民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

青木理著『日本会議の正体』読了

2017-01-16 17:08:28 | 読書

 かねてから気になっていた「日本会議」です。この本でもいうように、これだけその主張が現政権にコミットしているにもかかわらず、マスコミはほとんど報じないどころか、国民の大部分はその実態どころか存在すら知らないという不気味な団体に、よくぞメスをいれてくれました。

 本の内容を詳しく解説するなら、読んでもらったほうが良いですから、私の感想を書いてみます。まず、明治憲法を復活させて、天皇主権・祭政一致を真剣に実現させようとする人々がいることに驚きました。本書では、日本会議の主張を以下のようにまとめています。

 日本会議の中枢にいる人びとを知る関係者は、その執念や粘り強さの背後には「宗教心」があると指摘した。新興宗教団体・生長の家に出自を持つがゆえの「宗教心」。また、日本会議そのものが神社本庁を筆頭とする神社界などの手厚いバックアップを受けているため、その「宗教心」に裏打ちされた運動や主張は、時に近代民主主義の大原則を容易に逸脱し、踏み越え、踏みにじる。
 天皇中心主義の賛美と国民主権の否定。祭政一致への限りない憧憬と政教分離の否定。日本は世界にも稀な伝統を持つ国家であり、国民主権や政教分離などという思想は国柄に合わない―そんな主張を、たとえば日本会議の実務を取り仕切る椛島は、平気の平左で口にしてきた。それは同時に、日本会議の運動と同質性、連関性を有する安倍政権の危うさも浮き彫りにする

 生長の家の関係者が日本会議の中核を占め、それらの人々が安倍政権の理念を構築してしているのだといいます。生長の家の宗教心とは何なのかよくわからないのですが、天皇教の信者といってもよいでしょうか。天皇教の信者を否定するものではありませんが、それを国教として国民に強要するとしたら、北朝鮮やイスラム国、サウジアラビアと何ら変わりません。この信者は先の大戦での敗戦という歴史的事実は、全くなかったものとして忘却し、侵略戦争をこの国が戦ったことも、相手が悪かったからやむを得ない戦争であったと、心底信じているようです。都合のよいことしか見ようとしないのは世界的傾向であるとはいえ、何が真実かを教えない教育はオレ様を育てるだけです。


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