今週の『エコノミスト』は非常に良かった。
メイン特集は恐らく以前から長らく取材した成果が反映されており
他誌はこのタックスヘイブン特集を参考にせざるを得ないだろう。
富裕層の節税手法は28頁、企業の節税手法は32頁で詳細に記されている他、
26頁の「ゼロから学ぶタックスヘイブン」も非常によく纏まっており
ICIJの資金は米財団から出ていることも書いていて素晴らしい。
○租税回避では近年、HSBCの役割が大きくなっている
○日本人には永住権のハードルが低く比較的物価の安いNZが人気
○日本人の潜在的な海外資産「未申告者」は9万人はいるはず
との重要な指摘が複数あり、必読である。
市岡繁男氏の連載コラムは今回も本当に素晴らしい。
「鉱工業生産指数から言えばアベノミクスの失敗は明白である」
と当ウェブログは先週書いたが、全くその通りであった。
(エントリーのサブタイトルはこちらから)
鉱工業生産指数ではリーマンショック前の水準をやっと回復したのが米独のみ、
日本は安倍政権の間に寧ろ生産が低迷していてイタリアと大差ない水準である。
株価だけは英国と同水準なので、「アベノバブル」は完璧に立証されている。
今週のエコノミストは旭酒造(あの「獺祭」の蔵)でのIT化という
渋い記事も秀逸で、読みどころが多かった。
旭酒造の桜井社長は、AIに丸投げすると「ノウハウを失う」と
日本経済にとって死活的に重要な指摘を行っている。
◇ ◇ ◇ ◇
『ダイヤモンド』のメイン特集はほぼ期待通りだろう。
ホンハイ傘下で再生できるかどうか、早くも暗雲が漂っている。
かつてカルロス・ゴーンが日産をV字回復させたような
奇跡的な成功とは状況が余りにも違い過ぎるのだ。
残念なのはディスプレイ関連の市場分析だ。
市場規模の成長率の推移と各企業の利益率をシェアと比較分析すれば
あと数年でシャープのように経営危機に陥るアジア企業が出ると容易に予想できたろう。
(少なくともその一つは、国内市場が小さいというアキレス腱を持つ韓国企業である)
沈むシャープとは好対照のニトリの記事で
経営管理層の読者は「口直し」し大いに学べるだろう。
ただイケアの域に届くことは難しいと見ている。
企業文化としては「人間味のあるファーストリテイリング」という印象で
理念がドメスティックなのでグローバル市場では苦労するのではないか。
◇ ◇ ◇ ◇
『週刊東洋経済』のプログラミング特集はかなり厳しい批判を受けそう。
「クラウドソーシングの現状を見ると煽りにしか見えない」と
当ウェブログは書いたが、まさにその懸念通りの特集内容だったと言えるだろう。
プログラミング業界では「40歳限界説」が囁かれていること、
クラウドソーシングによる所得がかなり低いこと、
編集部はその程度のことはすぐ取材で分かった筈だと思うのだが。
グローバル化に成功している公文の記事も今一つ。
公文の成功の最大要因は明らかで、ビジネスモデルが単純でそれゆえ普遍的だからだ。
日本の受験産業の大多数は日本の受験制度に依存しているので、
公文よりも遥かにグローバル化を進めにくい構造になっている。
◇ ◇ ◇ ◇
次週はダイヤモンドの慶應特集が売れそう、早稲田との鍔迫り合いで日本経済を盛り上げて欲しいものだが。。
▽ 「誰も教えなかった本当の序列」などという小技も効いている
▽ 東洋経済はダイヤモンドの先行特集に勝てるか、レスターやパナマ文書の方が期待できるかも
▽ エコノミストは興味惹かれる特集だが、内容は未知数
経済は心理学の方が影響大と思う、物理学で予測できるバブルはバブルと呼べないのでは。
メイン特集は恐らく以前から長らく取材した成果が反映されており
他誌はこのタックスヘイブン特集を参考にせざるを得ないだろう。
富裕層の節税手法は28頁、企業の節税手法は32頁で詳細に記されている他、
26頁の「ゼロから学ぶタックスヘイブン」も非常によく纏まっており
ICIJの資金は米財団から出ていることも書いていて素晴らしい。
○租税回避では近年、HSBCの役割が大きくなっている
○日本人には永住権のハードルが低く比較的物価の安いNZが人気
○日本人の潜在的な海外資産「未申告者」は9万人はいるはず
との重要な指摘が複数あり、必読である。
![]() | 『週刊エコノミスト』2016年05月24日号 |
市岡繁男氏の連載コラムは今回も本当に素晴らしい。
「鉱工業生産指数から言えばアベノミクスの失敗は明白である」
と当ウェブログは先週書いたが、全くその通りであった。
(エントリーのサブタイトルはこちらから)
鉱工業生産指数ではリーマンショック前の水準をやっと回復したのが米独のみ、
日本は安倍政権の間に寧ろ生産が低迷していてイタリアと大差ない水準である。
株価だけは英国と同水準なので、「アベノバブル」は完璧に立証されている。
今週のエコノミストは旭酒造(あの「獺祭」の蔵)でのIT化という
渋い記事も秀逸で、読みどころが多かった。
旭酒造の桜井社長は、AIに丸投げすると「ノウハウを失う」と
日本経済にとって死活的に重要な指摘を行っている。
◇ ◇ ◇ ◇
『ダイヤモンド』のメイン特集はほぼ期待通りだろう。
ホンハイ傘下で再生できるかどうか、早くも暗雲が漂っている。
かつてカルロス・ゴーンが日産をV字回復させたような
奇跡的な成功とは状況が余りにも違い過ぎるのだ。
残念なのはディスプレイ関連の市場分析だ。
市場規模の成長率の推移と各企業の利益率をシェアと比較分析すれば
あと数年でシャープのように経営危機に陥るアジア企業が出ると容易に予想できたろう。
(少なくともその一つは、国内市場が小さいというアキレス腱を持つ韓国企業である)
![]() | 『週刊ダイヤモンド』2016年 5/21号 (背徳のシャープ 液晶敗戦の全顛末) |
沈むシャープとは好対照のニトリの記事で
経営管理層の読者は「口直し」し大いに学べるだろう。
ただイケアの域に届くことは難しいと見ている。
企業文化としては「人間味のあるファーストリテイリング」という印象で
理念がドメスティックなのでグローバル市場では苦労するのではないか。
◇ ◇ ◇ ◇
『週刊東洋経済』のプログラミング特集はかなり厳しい批判を受けそう。
「クラウドソーシングの現状を見ると煽りにしか見えない」と
当ウェブログは書いたが、まさにその懸念通りの特集内容だったと言えるだろう。
プログラミング業界では「40歳限界説」が囁かれていること、
クラウドソーシングによる所得がかなり低いこと、
編集部はその程度のことはすぐ取材で分かった筈だと思うのだが。
![]() | 『週刊東洋経済』2016年5/21号 (今すぐ始めるプログラミング) |
グローバル化に成功している公文の記事も今一つ。
公文の成功の最大要因は明らかで、ビジネスモデルが単純でそれゆえ普遍的だからだ。
日本の受験産業の大多数は日本の受験制度に依存しているので、
公文よりも遥かにグローバル化を進めにくい構造になっている。
◇ ◇ ◇ ◇
次週はダイヤモンドの慶應特集が売れそう、早稲田との鍔迫り合いで日本経済を盛り上げて欲しいものだが。。
▽ 「誰も教えなかった本当の序列」などという小技も効いている
![]() | 『週刊ダイヤモンド』2016年 5/28号 (慶應三田会 学閥の王者) |
▽ 東洋経済はダイヤモンドの先行特集に勝てるか、レスターやパナマ文書の方が期待できるかも
![]() | 『週刊東洋経済』2016年5/28号 (セブン再出発) |
▽ エコノミストは興味惹かれる特集だが、内容は未知数
![]() | 『週刊エコノミスト』2016年05月31日号 |
経済は心理学の方が影響大と思う、物理学で予測できるバブルはバブルと呼べないのでは。