みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

中野雅至『格差社会の結末 - 富裕層の傲慢と貧困層の怠慢』- 対策の提示では最も優れています

2007-02-22 | こんな本を読んでいます
「格差本」の紹介、3冊目です。
欠点はありますが良書です。もっと売れてよいと思います。
中野雅至『格差社会の結末 - 富裕層の傲慢と貧困層の怠慢』の紹介

いきなり最初に欠点を指摘させて頂きますが、
構成上の問題で著者の意見が伝わりにくいのです。

この種の本は「著者の現状分析」と「今後の方策」が生命線です。
(その点では門倉貴史『ワーキングプア 』が非常に優れています)

世上に流布している格差社会に関する言説をいくつかの項目に分類し、
それぞれを分析して欠点を指摘すれば著者の立場が分かりやすくなります。
その後に著者の考える今後の方策をまとめれば良かったでしょう。

本の目次を見るだけで論の展開や内容の概略が分かるようでないと、
せっかく興味を持った読者が途中で放り出してしまいます。

   ◇     ◇     ◇     ◇

… ようやくこの本の内容に入ります。

著者は「中間層の負担の増大」「日本の高齢化と財政の苦しさ」から見て
北欧のような高福祉高負担社会は実現不可能と論じ、
「シュンペーター型ワークフェア国家」を提唱しています。

これは「労働を通じて福祉を実現する社会」であり、著者によれば …

(1)個人や企業の自由な活動が尊重される社会で、規制は必要最小限に
(2)その結果、格差が生じても、その格差は自然の結果として受け止める
(3)格差が個々人の競争の結果であること、競争の公平・公正さを確保する
(4)格差が拡大・固定すれば社会が瓦解するということを踏まえ、富裕層・
   中間層・貧困層を問わず個人、政府、企業の三者が各自義務を負う

傾聴すべき提言だと思います。いかがでしょうか。

また、正社員と派遣などの非正社員との格差に関しては、筆者は「派遣法の
廃止」「非正社員の解雇規制強化」ともに不可能であると断じ、「非正社員
の労働条件を改善(同一労働同一賃金・社会保険や雇用保険の改善)するこ
としかない」としていますが、この主張も中正で妥当なものと思われます。
(人件費をコストとしか見ない企業は抵抗するでしょうが、実現すべきです)

通常は見過ごされがちな一般国民の側の改善すべき点を
(大衆に媚びず)正々堂々と指摘しているのも好感の持てるところです。

著者の鋭い見解を以下にいくつか引用致します。

“ 累進税制や社会福祉の充実といった所得再分配によって、
 最も恩恵を受けるのは誰か。それは貧困層である。そのた
 め、貧困層自身にも正当性が求められる。では、貧困層の
 正当性とは何を意味するのか。それは、1)貧困層に落ち
 た理由が正当か、2)貧困層から抜け出そうと努力してい
 るか、3)貧困状態で犯罪などに手を染めていないか、の
 三つである。この三つの角度から貧困層が正当性を持たな
 い場合、富裕層から税金を取り貧困層に再分配すべきであ
 るという方向に、世論は向かないだろう。”

“ 現実に、次の図表4-2を見れば分かるように、景気回復
 の果実がトリックルダウンしていないからである。格差が
 発生しても許されるのは、富裕層や新しい産業が富を作り
 出し、それが一般庶民に落ちてくるからである。景気回復
 が「落ちてこない蜜」だということが判明すれば、誰も格
 差拡大を歓迎しない。”

” 小泉改革の結果が人材派遣業や介護関連事業では少し寂し
 すぎるだろう。社会ニーズが高い業種であることは確かな
 のだろうが、これらの業種が新産業として日本を牽引する
 と想像できる人がいるだろうか。世界に誇れるレベルだろ
 うか。欧米に進出して富を稼ぎだせるだろうか。”

“ 日本の課税最低限は国際的水準で見ても高くなっており、
 所得税を納めない非納税者が2000年度で2割に達して
 いる。冷たい言い方かも知れないが、どれだけ富裕層から
 税金を徴収したとしても限界がある。中間層を含めて各自
 が応分の負担をすべきである。”

” 予算の中で、最も大きな比重を占める社会保障費の中でも
 最も割合の高いものが高齢者関係給付費(年金、老人医療
 等)で約70%を占めており、現役世代のために使えるお
 金はたったの30%しかない。〔中略〕
 今現在国民が受けている年金・医療・福祉などの行政サー
 ビスを維持するために必要な税金さえ支払われておらず、
 これが先送りされて財政赤字になっていることである。極
 端な例えだが、現在のレベルの社会保障サービスを受ける
 ためには439万円を支払わなければならないにも関わら
 ず、377万円しか支払っていないということである。こ
 こに弱者や貧困層向けの格差是正プログラムを導入すると
 なると、より一層の負担がかかるのは自明であろう。”

“ 規制緩和に関する世論調査を見ても分かるように、規制強
 化を支持する国民は少ない。さらに、「夢よ再び路線」を
 唱える人々が余りにも「胡散臭い」のも問題だろう。例え
 ば、今年1月26日の参院本会議で自民党の青木幹雄参院
 議員会長が「日本が光と影に二極分化し、格差が広がって
 いる」と総理に質したが、果たしてこの人物の発言を国民
 がどのように受け止めただろうか。日本の保守政治家は恩
 情深くて貧困層に気遣うと理解した人はいるだろうか。
 悪いが、そのような人は皆無だろう。彼らが格差是正を求
 めるのは「業界保護」「公共事業の確保」を目的としてお
 り、格差社会を憂慮しているとは誰も思っていない。旧来
 型の保守政治家がこの種の発言をすればするほどに、格差
 是正の意味が曖昧になってゆく。「簡単に規制緩和すべき
 ではない」「それぞれの業界には事情がある」「地方切り
 捨て」「地方には道路が必要だ」「一県にひとつ空港を」
 と一見すると格差是正に気を配っているように見えて、自
 分達の権限と利権を確保し、医者や土建業者という旧来の
 富裕層は優遇するという「見せかけだけの平等主義」は完
 全に国民に見破られている。少なくとも、小泉自民党はこ
 の路線と決別して改革政党と再出発したはずである。自民
 党が再びこの「見せかけだけの平等主義」に戻ろうとした
 時、国民から完全に見放される。その時、自民党は本当に
 ぶっ壊れる。”


他にも、
国際比較すると日本の間接税の水準は明らかに低い、
下流層の怠惰な生活習慣やメンタリティに世間の目は冷たい、
企業は法人税が高いと文句を言うが、税負担は一部の企業に過ぎない、
等々の冷静な筆致が光っています。

当ウェブログで挙げました4冊の「格差本」の中では
処方箋と言う点で最も優れている本と言って良いでしょう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

以下は以前御紹介した本です。
橘木俊詔『格差社会 - 何が問題なのか』の紹介

文春新書『論争 格差社会』の紹介

次回は以下の本を御紹介する予定です。

門倉貴史『ワーキングプア - いくら働いても報われない時代が来る』の紹介

 → 優秀なレポートがあり、広くお薦めできます。
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『週刊ダイヤモンド』2月24日号 - 自民党公約の「年金給付50%保証」は大嘘

2007-02-21 | 『週刊ダイヤモンド』より
今週の『週刊ダイヤモンド』の特集は「証券大乱」でした。
『週刊ダイヤモンド』最新号の案内

メイン特集に関しては、P40のネット証券再編の話が面白いです。
オンライン証券の口座数は見事に頭打ちになっており、
「手数料値下げはもう無理」「独立系ネット証券の限界」
というのが『ダイヤモンド』側の結論です。(全くその通りですね)

まあ、いとすぎが何と言っても特に影響ないと思うので書きますが、
正直、イートレード証券の戦略は全く面白みがないので、
(ユニクロのように、ビジネスモデルとしての優秀さしかない)
システム命のカブドットコムや、良心的なミーチュアルファンド・
オルタナティブなど商品の選択肢が広いマネックスに頑張って欲しいところ。

… 関係者の皆さん、済みません。率直な意見です。

   ◇     ◇     ◇     ◇

今週の『ダイヤモンド』は特集以外の箇所が見所満載です。

今回のエントリーのサブタイトルはP7のプリズム、
辻広雅文 氏が政府の年金制度への取り組みを批判されているのです。

” 楽観的前提で50%超を強弁し、少子高齢化による十年、
 二十年先の危機に目をつむるのは、政治の二重の不実で
 あろう。”

… 少し事情を知っている方は、みな同感のはずです。
いとすぎは、今の高齢層は将来世代のことなどどうでも良いと考えている
方が極めて多いと思っている(※)ので、全く同意見です。

※ もし具体的に反証がありましたら是非教えて下さい。
  社会保障制度の仕組みと国債残高からはその結論しか出ません。

少子化については、P29の高山教授のコラムを読むと
日本政府がついに「自らの誤りを認めた」ようにも見えます。

   ◇     ◇     ◇     ◇

投資関連としては、P25の「二極化する株式市場」、
P20の「千葉・埼玉でマンション在庫急増」は必見です。

前者ではいかに鉄鋼・ガス・海運・不動産の株式が好調であるか、
そしてその理由を三菱UFJの藤戸則弘ストラテジストが説明されています。
(M&A期待と配当のインパクトの大きさが明白)

後者はマンション業界での「二極化」現象の現れであり、
昨年から懸念されていたことです。要注意ですね。

   ◇     ◇     ◇     ◇

最後になりますが、P100のレポートが非常に面白いので
ぜひお読み下さい。

「清潔で、自然が美しく、食べ物がおいしい」と、
日本の地方を旅するアジアからの観光客が増えている

のだそうです。
韓国からの訪日客が増加しているのは「ウォン高・円安」のせいだと
思いますが、何にせよアジアに評価されるのは良いことです。

P101の資料でも分かるように、明らかに観光は立派な日本の「成長産業」です。
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『週刊 東洋経済』2月24日号 - 忍び足で近付く貧困、政治も経済界も無策

2007-02-20 | 『週刊 東洋経済』より
今週の『週刊 東洋経済』の特集は「貧困の罠」でした。
『週刊東洋経済』の定期購読(レビュー投稿で1,000円券プレゼント付)

最新の記事内容紹介は、こちらの方が早いです。
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/toyo/

力のこもった、良い特集です。
投資向けではないのですが、充分買う価値があると思います。

特集を一読して思うのは、

政治の側にも、日本経団連のような経済界側にも、
この状況を打開する強固な意志も良策もない、ということです。


中流層から下流への崩落現象は様々な論者によって主張されていますが、
データによって裏付けできます。

P48 > 日本の教育費は世界的に見て極めて高い
P72 > トヨタ本社と下請との極端な賃金格差
P75 > 日本の製造業を支える日系ブラジル人
P78 > 最低賃金が守られない現状

無気味なのはP42の国民健康保険の滞納状況のグラフで、
2000年からじりじり上昇を続ける一方です。

「こうした状況は、国の社会保障や企業内福祉に守られた
 サラリーマンには見えにくい。」

と『東洋経済』は記していますが、多くの公務員も同様ではないでしょうか。

さすがと思ったのは第一生命経済研究所 熊野英生エコノミストの執筆記事で、
(P46)「家計が豊かになる時代は終わった」という衝撃的なタイトルです。
実際読んでみると予期したよりも穏健・妥当な論で、

基本的に、雇用環境が安定し、給与水準が拡充され
なければ、消費は増えていかないだろう

とのことです。(本当に、その通りなのです ……)

特に、素晴らしい慧眼だと思ったのは次の箇所です。

過去、1998年以降の消費拡大は、多かれ少なかれ資産効果に
依存している。2005年9月から半年間の個人消費は、株式を
多く保有する高所得者20%だけが消費を牽引する特異な消費
ブームであった。今後も消費が増えるために株価上昇に依存
する構図は続くだろう。

全く同感で、企業が成長し株価が上がらないと日本社会がじり貧になります。

このコラムでは日本の平均所得の下落は意外に小さくて(ピーク時の9割弱)、
いとすぎはてっきりもっと大きいものだと思っていました。

    ◇     ◇     ◇     ◇

予想されたことではありますが、経済成長率の鈍化や税収の減少は
もろに社会的弱者にしわ寄せされます。
ハンディキャップを持つ障害者、母子家庭、生活保護世帯、病気の方など、
「もともと不利な状況にある人々」へのサポートが必然的に薄くなるのです。

これは市場原理主義的な論者がいくら美辞麗句で誤摩化しても
絶対に否定できない事実です。

特集の後半には、竹中平蔵 教授と神野直彦 教授が正面から激突する
インタビュー記事(P90)があり、見応え充分です。
ここはぜひお読み下さい。

「大きな政府と小さな政府」の論争は何年も前から続いており、
そろそろ具体的に「どの予算にどれだけ、どのような形で投入するか」を
論じないと意味がないと思うのですが ……

また、トヨタ自動車の巨額の利益を支えているのは、
年収がトヨタ本社社員の半分にも満たない下請けの労働者であるということ、
こちらも苦い事実ですが、P72もぜひ見ておきたいところです。
(トヨタから巨額の広告費を受け取る多くのマスコミは、このことを書かない)

    ◇     ◇     ◇     ◇

硬派の特集が続く今週号ですが、
P118では山田昌弘 教授が「恋愛格差」を論じていてびっくり。
経験率上昇や複数化は、携帯電話普及の効果だと思いますが、いかがでしょうか。
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北朝鮮に実質的な影響を与え得るのは軍事力のみ - 交渉内容から分かる相手の弱点

2007-02-19 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
今日は趣向を変えて、報道を見ていて思ったことを少しばかり。

中川昭一 自民党政調会長「北朝鮮支援は拉致と核とセットで」(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070219k0000m010053000c.html

” 自民党の中川昭一政調会長は18日のフジテレビの番組で、北朝鮮の核問題を
 巡る6カ国協議の合意について「拉致と核はセットだ」と述べ、拉致問題の進
 展がなければエネルギー支援しない政府の姿勢を堅持すべきだとの考えを示し
 た。
 これに対し、同党の加藤紘一元幹事長は「拉致と核は分離して考えるべきだ」
 と主張。「諸外国の拉致問題への理解は外交辞令に近い。(日本が)置いてき
 ぼりされていく可能性はある」と述べ、各国と協調して支援に参加すべきだと
 の考えを示した。”

 → 中川政調会長の発言は自民党の言わば「建前」で、
   加藤元幹事長の発言が「本音」の部分であるような気がします。
   「諸外国の拉致問題への理解は外交辞令に近い」との評言が、
   現下における日本外交の現実でしょう。

   拉致家族の方々のことを考えると本当にお気の毒ですが、
   何しろ相手が相手ですから、打開策は非常に難しいです。

さて、日本がエネルギー支援するかどうかが
実際に外交上の具体的な成果につながるのではなく、
どちらかと言えば面子と内政の問題になりつつある現在において、
北朝鮮政府にとってはこちらの方が遥かに重大事のようです。

F22ステルス戦闘機の嘉手納配備、北朝鮮が中止を要求(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070215i301.htm

” 13日まで行われた北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議で、北朝鮮が米国に、
 沖縄の米軍嘉手納基地に最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター」12機を暫
 定配備する計画の中止を求めていたことが14日、明らかになった。〔中略〕
 関係者によると、北朝鮮は同協議で米国の敵視政策を批判し、「核実験を行っ
 た北朝鮮へのけん制」(外務省幹部)と言われるF22の配備や米韓合同演習
 の中止を求めた。”

北朝鮮政府の「生命維持装置」である中国が健在である限り、
北朝鮮への直接的なインフルエンスは軍事力しかあり得ません。
(経済封鎖は無効ではありませんが、さほど有効ではありません)
この記事は図らずも北朝鮮政府が最も警戒しているのが何かを明らかにしています。

あくまで素人の個人的な意見ですが、
中国政府は少なくとも北京オリンピックが無事終了するまで
北朝鮮の現政権を積極的に転覆させる意図がないと見ています。
(勿論、「不測の事態」に備えて軍事介入計画はできている筈ですが)
中国の経済成長にとって、それは妨害に他なりませんから。

となると、核も拉致も解決にはかなり時間を要することになりそうです。。。

    ◇     ◇     ◇     ◇

以下は補足です。
東アジアの軍事パワーバランスを知るためにいくつか記事を見てみます。

具体的な戦力バランスと大まかな状況を把握していないと
外交も政治も正しく考えることができませんから。

中国潜水艦、アメリカ空母キティホークに8kmまで接近(産経新聞 iza)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/27633/

” この事実を報道した13日付の米紙ワシントン・タイムズによると、潜水艦
 の接近があったのは10月26日。中国のソン(宋)級攻撃潜水艦が、沖縄
 沖の太平洋上を航行中のキティホーク戦闘群に接近した末に、約8キロまで
 接近し、海上に浮上した。潜水艦は、戦闘群の航空機に発見されるまで探知
 されなかったという。
 AP通信によると、キティホーク戦闘群は当時訓練中で、訓練自体は潜水艦
 を対象にしたものではなかったという。しかし、潜水艦はミサイルや魚雷の
 射程内の距離まで接近しており、ファロン司令官は「対潜水艦の演習が行わ
 れていたなら、予測不能の事態にエスカレートすることもあり得た」と語っ
 ている。”

 → 意図的なのか半ば過失なのか判断しにくいですが、
   暗黙裡の敵対関係が浮き彫りになっています。
   潜水艦でアメリカ海軍に対抗するのはかなり厳しいでしょうが、
   テクノロジーと戦力に劣る側の合理的な戦術としては理解できます。

参考までにこちらも。
ウィキペディアの「漢級原子力潜水艦 領海侵犯事件(2004年)」の記載

軍事的には明らかに米国(+日本、台湾) vs 中国(+北朝鮮)です。
この基本構図はまず変わりません。

だから非常にややこしいのですが、
北朝鮮は政治的にも軍事的にも敵対国、
中国はその敵対国を保護している国で、
しかも経済的には日本にとって最重要国のひとつ、
しかし軍事的には潜在的敵対関係にある国です。

日本がこの宿命的ややこしさを賢く切り抜けることを祈ります。
(日本の場合、伝統的に「国内感情と外交判断を混同する」悪癖があるので …)
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ロバーツ・ミタニ創業者の神谷秀樹 氏が爆弾発言 -「日本のファンド投資の魑魅魍魎」

2007-02-18 | 株式・為替マーケット全般
これは、不動産流動化関連に投資されている方にとって大事件でした。

ダヴィンチの金子社長、「親会社に実質影響なし」と(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200702160048.html

” ダヴィンチ・アドバイザーズ<4314.OJ>の金子修社長は15日、証券取引等
 監視委員会が前日、100%子会社のダヴィンチ・セレクト(東京都中央区)
 を行政処分するよう金融庁に勧告したことについて、親会社への影響は実質的
 にないと語った。
 また、子会社の行政処分があっても、ダヴィンチ・アドバイザーズが今後3年
 間に積極的な不動産物件の取得を続け、運用資産残高をほぼ3倍に拡大させる
 方針に変更はないと述べた。〔中略〕
 ゴールドマン・サックスのアナリスト、岡田さちこ氏は14日付のレポートで、
 「鑑定価格の信頼が揺らぐことになれば、好調なマーケットが続いていただけ
 にJ─REIT市場全体に対する影響は小さくない」と指摘。ただ、東京を中
 心に空室率の低下が続くなど不動産市場が良好な環境であるため、「短期的な
 調整ですむと考える」としている。”

 → それにしても「影響なし」と言い切ってしまう強気に驚かされます。
   マーケットの反応は過剰反応という見解でしょうか。
   それとも連鎖反応を恐れて必死に防戦されているのでしょうか。

   後半に挙げたGSの岡田アナリストの分析も参考になりますので、
   不動産ファンド関連への投資ウエイトが高い方は、
   この記事を熟読されると良いかと。
   (抜粋したのはごく一部で、元々の記事はもっと長いです)

さて、この記事のコメントと対照的なコラムも御紹介します。
ロバーツ・ミタニ創業者兼MDの神谷秀樹 氏のシビアな意見です。

神谷秀樹氏「日本のファンド投資の魑魅魍魎」(日経BP)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20061221/116115/

クレージーな市場を諦めた欧米系ファンドの撤退、
横並び投資でかつての銀行の不動産融資の二の舞になる、
法令違反すれすれの取引に手を出す、etc の危険性があるとのこと。

かなり過激な表現を用いているので最初驚きますが、
非常にまっとうな主張であることが分かります。 

不動産関連を含む投資ファンドが無理をしなければならない理由は、
このコラムにあるように「成長が難しくなっている」のが主因でしょう。

だいたい、不動産ファンド専業の企業の株価よりも
東証REIT指数の方がパフォーマンスに優れる理由は、
「成長余地に懸念が生じている」からに他なりません。
(株価の伸長よりもREITの配当の方が評価されている)

会計に対する不信もあるかとは思いますが、
成長が鈍化しているからこそ会計をいじくる動機が生じるわけです。
或いは「実態以上に高成長を演出する」必要に迫られる、とか。

注 : いとすぎは会計に関して素人以下なので、間違っているかもしれません。

    ◇     ◇     ◇     ◇

… いとすぎは、昨年から既に不動産ファンドは変革期に入ったと考えています。
それはちょうど、かつて小売業に生じたのと同じ変化です。

消費が急速に伸びるのに従って、まず百貨店、次にGMSが成長します。
百貨店やGMS(※)の成長が鈍化すると何が生じたのか?

 ヤマダ電機、ユニクロ、かっぱ寿司、UA、ハニーズ、etc …

得意分野を持つ「カテゴリーキラー」の成長です。
不動産ファンドでも同様の現象が起きる可能性があるでしょう。

 ※ ウィキペディアにGMSの説明がありました。

実際、不動産ファンド関連銘柄の中でも株価を大きく下げているのは
「スケールメリット重視型」の企業がほとんどです。
大して株価が下がっていない企業も少なくありません。

不動産ファンド関連のウエイトを下げた方が望ましいのは
一般論として正しいと思います。
(他にもセンチメントや金利の問題がありますし)

しかし、それは不動産ファンド関連がすべて期待できないということを
意味してはいないのではないでしょうか。
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