民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

東北の洪水と放射能汚染

2015-09-13 19:05:57 | その他

 ようやく秋の企画展「牧水の旅した信濃」の準備が整い、昨日から公開しました。牧水の長野県とのかかわりを、喜志子・柊花・行歌といった人物を通して描き、牧水の短歌結社「創作」の立ち上がり状況を同じ信濃を基盤とする「潮音」との相克から明らかにするという、信濃ならではの牧水の切り口になったと自負しています。といっても、こちらは短歌の素人ですから、展示した作品(牧水等の掛軸)がどうかと言われれば、答える術がありません。
 かなりの時間をかけて展示の構想を練り、資料を借用し、背景を探りとしたわけですが、観覧者はたいしてはいないでしょう。交通の便が悪いというのが大きなネックとなっています。昨年の企画展にしても、東京でやったら多くの観覧者が集まるのにといわれました。こんな田舎で全国に誇るべき展示をするというのが、目指すべきところです。 

  さて、東日本を大雨が襲いました。震災とのダブルパンチに見舞われた地域もあることでしょう。それで思うのは、原発での放射能汚染地域のことです。先日、除染が済んだといって非難を解除された地域がありましたが、実際には帰還した人々は少なかったようですね。除染という不思議な行為がなされたことを信用するとして、住まいとせいぜいその周囲の放射能を洗い流しただけのことでしょう。山の木々、林の草、川の水などは汚染されたままでしょう。見えないカプセルの中の住居で暮らす、まるで火星に人工的に作った居住地で暮らすようなものですから、喜んで帰還しようとする人が少なくて当然です。でこうした大雨で気になるのは、山に降って木々を濡らして放射能を含んだ雨水が、放射を含んだ土にしたたってさらに濃度が濃くなって川に流れ込み、流域の汚染物を含みながら大量に海に流失していることです。福島周辺の海水は大丈夫なのでしょうか。もうマスコミはニュースにもならないから報道しませんが、日々汚染は海へと移染しているのではないでしょうか。不知火海の水銀汚染と同じ道筋をたどるのではないかと心配です。放射能汚染を忘れてはいけません。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿