今週の『週刊エコノミスト』の特集は「動乱の世界経済」です。
『週刊エコノミスト』の内容案内
最新号の内容の確認は、こちらの毎日新聞のサイトの方が正確で早いです。
但し、定期購読しても全くディスカウントされません
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/
編集部の方には申し訳ないのですが、
今回はやや特集の絞り込みに欠けているような印象を受けました。
…『東洋経済』や『ダイヤモンド』のように、
書籍出版やネット部門にも力を入れてみるのはいかがでしょうか。
『フィナンシャル・タイムズ』や『フォーブズ』、『バロンズ』等の
記事の翻訳紹介なども期待しております。(執筆依頼より安上がりですから)
◇ ◇ ◇ ◇
投資家の方はP76から御覧になるのが良いでしょう。
三菱UFJ証券の藤戸則弘 氏が「国際分散投資」について寄稿されています。
P77の「主要国のOECD景気先行指数」のグラフが必見であり、
なぜ今年は外国人投資家の買い越しが少ないか一目で分かるのです。
「 日本の経済成長率は世界的に見ると非常に低い 」
「 日本の膨大な財政赤字、出生率の低下などを加味して考えれ
ば、拡大するユーロ圏や超大国としての底力を見せる米国に
見劣りすることは否定できない。」
との藤戸 氏の指摘は極めて正確なものであり、
「少子化は心配不要」などと脳天気なことを無責任に主張する日本の論者に
ぜひ聞かせてやりたいものです。
但し個人投資家としては、このような国際分散投資はほぼ不可能です。
その気がなくとも集中投資にならざるを得ないのが貧乏人の悲しいところ。
いま気付いたのですが、中国やインドよりも情報が豊富で手数料コストの安い
立派なエマージング・マーケットがありますね。言わば代替市場ですが。
それはジャスダック市場です。(笑)
騰落率が極端で流動性に難があり、一方通行の市況になり易い、まさにそっくり!
・・・・・
この寄稿には米ヘッジファンド「アマランサス」破綻の裏側もレポートされており、
スリーエムの年金基金もこのファンドに出資してたとのこと。
商品市況はエネルギーや非鉄だけでなく農産物も連動しているそうですので、
この影響をぜひ近い内に特集して欲しいものです。
最後になりますが、特集第1部に関してはP34の自動車セクターと
P36の電機セクター分析をお読み頂くのが良いかと。
(ただ、目新しい話はそれほどありません …)
◇ ◇ ◇ ◇
さて、今週の『エコノミスト』で最も面白かったのはP46です。
好著『日本とフランス 二つの民主主義』
の著者である薬師院仁志 助教授の寄稿で、
フランスという国への興味が湧く、すばらしい記事です。
(振り返って日本はどうなのか、とつい思われます)
フランスでは労働政策により、派遣労働者の賃金は正社員と最低でも同額、
離職時には「不安定身分補償手当」と「有給休暇分補償手当」の支給と、
(「身分の不安定は金銭で補償されるのが当然」なのだそうです!)
雇用への考え方が違えばここまで違うものかと驚かされます。
それでもフランスへの国外からの新規投資は2005年には12%増加、だそうです。
P49のデータには仰天!
日本 アメリカ フランス
合計特殊出生率 > 1.25 2.05 1.94
人口比の貧困率 > 15.3% 17.1% 7.0%
高等教育費家計負担率 > 58.5% 38.9% 10.1%
皆さんは、どの国が優れていて、どの国に住みたいと思いますか?
日本は客観的に見て、どのような国だと思いますか?
フランスにもそれ相応の欠点はもちろんありますが、
本物の「美しい国」の片鱗を知った気分です。
こちらは、どこかの趣味的で空虚な本と違って確かな内実が伴っていますから。
執筆者である薬師院 助教授は、今後必ず名声を高めると確信しました。
◇ ◇ ◇ ◇
… ちなみに、今週の『週刊ダイヤモンド』P27では、
小林慶一郎 氏が全く逆の立場で労働政策を論じています。
「 労働者を保護する政策が充実した欧州は、高い失業率や移民社会
との対立による治安上の問題と言う高いコストを支払っている 」
欧州のイスラム移民はアメリカよりも失業や孤立に苦しむ傾向が強い、
イスラム過激派は欧州のイスラム移民の子孫が多い、といった話を知ると
(これらにも検証が必要でしょうね。アメリカの格差や治安を無視している)
なかなか難しい問題だと思います。
私は、日本の選択する道は欧米のハイブリッド型であり、
社会的コンセンサスに基づいてひとつひとつ決めねばならないと思います。
… 皆さんはどのように思われますか?
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但し、定期購読しても全くディスカウントされません
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編集部の方には申し訳ないのですが、
今回はやや特集の絞り込みに欠けているような印象を受けました。
…『東洋経済』や『ダイヤモンド』のように、
書籍出版やネット部門にも力を入れてみるのはいかがでしょうか。
『フィナンシャル・タイムズ』や『フォーブズ』、『バロンズ』等の
記事の翻訳紹介なども期待しております。(執筆依頼より安上がりですから)
◇ ◇ ◇ ◇
投資家の方はP76から御覧になるのが良いでしょう。
三菱UFJ証券の藤戸則弘 氏が「国際分散投資」について寄稿されています。
P77の「主要国のOECD景気先行指数」のグラフが必見であり、
なぜ今年は外国人投資家の買い越しが少ないか一目で分かるのです。
「 日本の経済成長率は世界的に見ると非常に低い 」
「 日本の膨大な財政赤字、出生率の低下などを加味して考えれ
ば、拡大するユーロ圏や超大国としての底力を見せる米国に
見劣りすることは否定できない。」
との藤戸 氏の指摘は極めて正確なものであり、
「少子化は心配不要」などと脳天気なことを無責任に主張する日本の論者に
ぜひ聞かせてやりたいものです。
但し個人投資家としては、このような国際分散投資はほぼ不可能です。
その気がなくとも集中投資にならざるを得ないのが貧乏人の悲しいところ。
いま気付いたのですが、中国やインドよりも情報が豊富で手数料コストの安い
立派なエマージング・マーケットがありますね。言わば代替市場ですが。
それはジャスダック市場です。(笑)
騰落率が極端で流動性に難があり、一方通行の市況になり易い、まさにそっくり!
・・・・・
この寄稿には米ヘッジファンド「アマランサス」破綻の裏側もレポートされており、
スリーエムの年金基金もこのファンドに出資してたとのこと。
商品市況はエネルギーや非鉄だけでなく農産物も連動しているそうですので、
この影響をぜひ近い内に特集して欲しいものです。
最後になりますが、特集第1部に関してはP34の自動車セクターと
P36の電機セクター分析をお読み頂くのが良いかと。
(ただ、目新しい話はそれほどありません …)
◇ ◇ ◇ ◇
さて、今週の『エコノミスト』で最も面白かったのはP46です。
好著『日本とフランス 二つの民主主義』
フランスという国への興味が湧く、すばらしい記事です。
(振り返って日本はどうなのか、とつい思われます)
フランスでは労働政策により、派遣労働者の賃金は正社員と最低でも同額、
離職時には「不安定身分補償手当」と「有給休暇分補償手当」の支給と、
(「身分の不安定は金銭で補償されるのが当然」なのだそうです!)
雇用への考え方が違えばここまで違うものかと驚かされます。
それでもフランスへの国外からの新規投資は2005年には12%増加、だそうです。
P49のデータには仰天!
日本 アメリカ フランス
合計特殊出生率 > 1.25 2.05 1.94
人口比の貧困率 > 15.3% 17.1% 7.0%
高等教育費家計負担率 > 58.5% 38.9% 10.1%
皆さんは、どの国が優れていて、どの国に住みたいと思いますか?
日本は客観的に見て、どのような国だと思いますか?
フランスにもそれ相応の欠点はもちろんありますが、
本物の「美しい国」の片鱗を知った気分です。
こちらは、どこかの趣味的で空虚な本と違って確かな内実が伴っていますから。
執筆者である薬師院 助教授は、今後必ず名声を高めると確信しました。
◇ ◇ ◇ ◇
… ちなみに、今週の『週刊ダイヤモンド』P27では、
小林慶一郎 氏が全く逆の立場で労働政策を論じています。
「 労働者を保護する政策が充実した欧州は、高い失業率や移民社会
との対立による治安上の問題と言う高いコストを支払っている 」
欧州のイスラム移民はアメリカよりも失業や孤立に苦しむ傾向が強い、
イスラム過激派は欧州のイスラム移民の子孫が多い、といった話を知ると
(これらにも検証が必要でしょうね。アメリカの格差や治安を無視している)
なかなか難しい問題だと思います。
私は、日本の選択する道は欧米のハイブリッド型であり、
社会的コンセンサスに基づいてひとつひとつ決めねばならないと思います。
… 皆さんはどのように思われますか?