一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

ハワイのカーナビ

2010-09-30 | うろうろ歩き
ハワイで先方のexecutiveのレクサスに同乗する機会がありました。

レクサスは全米で仕様が同じらしく、ハワイでは一生使わないであろうステアリングを暖めるなどという機能もついているそうです。
さらに当然標準装備でついているカーナビも全米仕様で、他の49州の地図もついているのはご愛嬌として、困ったことにこのカーナビはハワイの地名をうまく読めないのだそうです。

確かに同乗しているときも、「○○インターで降りろ」とかいう指示をするとき、現地語の読みの地名になると「ホニャララ」というような意味不明の発音になったりすることがありました。(本当に「ホニャララ」って感じの、読めない単語をごまかして読むお調子者の高校生みたいな発音で結構笑えます。)

ということは、地名と発音をデータとしてリンクさせていなくて、アルファベットから発音を予想して機械に発声させているのかもしれません。
(これは経験しなかったのですが、ハワイにはLikelike(リケリケ) Highwayというのがあるそうですが、これなんかは「ライカイク」とか読んだりするそうです)
地名について文字データと音声データを両方持っているのでなく、文字データだけ持っていて、読みは発音ソフトウエアに任せているのだと思います。

僕はいまだにカーナビを持っていないので実態を知らないのですが、日本のカーナビはおそらく地名の読みをあまり間違えないと思うので、この辺に設計思想の違いがあるとすると面白いですね。
それとも実は日本のカーナビは「右」「左」「目的地」とはいうものの、地名をあまり読み上げなかったのかもしれません(それは安いタイプか?)。


アメリカは広いうえに通りにいちいち名前がついているので、カーナビ的にはちょっと面倒なのかもしれませんね。


そう考えると、ヨーロッパのカーナビは、どの範囲をカバーして何ヶ国語対応しているのか興味あります。
どなたかご存知の方がいらしたら教えてください。




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『負けない交渉術』

2010-09-28 | 乱読日記

米国で日系企業などを顧客にしている弁護士の著者が、自らの経験から交渉のノウハウをまとめた本です。

僕自身の経験では本書の帯のキャッチコピーのように「交渉下手な日本人」というステレオタイプへの反発心や「俺は違うんだ」というプライドがかえって交渉のマイナスになっていることが多いと思うので最初は期待していなかったのですが、本書の内容は文化論でなく、あくまでも「交渉」のためにどのような行為がプラスでどのような行為がマイナスなのか、という点に絞られて、エピソードをもりこみつつわかりやすく書かれていて、「そうそう」「なるほど」と思いながら一気に読みました。

筆者は、無駄なプライドや意地が交渉においては百害あって一利なしということは繰り返し強調しているので帯のコピーは出版社がつけたんでしょう。

自分が相手より賢いことを証明するために交渉をしているわけではない。より多くの果実を得るために交渉しているのだ。頭に血が上ったら、相手の主張を認めるのが悔しくなったら、いったん原点に戻ろう。

自分が相手より優れたネゴシエーター(交渉人)であることを立証するために交渉するのではない。あくまで交渉の果実を最大化するために交渉するのだ。

交渉に同席すると、人は自然に、自分の存在をアピールしようとする。自分ならではの意見、コメントをしたくなるものだ。(交渉チームは、必ず少数精鋭を目指す)

交渉相手の態度が悪かったとしても、その態度を正す必要はまったくない。相手に態度を改めさせるのは交渉ではない。

これは常日頃僕も思っていて、自分が賢いとか詳しいことを主張するため議論を「頭のいいオジサンコンテスト東京地区予選」などと揶揄していたのですで、このへんのくだりにはとても共感できます。

同じく「そうそう」の部分としては

事前に決めた「落としどころ」から絶対にぶれない

「交渉期限」を設けると、土壇場で不利になる

 交渉では相手に「勝った」気分になってもらうことが大事だ

交渉相手が何を望んでいるかを、しっかり見極めることも大事だ

など。

また「なるほど」としては

最初のオファーは必ず相手にさせよ

「ノー」と言うな、「イエス、イフ」と言え

「イエス」の場合でも、やはり「イエス、イフ」と言え

最初の譲歩は、あなたにとっての「最大の譲歩」であるべきで、その後は徐々に、譲歩の幅を小さくしなければならない。

本当にボトムラインに達していない限り、あなたの側から「ボトムラインに達した」と言うべきでないのだ。 

などなど。

さっと読めますが、自分の交渉スタイルを改めて見直すのに役立つと思います。

 

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となりのゴーヤ

2010-09-27 | 飲んだり食べたり
この夏、日差しをさえぎるために成長の早いゴーヤを植えるのが流行りましたが、ゴーヤはほんとに成長が早いようで、隣家が植えたゴーヤが我が家の庭にも越境して実までつけた。

越境して生った実というと思い出すのが、大学の民法の授業で聞いた末弘先生(厳太郎氏か博氏かは忘れたけど、たしか「スエヒロ先生」だったと思う)の逸話。
先生宅の庭に隣地から越境して立派な竹の子が生えた、そこで先生は民法第233条2項の「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。」という条文があるからいいんだとそれを掘り出して得意になっていたという話。

それを聞いて、だから大学の先生とか法律家は嫌われるんだよなぁと思ったので、隣家に仁義を切ろうと思ったら、先方から先にゴーヤが越境して申し訳ないというお詫びをいただき、こちらこそちょうどきれいな実がついたのでいただこうかな、とうかがおうと思ってたところなんですよ、などと和やかな近所づきあいを経て収穫したのがこれ。



(比較のために爪楊枝をおいてあります)


なかなかかわいいサイズなので、ゴーヤチャンプルーには足りない。沖縄だと漬物とかもあるけど、基本は火を通すといいんだよな、と考えて思いついたのが「茹でる」作戦。



それも横着してレトルトのカレーと一緒w

いっちょまえに、ちょびっとアクが出る。
 


できあがり


(って、何もしてないw)


味も一人前にゴーヤの苦味があり、ちょっと遅い、夏の味。

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『ティンブクトゥ』

2010-09-26 | 乱読日記
機内で読んだ本。

ポール・オースターの小説は、リアリティを追求したものでもファンタジーでもなく、現実からちょっとだけ浮遊したところに精緻に作られた空中庭園という感じで、そこにストーリー・テラーの真骨頂があります。

この本は、ホームレスの自称詩人のパートナーである犬の視点から描いています。
普段人間が観察する犬のふるまいや反応を裏うちしたり、予想を裏切ったりしながら、主人公としていつしか犬の目線になって感情移入させられていきます。

あいかわらずの名人芸を堪能できました。


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機内映画

2010-09-24 | キネマ
今回、時差ボケ対策のために、機中での寝起きをかなり気合を入れてコントロールしたので、映画はありがたかったです。


『特攻野郎Aチーム』(の新作)
これはホノルル-NY便のコンチネンタルで。
機体は767でシートはフルフラットに近くなる(これは成田-ハワイのJALウェイズの747よりいい)わりにビデオがオンデマンドでなくタイトルも表示されないというあたりはサービスのメリハリなんだろう。

わかりにくいメニュー画面をザッピングしながら、字幕がなくて眠くならなそうな奴を選択。
また話がそれますが、「Dr.House」もやっていたのでちょっと見たんだけど、さすがに全然わからなかった。医学用語がわからないのは当然なんだけど、診察のときの患者との症状の確認のやりとりもちんぷんかんぷん。
外国で重い病気や怪我をすると大変だと改めて思った次第。

さて、本題。
サービス精神旺盛な映画で、次回(TVだろうと映画だろうと)につづく、というまとめをしてます。
子供のころTVシリーズを日本で観ていたので、かなりの長寿に驚き。メンバーの設定がわかりやすくていいんでしょう。
あと、リーアム・ニーソンって作品を選ばないんだなぁ。


『Back Up Plan』
ジェニファー・ロペス主演の2010年公開の映画。日本は未公開?
理想の相手にめぐり合えない女性が人工授精を行なったとたんに「運命の人」にめぐり合って・・・というラブストーリー。
微妙な議論もありそうな設定なんだけど、前向きで明るいラブ・ストーリーに仕上げてます。
ジェニファー・ロペス自身も2年前に出産したあたりとからめての企画なのかしら。
でも双子を生んだ40歳であのスタイルは立派。


『エルム街の悪夢』(の新作)
僕は怖がりなのでホラー映画はあまり観ないため、元の作品も観ていないんだけど、機内映画の液晶スクリーン(ワシントン-成田の777だったので前席の背面にある12インチくらいのけっこう大きいやつではあったが)と騒音の中だとあまり怖くなかった。
ちょっとストーリーの展開を急ぎすぎている感あり。


『WALL・E』
荒廃した地球に1台だけ残されたごみ処理ロボットの話。
「友情」「努力」「勝利」がキーワードというところは、ディズニー映画と少年ジャンプの共通点かも。
最初からロボットを擬人化しすぎていることが僕はちょっと気になったけど、そもそもディズニ自体が話すネズミが犬をペットに連れているというMagical Fantagy Worldだしね。
終盤、ロボットの心・魂はどこにあるのか、と考えさせられるシーンが出てきます。
リブートしたり、基盤を入れ替えたときにロボットのアイデンティティってどうなるんだろう、という発想は、エジプトのミイラとかウィーンのカプツィーナ納骨堂の心臓壷(心臓だけ取り出して壷に入れておさめてある)など、人間自体についてもテーマだったのかも。


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ハワイ-パール・ハーバーとアバクロ

2010-09-23 | うろうろ歩き
帰国後ばたばたしてましたが、アメリカの話など。

まずハワイ。

飛行機がホノルル空港に降りるときに、パールハーバーが見えます。
直前に読んだ『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』にパールハーバーの米海軍はなぜ日本軍の奇襲(日本がアメリカに戦争を仕掛けるとしたら奇襲攻撃だろうということは予想されていたらしい)に対して対魚雷ネットなどの防御をしていなかったかについてふれていました。

それによると、パールハーバーは水深が12mと浅いので、当時の技術では雷撃機から魚雷を投下しても底に刺さってしまうから防御は不要だろうと米海軍は考えていたそうです。しかし真珠湾攻撃の時点ではイギリス軍が14mの水深での魚雷攻撃を成功させており、日本軍も鹿児島県の似たような地形のところで3ヶ月の猛特訓をして、水深12mでの雷撃戦を可能にしました。
wikipediaによると、魚雷の改良の貢献も大きかったようです。)

イメージだとこんな感じ(詳細はこちら参照)




戦艦アリゾナ記念館(今回は行けませんでした。)は魚雷攻撃で沈んだままの戦艦アリゾナをそのまま利用していますが水深が浅いところで沈んだので、完全に「沈没」しきらずにこんな状態であるということのようです。




もうひとつ。

出張だったので観光地めぐりなどはできませんでしたが、繁華街をちょっとはずれた街中に"Abercrombie"という立て看板がありました。
こんな町外れにAbercrombie & Fitchの店が出来るのかなと思ったのですが、実はハワイ州の州知事選挙があって、民主党の候補者がNeil Abercrombieという人なんだそうです。

ご本人はこんな人(公式サイトはこちら



ハワイではアロハが正装なので、南国仕様のサンタクロースのようですね。

ハワイは観光産業が多く組合が強いので民主党支持者が多いのですが、現職の知事は共和党なので、民主党としてはぜひ巻き返したいということのようです。

ネタで"Abercrombie"とだけプリントしてある選挙キャンペーン用のTシャツを買おうかと思ったのですが、機会がなく残念。

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『セックス・アンド・ザ・シティ2』

2010-09-14 | キネマ
今週は日本を留守にしてますので、ブログもしばらくお休みになるかもしれません。
一応PCはつながるようにしたのですが、Tweetの方が多くなるかと。

今日のネタは飛行機でみたSATC2

今回は女性版middle age crisisがテーマという感じで、まあそれもNYの女性のライフスタイルなのかもしれません。
唯一独身のサマンサがやり過ぎなくらいcaricaturizeされていてちょっと気の毒な感じでした。
結局「非日常」は独身女性が持ち込むしかないのだとしたら、脚本は二重の意味で行き詰まっているのかもしれません。


あと、機内で観ていて気になったのがアブダビ(今回のお出かけ先)からNYへのフライトが諸事情でエコノミーになるかもしれないというときの「エコノミーで13時間半も乗るのは耐えられない」という四人の台詞。

『レインマン』はダスティン・ホフマンが飛行機に乗るのをいやがって航空会社の過去の墜落事故を次から次へと列挙するシーンがあったので機内放映はカンタス航空(過去に墜落したことがなく"Qantas never falls"という台詞がある)意外はされなかったという話があったと思うのですが、これは問題なく通ったようです。

ということは、エコノミー席の窮屈さを航空会社自身認めているか、もっと積極的に、楽したければビジネスに乗れ、と暗に言っているのかもしれません。




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『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』

2010-09-12 | 乱読日記

加藤陽子東大教授が栄光学園の中高の歴史クラブ(そういう部活もあるんですね)の生徒を相手に行なった日清戦争から太平洋戦争までの特別授業を本にしたもの。(『単純な脳、複雑な私』と同じ朝日出版社なので、こういうシリーズがあるのかな。)

当時の関係者の日記や発掘された文書の分析など最新の研究成果を元にしながら、背景事情を説明した上で「こういう状況であなただったらどうする?何を重要視する?」という問いかけが随所にあり、授業としても魅力あるものになっています。
(それに、生徒の答えが鋭いのはさすが栄光学園です。)

印象的だったのは、満州事変から国際連盟脱退までの経緯のところ。
リットン調査団の報告書は、満州は中国の主権下にあるとしたものの、日本の行動が国際連盟規約等に違反しているとは言わず、また中国は日本の経済的利益に配慮すべきと言っていたにもかかわらず、日本は満州国内の軍事行動として熱河作戦を行い、これが国際連盟規約に違反し「全ての連盟国に対し戦争行為をなしたるものとみな」されることになってしまった、というところを、当時の政治情勢、軍部の思惑、松岡全権の考えなどを通じて立体的に説明してくれています。

当時の日本は外交における大局的視野と細かい配慮の両方に欠けていたことが浮き彫りになり、さらに、では現在は?ということも考えさせられます。


加藤先生がの語りくちに熱が入るのが、北京大学の教授で1938年に駐米大使になった胡適が唱えた「日本切腹 中国介錯論」のところ。
胡適は「アメリカとソビエトを日中戦争の問題に巻き込むには、中国が日本との戦争をまずは正面から引き受けて、二、三年間負け続けることだ。そうすれば世界の同情は中国に集まり、日本の兵力は分散するためソ連はつけ込む機会ができたと考え、英米は極東利権に脅威を感じて軍隊を派遣せざるを得なくなる」と主張します。

加藤先生はこれを評してこう言います。

こうした胡適の論は、もちろんそのまま外交政策になったわけではなく・・・(中略)・・・しかし、このようなことを堂々と述べていた人物が、駐米大使となって活躍する。私がこうした中国の政府内の議論を見ていて感心するのは、「政治」がきちんとあるということです。日本のように軍の課長級の若手の人々が考えた作戦計画が、これも若手の各省庁の課長級の人々との会議で形式が整えられ、ひょいと閣議にかけられて、そこではあまり実質的な議論もなく、御前会議でも形式的な問答で終わる。こういう日本的な形式主義ではなく、胡適の場合、三年はやられる、しかし、そうでもしなければアメリカとソビエトは極東に介入してこない、との暗い覚悟を明らかにしている。1935年の時点の予測ですよ。なのに45年までの実際の歴史の流れを正確に言い当てている

話がお互いに「脱官僚」「政治主導」を主張する民主党代表選のほうにそれてしまいそうですが、ここだけでなく現在への示唆や教訓もたくさんあります。


大学受験に出ないためか、高校の授業では日本の近現代史はあまりちゃんと教えられていないようですが(僕のころもそうでした)、史料も豊富にあるので生徒に考えさせる授業をするにはいい題材なのにもったいないと思います。
政治的主張が入る(と非難される)ことを気にする部分もあるでしょうが、その結果知識のないままにいろんな歴史観・政治的立場の人にふれることのほうが、よほど危険だと思うのですが。

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日本新興銀行破たん

2010-09-10 | 動画・画像

今朝は日本振興銀行破綻が各紙一面。

違法行為はきちんと摘発するとして、何でこうなってしまったのか、
そもそものビジネスモデルが無理があったのか、
いやダークサイドに落ちて手っ取り早く稼ごうとしたのがいけなかったのか

を冷静に分析する価値はあると思います。
せっかくの「献体」なんですから、将来のために有効に使ってもらいたいものです。

また、執行の独走を止めることができなかったコーポレートガバナンスの限界、さらには金融庁(SESC検査)や東証の上場審査の限界についてもきちんと検証すべきだと思います。 



そしてたまたま今日会社の新聞チラシにこんなものが
(赤枠-作成筆者-部分に注目)  


この物件は、再開発の保留床(建築資金を捻出するためにデベロッパーなどに売却する部分)はゴールドクレストが一般分譲してます。

そして「権利住戸を特別販売」という再開発に一丁噛みして元の土地を持っていて賃貸に回そうとしていたのをもろもろの事情で吐き出すことになったのかな、などと思いつつ、翔和地所、どこかで見たよな、と記憶を手繰ると昨日こんな記事が  

神田小川町の新築ビル、日本振興銀行が取得  
(2010/09/09 日経不動産マーケット情報)  

日本振興銀行(本社:千代田区)は2010年8月、千代田区神田小川町2丁目の店舗・事務所ビルを取得した。売り主は翔和建物(本社:千代田区)。2010年7月末に竣工したばかりの新築ビルで、2010年8月時点では空きビルの状態となっている。

代物弁済だとするとかなり末期的な感じですが、そこまでいかなくとも、日本振興銀行を主要な借入先にしていた会社(=通常の銀行の融資先より信用力の劣る会社)はこれからは厳しいことになりそうです。


世の中いろんなところでつながっているな、という話でした。

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「ものづくり神話」の弊害

2010-09-09 | あきなひ

日本の「ものづくり」を大事にしよう、という議論を聞くときにそこはかとなく感じるナイーブさは、「いい物を作れば売れる(はず)」という希望的観測(思い込み)を前提にしているからだったんだと改めて認識させてくれたのがこれ。  

アメリカでアニメやマンガが売れなくなった本当の理由—Too much expectations and not enough marketing lead to manga slump in US
(本とニューヨーク-BOOKS AND THE CITY)  

なんで売れなくなっちゃったの?とアメリカ人の人に理由を訊けば、こういう答えが返ってくるはずだ。「The market is over-saturated.」  

これを日本人の人にもっとわかりやすく説明すると、アメリカでも日本みたいに老若男女がマンガを読むのがあたりまえ〜になるんじゃないかと最初から期待しすぎた。どういうマンガが売れそうなのか調べもしないで、日本で一般書を出している感覚で「とりあえず色々ちょこっとずつ出してみた」のが裏目に出た。「マンガブームが起こるんじゃないか」と錯覚した、ということなのだ。ぜーんぶ、日本の供給側の責任だよ、ハッキリ言って。  


ということで、なんで売上げが落ちているのか?という問いの答えは、「ちゃんとマーケティングをしなかったから」ってことに尽きる。アメリカでマンガを売りたいのなら、どの層のアメリカ人がどんな本を読んでいるのか、どんな本なら売れそうなのか、どうやったら売れるのか、ちゃんと下調べをして、計画を練って、売り込む努力をしなければ、そりゃ「日本で売れたんですよ、コレ」なんて言っても売れないよ。  


日本の戦後経済成長を支えたのは「ものづくりの技術」だけではなく「売り込む技術」でもあったはずです。 
日本企業は日本製品が「安かろう悪かろう」で1$=360円のころから外国のマーケットを開拓してきたわけで、現在の日本製品が高品質になった反面円高という局面では営業力・マーケティング力が発揮できないはずはないと思うんですけどね。

でも、上のような話を読むと、「いいものを作れば自然と売れる」という「ものづくり神話」に日本企業が自家中毒を起こしているのではないかと心配になります。

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『インフォーマント』

2010-09-08 | キネマ
アメリカの大企業の幹部社員が会社の価格カルテルを内部告発したが・・・という映画。

冒頭に、この映画は実話に基づく、というテロップが流れますが、それがないと脚本として破綻しているのではないかと思うような不思議な話です。

内部告発物としては、タバコ会社を舞台にした『インサイダー』がありますが、それとは対極的な、でも実際はこんなものなのかもしれない、とも思わせるような映画になっています。


(以下ネタばれあり)



そもそも主人公が内部告発に至った経緯も、正義感であったり、処遇への不満であったりという明確なものではなく、その場その場の状況に対応するうちに成り行きで捜査に協力した感じです。

なにしろ主人公は年収35万ドルのうえに、業者からその数十倍のリベートを受け取っているわりに、捜査協力の前提として司法取引をするでもなく、また自分自身の生活への不安等の葛藤もなく、傍から見ると合理性に欠ける行動に見えます。
主人公は、自分は優秀な技術者であるので悪い目にあうはずがないという悪びれなさ至るところで発揮し、会社だけでなく司法当局も混乱に巻き込みながら事態は展開します。
そして最後に、主人公の「優秀さ」が証明されるというオチ(これが実話だからすごい。日本ではまずありえない)までついています。


企業が従業員を経済合理性やその他のインセンティブでコントロールしようとしても、この映画の主人公のように予想外の行動をする人間というのは必ずいるので、不祥事の隠蔽は難しい、という教訓にもなると思います。


PS
映画の中で、カルテルに関わった企業として味の素など日本企業も実名で出てきてしまうのですが、事実なので文句も言えないところがつらいところです。








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タカチホの「穏便モード」

2010-09-07 | コンプライアンス・コーポレートガバナンス

タカチホの 分配可能額を超えた前期末の配当金に関する一連の経緯及び再発防止策について

toshiさんも書かれているのですが、全体に「単なる計算ミスで悪気はなかったんだからいいじゃないか」というトーンを感じて、なんとなくすっきりしません。  

特に、外部調査委員会の報告書で取締役・監査役の責任に触れたくだり。  

(2)会社法上の填補責任分配
可能額規制に違反して配当が行われた場合、会社法上、手続に関与した取締役が填補責任を負う場合があり、また監査役についても善管注意義務違反による損害賠償責任を負う場合がある。 
しかし、本件調査によれば、株式会社タカチホの取締役らは、分配可能額が存在しないことを認識しながら本件配当を行ったものではなく、計算方法を誤って分配可能と誤信したに過ぎないから、態様として悪質であるとは言い難い。 
また本件配当にあたり、資本準備金を減少させその他資本剰余金を増加させれば適法に分配可能額を作出することは可能であったことなどを総合考慮すれば、会社債権者に対するマイナス要因もそれほど大きくはない。 
また、株式会社タカチホは本件配当に関与した取締役全員の報酬を平成22年9月から2ヶ月間にわたり3割減額し、本件配当に関与した常勤監査役も月額報酬の3割を2ヶ月分にわたって自主返上することとされており、あくまでこの限度においてではあるが、会社財産の 回復も見込まれる。 
さらに、対象会社は、再発防止策にも積極的に取り組む姿勢を見せている。
このような事情を総合的に考慮すれば、本外部調査委員会としては、対象会社の取締役に対して填補責任を、監査役に対して善管注意義務違反に基づく損害賠償責任を追求する必要性までは認められないものと判断する。  

会社法上の違法配当の填補責任(会社法462条の2)は

前項の規定にかかわらず、業務執行者及び同項各号に定める者は、その職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明したときは、同項の義務を負わない。  

と過失責任なので「故意はなくて誤信した」場合も過失があった場合には免責にはならないはずです。

タカチホは臨時株主総会を開いて資本準備金をその他資本剰余金に振り替え(参照)て資本欠損を回避するので、これで会社計算としては治癒されるのかもしれません(この辺は自信なし)が、第三者調査委員会や臨時総会の招集にかかる費用は実損になるわけで、そこの部分の善管注意義務違反による責任は少なくともあるでしょう。  

ちなみに22年3月期の有価証券報告書によると、取締役報酬56,740千円、監査役報酬10,143千円でこれを2ヶ月3割減額すると(賞与はOと仮定)334万円になり、これでは実損には足りなそうです。  


僕は、会社の個々の不正について事後的に監査役の結果責任を問うのは行き過ぎだと思うのですが、違法配当=総会付議議案の適法性をチェックするというのは監査役の本来の仕事(これをしなくて何をするんだろう)なので、ここは「気がつかなかったから仕方がない」というのはさすがにゆるすぎると思います。

そもそも外部調査委員会というのは、「責任の有無」を第三者的に判断するのが仕事で、「責任追及の必要性」を判断するのは取締役に対してなら監査役でありまた株主のはずです。  
なんとなく外部調査委員会も「剰余金に振り替えれば資本の欠損もしないし、単なる計算ミスなんだから大事にするのはやめよう」という判断が前提にあるように思います。  

そうやって「馴れ合い」を疑いだすとキリがなくなるのですが、ちなみに長野県弁護士会のHPを見るとタカチホの本社のある長野市に事務所を持つ弁護士は60人、事務所数でいうと44(うち法テラス1)しかいません(参照)。
今回の外部調査委員会の委員は3人とも長野市内に事務所を持つ弁護士なので、けっこう狭いところで人選をしているようです。
これくらいの規模だと、外部調査委員会とかコンプライアンスだけでは食っていけないでしょうから、自然と「波風を立てない」方向に向きがちというのは下衆の勘ぐりでしょうか。  

また、toshiさんが指摘されている内部統制報告書の訂正についても、外部調査委員会の報告書においても配当の適法性の確認に際して「計算方法を誤って分配可能と誤信したに過ぎない」(「過ぎない」とは思いませんが)--つまり「悪者」ではないが「節穴」だった--と認定されている以上、少なくとも全社的な内部統制には欠陥があったとすべきように思います。
(厳密に言うとJ-Soxの評価範囲には入っていないとは思いますが、監査法人は自らが見つけた決算の修正や不正などがあった場合には評価範囲に関わらず「全社的内部統制の欠陥」と言っている事例との比較感では、自分がミスった際には甘いのかなという感じがします。) 


確かに悪意はないのかもしれませんが違法配当は違法配当ですし、しかも配当の違法性は治癒が可能であるならば、責任の所在をぼやかせずに所定の手続きや責任(損害額はそれほどでもないだろうし)をとったほうが今後の会社の内部統制への信頼回復につながると思います。
反面、この会社と関係者は「穏便モード」で行こうと思っているようですが、それが吉と出るか凶とでるかは、今後同様の事例の試金石としても興味があります。


コメント (2)
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マートン先生

2010-09-06 | ネタ

いまさらながら阪神のマートンの活躍ぶりがすごい、という話。
ちなみに昨日も3安打で9/5現在通算175本になってます。

http://blog.livedoor.jp/funs/archives/51891230.html

193:名無しさん@恐縮です:2010/09/01(水) 23:38:19ID:FUQIOiSX0

マートンまた3安打か。
マジで200本安打行きそうだな。

…初年度からこれって、日本プロ野球史に残るくらいの偉業じゃね?



195:名無しさん@恐縮です:2010/09/01(水) 23:42:48ID:/rDekMiZ0

>>193

助っ人1年目安打数ベスト10
1位 174本 クラーク(近鉄)   1997
2位 170本 アルトマン(東京)  1968
2位 170本 マートン(阪神)   2010 ←
4位 165本 パチョレック(大洋) 1988

170本 ←いまここ
174本 NPB助っ人一年目シーズン最多安打記録(P.クラーク 1997)
180本 NPB右打者一年目シーズン最多安打記録(佐々木信也 1956)
180本 阪神助っ人シーズン最多安打記録(A.シーツ 2006)
190本 赤星自己最高記録(2005)
191本 阪神球団シーズン最多安打記録(藤村富美男 1950)
204本 NPB助っ人&セリーグ&右打者シーズン最多安打記録(A.ラミレス 2007)
210本 NPBシーズン最多安打記録(イチロー 1994)
211本 川藤幸三通算安打数(川藤幸三 1969~1986)


阪神ファンのツボを心得てらっしゃるw
 

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Minimal Assets Are a Plus

2010-09-03 | よしなしごと

デフレ経済下の資産戦略の話ではなく、ブラジャーの話。 

NYTのFor the A-Cup Crowd, Minimal Assets Are a Plusという記事。  

最近のアメリカでは「大きく見せよう」から「あるがままで美しく」という方向になっているそうです。

She says that while a small number of her customers come in looking for padded bras and tell her, “Make me as big as you can,” the majority “don’t want to supersize themselves.”  

こういう分析もありますが 

In recent years, as people’s weight has ballooned, breasts (mostly made up of fat) have only gotten larger, and commensurately bra cup sizes, too. K-cups now exist. Brandishing a tiny bosom may be a reaction to that trend.  

放漫(豊満?)財政の反動で財政の健全化が叫ばれている昨今の経済情勢を反映しているのかもしれません(さすがにK-cupとなると過ぎたるは何とやらの世界になりそうです)。
今やAだけでなくAAやAAAというのもあるようで、その辺も何やら共通しますね。  


さらには 

At the other extreme are the au-naturels who would just as soon go braless if it wasn’t for this little thing called the office and the awkwardness of erect nipples in cold conference rooms.  

という過激派もいるようで、業界ではsoft bra の"nipple discretion"(訳語省略w)という用語まであるとか。 
これはたとえて言えば中央銀行の独立性でしょうか?  

その結果、アメリカではWomen with flat to small chests (記事中には"ironing-board flat"という表現もありました。昔わが国では「洗濯板」などと言ってましたね)向けの商品も充実してきていて、小さいサイズ向けのブランドもたくさん出てきているようです。
このへん、日本のメーカー(または輸入商社)にも商機があるのではないでしょうか。
一方で、32インチDカップが標準サイズのブラの販売員(そういう採用基準なのかしら?)はsoft braが似合わないという笑えない話もあるようです。
まるでギリシャの公務員といっては失礼でしょうか(どちらに?)  


理想形に近づけるために底上げしたり、寄せて上げたりというのを企業でやろうとすると粉飾決算ということになってしまいますが、固定化された判断基準(経営指標とか最近は公正価値なんてのもありますね)で評価されると過剰なプレッシャーがかかってかえって自由で創造的な活動を妨げるというところは共通しているかもしれません。 

昨今話題のIFRSは原則主義なので本来はsoft braだよ、ということのようなのですが、"discretion"が苦手な日本企業としては、企業会計審議会がきっちりとワイヤー入りできちっと型にはめる矯正タイプを作ってくれないと困るということになるような気もします。


コメント
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