週刊東洋経済のベンチャー特集は意外に良かった。
今年の東洋経済の中でも五本の指に入る出来である。
何よりも、ソフトバンクのビジョンファンドのスケールに比べて
日本のベンチャーがどれも小粒過ぎるのが一目瞭然なのだ。
孫氏が海外にばかり投資している理由が実によく分かる。
しかも元ミクシィ社長の朝倉氏は
「ベンチャーの本来の目的は新しい産業をつくることなのに、
上場後に業績や株価が低迷してつまづいている会社が多い」
と日本の情けない実態を証言している。。(全く以て同感)
個人的にはベンチャーが新しい産業をつくるという考えは尊大で、
「偶々」結果的に新しい産業が生まれる「こともある」が真実と思う。
また、IPO銘柄の騰落率一覧も矢張り興味深い。
結果的に見たら「上場ゴール」としか思えない企業の多いこと多いこと。
しかも初値が余りに割高で「裏切り度」、つまりその後の下落率の凄まじいこと。
正直、毎年「投資家を裏切ったブラック企業アワード」の公表が必要と思う。
(ダイヤモンドでも東洋経済でも是非、検討されたい)
そうでもしないと「上場企業が経済規模に比して多過ぎる」、
日本経済の前々からの「病気」は深刻化するばかりである。
確かに特集の中には非常に面白いベンチャーも複数あるのだが、
日本経済の低成長は「1ミリも変わらない」と断言できる。
最も評価したいのはニッセイAMのPE部門・秦氏のコメント。
日本のVCに対して痛烈で、「組織の安定性」が少ない、
情報開示も含めて厳しいプレッシャーを受けていない、
運用実績で海外VCに劣る、PEならバイアウトの方が実績を残している、
等々の非常に厳しい、しかし説得力のある指摘の数々は必読である。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイヤモンドは恒例化しつつある財務会計(決算書)特集、
ペッパーフードと鳥貴族の躓きが「教科書通り」で興味深い。
原価率が異様に低くて宣伝費ばかり高い、
化粧品業界の「宿病」も実に分かり易い。
ただ、テスラやドイツ銀行の分析を見ても分かるように、
財務や会計だけでは企業の将来は判断し難い、これも確かである。
ところで巻頭で日本の鉄鋼業界に「新・チャイナリスク」とあるが、
これはまだまだ序ノ口であり、米中貿易戦争に日韓対立が加わって
じりじりと日本経済を蝕む局面が続くと考えた方が良いのではないか。
◇ ◇ ◇ ◇
エコノミストの鉄道特集は、編集部としても今ひとつでは。
鉄道株を電力に代わる「配当株」と捉えた点は新しいとは思うが。。
矢張り、リニアに鋭く斬り込んだ方が良かったのでは。
今迄の推移を見る限り、「難題山積」「政治的には大失敗に終わる」と
当ウェブログが先週書いた結末に向けてまっしぐらに進んでいる。
(開業迄にひと悶着ふた悶着あるだろうし、最大の問題は開業後だ。。)
小粒だったが「蓄電池車」の記事は面白かった。
ディーゼルの置き換え需要ということのようだが
素人には免許が異なるというのが驚きで
(確かに動力源が全く違うので、運転技術も別物なのだろう)
個人的には鉄道は、太陽光+水素の燃料電池利用の方向に
シフトして行くのではないかと考えているので、
(水素インフラ拠点の整備がしやすく、駅ナカ駅チカ施設の熱利用が可能だから)
今後の、列車以外での開発の進展にも期待したいところである。
市岡繁男氏のコラムは今回も興味深い。
何故、先進国で反グローバル化の動きが強まっているか分かる。
と言うのは、新興国経済が大きく成長した2000〜18年の間に、
米国の国民所得に占める雇用者報酬の比率がどんどん低下しているのだ。
数値で言えば57%から52%と5%も低下しており、
米国の労働者、つまり中間層と下流層がグローバル化で貧しくなってゆき
上流層と株主ばかりが豊かになっている実態が鮮明になっている。
…日本も、手を拱いて安倍を放置していると同様の惨状に陥るであろう。
◇ ◇ ◇ ◇
次週はダイヤモンド、と言ってもサブ特集「新vs旧電力 バトルロイヤル」の方に注目。
▽ 毎日新聞社のリストラを取り上げているが、産経新聞の方がより深刻なのでは?
▽ 東洋経済は元々金融商品特集だったのが、かんぽ不祥事を組み合わせた感じ?
▽ エコノミストは流石に俊敏で日韓対立の特集
最近スタートアップでかなり注目されているアフリカ特集(当初はこちらがメイン?)もあり。
今年の東洋経済の中でも五本の指に入る出来である。
何よりも、ソフトバンクのビジョンファンドのスケールに比べて
日本のベンチャーがどれも小粒過ぎるのが一目瞭然なのだ。
孫氏が海外にばかり投資している理由が実によく分かる。
しかも元ミクシィ社長の朝倉氏は
「ベンチャーの本来の目的は新しい産業をつくることなのに、
上場後に業績や株価が低迷してつまづいている会社が多い」
と日本の情けない実態を証言している。。(全く以て同感)
個人的にはベンチャーが新しい産業をつくるという考えは尊大で、
「偶々」結果的に新しい産業が生まれる「こともある」が真実と思う。
また、IPO銘柄の騰落率一覧も矢張り興味深い。
結果的に見たら「上場ゴール」としか思えない企業の多いこと多いこと。
しかも初値が余りに割高で「裏切り度」、つまりその後の下落率の凄まじいこと。
正直、毎年「投資家を裏切ったブラック企業アワード」の公表が必要と思う。
(ダイヤモンドでも東洋経済でも是非、検討されたい)
そうでもしないと「上場企業が経済規模に比して多過ぎる」、
日本経済の前々からの「病気」は深刻化するばかりである。
確かに特集の中には非常に面白いベンチャーも複数あるのだが、
日本経済の低成長は「1ミリも変わらない」と断言できる。
『週刊東洋経済』2019年8/24号 (マネー殺到! すごいベンチャー100) | |
最も評価したいのはニッセイAMのPE部門・秦氏のコメント。
日本のVCに対して痛烈で、「組織の安定性」が少ない、
情報開示も含めて厳しいプレッシャーを受けていない、
運用実績で海外VCに劣る、PEならバイアウトの方が実績を残している、
等々の非常に厳しい、しかし説得力のある指摘の数々は必読である。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイヤモンドは恒例化しつつある財務会計(決算書)特集、
ペッパーフードと鳥貴族の躓きが「教科書通り」で興味深い。
原価率が異様に低くて宣伝費ばかり高い、
化粧品業界の「宿病」も実に分かり易い。
ただ、テスラやドイツ銀行の分析を見ても分かるように、
財務や会計だけでは企業の将来は判断し難い、これも確かである。
『週刊ダイヤモンド』2019年8/24号 最新!超楽チン理解 決算書100本ノック! | |
ところで巻頭で日本の鉄鋼業界に「新・チャイナリスク」とあるが、
これはまだまだ序ノ口であり、米中貿易戦争に日韓対立が加わって
じりじりと日本経済を蝕む局面が続くと考えた方が良いのではないか。
◇ ◇ ◇ ◇
エコノミストの鉄道特集は、編集部としても今ひとつでは。
鉄道株を電力に代わる「配当株」と捉えた点は新しいとは思うが。。
矢張り、リニアに鋭く斬り込んだ方が良かったのでは。
今迄の推移を見る限り、「難題山積」「政治的には大失敗に終わる」と
当ウェブログが先週書いた結末に向けてまっしぐらに進んでいる。
(開業迄にひと悶着ふた悶着あるだろうし、最大の問題は開業後だ。。)
小粒だったが「蓄電池車」の記事は面白かった。
ディーゼルの置き換え需要ということのようだが
素人には免許が異なるというのが驚きで
(確かに動力源が全く違うので、運転技術も別物なのだろう)
個人的には鉄道は、太陽光+水素の燃料電池利用の方向に
シフトして行くのではないかと考えているので、
(水素インフラ拠点の整備がしやすく、駅ナカ駅チカ施設の熱利用が可能だから)
今後の、列車以外での開発の進展にも期待したいところである。
『週刊エコノミスト』2019年08月27日号 | |
市岡繁男氏のコラムは今回も興味深い。
何故、先進国で反グローバル化の動きが強まっているか分かる。
と言うのは、新興国経済が大きく成長した2000〜18年の間に、
米国の国民所得に占める雇用者報酬の比率がどんどん低下しているのだ。
数値で言えば57%から52%と5%も低下しており、
米国の労働者、つまり中間層と下流層がグローバル化で貧しくなってゆき
上流層と株主ばかりが豊かになっている実態が鮮明になっている。
…日本も、手を拱いて安倍を放置していると同様の惨状に陥るであろう。
◇ ◇ ◇ ◇
次週はダイヤモンド、と言ってもサブ特集「新vs旧電力 バトルロイヤル」の方に注目。
▽ 毎日新聞社のリストラを取り上げているが、産経新聞の方がより深刻なのでは?
『週刊ダイヤモンド』2019年 8/31号 (熱狂!ラグビー ビジネス・人脈・W杯) | |
▽ 東洋経済は元々金融商品特集だったのが、かんぽ不祥事を組み合わせた感じ?
『週刊東洋経済』2019年8/31号 (かんぽの闇・金融商品の罠) | |
▽ エコノミストは流石に俊敏で日韓対立の特集
『週刊エコノミスト』2019年 9/3号 | |
最近スタートアップでかなり注目されているアフリカ特集(当初はこちらがメイン?)もあり。