国家の神秘―ブルデューと民主主義の政治 (ブルデュー・ライブラリー) (ブルデュー・ライブラリー)P.ブルデュー藤原書店このアイテムの詳細を見る |
☆あらゆる組織はその最初において神秘的な統治形態をもっている。そしてそれを覆い隠すように近代的で民主主義的な運営、つまり政治がとり行われる。
☆このような神秘的な統治形態の系譜をたどることは一面では、その系譜の正当化である。だからその系譜の正当性・信頼性・妥当性をチェックする側の系譜もたどらねばならない。
☆ここまでは、私も中等教育レベルで生じている権力関係を明らかにし、近代化や民主主義が、神秘の正当化にからめとられないようにと思っている。
☆しかし、ブルデューは違う。さらにその神秘がどのように生まれるのかその構造を明らかにしようとする。
☆リチャード・ローティが改良主義的左派なら、ブルデューは左のさらに左だ。教育の分析をしたり、教育のフィールドに立っているスタンドポイントは常に保守。
☆この構造から生れ出る人材が、果たしてブルデューのような存在の根源的な構造まで議論する視点を持ちえるだろうか。実に難しい。それだけに本書の魅力は神秘的だ。