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北朝鮮に実質的な影響を与え得るのは軍事力のみ - 交渉内容から分かる相手の弱点

2007-02-19 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
今日は趣向を変えて、報道を見ていて思ったことを少しばかり。

中川昭一 自民党政調会長「北朝鮮支援は拉致と核とセットで」(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070219k0000m010053000c.html

” 自民党の中川昭一政調会長は18日のフジテレビの番組で、北朝鮮の核問題を
 巡る6カ国協議の合意について「拉致と核はセットだ」と述べ、拉致問題の進
 展がなければエネルギー支援しない政府の姿勢を堅持すべきだとの考えを示し
 た。
 これに対し、同党の加藤紘一元幹事長は「拉致と核は分離して考えるべきだ」
 と主張。「諸外国の拉致問題への理解は外交辞令に近い。(日本が)置いてき
 ぼりされていく可能性はある」と述べ、各国と協調して支援に参加すべきだと
 の考えを示した。”

 → 中川政調会長の発言は自民党の言わば「建前」で、
   加藤元幹事長の発言が「本音」の部分であるような気がします。
   「諸外国の拉致問題への理解は外交辞令に近い」との評言が、
   現下における日本外交の現実でしょう。

   拉致家族の方々のことを考えると本当にお気の毒ですが、
   何しろ相手が相手ですから、打開策は非常に難しいです。

さて、日本がエネルギー支援するかどうかが
実際に外交上の具体的な成果につながるのではなく、
どちらかと言えば面子と内政の問題になりつつある現在において、
北朝鮮政府にとってはこちらの方が遥かに重大事のようです。

F22ステルス戦闘機の嘉手納配備、北朝鮮が中止を要求(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070215i301.htm

” 13日まで行われた北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議で、北朝鮮が米国に、
 沖縄の米軍嘉手納基地に最新鋭ステルス戦闘機「F22ラプター」12機を暫
 定配備する計画の中止を求めていたことが14日、明らかになった。〔中略〕
 関係者によると、北朝鮮は同協議で米国の敵視政策を批判し、「核実験を行っ
 た北朝鮮へのけん制」(外務省幹部)と言われるF22の配備や米韓合同演習
 の中止を求めた。”

北朝鮮政府の「生命維持装置」である中国が健在である限り、
北朝鮮への直接的なインフルエンスは軍事力しかあり得ません。
(経済封鎖は無効ではありませんが、さほど有効ではありません)
この記事は図らずも北朝鮮政府が最も警戒しているのが何かを明らかにしています。

あくまで素人の個人的な意見ですが、
中国政府は少なくとも北京オリンピックが無事終了するまで
北朝鮮の現政権を積極的に転覆させる意図がないと見ています。
(勿論、「不測の事態」に備えて軍事介入計画はできている筈ですが)
中国の経済成長にとって、それは妨害に他なりませんから。

となると、核も拉致も解決にはかなり時間を要することになりそうです。。。

    ◇     ◇     ◇     ◇

以下は補足です。
東アジアの軍事パワーバランスを知るためにいくつか記事を見てみます。

具体的な戦力バランスと大まかな状況を把握していないと
外交も政治も正しく考えることができませんから。

中国潜水艦、アメリカ空母キティホークに8kmまで接近(産経新聞 iza)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/27633/

” この事実を報道した13日付の米紙ワシントン・タイムズによると、潜水艦
 の接近があったのは10月26日。中国のソン(宋)級攻撃潜水艦が、沖縄
 沖の太平洋上を航行中のキティホーク戦闘群に接近した末に、約8キロまで
 接近し、海上に浮上した。潜水艦は、戦闘群の航空機に発見されるまで探知
 されなかったという。
 AP通信によると、キティホーク戦闘群は当時訓練中で、訓練自体は潜水艦
 を対象にしたものではなかったという。しかし、潜水艦はミサイルや魚雷の
 射程内の距離まで接近しており、ファロン司令官は「対潜水艦の演習が行わ
 れていたなら、予測不能の事態にエスカレートすることもあり得た」と語っ
 ている。”

 → 意図的なのか半ば過失なのか判断しにくいですが、
   暗黙裡の敵対関係が浮き彫りになっています。
   潜水艦でアメリカ海軍に対抗するのはかなり厳しいでしょうが、
   テクノロジーと戦力に劣る側の合理的な戦術としては理解できます。

参考までにこちらも。
ウィキペディアの「漢級原子力潜水艦 領海侵犯事件(2004年)」の記載

軍事的には明らかに米国(+日本、台湾) vs 中国(+北朝鮮)です。
この基本構図はまず変わりません。

だから非常にややこしいのですが、
北朝鮮は政治的にも軍事的にも敵対国、
中国はその敵対国を保護している国で、
しかも経済的には日本にとって最重要国のひとつ、
しかし軍事的には潜在的敵対関係にある国です。

日本がこの宿命的ややこしさを賢く切り抜けることを祈ります。
(日本の場合、伝統的に「国内感情と外交判断を混同する」悪癖があるので …)
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