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流出雑記 

天使論 愛知大編

2014年01月15日 | Weblog

9日 晴れ

ホテルの掛け布団が軽いのでそわそわして寝付くのに時間がかかった。東横インの朝。おにぎり、白米、みそ汁、サラダ、おかず一品、食パンがロビーの片隅に並べられ、朝だけ簡単な食事コーナーがあらわれる。出張のサラリーマンに混ざって食事。旅先の朝食が好きな夫は全部の炭水化物を網羅していた。

大学へ。この日はもう一演目の「復興ダンゴ」と時間をわけてテクニカルリハーサル、夜に通し。天使論は午前中にリハを終え、大学の生協でサンドイッチなどを買って昼食。空いた時間は晋平さんの研究室の写真集や本を読んで過ごす。

通し。お互いの作品を見るのははじめてだった。「復興ダンゴ」はさくら苑という横浜の老人ホームで暮らすお年寄りと話したり演奏している映像が流れるなかで、その映像や音と関わりながら野村誠さんがピアノを演奏し砂連尾さんが踊るという作品。映像は単に記録を流しているのではなくて、リズムや動きのおもしろいところを反復したりしてあらかじめ編集されている。

お年寄りたちとの会話の発端は、日本はどうすれば復興するか、戦後の日本はどうやって復興して行ったのかという投げかけにはじまる。戦後のことを語るお年寄りの会話のなかにアメリカ兵という言葉がよく出てきた。ハウスボーイをしていた、女の子にはやさしかったという思い出話は京都のお年寄りからは聞いた事がない。横浜の土地柄だなと思う。言葉のリズムから引き出されたメロディとお年寄りの身振りから展開していくダンスのセッション。映像がひとつ軸としてあるなかで、ふたりのパフォーマンスには自由度がある。作品を作ることが諸要素をがちがちに固めてしまうのではなく、意味説明に終始するのでもない。それぞれが存在するところの微妙なバランスの上に成り立っているパフォーマンスだと感じた。

「天使論」は今回で4度目の再演になる。最後に踊るところがうまくいっているときは、必死な中でも新しいアイデアが出てくる。新しいアイデアはそれまでにやったこと、いろんな意識の階層を行き来することで生まれる。ということが今回自分にとって具体的になった。

夜は豊橋駅付近の居酒屋。煮炊きしたものは大体甘みが強い。ホテルのフロントで毛布を借りたら熟睡できた。

 

10日 晴れ

実家の三重に帰っている遠藤くんが豊橋まできてくれた。駅前の喫茶店で会う。小倉トーストは三角形に切ってあるのがひとつ60円だった。小倉トーストにはバターを塗って欲しいと思った。

13時からゲネの前に砂連尾さんとアシュタンガヨガ。途中まで。砂連尾さんいわく私は内蔵が冷えているんじゃないかという。お腹を温めると踊りが変わるんじゃないかなと言われる。体質と踊りの関係をあまり考えた事がなかった。冷え性。

5分だけ即興しようと誘ってくれた。野村さんも弾いてくれて、5分は短かった。

ゲネは昨日よりいい。

18時本番1回目。ラスト、音楽の消えたところの踊り方を少し考えてしまった。 初日乾杯。深夜遠藤くんの部屋にふたりで行って喋る。

 

11日 晴れ

朝、砂連尾ヨガ続きをする。天使論で使っているthis must be the place の音出しをしているのを聞きながら野村さんがピアノを弾く。夫もそれに手持ちの録音音源などを重ねたりして自然にセッションが起こっていた。その時間がとてもおもしろかった。

2回公演。トークも無事終える。打上げて2件目のち復興ダンゴ組がホテルの部屋に来てくれて眠気の限界まで話して解散。

12日 目覚めたらチェックアウトの10分前だった。急いで出る準備をして部屋をでた。

ホテルの近くに、お客さんのイメージのコーヒーカップでお茶を出してくれる喫茶店があるというので行ってみる。朝はサービスでトースト付き。私のカップはビターオレンジのカップとソーサーで、コーヒーを飲み進めるとカップの内側が花柄だった。夫はペールトーンのモンドリアンみたいな柄だった。

しばらくいると聞き覚えのある声がしたような気がした。気のせいかなと話していたが、藪さんの笑い声で間違いないと見に行ったら、店に入ったときは死角になって見えなかったところに復興ダンゴ組を見つけてしまった。相席。砂連尾さんの前には金に黒の幾何学模様で、どことなく常軌を逸した雰囲気のコーヒーカップが置いてあっておかしかった。野村さんと藪さんのカップは穏やかな感じだった。夫がコーヒーをお代わりしたら、さっきとは別のカップが出てきた。今度はカップもソーサーもアラベスク模様みたいな細かい彩色のもので、さっきのとは随分印象が違うが、どういうことなのか聞いてみればよかった。

昼前に別れて金谷ホテルベーカリーというパン屋の喫茶コーナーで昼食。夫 特製カレー大盛り 私 店内のパン3つとスープ付きのランチ。特製カレーパンとずっしりしたドライフルーツとナッツ入りの三角形のパン、夫にあげるソーセージの入った金谷ドックの3種。あんぱんを外したのは、コーヒーカップの喫茶店で食べたのが小倉トーストだったため。

豊橋駅から新幹線ホームに向かう途中で吉本さんとお見送りの晋平さんにも偶然会う。3人で新幹線で京都に帰った。

宇治の実家から猫たちを連れて帰る。母は粕汁と肉じゃが、サラダ、炊き込みご飯を用意してくれていた。久々の家の食事がうれしかった。2匹を猫バッグに入れて車で母に送ってもらう。ずっと鳴いている小麦。

久々の自宅に落ち着かない猫と明日の神戸でのパフォーマンスのことを考えると落ち着かない人間。