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高所得女性でも認可保育所の使用を当然視、「日本型ジェンダー」の利己主義 - 周囲や社会へ責任転嫁

2018-03-07 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
明治大学の藤田結子准教授の寄稿を定期的にウォッチングしているが、
それは大変役に立つ内容だからである。何が役立つかといえば、
日本型ジェンダーの心理バイアスが露骨に表れている」ためだ。

世帯年収1000万円を超える高所得世帯も認可保育所を利用できること、
高収入の夫が育児に協力するのが当たり前という驚くべき感覚である。

北欧のように、手取りが日本より10%は低い高負担社会なら、
それなりの負担をしているのだから短時間労働で
時間的余裕の生まれる夫が家事育児に参加できよう。

しかし北欧より遥かに負担の軽いこの日本で、
しかも高所得女性の殆どがハイパガミーという歪んだ日本社会において、
高所得女性が補助金がたっぷり投入された認可保育所を利用して
しかも多忙な夫に手伝わせるというのは正気の沙汰ではない。
一度、北欧の税制を自分自身で体験しないと理解すらできないらしい。

また、「高キャリア・高収入女性がいる夫婦でも、保育園に関することはたいてい妻の役割」なのは
夫が育児に協力しないからなのだと言う。(協力が困難な多忙な夫と結婚した事実は無視)

夫が育児に協力しないことが原因で、「男女のキャリア上の格差はなかなか縮まらない」、
「女性のリーダーも増えにくい」といった弊害も生じるのだと言う。
(では独身女性ならキャリア上の格差が縮小するのか、リーダーが増えるのか、実証すらない)

「高収入世帯の話になると、ベビーシッターを雇えばいい」との意見に対しては、
「日本では「母親が愛情を込めて子育てをするべき」という規範がいまだに根強い」
「周囲の視線や自身の罪悪感によって、ベビーシッターに子どもをまかせることをためらう」
という男性では絶対に許されない言い訳に終始していることから、
基本的に男女不平等の価値観を前提に喋っていることが明白である。

是非、日本の高学歴高所得層の女性の心理バイアスがいかに歪んでいるか、
「主に家計を支えるのは男性」「高所得でも補助金が欲しい」という、
男女平等の北欧では絶対にあり得ない未熟で利己的な姿勢であるか真面目に研究して欲しいものだ。

しかも、下の階層の女性がいかに苦しんでいても完全無視で、
本来ならば男性以上に所得格差、生活水準の格差があるのだから
「高所得層が負担して平等な育児支援を」となる筈なのに、
自分が真っ先に認可保育園に申し込もうとして政府に文句を言い、
家計の殆どを支える多忙な夫が家事育児を手伝うのを当然視するのだから、
自らの財政的無責任も、下の階層の女性を見殺しにしている事実も
全く自覚していない冷酷さには仰天するしかない。

▽ 日本の大卒女性の就業抑制は明白、有業女性の6割が「夫の半分以下の所得」

『新・日本の階級社会』(橋本健二,講談社)


まさに「日本経済停滞に直結する「死に至る病」」と当ウェブログが警告した通りであろう。

「重要なのは婚姻率や出生率の方である。
 草食化など若者を見下したい暇な大人のネタにしかならない」

「子供を育てない者も育児を社会的に支えれば良いのである。
 コストを負担しても労力で負担してもどちらでも構わない。
 どうせ老人になれば他人の子供達のお世話にならざるを得ないのだから」

「その意味では、日本生命が契約者に対し行った調査の方が重要である。
 結婚を望まない適齢期の男女の回答として、
 理由の第一位は「1人でいるのが好き」で30%に迫っていると言う」

「特に調査対象の女性の約三割が結婚に対し後ろ向きなのは重大な問題だ。
 婚姻はプライベートな問題で個人の自由であるのは無論であるが、
 この日本では非婚は「育児負担を転嫁するモラルハザード」に直結する」

「どれほど健康な人間でも、老後は政府からカネを受け取ることになる。
 (現状の日本の社会保障制度においては、高齢層は払った以上の給付をほぼ確実に受け取れる)
 非婚を自ら選択した者が、多くの子供達のためにカネを出して支援するなら良かろう。
 それならば老後に政府からカネを貰っても辻褄が合う」

「しかし、そのような殊勝な非婚者は殆どいない。
 カネは自分のために使い、老後は他人の子供にカネを出させて過ごすことになる」

「特に女性は、男性よりも平均寿命が長いのに生涯所得は相対的に低い。
 労働時間も相対的に男性より短く、子供を育てない場合は時間的余裕もかなりある」

「男性並みに納税するか、子供を育てるか、どちらかを選ばないと、
 典型的なフリーライダー(福祉ただ乗り)になり厳しい批判を受けるのは必至である。
 それとも弱者を自称して政府にカネを要求する醜態を見せるか。
 彼女達にそのような最悪の選択肢を選ばせてはならない」

「アメリカは結婚すると露骨に不利になる職場や子育て環境であるが、
 日本のような非婚化は進んでおらず出生率も高い。
 つまり雇用と非婚は完全に別次元の話である」

「また、フランスや北欧諸国のように女性就業率の高い欧州国の特徴は
 国民負担率が高く、働かざるを得ないことである」

「独身志向が強まる真の理由は、日本の税率が低く家族政策や雇用政策がお粗末で、
 苦労して子供を育てるより独身のままで他人の子供のカネを貰って老後を過ごす方が得だからだ。
 つまりこれは典型的なモラルハザードの問題なのである」

「働き方ばかりか少子化とも深い関連を持つことだが、
 現下の「M字カーブ」、つまり女性が結婚出産で仕事を辞めて
 就業率が低下する現象は、決して企業や男性だけの問題ではない」

「女性自身の意識の問題もまた決定的な要因である。
 調査によれば「結婚・出産後も働く」と考えている未婚者は多数派であるものの
 出産後に「豹変」して矢張り子供の傍にいたい、仕事に戻るのは気が進まないとなる」

「自らの立場と置かれた状況によってもがらりと意識が変わるので、
 育児中の女性に厳しいのも、男性よりもキャリア女性や独身女性であることが多い。
 家庭での「産後クライシス」だけでなく職場での「育休後クライシス」も問題なのだ」

「これは、前々から言っているように女性同士でも価値観や立場上での対立が深刻で、
 協力し合ってWLBや育児支援策の改善に努めていないからでもある。
 (電車内でのベビーカーをより厳しく見るのが女性であるのは有名な話)」

「北欧のように税負担を高めて
 特に働かない者への課税を強化し、その分を財源として
 育児支援予算を手厚くしなければ忌まわしい経済縮小のスパイラルからは逃れられない。
 人口動態の劣化により低成長は変わらず、従って所得も増えない」

「配偶者控除や第三号被保険者のような「利権」を維持している限り、
 女性就業率も出生率も低迷したまま、時短勤務の普及も進まないだろう」

「日本ではインセンティブが全く逆に働いており、
 働かない者を税制優遇しているからだ」

「自らのスキルを眠らせて勤労より自己満足を選んでいる向きが多いのだから、
 OECDが日本の女性に関し「人材の浪費」と指摘しているのも至極当然であろう」

「日本では政策で強く動機付けしないと女性就業率は上がらないし、
 ワークライフバランスも牛歩の歩みでしかないし、
 ましてや待機児童問題の解決は遠く出生率も上がらない。
 利己的で他人に無関心な者が多いからだ」

「「マタハラNet」によるマタハラの民間調査の結果を見て驚愕した。
 女性管理職の「マタハラ加害者率」が異様に高いのである」

「ILOの調査では日本の女性管理職は全体の11%に過ぎないから、
 上司のマタハラ加害者は男性:女性がおよそ5:2のようであるので、
 管理職比率を考慮すると女性上司の実質的な「マタハラ率」は男性の3倍を超える。
 同僚からのマタハラも女性からの加害が多いという調査結果が出ているのだから、
 これを異常と言わずに何を異常と言うのだろうか」

「マタハラを抑止する強力な施策としては、
 労働基準監督署の機能強化(公共事業バラ撒きなどより遥かに生産性向上に有効である)や
 労働Gメンのアウトソース、1人当たり残業時間の多い企業の法人税率を引き上げること、
 残業代請求の時効を延長して悪質企業の負担を重くすることなど、
 企業経営陣が顔色を変えて行いを正すような経済メカニズムが必要である」

「マタハラを根絶するのは実は簡単な話で、
 フランスのような社会保障基金を積み立てて産休育休の際に充当すること、
 配偶者控除や第三号被保険者を全廃して育児支援の現物給付に移転すること、
 税率を引き上げて代替要員のため公費を投入することだ」

「出生率のV字回復を実現したデンマークやフランスと比較すれば、
 我が国の政府の低能と無責任は余りにも明白である。
 韓国や香港より少々ましだからと言って、何の言い訳にもならない」

「若年層を対象とした厚労省調査によると、
 将来的に子供を希望しない割合が10年前に比べて大幅に増加している。
 独身男性で約7%、独身女性で約4%もの伸びである」

「こうした人々は将来のフリーライダー予備軍であり、
 老後には他人の子供にたかって生きるモラルハザードの温床ともなる。
 彼ら彼女らをそのように仕向けているのは政策の罪である」

「日本社会には自分の利害や打算によって行動を決定する
 利己的な政治主体・経済主体が相当数存在することが分かっている。
 そうした輩は、強力な経済インセンティブによって動機づけられない限り
 有権者として正しい行動を自ら選択することはできないのである。
 (寧ろ、目先の得失しか見ない彼ら彼女らを正しく導く啓蒙こそ重要である)」

「日本は、モラルハザード予備軍に課税して育児世帯に所得移転し、
 雇用と所得、税収を増やし、我が国の持続可能性をV字回復させなければならない。
 目先しか見ない国民を、フリーライドによる同胞搾取の恥ずべき道に進ませてはならない」

「当ウェブログは、少子化問題の原因は女性にもある、
 マタハラ問題では女性上司や同僚にも原因がある、
 と前々から指摘してきたが、それを裏付ける報道が複数出ている」

「マタハラ加害者に女性が意外に多いこと、
 特にバリキャリの女上司が若い女性に冷たいこと、
 保育所建設に反対している周辺住民の中にかなりの女性が含まれていること、
 (騒音被害は理解できなくはないが、反対派の言い分は「迷惑なので出て行け」と言わんばかりだ)
 ベビーカーに厳しい目を向けるのは女性の方が多いこと。
 これは非常に深刻な自己中心的精神の現れと言えるだろう」

「また、「日本は育児に冷たい」とする当事者の意識にも歪みがある。
 アメリカは日本と同様、育児支援が極めて貧弱な国だが
 日本のように「子育てがしにくい」という声は殆ど出ていない。
 この現象は、「育児は重要」とは言うが負担は拒否する日本国民と合わせ鏡のように酷似している」

「「保育園落ちたの私」騒動の背後には、根本的に間違った認識がある。
 このようなデモが起きるのは日本だけであり、
 日本と同様に育児支援が貧弱なアメリカでは起きていない」

「しかも、アメリカでは日本のように政府へ責任転嫁する声は殆どない。
 日本国民は給付やサービスに見合った税・社会保険料負担をしていないのだから、
 公費をがぶ飲みする保育利権を放置しているのだから、
 日本の待機児童問題が殆ど改善しないのは当然である」

「待機児童が発生しない北欧の国民負担は日本より10数%も重いものだ。
 待機児童問題を解決したければ税と社会保険料を欧州並みに払うべきである。
 また、特に大都市圏で高コストになる認可保育所への公費投入を削減し、
 小規模保育所や保育ママへの公費補助に予算移転させるべきだ」

「デモだけで何とかできると夢想するのは怠惰な精神の証であり、
 政策への無知と自己の負担増を回避しようとする身勝手な発想によるものである」

「そもそもデモの参加者は「落ちたの私」ではなく
 「落ちたの他人」だった時には大多数が無関心で冷淡だった筈だ。
 多くが保育士の低賃金を知っていた癖に何もしてこなかったではないか。
 自らの税負担を高めて保育士の賃金を上げようとする殊勝な考えも持っていないではないか」

「これまで他人の苦境を無視し、税負担が軽かったのだから
 安過ぎて利権化している認可保育所を利用できないのは自業自得である」

「我が国の認可保育所の保育料は、自己負担比率が半分以下である。
 認可外保育所では保育料が月に10万円を超える場合があるが、
 それこそが「保育の真のコスト」に近い」

「明治安田生活福祉研究所による若年未婚男女への調査で、
 2014年から2016年の僅か2年間で結婚願望が「暴落」したことが判明した。
 男性が約19%、女性が約18%という凄まじい暴落ぶりである」

「また、2008年の調査と比較すると、若年男性の「交際相手なし」が倍増している。
 男性の場合、恋愛も婚姻も所得との関連が強いことが分かっているから、
 理由は一つしかない。男性の所得低下が元凶である」

「アベノミクスの大失態は若年層の意識にも甚大な影響を与えており、
 所謂「結婚はコスパが悪い」という意識も急激に増えている。
 若年層の所得が伸びていればこのような意識はあり得ないから、
 安倍政権の「自国民窮乏政策」はこの国の未来までも危うくしているのだ」

「有権者として未熟な親は、
 結婚前に欧州並みの税と社会保険料を払っていないのだから、
 欧州国よりも遥かに手取りの割合が大きいのだから、
 通常の先進国よりも極端に高齢者向け給付が膨張しているのだから、
 北欧ではあり得ない「保育利権」が残っているのだから、
 待機児童問題が解決する訳がないことを理解しなければならない」

「公費をかぶ飲みする認可保育所の利権を打破し、
 小規模保育所と保育ママに使えるバウチャーを導入しなければならない。
 配偶者控除を廃止し、富裕高齢層への給付をカットして
 育児支援の現物給付に回さなければならない」

「小室淑恵・WLB社長と白河桃子女史がプレジデント誌で対談している。
 「長時間労働是正は少子化対策」という自己欺瞞的な論旨で、
 間違いなく日本の少子化は改善できないと確信させられるものだった」

「確かに両者とも有能で優れた実績がある逸材であるが、
 少子化対策についてはジャミングに等しい言説を繰り返して
 我が国の出生率低迷を寧ろ助長している可能性が高い」

「両者とも全く悪気はなく、真摯に考えた結果の主張なのだろう。
 しかし、だからこそ一層のこと厄介であるとも言える。
 一般国民は、両者の実績に幻惑されてその政策提案の劣後を理解できないからだ」

「既に、事実によって長時間労働是正が出生率を殆ど向上させないことは立証されている。
 何故なら、労働時間が短く生産性の高いことで知られるドイツよりも、
 育児支援が貧弱で労働時間の長いアメリカの方が遥かに出生率が高いからだ」

「あれだけ育休取得率が高く、育児支援に予算をかけていても、
 ドイツの出生率は日本の出生率より低いというのが「不都合な真実」である」

「高出生率の北欧国(スウェーデンやデンマーク)・フランス・ドイツを比較すれば、
 長時間労働是正が合計特殊出生率とほぼ無関係である事実が実によく理解できる」

「欧州の家族政策の違いを比較研究すれば、
 出生率を大きく左右するのが現物給付であることは明白だ。
 (現物給付の充実こそ、北欧の高出生率国の特徴である)」

「アメリカは現物給付の代わりに(?)格安のベビーシッターを雇えるが、
 安全に重きを置き、高関与型の育児文化を持つ日本は絶対に真似できない」

「だから、配偶者控除の全廃か富裕高齢層への給付カットを原資として
 育児関連の現物給付を一気に増やすのが確実に出生率を上げる正しい政策なのである。
 (あとはバウチャーを大々的に導入して保育ママに使えるようにすれば待機児童は激減する)」

「高学歴高所得層が自己欺瞞の眠りから覚めない間に、
 日本の少子化は益々深刻な状況に陥っている。
 仕事との両立支援と少子化がディカップリングしているのは明白である」

「驚異的な高出生率を記録している長野県下條や岡山県奈義の事例を見れば明白だが、
 日本の高学歴高所得層の多くは負担を嫌って中・下所得の育児世帯を無視し、
 中核から焦点を逸らした議論を展開することで
 我が国の出生率低迷を愈々深刻なものにしているのである」

「これまでの日本政府の失敗や安倍政権の口だけ政策だけではなく、
 日本では政治力の強い高所得・高学歴層の自己欺瞞が出生率低迷を招いているのだ」

「女性から出てくる少子化対策の提言が、悉く功利主義の陰を帯びている」

「これは日本社会では学歴や所得を問わず、同じである。
 自分やその属する社会集団の利害を計算して提言されている。
 より正確に言えば、自分や自分の属する社会集団が利益を得るのが当然と考えている。
 (更に、男性から提言される育児支援が同工異曲なのも問題なのだが)」

「税負担を増やさずに自分が育児支援を受けたい、
 もっと困っている同性の存在は見ないふりをして忘れる、
 自分が支援を受けるのはウェルカムだが、自分が支援するため負担が増えるのは嫌だ。
 本音ではそうしたところなのではないだろうか」

「公費負担の軽い保育ママではなく高コストの認可保育所ばかりを求め、
 公平で平等な現物給付より利権に等しい配偶者控除を求め、
 非正規労働者や低所得層を無視して長時間労働ばかり批判する。
 面倒な親世代との同居を嫌い、支配しやすい夫に負担を押し付ける」

「急速に高齢化する日本では、女性就業率も出生率も北欧並みに高めないと悲惨な未来になる。
 女性の「願望」に基づいて政策を決定したら絶対に少子化も日本経済も救われないだろう」

「高出生率・高成長のスウェーデンでは、女性でも就業を強制され、
 理由もなく働かないでいることは非常に難しい。自動的に働かされる高負担社会だ。
 仕事と育児を両立する者が自動的に恩恵を受ける合理的な社会だ」

「日本は、こうした卓越した社会システムから学ばなければならないのに、
 ご都合主義のつまみ食いで、負担もなく恩恵だけ得ようとする者が多い。
 だからこそ非婚少子化も、日本経済停滞も続いているのである」

「核家族という家族形態には、重大な欠点がある。
 親を指導したり教え諭したりする存在がいないため、
 父親や母親が暴走すると手に負えなくなるのである」

「日本総研の調査で、矢張り日本女性の意識や行動そのものに
 「女性活躍」を阻む要因、少子化問題を招く要因があることが確認された」

「世帯年収の60%以上を妻の年収が占める世帯は
 妻の卒業した大学の難易度が上がっても(つまり、高所得であっても)増えないこと、
 超高学歴女性であっても妻が世帯年収の60%以上を占める世帯は全体の7.7%であること」

「これはハイパーガミー(上昇婚)を自ら選ぶためか、
 日本女性の意識の奥深くに根強いジェンダーが巣食っているためか、
 それとも両者の相乗効果であるか分からないが、
 男性にだけに原因があるのではないことが明確になったと言える」

「男性に全く原因がないとは言わない。
 しかし、女性も行動を改めないのであれば、
 どうして男性側に同じようなことを要求できようか。
 自分だけの利得ばかり要求し、シングルマザーや貧困層を完全無視している自らの利己主義を
 はっきりと認識し、不都合な事実から目を背けて他人に要求ばかりしている自己を反省し改めるべきだ」

「女性は、経済面において男性以上の格差があることが知られている。
 超高学歴女性がジェンダーに囚われていて、上昇婚ばかり選好していれば、
 そして男性と社会にばかり責任転嫁していれば、どうして女性活躍など実現しようか。
 真の意味で男女平等に近い北欧は夢のまた夢である。
 (恐らく日本女性は、そうした厳しい平等を求めず不平を言うだけで、現状維持に協力している)」

「また、予想した通り高学歴・高所得になると子供の数が減っている。
 高学歴・高所得女性は、経済的にも労力的にも育児負担が少ないのだから、
 自らの負担する税や社会保険料を引き上げなければならない。
 その分を、自分の老後を支えてくれる次世代を育てる同性のために供出しなければならない。
 独身であれば、子を育てる代わりに税と社会保険料で次世代育成に貢献しなければならない。
 そうでなければ、自分の老後費用を他人の子供に払わせる「搾取」を行うことになるのだから」

「彼女らの自己欺瞞は、家事育児に全く協力しない時代遅れの男性と酷似しており、
 何を言われても全く自省せず、態度を改めようとはしない点でそっくりである」

「相対的に政治力・発信力のある高学歴女性が
 本音では自立と平等を望まず自家撞着に陥ったままでいれば、
 そうした体たらくでどうして日本社会を変えることができようか」

「「保育園落ちた日本死ね」騒動に関する調査で、ちょっと寒気のする数字が出ている。
 正規雇用の女性と非正規雇用の女性の意見がかなりズレているのだ」

「母体数が少ないのでバイアスはあるものの、
 「保育園落ちた日本死ね」に共感するのは正規女性で55%、
 非正規女性だとがくんと下がって43%になり、半数にすら達しない」

「最も共感するのは子が1人いる女性で69%にも達するから、平均との乖離を見ると
 それ以外の層は正規女性で共感できるのは40%以下、非正規女性では30%以下と推測できよう」

「この調査は育児や少子化に関心のある層を対象としたものと思われるので、
 「保育園落ちた日本死ね」に対する共感は社会全体では更に低いのは確実で、
 日本は待機児童問題に対して極めて冷淡な社会であると考えざるを得ない」

「当ウェブログは、現下の少子化は決して男性だけの問題だけではなく、
 女性側にも重大な原因があると繰り返し指摘してきたので驚きではないが、
 ただ、予想通りの利己主義と無関心を改めて確認して、ただ悲しくなる」

「日本女性の多くは恐らく自分の置かれた立場や状況で意見が変わり、
 自己の利害を超えて少子化問題の解決を図らなければならないとは全く考えていない」

「人件費も不動産賃貸料も高い都内で、保育所に依存したら待機児童が増えるに決まっている。
 機動的な保育ママとシッターの利用を主力としなければ永遠に問題解決はない。
 (それとも、北欧並みの重い間接税を払うとでも言うのか?)
 大した負担もせずに集団保育を望む親こそが「待機児童問題」の元凶である」

「当ウェブログは高学歴・高所得女性に厳しいと思われるかもしれないが、
 男女平等を支持する立場に立つ限り、それ以外の結論はないと考えている」

「だから、「家事育児は夫が手伝うのは当然」だが、
 同時に「夫が家計を担うのが当然」と公然と答える自己欺瞞は
 「男女平等の観点から」批判せざるを得ないのである」

「また、配偶者控除や第三号被保険者のような差別制度を放置することも、
 欧州のような高負担もしていない癖に認可保育所を求めることも、
 先進国の有権者としては根本的に間違っている」

「女性の就業率や生産性が低いのを放置して
 夫の労働時間を短縮させて育児を手伝わせることを望むのも同様だ。
 非婚や少子化がまるで男性の責任であるかのように主張するのも同様だ。
 (結婚は相互の合意によって成り立つものだから、男女平等に「責任」を負わねばならない)」

「本気で男女平等を求めるなら配偶者控除と第三号被保険者を全廃し、
 女性が就労できるように保育の現物給付を増やさなければならない。
 都市部で施設保育を望むなら今の認可の保育料の三倍(=真のコストである)は払うべきだし、
 女性が就労でき一人でも育児が出来るように負担を増やさなければならない」

「ところが実際はそうなってはいない。
 偽の「男女平等」を口実に自分のQOLを高めるため、
 高学歴高所得女性は「夫に家計を担わせ、育児も分担してもらえば良い」
 一般女性は「そんなに働くつもりもないから家事育児をやって貰った方がラクだ」
 と考えているとしか思えない事例が非常に多いのである。
 (その証拠に、他の女性の苦境には本気で同情してはいないことが言葉の端々に滲み出る)」

「繰り返すが、当ウェブログは男女平等派である。
 男性の育児家事の分担は当然であると考えている」

「しかし同時に、日本男性の多くがそれを歓迎していないこと、
 日本女性も心の中では平等を歓迎していない向きがかなり多いことを知っている」

「だから、エスタブリッシュである高学歴高所得女性が、自らの歪んだジェンダーを自覚せず
 いつまでもその「矯正」ができなければ日本社会が変わる訳がないのである」

「かつて私は、有能な高学歴高所得女性が日本社会を変えると期待していた。
 しかし、名門校で高等教育を受けた女性たちの多くが、徹底してその「有能さ」を
 自らや自らの属する階層の利益のために発揮させているのを目の当たりにして、
 完全に考えを変えるに至ったのである。言葉を信用せず、計量的に本音を洞察する必要があると。
 日本経済や日本社会のため、幾重にも知的武装した自己欺瞞を打破しなければならないと」

「女性の大学進学率が男性を超えてしまった「男女平等」な海外では、
 「高学歴女性に相応しい相手が少ない」という不都合な真実が明らかになりつつある」

「日本ではまだ、女性の大学進学率は男性よりも低い。けれども、当ウェブログは断言しておく。
 日本では日本固有のジェンダーが根深く広がっているので、海外先進国と同様に、
 「相手を見つける努力をしても限定的な選択肢しかない女性」が急速に増えており、
 そうした層は幸福な家庭を築いた同性を強烈な嫉妬の目で見ている。
 次世代育成のために自らも負担を増やすというアイデアには怒りすら感じて反対するだろうと」

「衆院選前に、衆議院会館で「みんな♯保育園に入りたい」という集会が開かれたそうだが、
 その内容を仄聞して余りにも酷過ぎるので愕然とさせられた」

「その集会には世田谷区長や大学教員、元自治体幹部が入っているのに、
 誰一人としてまともな待機児童対策を唱えず、ただバラ撒きを求めるだけだった」

「このような程度の低い議論が蔓延っているからこそ、
 無責任なバラ撒きで国民を平然と騙す安倍政権がいつまでも居座るのだ」

「まず保坂・世田谷区長は、「財源には限りがある」(=国民負担か利用者負担が足りない)と言いつつ、
 「企業は何をやっているんだ」などと無責任な責任転嫁に走っている。
 北欧やフランス並みの育児支援予算のためには高負担が必要という「常識」が欠けている。
 区長を含めた自治体幹部の給与を一律で三割ほどカットすれば待機児童を減らせるだろうに。
 (事実、長野県下條は自治体職員の人件費を減らして育児世帯への現物給付を増やし、出生率を上げた)」

「欺瞞的な発言しかできない区長は、どうしてフランスのように
 「認定保育ママ」を導入して都市部でのコストを抑制した対策ができないのか、
 はっきり説明すべきである。(あの重税フランスですら、保育園に預ける親は半数以下)
 己の無策を棚に上げて企業のせいにするなどとんでもない。
 フランスより劣る政策を、フランス以下の低負担で行うのだから失敗するに決まっている」

「最も仰天させられたのは、一橋大でマクロ経済を学んできた筈なのに
 「保育園が足りないのは政府の努力が足りないから」と平然と言い放つ治部発言である。
 自身の納税額がいかに重税の北欧・仏に比べて少ないか、全く分かっていない無責任さに驚愕した。
 (いつまでも不公平な配偶者控除や第三号を廃止しない努力不足、という意味でも全くないのだから!)
 このような高所得層には北欧並みに課税して育児支援予算に充当するのが当然であろう」

「元横浜副市長は待機児童対策への「市民からの反発」を認めている。
 待機児童を悪化させているのは決して安倍政権や政府、自治体だけではなく、
 とんでもなく虫のいい要求を図々しく叫ぶ利己的な市民自身でもある」

「調査では、未婚女性の半数以上が結婚に「経済力」を求め、
 既婚女性のほぼ半数が「経済的安定」をメリットとして挙げている。
 「独身税」炎上の件では、既婚女性が「独身者に負担をお願いできないか」と図々しい本音を漏らしている。
 (自分が独身だった時にもっと税金を払ってから言うのが、有権者として当然である)
 そうした層が待機児童問題に対して考えるのは「他人に負担してもらいたい」しかない」

「本来は、高学歴高所得のエスタブリッシュはそうした利己主義を諌める立場ではないのか。
 どうして一緒になって自己中心的な「カネよこせ」発言を行っているのか。
 貧困層の自己欺瞞は、生活が苦しいから仕方が無いかもしれない。
 しかし、高学歴高所得層の自己欺瞞は絶対に許されない筈である」

「そもそも「限られた予算」なのだから、フランスに学んで「認定保育ママ」の導入を求め、
 より多くの母親が子を預けられる制度に変えるべきである。
 どうしてその程度の良識が持てないのか、全く理解できない」

「高出生率のスウェーデンでは既に、事実上の「独身税」が課せられている。
 だからこそ育児サービスが手厚く、女性は就業するしかなく、日本より高成長で豊かなのだ」

「当ウェブログは日本のエスタブリッシュである高学歴高所得層の自己欺瞞と
 自己中心性こそが待機児童を生み出す原因となっていると警告してきたが、
 (政策リテラシーの低過ぎる安倍政権や自治体トップにも重大な責任があるが、それだけではない)
 案の定の結果である。予想通りと言うより、ただただ悲しい」

以上の、当ウェブログによる不吉な指摘も証明されつつあると言って良かろう。

▽ 男女平等なスウェーデンは日本より高負担で第三号被保険者も配偶者控除もなく、育児支援は手厚い





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


当ウェブログの批判する「岩盤」が日本社会や自治体だけでなく、女性の中にもある事実もほぼ証明された。

「矢張り懸念していた通りの結果だ。
 日本女性自身に根深く残るジェンダー意識が少子化の原因の一つであることが、
 統計的に確認された。下降婚の比率が世界的に見て極めて少ないのだ」

「日本の下降婚の比率は約16%で、低出生率の中国や台湾に近い。
 (より下降婚の割合が低い韓国が日本より低出生率な事実とも整合的だ)」

「高出生率のフランス(31%)やスウェーデン(37%)では下降婚が日本の倍はあり、
 婚姻相手の学歴や所得を重視する日本とはまるで違う観点で
 パートナーを選んでいることが数字の上でも証明された」

「こうしたジェンダーが心の中に深く深く巣食っているからこそ、
 自分でも意識できない程に根深くジェンダーに支配されているからこそ、
 日本女性が婚姻後に強い不満を抱くことになるのであろう」

「だからこそ、日本女性は上昇婚を強く志向し、
 しかも多忙で高所得の夫に家事育児の分担を求めるのである。
 (「ワタシは対等平等なパートナーではなく、夫に大切にして貰える側」と信じているのだ)」

「だからこそ、自分が北欧やフランスより遥かに低負担なのに
 巨額の公費を使う認可保育所を利用させろと平然と要求するのである」

「だからこそ、自分よりも苦しい立場にあるシングルマザーを無視するし、
 第三号被保険者や配偶者控除に固執するのである」

「日本女性のジェンダーの強さ、特に高学歴高所得でも
 日本特有のジェンダーが強いと当ウェブログは指摘してきたが、
 恐れていた通りの数値が示されたことになる」

「日本女性のジェンダーに反する政策を断行しない限り、
 日本の少子化問題が明確に改善することはないであろう」

「つまり、「夫や家族の協力が乏しくとも育児と仕事を両立できるように、
 配偶者控除を廃止するなど負担を高め、それを原資として平等な育児支援を
 現物給付の形で(つまり女性の就業を前提として)行わなければならない」のだ」

「政治力も経済力もある高学歴・高所得層の日本女性が真実に気付かず、
 自らも育児支援を担う決意をしないから出生率は回復しないのだ」

日本型ジェンダーの心理バイアスは、育児支援の「公益」を自らへの利益誘導へと劣化させている。

 ↓ 参考

強い上昇婚志向が招く危機、日本社会のジェンダーは女性にも根深い -「下降婚」が増えれば出生率改善へ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/2b52037cecf15da593ae1976faa0cd22

「仕事と家庭の両立のため無理を通す傲慢さと欲深さ」- 超高学歴女性でも家計補助、仕事はクオリティ低め
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/15a3f45fa807cae06eb6ac32d53a9840‎

長時間労働是正では出生率は改善しない、経済的要因を無視するな-高学歴高所得女性の「願望」も少子化要因
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a03d9cc68caf7c59832ccf677411f33a

異常に多い女性の「マタハラ加害者」、男性よりも比率が高い - 女性上司は男性上司の「3倍以上」か
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b01a92daabb8fb8d0f449a64d4a5b34b

若年女性の34%が専業主婦を希望、「仕事は嫌い」「夫の収入で生活できる」との声も - 厚労省調査より
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a6b038e07ff6793e047c28f6b0250319

▽ コストの3割程度しか負担せず、年100万円以上は公費を蕩尽する認可保育所利用者は「国家のシロアリ」

『社会保障亡国論』(鈴木亘,講談社)


保育園落ちた…大阪市で3千人「働かないと破綻します」(朝日新聞)
https://www.asahi.com/articles/ASL2H5JTDL2HPTIL01F.html‎
”保育園落ちた――。4月からの認可保育園入園をめぐる1次選考の結果が、関西の自治体でも発表されている。落ちた親は「働けない」と怒りの声をあげる。自治体も保育園を増やそうと知恵を絞るが、ニーズになかなか追いつけない。
 大阪市では1万4千人が4月からの認可保育園などへの入所を申し込んだが、約3千人が1次選考から漏れた。今月2日に結果が郵送されると、各区の窓口には親が相談に相次いで訪れた。
 「働きたいのに、働けない」。ある区の窓口で男性(32)と妻(24)が訴えた。2歳と生後7カ月の双子の息子3人全員が落ちた。
 手取りは月20万円ほど。無職の妻はフルタイムで働こうと求職中だが、子どもを預けられる場所が決まらず、内定に至らない。実家も遠くて頼れない。
 市に出した認可保育施設の申込書には「金銭的にも共働きしないと、破綻(はたん)します」と書き、送迎できる距離にある9園を希望先に書いたが「全滅」だった。
 認可外の近くの保育園に預ける手はある。しかし、所得に応じて保育料が決まる認可園と違って高い。3人で月に計約12万円ほどかかる見込みで、男性の手取りの半分以上が消えることになる。
〔中略〕
 中央区の窓口を長男(1)と訪れた会社員女性(29)も、希望した4カ所の保育園が全滅。勤務先の従業員は約30人。「4月以降のシフトも組まれている。従業員も少ないのに、今さら『落ちました』なんて言えない」
 大阪のベッドタウンの吹田市。1次選考では約960人が落ちた。市役所に相談しにいった母親(31)は窓口で泣き出した。派遣社員で働き、5歳と3歳の娘を夫と育てる。下の娘が通うのは2歳までの小規模保育園。4月からの園を申し込んだが1次選考で落ちた。「本当は3人目が欲しいけれど、こんな子育て環境では現実的に産めない」”

朝日新聞は書いていないが、真実は明白である。
「ニースになかなか追いつけない」のは、認可保育所だけに
あり得ない膨大な補助金が蕩尽されているから、
そして認可利用者が正しいコストを負担せず、他人に膨大なカネを出させているからだ。


大卒女性、生かせぬ日本 先進国で就業率の低さ顕著(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO27824790X00C18A3EA1000/
”3月8日は国連が定めた国際女性デー。英誌がこの日にあわせ発表した「ガラスの天井」ランキング(2018年版)で、日本は主要29カ国中28位とワースト2位に甘んじた。経済協力開発機構(OECD)によると、大卒女性の就業率が日本は諸外国に比べ低く、高学歴女性を生かしきれていない。労働力人口が縮むなか、「眠れる宝」の掘り起こしは急務だ。
 英エコノミスト誌のランキングは、女性管理職比率や所得の男女差など1…〔以下略〕”

先進国で女性の就業率を左右するのは育児支援の手厚さだ。
北欧の女性就業率が日本より10%以上高いのがその証拠である。
しかし、日本は高学歴(≒高所得)女性でも就業率が上がらない「ガラパゴス」である。
これに関しては明らかにアメリカと逆で、育児支援の手薄さだけでなく
非経済的理由、つまり日本女性のジェンダーにも原因があると考えざるを得ない。


保育園に落ちて仕事もタワマンも失いかけたバリキャリ女性の苦悩(現代ビジネス)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/54628
”高層マンションが相次ぎ建設されている都心で、保育園探しが激戦になっている。毎年1、2月は認可保育園申込みの結果発表の季節だ。今年も、申込者数に対して受入数が足りない地区では、多数の親たちが保活に奔走し、認可保育園から不承諾通知(保育園に落ちたことを知らせる手紙)を受け取っている。
 実は、その中にはバリキャリの妻がいる高収入夫婦が少なくない。たとえば、外資系投資銀行や大手総合商社、大手メーカーなどで働く高キャリア女性たちだ。
 子育てとの両立のしやすさを考えて職住近接のタワーマンションを購入したのに、保育園に入れず、離職やマンション売却の不安を抱えているというケースもある。なぜこのような事態が起きているのだろうか。

保活に失敗すると地獄が待っている
 「なんとしても今年の4月に保育園に入れないと。1年以内に育休期間が終わるから、来年の4月まで待てません」
 品川区にある高層マンションに住む佐藤愛さん(30代女性、仮名)もそのひとりだ。大手企業に勤めていて、世帯収入は夫とあわせて1千万円を超える。
 愛さんは、待機児童ワースト1の世田谷区とちがって待機児童が少なく、昔から保育園施策で評判のよい品川区をわざわざ選んでマンションを購入した。第1子が産まれ、数ヵ月育児休業を取得した。そして、昨年4月に復職しようと、認可保育園の0歳児クラスに申し込んだ。しかし、結果は全部落ちてしまった。
 「私は働き続けたいし、夫の稼ぎだけではマンションのローンも払えないんです」。愛さんはかなり切羽詰まった様子だ。夫婦で6000万円代の物件を35年ローンで購入した。住居関係費は毎月20万円ほどかかり、愛さんが仕事を辞めたら返済できない。
 しかし夫は仕事で忙しく、保活になかなか関わろうとしない。
愛さんひとりで区の保育課に相談に行き、認可保育園に落ちたときのために、多くの認可外保育園を訪ね歩いた。愛さんは子どもを寝かしつけた後、深夜に保育園入園に関する資料を読み込み、保育園の担当者に連絡メールを書いている。
 保活に失敗してタワーマンションを売却したケースもある。不動産情報サービス会社に勤めているsoraさん(30代女性)は、妊娠がわかり広い部屋に住み替えようと、中央区の湾岸タワーマンションを購入した。
 新築でまだ建設中のため、子どもが1歳時の2年後に家族3人で入居する予定だった。どこかの保育園には入れるだろうと軽く考えていた。
 そして迎えた1歳児クラス4月入園の保活。区の保育課にも相談したが、認可保育園には入れそうもなく、認可外保育園を探すことになった。
 中央区は新規入園決定率が56%とワースト5に入っているうえ、1歳児入園はもっとも激戦である。そのときかろうじて見つかった保育園は、遠い上に交通の便が悪く、購入したマンションからタクシーでしか通えない立地にある園だけだった。
 「湾岸タワーマンションに引っ越したら、毎日タクシーで保育園の送り迎えするしかありませんでした。お金もかかるし、なんてバカバカしいんだろうと思いました」
 悩んだあげく、soraさんはせっかく買った湾岸タワマンを入居前に売却した。転売すれば損は出ない状況だったので、思い切って売ったのだ。それでも、マンション売買の手続きや保活にかけたコストを思うと、今でもむなしい気持ちになるという。

「入園保証保育園付き」タワマンが登場
 そんな保活に苦戦する女性たちのニーズをとらえて、最近、東京のベッドタウン千葉県柏市にある賃貸タワーマンションが「第1期先着70名様 入園保証保育園付き」という電車内広告を、都心を走る路線に出して話題になった。
 その広告では、白人男性が女の子を抱っこし、隣に日本人らしき女性がほほえんでいる。日本のサラリーマンの大多数は「これ俺だ」と思うはずはなく、この理想の家族のイメージは完全に女性向けだ。しかも家賃が20万円前後なので、高収入世帯の働く女性をターゲットとしているのだろう。
 このタワマンの敷地内には保育園だけでなく、「学童保育」「病児・病後児保育」があり、「365日対応小児科医院」も開院予定だ。

〔中略〕
高収入世帯は認可園に入りづらい
 なぜ高キャリア女性たちは保活で大変な思いをするのか。それには理由がある。まず、都市部への人口流入だ。
 品川区を例にすると、たとえば大井地区では過去10年で0~2歳児の数が大幅に増えた。2008年2月には2038人だったが2018年2月には3052人となり、約千人増えている。
とくに大井競馬場近くの勝島1丁目では、2015年以降に大型マンションが立て続けに竣工し、0~2歳児の人口が約6倍に増加した。
 タワーマンションが建ち始めた大井町駅周辺の今年の状況を見ると、たとえば品川保育園では0歳児定員6人に110人、1歳児定員15人に143人が、あいのもり保育園では0歳児定員6人に103人、1歳児定員4人に104人が申込みをした。かなりの高倍率だ。
 もう一つの理由として、認可保育園の入園選考では、親の収入が判断材料にされるからだ。多くの親が、保育料が安く保育環境もいい認可園に子どもを入れたいと考える。品川区では、まず「保護者の状況」で基本点がつく。
 よくあるフルタイム共働きであれば40点だ。それに「調整指数」に基づいて加点される。入園を希望している子どもを認証保育所に預けている場合はプラス2点、区内認可園に兄弟姉妹がいる場合はプラス3点だ。
 もし同じ点数に多くの人が並んだら、父母の住民税額が低い人が優先される。つまり、高収入の父母は不利になる。「住民税額は100円単位までみています」と区の保育課はいう。
 新規に開発されるエリアには、裕福な世帯と収入の低い世帯が同じ地区に住んでいることもある。品川区のあるタワーマンションに隣接する認可保育園では、0歳児クラスに内定した世帯の階層のボーダーは「D5」だと公表されていた。
 この層の推定世帯年収は400万円台くらいである。同点で並んだら、タワマンを購入するような夫婦の子どもはまず入れない。
 要するに、最近になって大型マンションが立ちはじめ、子育て世代が増えているエリアでは、保活が激戦になる。そこに多様な階層の世帯が住んでいると、高収入世帯は優先度が低く、認可保育園に落ちやすいのだ。

マンションが増えても保育園は増えない
 ところで、子育て世代の向けの大型マンションが建設されるなら、保育園も計画的に開設されると思い込んではいないだろうか。
 関係者の話によれば、自治体はデベロッパーの計画に保育園新規開設の希望を出すことはできる。が、「それはあくまで希望であって、デベロッパー次第なんです」という。
 また、多くの自治体では、保育事業への民間参入が促されている。大型マンション建設計画によりあるエリアに保育ニーズが生まれることがわかっていても、保育園の事業者が開設に乗りだし、さらに物件を確保できなければ、保育園は新規に開設されない。
 ある事業者はこう述べる。「マンションが建って、ニーズができれば検討することもあります。とくに、利益がでやすい認可保育園として運営できるなら」
 だが、駅周辺などの地価が高い場所に保育園用の物件を確保することは難しい。保育士不足や保育園開設反対運動などの問題もある。
したがって、大型マンションが竣工するタイミングで、必ずしも近所に保育園が増えるとは限らないのである。

これでは女性のキャリアを阻む
 収入の低い世帯が優先的に認可保育園に入れる制度はもちろん必要だ。だが、高収入世帯が保活でリスクを抱えることを「自己責任」と片づけてしまっていいのだろうか。
 今後、日本も共働き社会へとシフトし、所得の高い男性と所得の高い女性から結婚していく「同類婚」が広まるという。これによって高収入世帯が形成され、格差が広がることが懸念されている。
 だが、日本ではまだ男女の賃金格差が大きい。先日の日経新聞の記事によれば、四大卒女性でも男性と比べると年収が極端に低く、大卒女性で年収300万円を確保できるのは、全体の上位3割だ。また、管理職に占める女性の割合は、欧米先進国は30~40%台だが、日本は10%強とかなり低い。
 しかし、この少数派の高キャリア・高収入女性がいる夫婦でも、保育園に関することはたいてい妻の役割だ
。保育園探しで説明会や区役所を駆け回り、かろうじて入れた遠くの保育園の送り迎えで疲労するのもたいてい妻である。
 「社会生活基本調査」によれば、6歳未満の子を持つ夫婦で、夫が1日に育児にかける時間は、5年前から1日わずか10分だけしか増えていない。彼女たちが保育園に関するマネジメントで時間や体力を消耗しろくに仕事ができなければ、男女のキャリア上の格差はなかなか縮まらないし、女性のリーダーも増えにくいだろう。
 こういった高収入世帯の話になると、ベビーシッターを雇えばいいという意見がよく聞かれる。それはそうだが、日本では「母親が愛情を込めて子育てをするべき」という規範がいまだに根強い。
 周囲の視線や自身の罪悪感によって、ベビーシッターに子どもをまかせることをためらう女性も多い。両立に苦しみ、子育てのために仕事を辞めるべきか悩んでいる高キャリア女性の声も聞く。

 もし働く女性が仕事を辞めれば、その住宅ローンは夫に重くのしかかる。職場の負担も増す。人手不足がさまざまな業界で課題になる中、能力ある人材を採用するのは難しい。女性の離職は、家庭にとっても企業にとっても大きな損失になる。
 国は女性の活躍を掲げている。それならば、父母の収入にかかわらず、すべての子どもが保育園に入って良質な保育を受けられるよういっそう努力するべきだろう。
藤田 結子”

この記事は、日本型ジェンダーの感覚が「ガラパゴス」でいかに特殊であるか、
北欧のような高負担もなしに公的サービス(自分の便益となる)を平然と要求すること、
自分の行動は自分が選択するのではなく「規範」や「周囲の視線」や「罪悪感」のため、
つまり自分は何ら批判されるべきところはなく「犠牲者」(自称だが)であること、
だからより困っている人々に対して支援の手を差し伸べないことを当然視していることが分かる。

勿論のこと本当の弱者ではなく、本当の弱者の5倍以上は所得水準が高いのだから、
昔マリー・アントワネットが「パンが無ければブリオッシュを食べれば」と言ったのと
よく似ている、残酷なほど無邪気な感覚なのであろう。
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1 Comments

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Unknown (富士)
2018-05-22 00:24:48
すばらしい記事でした
少子化は与党の「失政」によるもの
その正直な意見に目が覚めました

より多くの人に読んでいただきたい記事です
失政によって日本をお先真っ暗にした与党がもちあげられている現状はおかしい

それをみんなが認識すべきです
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