民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

TPPと難民問題と

2017-02-12 09:48:06 | 政治

安倍首相とトランプ大統領の会談、ゴルフなどが報じられています。私もトランプ氏の言動については、好ましいものとしては受け取れません。なんといっても、インテリジェンスが感じられません。とはいえ、大統領選以前はTPPは日本経済を破壊するといった論調が、アメリカがTPP破棄と伝えられると、自由貿易を守れ保護貿易反対と、マスコミの論調が微妙に変化したように思うのです。アメリカとの2国間交渉で押し切られるより、TPPの方がまだましだったというのでしょうか。

 私は自由貿易が必ずしも世界を豊かにするとは思いません。なぜなら、自由貿易の下では多国籍企業は税金の安い国、労働力の安い国を求めて世界を漂流していきます。多国籍企業にとっては、企業の利益が優先ですから自国とする国はありませんし、国の利益などは二の次です。だから、法人税の引き下げ合戦が起きますし、労働賃金をいかに安くするかで、先進国の格差の問題が拡大します。だから、必ずしも自由貿易が国民の利益につながるとは思えないのです。ならば、保護貿易が各国の利益につながるかといえば、それも簡単にはいえません。2国間交渉では、2国の力関係がそのまま貿易に反映し、対等な貿易を築くことが難しいからです。ようは、一方に偏るのはよくないということでしょうか。

もう一つ、入国審査・難民問題について、アメリカの記者の質問に安倍首相は内政問題なのでコメントは差し控えるといって、不快感を表明したイギリス首相との差をみせました。アメリカ追随で、トランプ氏のいやがることは言わないという、安倍首相の追随外交だと批判もされました。しかし、これはうかつに発言したら日本の難民受け入れはどうなっているのだと追及されかねない問題ですから、深入りを避けたのでしょう。

総体として、日米の同盟強化を世間に印象付けた会談でしたが、世界的に見た場合それが長期的に得策だったかはわかりません。というのは、トランプ政権が今後安定的に続くかはわからないからです。もしトランプ政権が途中で倒れた場合、世界中から日本は爪弾きされてしまうことがあるからです。2日も同行せず、安倍首相はそそくさと帰国しゆっくりと時間を稼ぐべきだったと私は思います。ゴルフの間も安倍首相はヨイショを続けたのでしょうか。なんだかせつないです。その分帰国したらグッと胸を反り返すのでしょうね。


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