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流出雑記 

2015/8/12

2015年08月12日 | Weblog

「頂戴します」という言葉をいつの間にかナチュラルに使えるようになっていた。「頂戴します」をいつ使うかというと、美術モデルの仕事はだいたい1件の仕事が終わったらその場でギャラを手渡しされるので、受け取るときにそう言う。もうちょっと若い頃は普通にありがとうございますと言って受け取っていた。

なんとなく歳相応になって使用可能になる言葉がある。「おおきに」と言うのもさらりと普段使いできるようになるのはある程度年齢を重ねた頃のように思う。もう一段階レベルが上がるのは例えば「良いお湿りで」。しとしと雨の降っている時に使う。子供の頃祖父の月命日に家にお経をあげに来ていた住職が雨の日に庭の方を見やってそう言ったのを鮮烈に覚えている。住職のことをうちではお寺さん、もしくはおっさんと言っていた。このおっさんはいわゆるオッサンのおっさんとはイントネーションが違って、お、をいちばん高く強く発音する。「今日おっさん来はる日やで」というふうに。関西の言い方なのか全国共通なのか知らないけれど。

「良いお湿りで」には還暦を過ぎないと至れないんじゃないかと今のところはそう踏んでいる。そして「良いお湿りで」が似合う状況というのもある。やはり庭などの緑がしっとり水をうけ、土に雨水が染み入るような土壌でなければしっくりこない。街中の建物やコンクリートを濡らす風景には湿るという言葉があまり似合わない。

街中の雨に似合う言い方はあるだろうか。「すべて洗い流すようだね」「やっと新しい傘が使えるわ」「靴が濡れるよ、あの喫茶店で雨宿りしていこう」「でもすぐに止むかしら」「実はしばらく止まない方が嬉しいんだけど」「え?」「いや、なんでもないよ」

 

和島くんがすすめてくれた管啓次郎という人の『本は読めないものだから心配するな』という本を大学の図書館に探しに行ったけれどなかったので開高健を借りてみた。

スーパーに寄って野菜や肉を買い帰宅。この夏はじめてゴーヤを買った。大物でゴーヤチャンプル2回分くらいはある。それで下処理をするときにわたを取り半分はチャンプル用に5ミリくらいに切り、もう半分は2ミリくらいの薄切りにして塩をふりしばらく放置。苦い水が出て来たら捨てて沸騰したお湯に通すくらい一瞬茹でてそれぞれザルにあげる。チャンプルは明日する。薄切りの方は、ごま油をひいたフライパンで炒め、だし醤油と砂糖、お酢を少しを入れ汁気を飛ばし最後にかつお節を入れたら副菜的なものができる。持ち前の苦味があるので砂糖は気持ち多め。

お隣からさつまいもをもらったので使わないといけない。真夏に鳴門金時を焼いたり茹でたりしてホクホクさせても暑苦しいし、大学芋とかスイートポテトが一瞬よぎったけれど、やはり製作過程が暑苦しいのでその気にならず。それで棒状に切って豚肉と玉ねぎとカレー味に炒めた。これが夏のさつまいもの正解だと確信した。それを食べているときにノックの音がして、ドアを開けたらまたお隣さんが今度はゴーヤ片手に畑してる人からもろたんやけど食べはる?と。さっき書いたようにゴーヤは今日買ってきたけれど、こういうときは遠慮なくいただくのが礼儀であるし、食材はなんであれ歓迎する。もらったゴーヤはまた甘辛く炒めた。


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