外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

米・雇用統計改善でドルが買われやすい地合いに要注意-IMM分析活字版

2014-03-10 22:52:29 |   -【特集】IMM残高分析

今週も、IMM取組残高分析活字版をお送りします。

今週番組で使用するデータは、3月04日のIMM市場が終了した時点のものです。

今回、データの対象になった期間のドル円相場は、ロシアの軍事介入が議会承認を受けたとの報道が前週末にあり、ウクライナ情勢が一気に緊迫し、明けの月曜日は円買いが進みました。

 しかし、即時介入は無しとの声明で、リスク懸念が後退しつつあるところで締切となっています。ドル円は、どうにか102円台を回復した形ですが、IMMの残高はどのような変化あったでしょうか。

では早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。
先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化のグラフからです。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>

相場は一時101円台前半まで下落したものの、データの締切時点では102円台を回復したことで、相場は概ね横ばいとなりました。
 しかし、ネット残高は前回に頭一つ出たドル買いは概ね帳消しとなり、再び、79709コントラクトのドル買い越しに減少しました。

冒頭のチャートを見ても、相場は前回の締切水準まで戻していることが判りますが、ネットのドル買いは回復し切れずに終わっており、今回のデータ締切時点では、円安に対して楽観ムードは影を潜めた格好です。詳細は後程、ブレークダウンで見てみましょう。


<全通貨別ネット残高推移>

次に、各通貨のネット残高のグラフです。

今週も、前週から目立った動きは特になく、ユーロの買い越しがやや目立つ程度となっています。前回は全体的に各通貨が買い戻される傾向がありましたが、今回はその流れを伸ばす通貨と、売り越しに戻る通貨に分かれた印象です。

ブルベアを見てみますと…、

円は、結局買い越し優勢で終わった模様で、しばらく買い越しの壁だった15%を上回っています。つまり、相場は円高から戻してはいたものの、ウクライナ情勢を懸念した円買いムードは払しょくされていなかったようです。

ユーロは、残高グラフが示す通り、ブルが前回より2ポイント優勢でした。ただ、売り越しも増えており、ユーロの上昇には懐疑的な見方もあったことが示されています。

一方ポンドは、ブルが1ポイント増えたものの、ブル/ベア共に残高を減らしており、ポンド買いで一時盛り上がった相場も、やや冷静に戻りつつあったようです。

豪ドルは、ブルとベアが共に増えました。増加率は同程度でブルベア比率は変化なしでしたが、ベアも増えていたところを見ると、戻り売りを試す流れも発生していたことが示唆されています。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>

続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。

今回も、突出した動きを見せた通貨はありませんでした。中では、ユーロの買い越しは3週連続で小ジッカリしていたことが判り、円は方向転換を示唆する流れにあったようです。

ブレークダウンでは…、

円の買い越しが優勢だったことが良く判り、円のロングが4桁転落目前だった1月14日のデータ以降、2万コントラクトを回復した今回の買い越し額は、最大となっています。

ユーロは買い越しが順調に伸びる中、売り越しは殆ど動きが無く、ユーロ安を諦めた様子は殆ど感知できませんでした。

またポンドは、市場規模を徐々に縮小させており、下落見通しは諦めつつも、一旦は上値に限界感が出はじめていたことが良く判ります。

最後に豪ドルは、ロング・ショート共に増える中、売り越しがやや優勢でした。チャート的には、短期的なトリプルトップのネック水準が既に割れていた地合いがあり、それが一時的なベアの増加に影響したとも推測できます。

<総括と考察>
さて今回のデータ以降、各相場はドル売り円売りが急伸しました。

ウクライナ情勢の武力衝突が当面回避されるとの思惑や、ECBが金融政策の据え置きを決定したこと、或いは底堅いアメリカ株式市場などを受けて、リスクオフの動きが再開したのが、その要因との見方があります。


今となっては、恐らくリスク回避的なポジションは相当圧縮されていると思いますが、先週末のアメリカ雇用統計は改善となったものの、ドル金利の先高観により株価の伸びは限定的となる一方、一部にはドル買いが優勢な動きも出るなど、一概に楽観的な資金の動きとは言えない状況も生じています。

前回のウクライナ緊張による各通貨の下落は、円高が要因だったと言えそうですが、チャイナリスクが新たに顕在化しつつある中、現在はドルが買われやすい地合いになったことは注意すべきで、円高にならないまま、他の通貨がドル買いで下落する可能性を秘めています。

今週は人民元や中国株の動きには一層注目したいと思います。

以上、IMMの取組残高分析の内容は動画でも視聴できます。



※上の画像をクリックすると、ForexTVのIMMチャンネルを表示します。

たくさんのグラフや画像を使ってより解りやすい番組を目指しています。是非、一度ご覧いただき、チャンネルのご登録をお願い致します。

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ドル円、再び103台回復も上昇再開は疑わしい-「A氏からのメッセージ」03月10日

2014-03-10 18:57:11 |  -ドル円

ポジション:ショート@102円70銭(03/06約定) SL103円70銭(03/10設定)

リスク警戒感の緩和や、予想以上に良かった雇用統計の結果から、ドルは103円台に戻って来ている。



 しかしながら、ここから更なる上昇トレンドに向かうかどうかは、やや疑わしい。
新たにSLを103円70銭に設定して少し様子を見たい。

※プロスティックス・チャートで表示している一目は、正式な一目均衡表とは異なります。作図する際に対象とする足の本数は、「9-26-62」の代わりに「7-22-44」を使用してあり、また「半値」を使用する代わりに「モダル・ポイント」という独特な数値を使用しています。従って、雲と呼んでいる「先行スパンの位置や、転換線、基準線の水準は、正式な一目均衡表と基本的には異なりますのでご注意ください。

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豪ドル、先週終盤にストップが成立…利食いに心掛けたい-「A氏からのメッセージ」03月10日

2014-03-10 18:40:18 |  -豪ドル米ドル

ポジション:スクエア
ショート@0.8970(02/28約定)→買い戻し@0.9050(03/06ストップ成立)  -80ポイント

一時は、いい感じで動いていた局面もあったが、リスク警戒モードの緩和の方が最終的には勝ったようだ。



 引き続きリスク警戒的な動きには注目して仕掛けたいと思っているが、「利食い百人力」のことわざ通り、深追いせずに利固めする事にも気をつけておきたい。

※プロスティックス・チャートで表示している一目は、正式な一目均衡表とは異なります。作図する際に対象とする足の本数は、「9-26-62」の代わりに「7-22-44」を使用してあり、また「半値」を使用する代わりに「モダル・ポイント」という独特な数値を使用しています。従って、雲と呼んでいる「先行スパンの位置や、転換線、基準線の水準は、正式な一目均衡表と基本的には異なりますのでご注意ください。


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ドル買い/円買い急伸の懸念

2014-03-09 19:06:53 | ☆外国為替を読む

今晩は、
先週末のアメリカ雇用統計は予想外の改善となりましたが、ドル金利の先高観が手伝ってか、ドルが全面高となり、円安が進んだ割にはクロス円の上値は重い展開でした。
ここまでであれば、普通にドル高との解釈で良いのですが、既にご存知の方も多くいらっしゃるとは思いますが、週末の土日で発表された中国の貿易収支が、異常な落ち込みとなり、先月後半から顕著になった人民元安が一段と進むリスクが出てきました。

◎中国情報に強いDZH社ウェブサイトの当該ニュースはこちら

このところユーロやオセアニア及びゴールドが謎の上昇をしていましたが、可能性の一つとしてチャイナマネーの逃避が考えられるところでした。しかし、ここでアメリカの金利先高観が再燃したとすれば、これらの通貨からドルへと資金がシフトし易くなる上に、中国発の金融リスク懸念が加わったことで、ドルはリスク回避先として一層買われやすい地合いになったと考えることは可能です。
そうなると、急ピッチで上昇してきたクロス円は、クロス元に下落リスクが出ることに加えて、円サイドにはリスク回避による円高が加わることも考えられ、センチメントは先週から一変することも想定しなければなりません。

2月の貿易収支落ち込みには、旧正月の長期休暇が季節要因だとの指摘もありましたが、織り込み済みの市場予想から、前年同月比で輸出はネットで25%以上の落ち込み、貿易収支の金額ではネットで375億ドル強の減少で赤字に転落しており、織込み以上の何かが原因となっていると考えた方が無難です。シャドーバンキングの崩壊もささやかれる中で、潜在的なリスクがまた一つ顕在化しつつあることは充分念頭に入れて置きたいと思います。

浅野

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ドル円、2月のレンジ相場を見ると簡単に抜ける気がしない-「A氏からのメッセージ」03月05日

2014-03-06 01:07:26 |  -ドル円

ポジション:スクエア
スタンス:戻り売り@102円70銭(03/05設定)

今日はリスク警戒感からの反発でドル円相場も上昇しているが、このところのレンジを考えると直近のモダルプラットフォームなるあたりで一旦ドル売りを仕込んでみたい。



今夜はオーダーをおいて市場に挑んでみたい。

※プロスティックス・チャートで表示している一目は、正式な一目均衡表とは異なります。作図する際に対象とする足の本数は、「9-26-62」の代わりに「7-22-44」を使用してあり、また「半値」を使用する代わりに「モダル・ポイント」という独特な数値を使用しています。従って、雲と呼んでいる「先行スパンの位置や、転換線、基準線の水準は、正式な一目均衡表と基本的には異なりますのでご注意ください。
 

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豪ドル、中国の金融問題は根強いはず-「A氏からのメッセージ」03月05日

2014-03-06 00:51:45 |  -豪ドル米ドル

ポジション:売り@0.8970(02/28約定) SL@0.9050(02/28)

ウクライナ情勢の緊張が緩和したことで一旦リスク回避からの巻き戻しがでて来ているようだ。



 しかし、中国でので理財商品や社債のデフォルトリスクはまだまだかなり高そうなので、こういう時にポジションを仕込んでおきたい。引き続きショートポジションは継続だ。

※プロスティックス・チャートで表示している一目は、正式な一目均衡表とは異なります。作図する際に対象とする足の本数は、「9-26-62」の代わりに「7-22-44」を使用してあり、また「半値」を使用する代わりに「モダル・ポイント」という独特な数値を使用しています。従って、雲と呼んでいる「先行スパンの位置や、転換線、基準線の水準は、正式な一目均衡表と基本的には異なりますのでご注意ください。


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円の買い越し微減、売り越し微増で円売り残高が頭一つ回復-IMM分析活字版

2014-03-04 16:30:58 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週のIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今週番組で使用するデータは、2月25日のIMM市場が終了した時点のものです。
今回、データの対象になった期間のドル円相場は、ウクライナ情勢の緊張からくるリスク回避の円高と、株価回復による安堵感からくる円売りとが交錯する中、底堅く推移する展開でした。102円台を維持できればどうにか…というムードの中、IMMの残高はどのような変化あったでしょうか。

では早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
前回に引き続き、ドルの買い越しを取り崩す動きは収まり、過去2週の微増から頭一つ出た印象があります。相場はやや上値が重く見えるものの、85,090コントラクトのドル買い越しと、前週に比べて約5000コントラクトが増加し、売り越し再開のムードが芽生えていた様子がうかがえます。

<全通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。
まず円は僅かずつ売り越しが再開していることが判り、円以外で売り越しが目立っていた、豪ドル、カナダ、ペソは売り越しが取り崩される傾向が見て取れます。一方で、買い越し気味に推移していたユーロとポンドは、その流れを継続しています。

つまり、25日が終了した時点では、ドルが全面的に売られた経緯が読み取れることから、新興国リスクの後退が一段と進む一方、ドル金利の先高観が後退したことによるドル売りとも考えられ、米国の株価が回復以降も底堅い要因になっているとの見方もできるでしょう。

ブルベアを見てみますと、
円は、売り越しが増え、買い越しが減少したことで、再び買い越しが13%へと低下し、
ユーロは、買い越しが増え、売り越しが減ったことからブルの微増となっています。
またポンドは、ブルが6対4を上回る程度まで伸び、前回から3ポイント上回っています。
豪ドルは、売り越しが減少し、買い越しが微増となり、ブルが前回から2ポイント上回りました。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。
今回はどの通貨も、ネットで10,000コントラクト以上の変化はなく、目先に対する見通しには、迷いが暗示される結果となりました。ただ、ユーロ、ポンド、豪ドルの買い越しは継続しており、このグラフからも円を除いた各通貨が買い戻されている傾向が見て取れます。

円のブレークダウンでは、前回僅かに膨張した市場はその規模を保ったまま下側(円売り側)にシフトした様子が判り、短期筋の一部が円高から円安へと再び見通しを変えた可能性が示唆されています。

ユーロは、少しずつ市場規模を拡大しながら、ロング寄り(つまりブル方向)へとシフトしており、ユーロの先高観が育ちつつある状況が伺えます。

また今回のポンドは、前々回に市場規模が拡大し過ぎた反動からか、市場規模が縮小する中で、売り越しの取り崩しが優勢だったことが判ります。こちらも次第にポンドの先高観が育ちつつあるようにも見えています。

最後に豪ドルは、売り越しの手仕舞いが進んだ以外は大きな変化はありません。上昇しつつある最近の相場ですが先高観にまでは至っていない可能性が在りそうです。

<総括と考察>
さて今回のデータまでは、アメリカの株価も順調に回復し、世界経済も順調な兆しが散見されていたことから、一部にはリスク回避を解消する資金の流れも観測されていたように思います。
しかしその後、仮想通貨相場の暴落や人民元の急落、或いはウクライナの情勢不安から、一部の通貨に対してはドルが買われるなど、データ以前とは逆行する展開になっています。

ウクライナ政権はロシアよりからユーロ圏よりの政権に交代し、一旦ユーロは歓迎ムードになったものの、これに対して週末にはロシアの軍事介入が議会承認され、再びリスク回避ムードへと傾きつつある展開です。
地政学リスクの影響が強いユーロは、いまのところ比較的冷静な対応となっていますが、円がギャップを空けて買われたり、金が急速に買い戻されるなど、既にリスク懸念の兆しは出ています。

今週は、ユーロやポンドの下落が対円の下落に因るものなのか、リスク回避のドル買いに因るものなのかを、見極める週となりそうです。

以上、このIMMの取組残高分析は、動画でもご視聴いただけます。


※上の画像をクリックするとForexTVジャパンの当該ページに移ります。

是非一度ご覧いただき、いわゆる投機筋として代表的なシカゴ筋のポジション動向をご確認ください。


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豪ドル、人民元下落の先に豪ドル安を想定中-「A氏からのメッセージ」03月04日

2014-03-04 15:59:16 |  -豪ドル米ドル

ポジション:売り@0.8970(02/28約定)    SL@0.9050(02/28)

少し盛り上がりに欠けているが、中国駐在の友人の話では、理財商品の問題はかなり深刻化しそうだ、ということだ。
人民銀行も影の救済をしているらしいが、まだまだ波乱はあるだろう。



現在のショートポジション、およびストップロスのオーダーはこのまま継続したいと思う。



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豪ドル、リスクムード台頭で試し売り-「A氏からのメッセージ」02月28日

2014-02-28 17:51:06 |  -豪ドル米ドル

ポジション:売り@0.8970(02/28約定)    SL@0.9050(02/28)

今週は、中国のシャドーバンキングの話やビットコインの話など、金融危機を少し匂わせるような材料が出始めている。加えてウクライナの情勢等政情不安的な材料もでており、リスク警戒モードで久しぶりにトライしてみようかと考えた。



円買いも候補にしたのが、どうもリズムが悪いのと、今回は「中国」が注目される気がしている。
更にプロチャート日足を見ると、0.9010-20ゾーンがモダルプラットフォームを形成している事が確認できたので、このあたりを目処に一旦売りを仕掛けてみた。

来週の動きに期待したい。

ドル円とユーロは今しばらく様子見になりそうだ。


※プロスティックス・チャートで表示している一目は、正式な一目均衡表とは異なります。作図する際に対象とする足の本数は、「9-26-62」の代わりに「7-22-44」を使用してあり、また「半値」を使用する代わりに「モダル・ポイント」という独特な数値を使用しています。従って、雲と呼んでいる「先行スパンの位置や、転換線、基準線の水準は、正式な一目均衡表と基本的には異なりますのでご注意ください。


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円残高は買い/売り共に増える中、売越し縮小は底打ちを見せる-IMM分析活字版

2014-02-25 17:57:18 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週のIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今週番組で使用するデータは、2月18日のIMM市場が終了した時点のものです。

今回、データの対象になった期間のドル円相場は、アメリカ経済指標が相次いで悪化し、リスク警戒感から円買いが先行した後、週明けに101.38円の安値を付けた以降は、日銀の政策金利発表を控えて調整気味に戻し、発表前後では思惑も入って前週の高値を更新するなど、往来相場となりました。

値動きからも、あまり大きな変化は期待できませんが、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。


<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
前回に引き続き、ドルの買い越しを取り崩す動きは収まっています。
相場は僅かに反落したものの、79,784コントラクトの買い越しと、前週に比べて1000コントラクトほど買い越しが増加し、僅かながら2週連続してドル買いが増加しました。

一時100円台後半を付けた今回の下落は、昨年5月の下落幅の約半分程度に収まった反面で、単純にドル残高の減少幅は前回の2倍近くあり、残高の減少幅が相場に与えたインパクトは、今のところ限定的に終わっていることになります。

<全通貨別ネット残高推移>
円は僅かずつ売り越しが再開していることが判り、
豪ドルは上昇相場を受けて、売り越しの減少が継続しています。
メキシコペソの売り越しは、沈黙状態から減少に移り、リスク警戒感が後退し始めた可能性が指摘できます。
ユーロは方向感に欠ける中、以前の売り越しから買い越しに転換し…、
ポンドは買い越しを一段強めるなど、目先はヨーロッパ通貨の上昇見通しが優勢である状況が指摘できます。

ブルベアを見てみますと、
円は買い越しも僅かに増えて、再び買い越しが15%を回復し…
ユーロは買い越しが売り越しを押し返す格好となりました。
また、ポンドは6対4程度まで買い越しが増加し、売り越しを寄り切る気配を感じます。

豪ドルに関して
ですが、先週のグラフはデータの表示が間違っていました。ブルベア比率に問題はありませんでしたが、今回は売り越し、買い越し共に残高を減らし、豪ドルへの興味が後退している状況の中、ブルベア比率への影響は特にありませんでした。


最後に、今回売り越しが一段と増加したカナダドルは、
2月に入って売り越しが徐々に取り崩される動きが続き、相場はカナダが強含む展開でした。昨年12月終盤のブルベア程度に一時売り越しが減少しましたが、相場の水準は高い位置を維持できたことから、先週のカナダ売りにも見られたように、売り越しに安心感が戻った可能性が在りそうです。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。

ネットの増減だけで見ると、3週前との比較ではユーロとポンドの変化が一番顕著で、売り越しから買い越しへと大きく方向を変えています。

ユーロからブレークダウンを見てみますと、売り越しが僅かに減少する中、買い越しが大きく増加しています。共に買い越しに作用したことで、大幅な買い越しになった訳ですが、3週前と比較すると買い越し残高は相当回復しており、IMMの投機筋はユーロの先高観を強めていることが判ります。

またポンドのブレークダウンでは、買い越し・売り越し共に残高が大きく増加しています。ネットでは相殺されるため今回の買い越しはさほど大きくは見えませんが、先高観が強まった中で対抗売りの興味も増えており、ポンドへの注目度が再び盛り上がり始めたことが判ります。

<総括と考察>
さて、アメリカの中央銀行的な役割を果たすFRBは、イエレン新議長体制が本格的に始動する中、資産買い取り額の縮小を継続しています。FRB筋からも依然として強気の発言が多く見られ、アメリカの株式市場は2月初旬の安値からはかなり回復しています。

しかし、一方で弱い結果が続くアメリカの経済指標はリスク警戒感を呼び、債券市場は一時的に上昇して利回りは低下する等、市場はリスクに対してONかOFFのどちらを優先すべきか、まだ確固たる判断はしかねているように見えます。

先週の当番組で想定した通り、ここまでの各為替相場は方向感なく上下する展開ですが、今回のIMMデータからは、僅かながらもリスク警戒感が後退しつつある兆しは、継続していたように見えました。

もう少し債券市場に安心売りが見られるまで明確な方向感は出にくいとは思いますが、フォレックスTVとしては、これまで同様、ドル売り円売りが優勢な見方を維持したいと思います。


以上の内容は動画でもお送りしています。多くのグラフなどを交えて、より解りやすく解説しています。

※上の画像をクリックしますと、ForexTVジャパンが放映している「IMM分析チャンネル」に移動します。


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