教育のヒント by 本間勇人

身近な葛藤から世界の紛争まで、問題解決する創造的才能者が生まれる学びを探して

リチャード・ローティ氏の死

2007-06-12 08:08:14 | 文化・芸術
朝日新聞(2007年6月11日)によると、アメリカの政治哲学者リチャード・ローティ氏が亡くなった。

<プラグマティズムの哲学者、デューイの研究で頭角を現した。正義や自由をめぐって70年代以降に米国で活発になった政治哲学論争では、自らを米国の夢としての民主主義を追求する「左翼」とする一方、フーコーらのポストモダン主義を、独特の皮肉な文体で批判した。日本の研究者にも影響を与えた。スタンフォード大などで教え、邦訳に「哲学と自然の鏡」「アメリカ未完のプロジェクト」「偶然性・アイロニー・連帯」などがある。>

★デューイの系譜ということは、正統プラグマティズムベースのポストモダニストという位置付けになるのだろうか。ともあれ自由と正義をめぐるローティの考え方は、教育にも影響を与えてきた。

★特に私立学校の理念をどのように位置付け、現実化するかについては重要な示唆を与えてきたはず。それはリベラリズムのパラダイムで構成するのか、リバタリアンでいくのか、権威主義でいくのか、新自由主義的保守主義でいくのか。

★この論議はクリントン大統領やブレア首相時代の「第三の道」に大きな影響を与えたはずであり、この道については今もまだ続いている。

★もっとも現在の私学人がこの点について明確に意識しているかといえば、それはないだろう。しかし、教育再生会議や教育三法の問題、中教審の問題で政府や文部科学省とぶつかるということは、私学がリベラリズムの立場に立っているということ。つまり「第三の道」路線。だから当然、保守主義の極みであるネオコンには絶対与しない。

★ローティの死去は、しばらく氏のリベラリズムが、教育・政治・経済・金融・医療・環境などのそれぞれの分野や生活で、プラグマティックにどのように影響を与えていくのかについて、脱構築の風を呼ぶだろう。

※リチャード・ローティの思想について参考になる論文
リチャード・ローティを脱構築する 理戦』no.74, 2003 Autumn, pp.66-87. 橋本努

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