原田泰氏、堂々の正論です。
諸外国と比較すれば明々白々の結論なのに、
どうしてこれを認めようとしない人が多いのか理解に苦しみます。
太平洋戦争時には食糧を与えずに国民を命がけで戦わせた国が、
また同じような過ちを繰り返そうとしています(未来世代に対し)。
当時と比較して唯一違っているのは、
太平洋戦争時には軍部にほとんどの責任があったけれども、
今回は現役世代の多数派による暴虐である、ということです。
真の責任者たちがのうのうと天寿を全うする事態は、
恐らく今回も繰り返されると思われます。
もし我々が今の罪深い「幼児虐待」社会保障制度を維持するなら、
歴史によって厳しく裁かれるのは間違いありません。
原田泰氏「増税するなら子供のために使うべき」(日本経済新聞)
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/harada.cfm
”日本の社会保障の多くが年金など高齢者のための支出に向けられ、子供を
持つ若い家族を助けるための支出はごくわずかであることが、度々指摘さ
れるようになってきた。
図は、日本、ドイツ、イギリス、オランダの社会保障支出の対国内総生産
(GDP)比を、高齢者向け支出、医療費、児童手当・保育所など家族向
け支出、失業手当・職業訓練など労働支援、住宅支出を含むその他の項目
に分けて示したものである。ここでスウェーデンなどの北欧諸国やアメリ
カを除外したのは、北欧のような高福祉高負担国になろうと考えている日
本人は少なく、また、世界金融危機の根源となってますます評判の悪いア
メリカの社会保障をまねようと考えている日本人も少ないと思ったからだ。
日本の高齢者向け社会保障支出は低くない
日本の社会保障支出全体の対GDP比は2003年で17.7%と、国際的に見て
低いが、高齢者向けの支出に関しては9.3%であり、ドイツの11.7%より
低いものの、イギリスの6.1%、オランダの5.8%を大きく上回っている。
では、何が低いのか。日本は医療費も低いが、もっとも低いのは家族を助
ける支出だ。日本の0.7%に対して、ドイツは2.0%、イギリスは2.9%、
オランダは1.6%だ。イギリスは、高齢者のための支出が日本の3分の2
にすぎないのに、子供のためには日本の4倍以上も支出している。イギリ
スは、高齢者が我慢して、子供を育てる若者を助けている。これこそがジ
ョンブル魂だと私は思う。
日本が、中福祉中負担の国家を目指すなら、まず若者を助けるべきではな
いだろうか。高齢者向けの社会保障支出は、すでにイギリスやオランダを
上回っているのだから。現在、消費税を早期に引き上げて高齢社会を支え
ようという議論があるが、今引き上げた消費税収は今使ってしまい、将来、
本当に必要になったときには残っていないだろう。すなわち、団塊の世代
の人々が本当に高齢化し、医療費を使い、年金をフルに受給し始めた時に
は、今引き上げた税収はすでに使い果たされているだろう。
もし、今、消費税を引き上げるなら、その税収は、家族対策に使うべきだ。
その理由は、第1に、既に高齢者への社会保障支出は、ヨーロッパの福祉
国家を上回っているからである。第2に、家族対策に使って子供が増えれ
ば、将来の担税力が増すことになるからだ。第3に、子供が増えなくても、
今の子供のために使えば、将来、彼らに税を課すとしても、まだ公平にな
るからだ。
残念ながら、今消費税を上げて、現在の高齢者のために使ってしまおうと
いう議論が盛んになっている。”
△ こちらにも原田氏の論考の概略が出ています。
この記事は、図表も必見です。
日本の高齢者福祉支出はドイツと同レベルに見えますが、
税負担は日本の方が圧倒的に軽いのです。
(間接税の税率が数倍違う)
マスメディアに出てこない「不都合な真実」、
これをより多くの人が知るべきでしょう。
・日本の個人資産のほとんどは高齢層が握っている。
・高齢層のなかには、富裕層と貧困層が混在しており、
すべてを社会的弱者と見るのは大変な誤りである。
何回繰り返しても足りないくらいです。
諸外国と比較すれば明々白々の結論なのに、
どうしてこれを認めようとしない人が多いのか理解に苦しみます。
太平洋戦争時には食糧を与えずに国民を命がけで戦わせた国が、
また同じような過ちを繰り返そうとしています(未来世代に対し)。
当時と比較して唯一違っているのは、
太平洋戦争時には軍部にほとんどの責任があったけれども、
今回は現役世代の多数派による暴虐である、ということです。
真の責任者たちがのうのうと天寿を全うする事態は、
恐らく今回も繰り返されると思われます。
もし我々が今の罪深い「幼児虐待」社会保障制度を維持するなら、
歴史によって厳しく裁かれるのは間違いありません。
原田泰氏「増税するなら子供のために使うべき」(日本経済新聞)
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/harada.cfm
”日本の社会保障の多くが年金など高齢者のための支出に向けられ、子供を
持つ若い家族を助けるための支出はごくわずかであることが、度々指摘さ
れるようになってきた。
図は、日本、ドイツ、イギリス、オランダの社会保障支出の対国内総生産
(GDP)比を、高齢者向け支出、医療費、児童手当・保育所など家族向
け支出、失業手当・職業訓練など労働支援、住宅支出を含むその他の項目
に分けて示したものである。ここでスウェーデンなどの北欧諸国やアメリ
カを除外したのは、北欧のような高福祉高負担国になろうと考えている日
本人は少なく、また、世界金融危機の根源となってますます評判の悪いア
メリカの社会保障をまねようと考えている日本人も少ないと思ったからだ。
日本の高齢者向け社会保障支出は低くない
日本の社会保障支出全体の対GDP比は2003年で17.7%と、国際的に見て
低いが、高齢者向けの支出に関しては9.3%であり、ドイツの11.7%より
低いものの、イギリスの6.1%、オランダの5.8%を大きく上回っている。
では、何が低いのか。日本は医療費も低いが、もっとも低いのは家族を助
ける支出だ。日本の0.7%に対して、ドイツは2.0%、イギリスは2.9%、
オランダは1.6%だ。イギリスは、高齢者のための支出が日本の3分の2
にすぎないのに、子供のためには日本の4倍以上も支出している。イギリ
スは、高齢者が我慢して、子供を育てる若者を助けている。これこそがジ
ョンブル魂だと私は思う。
日本が、中福祉中負担の国家を目指すなら、まず若者を助けるべきではな
いだろうか。高齢者向けの社会保障支出は、すでにイギリスやオランダを
上回っているのだから。現在、消費税を早期に引き上げて高齢社会を支え
ようという議論があるが、今引き上げた消費税収は今使ってしまい、将来、
本当に必要になったときには残っていないだろう。すなわち、団塊の世代
の人々が本当に高齢化し、医療費を使い、年金をフルに受給し始めた時に
は、今引き上げた税収はすでに使い果たされているだろう。
もし、今、消費税を引き上げるなら、その税収は、家族対策に使うべきだ。
その理由は、第1に、既に高齢者への社会保障支出は、ヨーロッパの福祉
国家を上回っているからである。第2に、家族対策に使って子供が増えれ
ば、将来の担税力が増すことになるからだ。第3に、子供が増えなくても、
今の子供のために使えば、将来、彼らに税を課すとしても、まだ公平にな
るからだ。
残念ながら、今消費税を上げて、現在の高齢者のために使ってしまおうと
いう議論が盛んになっている。”
『格差と希望―誰が損をしているか?(大竹文雄,筑摩書房) |
△ こちらにも原田氏の論考の概略が出ています。
この記事は、図表も必見です。
日本の高齢者福祉支出はドイツと同レベルに見えますが、
税負担は日本の方が圧倒的に軽いのです。
(間接税の税率が数倍違う)
マスメディアに出てこない「不都合な真実」、
これをより多くの人が知るべきでしょう。
・日本の個人資産のほとんどは高齢層が握っている。
・高齢層のなかには、富裕層と貧困層が混在しており、
すべてを社会的弱者と見るのは大変な誤りである。
何回繰り返しても足りないくらいです。
申し訳ありませんが、
このエントリーは既得権民主主義によって
機会の平等が損なわれているという意味です。
従って、スパムコメントと解釈されるでしょう。
夜警国家がご希望なら、福祉制度など廃止してしまえばいいのです。
尚、その「社会契約論」では状況によっては一般意志に国民が生命含め全てを捧げるべきとの論理も明記されており、日本では安直な断章取義が横行している本でもあります。
差別をなくさない限り、空念仏の応酬に見えます。
ルソーの社会契約論が、今の日本人の1番のバイブルかと思いますね。
平等=機会の平等
おっしゃるとおり、制度疲労や財政危機がより深刻になれば、メディアもポピュリズムから脱して、まともな情報を出してくるでしょうね。
個々人の抗議の意思として、意図的に超少子化を進めているという意味であれば、少し言いすぎでしょうね。
子供を生むと将来の生活が不安だとか、高齢化社会だと子供も大変だろうとかいう気持ちはあるかもしれませんが、子供を生まないこと自体は”積極的な抗議の意思”ではないでしょう。
高齢者偏重社会がもたらす不利益を被った人たちが、子供を生まなく(生めなく)なり、結果的に、抗議の意志を示すことになった、ということか思います。
ただ、メディアが日本の個人資産の分布と
医療費の国際比較をまともに始めたら
チャンスはあると考えています。
情報は力ですから。
…ところで、超少子化は高齢者偏重の社会への
抗議である、という説が出ているようですよ。
>勤め人は社会保険料の額を見て相当の不満が溜まっていると思うのですが、いかがでしょうか。
社会保険料のうち、どこまでが自分の受益分かが明確でないので、不満感はあっても具体的な行動や意思表示には結びついていないように思います。
年齢にもよるでしょうね。逃げ切れる世代に属している人は、自分ももうすぐ受益者になるので、それまではしようがないと思っているのかも。
20-30歳の人たちは全く逃げ切れない世代なのですが、彼らは非正規雇用の人がかなり多いので、社会保険料の額以前に給与自体が低いので、それどころではないのでは。そもそも年金保険料を払っていない人も多いのではないでしょうか。
>上の世代の方が不満を漏らすことが多いように感じています。
それは当然です。人間の欲望は際限がないですし、結局自分の生活が最優先ですから。この問題に関して、既得権益をはがすのはかなり難しいですね。制度が崩壊寸前にならないと無理じゃないかとさえ思えます。
そうですか。勤め人は社会保険料の額を見て
相当の不満が溜まっていると思うのですが、
いかがでしょうか。
寧ろ若年層から見れば相当の額を貰っている
上の世代の方が不満を漏らすことが多いように
感じています。
(勿論、あくまで主観的なものですが)
都銀を勤め上げて定年の近い方が
「年金が少ない!」と愚痴っているのを聞き
私は心底から驚きたことがあります。
いつもご指摘されているとおりで、日本の高齢者偏重は異常ですね。高齢者間の格差と世代間格差の両方を平準化しないと、財政破綻も生活破綻もそのうちやってきそうです。
選挙権と購買力を気にして世論迎合で政党・新聞とも、是正には及び腰ですし。
逃げ切り世代の人たちはそれでも良いかもしれませんが、それ以外の人たちはかなりの重税社会を迎えることになるでしょう。
特に不思議なのは、若年者層は高齢者偏重社会だとも、それが問題だとも思っていない人たちが多いことです。高齢者=社会的弱者の刷り込みが強いんでしょうね。
そのうち税金も社会保険料も全て上がるのは不可避ですから、若者党でもできないと若年世代の生活を守ることはできないのでは...と思います。