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流出雑記 

はじめてのひとりなか卯

2009年02月10日 | Weblog
2時過ぎ就寝7時起床

11時起床が習慣化しているので緊張して寝た緊張感を保ったまま目覚めた。

身支度しバナナ1本、コートドールのチョコひとかけ、小梅の猫砂を足しゴミを出し家を出る。
9時から母校の高校で仕事。
8時45分学校着。
3年生の国公立美大受験対策人物デッサンの授業。
白いシャツにタイトなジーンズとの指定だったので滅多に着ない白ワイシャツに着替える。

4時間8ポーズ
椅子に座って足を前後するくらいのあまり変化のないポーズ。
先生の説明によれば、試験当日のモデルは在学中の美大生がやるそうで、例年そんなに複雑なポーズではないらしい。
私は睡魔を恐れていたがポーズ前に飲んだ缶コーヒーが効いたのか目は冴えている。
器官なき身体というキーワードを頭の中に浮かべていた。 

4ポーズ目が終わると長めの休憩20分。
隣の教室でも同じ服装のモデルが来ていて、自販機でホットレモンを買い暖をとりつつ少し話す。

時間の感覚に体が慣れて後半の4ポーズは早く過ぎてしまう。
1時過ぎ、仕事を終え学校を出る。
市役所前の交差点で信号を待っていると、近くの葬儀場から20代後半くらいの若い喪服の人がぞろぞろと出てくる。目頭をハンカチで押さえたり、目の赤い女の人。
若い人が亡くなったのだろうか。 昨日の右京区の23歳女性が殺されたニュースを思い出す。

御幸町のmumokutekiカフェで昼ごはん。
そのあと雑貨屋を覗いたりcoconのlisnに行ったり芸術センターのインスタレーション見に行ったりノムラテーラーでシルクの手触りを確かめたり。
6時からもう一件仕事があるがまだ時間があった。冷えてきたので仕事場近くのかもがわカフェに入る。窓際の席は混んでいたが奥の席は誰もおらず照明も音楽もうるさくないボリュームでちょうど良い。
チャイを3分くらいで飲み干しその後は『日日雑記』を読んだりまた器官なき身体を頭に浮かべたりして1時間ほど過ごす。

時間になり移動。
3時間6ポーズ。
あぐらをかいた状態で腕を後ろ気味についた。すると上体はそり気味になり体重は背中の方にかかりそれをお尻と腹筋と両腕で支える。保つかどうかと思ったが腕に体重がかかり過ぎ手首より先がしびれる。腕の負担を軽減するため腹筋で重心を前に引っ張るが疲労してくると微細動で見えない程度にピクピクし股関節は微妙な開き加減をキープしつつ終わったら何としてもうどんが食べたいと思いつつ…

とにかく6ポーズ耐えた。

終わってうどんを求め自転車で走る。
今出川から鴨川を渡る橋の上から見た丸い、ほんとに満月。

お昼も外だったので夜はあまり贅沢せずに済ませたい。
元田中の辺で石焼き芋に出くわす。それもいいなと思うが、外は寒いしやっぱり座ってうどん食べたい。
仕方ないので「い~しやきいも~ほっかほっかの~おいもだよでも今日はどうしてもうどんだよ」と一緒に歌って気を紛らわす。

うどん。
なか卯。
ダーリンとは何度か行ったことあるがひとりで入るのは初めてだった。
ひとりで行く所でないと思っていたがどうしても柚子と鶏のう~ど~ん~。
店内にはやっぱりな、という感じに兄さんとおっさんひとりずつ。

うどんにありつく。


温もったお腹で帰宅。
小梅が出迎え。いつも私たちがいつ帰ってくるか小梅は知らないが、帰ってくるか心配になったり私のことを思ったりするのだろうか。ニャアニャーと足にすり寄ったり目を見て鳴くから。

からっぽになっていた小梅のコバルトの淵の白いホウロウボウルにかりかりと金缶のかつおを混ぜて少し温めてやる。
喜ぶはずなのに食いつかずニャーと何か訴える。
ちょっと熱かったらしい。しばらくするとボウルはまたからっぽになった。

2月8日

2009年02月08日 | Weblog
3時就寝11時半起床

パジャマ洗濯
  
この頃空いてる日はカメラを持って出掛ける日々。
ロウ梅があちこちで黄色い。庭があったら植えたいと思うとてもいいにおい。

今日はあまりシャッターを切れず、ふらっと恵文社に行く。
日曜なので混んでいる。

武田百合子の日記が読みたくなり、『犬が星見た』か『日々雑記』か迷う。
書かれた順序で言うと『犬が星見た』が先だが『日々雑記』の最初のページに一言、いなくなった人たちへ とあったのを見て『富士日記』の下巻で武田泰淳が亡くなったところを思い出し、その後の日々が気になってこっちにする。
武田泰淳の『富士』は先日読み終えた。感想を書こうとしたがまとまらず。
『富士』の中に描かれる冒頭と巻末の風景は、武田家の山荘の風景だと『富士日記』を読んだ後なので分かる。
回想として語られる主人公の精神科医の物語はフィクションだが、始まりと終わりに山荘での武田泰淳の当時の生活そのものと思われる状況で主人公は暮らしている。傍らには武田百合子を思わせられる妻がいて、実際に武田家で飼っていた犬と同じ名前の犬が出て来たり、その犬が檻に首を挟んで死んでしまうという『富士日記』に記されていたことが描かれている。
小説と日記が重なって虚構と現実の間がぐらぐらして、それがこの2冊をより魅力的にした。

恵文社には猫の本ゾーンがある。
内田百間の『ノラや』が気になった。
武田夫妻のひとり娘、武田花は写真家で猫ばっかりの写真集を出している。
 
その後、伊予柑と小松菜とヨーグルトなど買って帰る。

写真は数日前に買った木蓮。
嗅ぎたいのに木の高い所に咲くのでいつも悔しかったがたまたま花屋で見つけた。
華道の心得はないので適当。
路地の木蓮はまだ蕾だが、部屋の中の枝は3つ花が開きはじめた。
小梅も嗅ぐ。
やさしいけど凛としたほのかな香り。



2月5日

2009年02月05日 | Weblog
3時過ぎ就寝11時起床

日々こつこつ消費していた隣からもらった餅ついに最後。最後の餅はぜんざいにした。

昨日から浮かんでいるコラージュのアイデアを形にすべくダーリンにデジタル一眼を借りて風景を撮りに出る。
今までコラージュの為に素材を自分で撮ることはなかったが使いたい写真になかなか出会わず、撮るしかないと思い立った。

いつも通る道の風景をシャッターで切り取るものとして見ながら歩く。
雑に置かれた畑道具、間引かれてひからびた大根、収穫されず置き去りにされたキャベツ、野菜を洗う水場、フェンスに絡まった蔓、カビっぽい暗さのアパート、洗濯物の干してある所、公園の藤棚、雨ざらしで錆び付いた屋上のパイプの交差。
惹かれる風景、この場所に体が惹かれるかどうか、その場所の隙間に体をどんなふうに挿入したいかを考えながら歩き回った。
体に沿うと思われる場所。隙間を探した。

造形大の中も散策。
体育館の上に何も無い広い場所がある。学生の頃よくひとりで来たところ。
大学の山の道を歩いていたら後ろからにゃーにゃー聞こえる。背の低い笹の茂みに黒い子猫が丸まっていた。
足下に近づいてくる。ついて来ているのかいないのか一緒にしばらく歩いた。途中で水とボウルの餌場があった。誰かが餌付けをしているらしい。

帰りにギャラリーRAKUに寄る。『鬼海弘雄 写真展』が今日からだった。
街で出会った人々を撮ったセピアのポートレイトが並ぶ。撮られた人々は皆どこか奇妙だ。
年をとった人の写真が多かったが、なぜそんな煮詰まり方をしていったのだろうと思うような独特な容姿、服装。
訳ありでない人などいないと思わされる面々。この人たちはどのような日々を営んでいるのか、何をして何を考えて…そんなふうに想像させられてしまう、写真に撮られた平面からその奥行きに引きずり込まれてしまうような素通りできない力のあるポートレイト。
会場には風景だけを撮った写真集も置いてあった。
東京の街並を撮ったもの。人は写っていないが生活の煮詰まったような家々の軒先、平然とそこにあるようでよくみると奇妙に思える固執や無遠慮な個々の生活のにおい。ガーデニングと呼び難い、発泡スチロールで育てたネギなどよくわからない玄関先の植物の増殖、干されたと言うか晒されたというような洗濯物の干し方、風化し始めているトタン、過剰な看板、塀にびっしりと這っている蔦など。
廃墟写真も好きだが、人が暮らしていてその切り取られた日々の風景のひとつ、その形が形として奇妙で面白く魅力的であるというのは立ち入り禁止でない身近なところにある静かな危うさを見てしまったようで、さっき大学の山の上から見た無数の屋根の家々はそんな危うい箱が並んでいるもののように思い出された。








2月3日

2009年02月03日 | Weblog
2時半就寝10時起床

洗濯。
11時過ぎ、ダーリン帰宅。
泊まり込みで舞台映像の編集作業をして寝ていないらしかった。目の下に疲労感漂う。
ここ最近毎日稽古で家におらず。
帰って来たのも取りに帰るものがあったからでまたすぐ出ると言う。

慌ただしいが少し時間があったので、買っておいた豆を年の数それぞれ食べる。
ダーリン27 私26 小梅2
小梅はにおいを嗅いでちょっと舐めて後は転がしていた。

ダーリン寝袋を携え稽古場に戻る。
私は餅を食べ、洗濯物を干し、コタツにもぐり終わりに差し掛かった『富士』の続きを読む。
小梅は私が飲んでいた紅茶のマグカップに手を突っ込んで手に先についてくる紅茶の雫を舐めている。何度かそれを繰り返し猫なりに紅茶を飲んでいた。満足した後は机の上のエアコンの温風があたる位置に香箱をつくりそのうち寝そべって寝息をたてはじめた。
猫も人と同じようにスースー言いながら寝る。

外はずっと雨。
小梅の寝息につられて私もしばし気を失う。
4時過ぎに目覚める。6時から仕事なので化粧。

朝刊の一面の端に毎日載る「折々の京言葉」というのがあって、そこに今日書いてあったことがおもしろかった。 

「おばけ」
節分の日に、老女は若い娘の姿に、若い娘は良縁を願って人妻の髪形に結ってバケルこと。
娘の振袖を着る母親、桃割れの髪形の祖母。
「節分の日にはオバケが見られたもんや」
戦後、若い娘の日本髪をオバケとも言った。
吉田神社や壬生寺へ厄除に参詣するとき、常の日にはできないような派手な髪形や服装をしてめかす。

それを思い出して髪を日本髪風にアップにして仕事に出た。
途中でコンビニに寄り、払いそびれていた先月の公共料金収める。ついでに海鮮ハーフサイズ恵方巻きを買う。

会場に早めに着く。
着替えてつい立てで作られた控え室スペースで方角はわからないがこっちが恵方だといいなと思いながら適当な方角を向いて恵方巻きに齧りついた。

3時間6ポーズ固定

立ちポーズで左は土踏まずより前の部分だけ地面につき踵を上げたポーズをしてしまい右足に体重のほとんどがかかっていた。
後半右膝に負荷を感じ、最終ポーズではキリキリしてきた。

いつも体重をかけてしまう癖足に偏らないように気をつけてはいるが、こういう妙な体の使い方をしているので骨格は歪んでいるだろうと思う。整体に行ってみたいと思いつつまだ行ったことが無い。

終わって小雨の中帰る。
少し霧がでて信号やテールライトがぼんやり滲む。制限60キロの標識の色合いはロンドンの地下鉄のマークと同じで、霧雨の夜道、ここはロンドンと思いながら私は自転車でいつもの道を帰った。