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自民党議員「これまでの少子化対策は大失敗」と漸く自覚 - 石破地方創生担当相も己の知恵のなさを認める

2014-10-08 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
自民党が漸くこれまでの少子化対策を「大失敗」と認めた。
当たり前のことをどうしてこれ程の長い時間がかかるのか全く理解できないが、
但しこれでも初心者の水準内のレヴェルアップでしかない。

次には、自民党政権が代々続けてきた、あさはかな有権者に迎合する
高齢者バラ撒きの過ちを認めるステージに(やっと)入る。
もはや30兆円(*)を超えてしまった巨額バラ撒きの「A級戦犯」は自民党である。
それを自覚しない限り、まともな少子化対策は実行できない。
(だから、「次元の低い」彼らには半永久的に無理であると容易に予想できる)

* 因に、我が国の昨年の税収は40兆円程度でしかなく、7割以上を高齢層バラ撒きに蕩尽している
  (公務員の総人件費はおよそ20兆円はあるから、それで既に赤字転落である)

賭けてもいいが、彼らは選挙の票に繋がる高齢層バラ撒きは行っても、
中長期的な国益に決定的な影響を与える育児支援は口先だけで誤摩化すだろう。

育児支援政策の「先進国」である北欧から学ぼうとしない傲慢不遜と、
それと対照的な当事者能力の低さは、もはや病的な身の程知らずの水準と言える。

▽ 出生率を急回復させたデンマークは、税率を上げて手厚い育児支援に予算を投入した



『消費税25%で世界一幸せな国デンマークの暮らし』(ケンジ・ステファン・スズキ,角川SCC)


▽ スウェーデンのように育児関連の現物給付を手厚くすれば、雇用も税収も生産性も向上する





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


何度でも書くが、今行動しないと地獄を見る。
我が国の社会保障は、他人の子供を搾取するモラルハザードの権化だからだ。

「「奇跡の村」下條は、次元の低い「少子化白書」とは異なり、
 仕事と育児の両立や雇用改善の推進によって出生率急回復を実現したのではない。
 よく知られているように若年夫婦や育児世帯のための公営住宅を建設し、
 医療・保育・教育における現物給付を手厚くしたのである」

「日本における出生率の低迷と、下條村の見事な出生率V字回復を比較すれば、
 内閣府も、厚労省も、安倍政権もみな下條村より遥かに劣っていることが明白である。
 数値が全てを物語っている」

「しかも、こちらも有名な話であるが、下條村は職員数や公共事業費が極めて少なく、
 そうして確保した予算を育児世帯に予算移転しているのである」

「下條村を見れば、行政コストを合理化して育児世帯への現物給付にすれば
 日本の出生率が急回復して2.00に迫るであろうことは容易に予想できる」

「正規職員の賃金カーブを欧州レベルに合理化すれば、
 育児世帯に所得移転する莫大な予算が確保でき、甚大な効果が期待できる。
 (個人的には現預金を死蔵させている富裕高齢層への公費を全額カットすべきと考えるが)」

「山田昌弘教授は、若者に冷酷な高齢層に偏った社会保障のため
 高齢層の貧困率は改善されているが若年層は所得低下・貧困化が進んでおり、
 非婚・少子化の強力な要因になっていることを指摘している」

「既に我々の少子化との闘いは、大敗へと加速度的に進んでいる。
 太平洋戦争と同じく、戦力の逐次投入で自らを無駄に損耗しているのだ」

政治家は歴史から全く学んでいない。的確な対策が遅れれば遅れるほど悲惨な未来になる。

 ↓ 参考

「奇跡の村」下條の出生率回復は住宅等の現物給付が主因、行政改革でも卓越 - 低次元の安倍政権と大違い
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/508bd9d382dd2624bd567b845d473189

出生率の推移すら見ない「少子化社会対策白書」- 所得減少でも出生率は下がらず、いい加減に洗脳をやめよ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1bce64bf05507c14a879c29135bb6158‎‎

▽ 日本は育児や若年層支援の予算が極端に少なく、子供の数を減らす「合成の誤謬」に陥っている

『なぜ日本は若者に冷酷なのか: そして下降移動社会が到来する』(山田昌弘,東洋経済新報社)


人口減少対策の議連発足=自民(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2014100700361
”自民党の有志議員でつくる「人口減少・地方創生議員連盟」の設立総会が7日、党本部で開かれた。会長に就任した町村信孝元官房長官は「これまでも少子化対策はやってきたが、全て大失敗したという反省をしなければいけない」と強調。今後、有識者からのヒアリングを行い、党の地方創生実行統合本部とも連携して、年末に向けて政策提言をまとめる方針。”

正しい反省だが、余りにも遅過ぎる。
2004年~2006年に本格的な少子化対策を行う余裕はあったが、
それを怠ったのは他でもない、長期的視点の全くない当時の自民党内閣である。
「出生率の低迷は我々の責任だ」と明言するのが至当であろう。

政治家の癖に先見性に欠け、目先のポピュリスムやドグマにかまけているから
日本経済が絶望的衰退に向かうのである。まだまだ自覚と反省が全然足りない。


地方創生:自治体や各府省から意見聴取 初日は少子化対策(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20141003k0000m010080000c.html
”人口減少対策などに取り組む政府のまち・ひと・しごと創生(地方創生)本部は2日、自治体や各府省からの意見聴取を始め、初日は少子化対策が議題となった。年末に策定する総合戦略や2015年度予算に地方のアイデアを反映させる狙いで、10日までほぼ連日、テーマを変えて急ピッチで進める。歴代政権でも決め手がなかった懸案ばかりで、実績のある地方の施策をどこまで吸い上げ、成果につなげられるかは未知数だ。【田中裕之】
 「高齢者が子どものために『お金を使ってほしい』と言ってくれる町の状況を、全国に広めて理解を進めるべきだ」。小泉進次郎・地方創生担当政務官は2日の意見聴取で、鹿児島県伊仙町の大久保明町長が紹介した、町民の出産時に支給する「子育て支援金」制度を高く評価した。
 同町は、第1子に5万円▽第2子10万円▽第3子以上15万円--を支給。従来の高齢者への「敬老祝い金」を減額し、その財源に振り替えている。町の08~12年の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの数)は2.81と、全国の自治体でトップ。日本全体の平均出生率1.43のほぼ2倍だ。
 一方、関係府省への聴取では、有識者の一人が「文部科学省は幼児教育の無償化、厚生労働省は新たな子育て支援制度を、それぞれ主張している」と、霞が関の「縦割り」による非効率な政策の弊害を指摘した。
 政府の少子化対策の歴史は長い。最初のきっかけは、1989年の出生率が当時戦後最低の1.57に落ち込んだ「1.57ショック」だ。その後の歴代政権は保育サービス拡大を目指すエンゼルプランを策定するなど、対策に躍起になった。だが国を挙げた取り組みも空回りぎみで、05年には出生率が過去最低の1.26まで落ち込んだ。
〔中略〕
 創生本部は「霞が関主導」の反省から、実績を上げている自治体の制度を全国的な仕組みに格上げして予算措置するなど「地方の知恵」にすがることも辞さない構えだ。石破茂地方創生担当相は意見聴取に先立つ有識者との懇談会で「知恵は霞が関にも永田町にもあると思えない。国の制度や予算を現場に合わせて変えなければならないが、言うはやすく行うのは難しい」と率直に明かした。”

自民党は漸く、漸くであるが正しい認識に近づきつつある。
伊仙町は徳之島にある自治体で、低出生率の大都市圏に応用することは難しいが、
矢張り「下條型」で、社会保障給付を高齢層向けから育児支援に向ける方向性の正しさが確認できる。

議員と公務員の人件費を大幅に削減し、育児支援に投入すれば
(全額、雇用増をもたらす現物給付が望ましい)確実に出生率は上昇し、
膨大な女性就業者を生み出すことができる。

しかし自民党は情けないことに、自分達は政治資金の相続でとんでもない優遇を受けている癖に、
次世代育成に向けては信じられないほど予算をケチっている。
「コラテラル・ダメージ」を受けるのは日本経済だけでなく、自民党も勿論である。
己の近視眼の報いを受けて、壮大な自滅崩壊を見せることになろう。
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