発危機の経済学 社会科学者として考えたこと』

2012-09-18 | 乱読日記
経済学者の著者が、福島原発事故を機に原発について公表された情報や専門家の著作をもとに調べ、分析したことをまとめたもの。

著者が事故当初からブログでアップしていたものを改めて再構成し、情報元を洗いなおしたものです。

文献に当たり、そのなかにある事実・推測・主張を峻別し、事実を整理し、推測を検証し、主張からはその本質を抜き出して、全体を再構成するところは、さすが研究者という感じです。
というよりも(自称)専門家も含めて原発について構成要素とそれぞれの機能およびそれらが機能して核反応を制御するのにどれくらいの物理量が必要になるのかをまとめた本がなかった(少なくとも私のような素人の目に付く程度の本はなかった)ということのほうが問題なのかもしれません。

脱原発議論が盛んになっていますが、そもそも原発というのはどういうものか、ということを改めて知るには格好の本だと思います。

特に原発だけでなく、使用済み核燃料の再処理のしくみも詳しく分析しているので、今後の議論にも参考になります。


PS
高速増殖炉の「高速」というのは減速材がないからウラン239の核分裂で発生する中性子が減速されずに高速で衝突するから「高速」なので、増殖が高速なわけではないというのは初めて知りました。
おそらく当事者は「高性能な処理施設」を想起させるネーミングをあえてつけてた(または誤解をただそうとしなかった)のではないかと思うのですが、一度信頼性に疑問をもたれると全てが裏目に出てしまう感じです。




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ペントハウス』

2012-09-16 | キネマ

手軽に楽しめる映画。
お茶の間向け。

役者はけっこうギャラが高そうな人々が出ています。

参考までにgoo映画からあらすじを

ニューヨークのマンハッタンにそびえる65階建てのザ・タワーは、セレブのみが住む超高級マンション。その居住者の望みを満たすサービスを提供しているのが、管理マネージャーのジョシュの的確な采配だった。しかし、ある日、ペントハウスに住む大富豪ショウがFBIに逮捕される。証券詐欺の罪を犯し、逃亡を図ろうとしたのだ。しかもショウは自分が捕まることを薄々知りながら、預かっていたザ・タワーの使用人全員の年金を私的流用していた。ジョシュは仲間たちと。ダマし取られた大金を奪い返す決心をする。

まあ、そんな感じの映画です。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ミッション:8ミニッツ』

2012-09-13 | キネマ

タイムスリップ物はよくあるのであまり期待していなかったのですが、けっこう面白かった。

 goo映画からあらすじ

シカゴ行きの通勤電車の中で目を覚ました陸軍パイロットのコルター。目の前には見知らぬ女性がいた。しかも、鏡に映る自分の顔にも全く覚えがなく、知らない男の身分証明書を携帯している。コルターが混乱していると、乗っていた乗車が大爆発した…。目を覚ました時、コルターは自分が驚くべきミッションに参加していることを知る。電車爆発テロで死亡した男の死の直前8分間の意識に入り込み、テロの犯人の正体を暴けと言うのだ…。

監督はダンカン・ジョーンズ。
『月に囚われた男』 同様ムダには金をかけていないところが好感をもてます。
脚本自体は分析的に見れば突っ込みどころ満載なのですが、そもそもこのミッションを可能にした技術的前提の説明自体の説明も適当に流しているので、まあいいだろう、と思えます。
主人公の心の動きと助演者とのつながりが見せ所なのも『月に囚われた男』と似ていますね。
主人公をジェイク・ギレンホールが好演してます。



 



(以下、ネタバレ)





最後であっと思ったのですが、Cloud Gateが伏線になっていたんですね。
最初は記憶を呼び戻すときの映像効果のCGかと思っていたのですがシカゴに詳しい人は途中でラストがわかったかもしれません。



コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ラバー』

2012-09-11 | キネマ
命を持ったタイヤが破壊する能力に目覚め、その力はついには人間に向かう・・・という映画。

設定はとても面白いし、タイヤの表情も動作やアングルを工夫して豊かに描いているのですが、ちょっといろいろ詰め込みすぎなのが残念です。

製作側や観客というメタレベルを取り込んだり、作者の映画への思いや楽屋落ちなど、「前衛的」な手法はてんこ盛りなのですが、ちょっと消化不足の観も。

それならそれで完全に拡散させてしまえばよかったのですが、微妙な自己主張が中途半端な感じで残念です。

繰り返しになりますが、設定が面白いだけに、もっと面白くできたような感じがします。








コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『Le Chef』

2012-09-09 | キネマ

これも飛行機で見た映画

2012年のフランス映画で日本未公開のようです。

飛行機で見る映画は、スクリーンが小さいこともありアクション物よりは、こういうコメディの方が向いているように思います。

オーナーから星を失なったらクビだと宣告され、料理を現代風に変えろと迫られた伝統的なフランス料理にこだわる三ツ星レストランのシェフ(ジャン・レノ)が、、料理人を目指しながらも才能豊富なゆえに生意気さでちゃんとした仕事に就けない青年と組んで・・・という話

ストーリー自体はオーソドックスなものですが、エル・ブジを皮肉った実験的な料理を出すスペイン人とか、日本に対するひねった取り上げ方とか、伝統的な料理の受け入れられ方など今のフランスの料理事情の風刺が随所に見られ、楽しめました。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『アベンジャーズ』

2012-09-08 | キネマ

アメリカン・ヒーロー大集合の映画

下のgoo映画をみて固有名詞がわかる人は楽しめると思いますが、そうでない人(=自分)には積極的にはオススメしません。

シールドの基地に突然アスガルドを追放されたロキが現れ、無限のパワーを持つという四次元キューブを奪い去る。世界滅亡の危機が迫る中、長官ニック・フューリーはヒーローたちを集め、“アベンジャーズ”を結成、ロキと戦う決断をする。永い眠りから覚めた“キャプテン・アメリカ”ことスティーブ・ロジャース、“アイアンマン”ことトニー・スターク、怒るとハルクに変身するバナー博士、雷神ソーたちが集まった。

僕は登場人物の中でアイアンマン(DVD観た)と超人ハルク(大昔TVで放映していた)くらいしか知らなかったので、会話やアクションの中でたぶん楽屋落ちなんだろうな、というところが理解できなかったのでいまひとつ盛り上がりませんでした。

飛行機の小さなスクリーンで観たということもあるのでしょうけど。

それぞれのヒーローの背景を知らずに客観的に見てしまうと、登場人物の戦闘力だけでも雲泥の差があるので、別にこの全員を集めなくてもいいじゃないか、とか思ってしまいます。

まあ、荒唐無稽な娯楽作品なので、突っ込み目的で見る、というのもありかもしれませんけど。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『海賊とよばれた男』

2012-09-04 | 乱読日記
素材はいいのだが、調理の仕方に芸がないのが惜しい。

出光興産の創業者出光佐三をモデルにした「ノンフィクション・ノベル」。
独立系の石油会社を一代で立ち上げた人物だけあって感動的なエピソードには事欠かないののはわかるが、書下ろしにもかかわらず各章ごとに感動的なシーンでしめくくるのは、連載小説のようで安っぽく見えてしまう。
第1章から感動的なのだが、それが各章で続くとお腹いっぱいになってしまう。

「ノンフィクション」にするには事実関係の正確さに自信がなかったのかもしれないが、それにしても礼賛の仕方が過剰で逆効果になってしまっている。
全てにおいて主人公は常に正しく先を見通してたというような科白や表現が至るところは悪い意味で「龍馬伝」に似ている。

小説でも吉村昭のように事実とエピソードの積み重ねで徐々に圧倒していくスタイルや、司馬遼太郎のように「余談だが」と一拍置いて自分の視点を挟み込むというスタイルなどいろんなやりかたがあったと思う。
また、泣かせるつもりなら、浅田次郎のように思いっきり盛り上げて頂点で涙腺を決壊させるような芸が欲しかった。

人物伝として影の部分も書かないといけないとまでは言わないが、出光佐三という素材を発見した時点で成功を確信して先を急いだのか、素材に圧倒されてしまったのかわからないが、ちょっと残念である。


人物像にしても経営者としても素材としてはとても魅力的だと思うので、できれば本書をきっかけに出光佐三ブームが起きて、改めて別の人に取り上げてもらえるといいと思う。




コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

閑居して不善を為す

2012-09-02 | コンプライアンス・コーポレートガバナンス
大企業の役員に社用車がつくのは、本人の安全管理だけでなく、社外への無用な情報漏えいやトラブル防止・「FRIDAY」の回避というある意味監視の意味も含まれている、という話を聞いたことがあります。

週末盗撮問題が表面化した大歳卓麻日本IBM元社長も、今年5月に会長から最高顧問に就任したので、車とか秘書による24時間監視が緩んだ矢先の出来事だったのかもしれません。

もちろん、会社としては大歳氏がこういう趣味・性癖を持っているとは知らなかったでしょうし、その手の行動を防ぐために秘書や車をつけているわけでもないでしょうが、ご本人としては「自由の身」になったのでかねてから念願だった盗撮に取り組んだのかもしれません(「盗撮に興味があったと供述している」という報道もありますし。)

プライバシーがない生活は息苦しいといっても、一線を退いて自由になったときに真っ先に取り組んだことが盗撮だったというのはかなり残念ですが、公職中心の生活を送っていると私人としての関心事が広がりにくいのかもしれません。


大歳氏は就任していた社外役員などを辞任しました。
会社法での義務付けは見送られた社外役員ですが、他の企業の役員OBというのが候補者の大票田なのですが、今回のように「好色で公職を辞めました」リスクを考えると、「秘書・車つきでプライベートも母体企業がコントロールしている」というのが選定要素になるかもしれません。
ただそうなると現役の役員だと利害関係があるし、相談役・顧問にそこまで手厚い会社も限られると思います。

一線を退いた後に普通の社会生活を送るためのトレーニングというのが流行ることになるかもしれませんね。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする