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流出雑記 

2010/06/29

2010年06月29日 | Weblog
昭和58年6月29日午前10時48分
[赤ちゃん]体重2756㎏ 身長46㎝

小さめの女の子誕生
めでたしめでたし\(^o^)/


昨日の深夜2時過ぎに母から届いたメール。

母は24で私を産んだ。父も同い年で、はじめての子どもだった。
梅雨どきに産まれ、夏にかけて私は全身あせもだらけになり母いわく、あせものなかに赤ちゃんがいるような状態だったらしい。
しょっちゅう熱を出すわ中耳炎になるわ、母乳もあまり飲まず夜泣きもひどい、とにかく手のかかる子だったという。
あまりに寝ないので夜中3人でよくドライブに出かけたそうだ。夜風にあたっているうちにようやく眠ったところで家に戻り、布団の上に寝かせるとすぐさま泣き出すという聞いているだけでぐったりする話がいくつもある。

小さく生まれた子は大きく育つと誰が言ったか知らないが、それを期待して育てられた。
父も母も背は低いわけではなかったし、バレーボールを学生の頃からやってきたふたりは子どもが長身になり、バレー選手になるのを押しつけはしなかったが夢見ていた。
私も小学校ではバレーボールのクラブに入った。
レシーブは少し得意だったが、サーブやアタックが全然だめだった。
私にその資質がないことがわかり、バレーの夢は妹たちに託されていった。
身長も小学校のときは中学に入ったら一気に背が伸びる、中学の頃は高校生でもまだ伸びる、大学生でも希望はあるといわれ続けたが、一向に目覚ましい発育は見られないまま成人し、妹たちに追い抜かれていった。


母は夜中にわざわざ母子手帖を開いて身長や体重を調べたのだろうか。それとも暗記していたのだろうか。誕生日だと思っていたらいろいろ思い起こしたのだろうか。

2756キログラムということは小梅よりは軽いが小豆より重い、2匹のあいだくらいのものか。そういえば父が初めて私を抱っこしたときニャン(父は猫のことをこう呼ぶ)かと思ったと言っていた。

27歳になる。
今日は朝と夕方仕事で出掛ける時間もなかったので、昨日の夜夫と食事に出かけた。
一乗寺にあるラ・ヴェルヴェーヌというフレンチレストラン。通るたびに入ってみたいと思っていた。

月曜の夜、客は我々だけで店内は貸し切り状態だった。
数種類のメニューのなかから前菜ふたつとメインを選ぶ。
前菜はフォアグラのテリーヌとホワイトアスパラとサザエのソテーを注文する。サザエは本日エスカルゴに変更になりますがよろしいですかと言われる。
夫は同じテリーヌと豚足のガレット。

アスパラとエスカルゴはバジルペーストのグリーンのソースがからまっている。ホワイトアスパラは口に入れるとにんにくの風味と塩気あいだでほんのり甘く、とろんと水分を含んでいる。
こういうのは行儀悪いのだろうが夫にもアスパラを一切れあげて、ガレットをお返しにもらう。

テリーヌには白ワインのジュレがかかっていて、いちじくのコンポートが添えてある。
テリーヌを乗せてお召し上がりくださいと、かりっと焼いたブリオッシュが一切れついてきた。
フォアグラのような濃厚なものにバターの入ったブリオッシュとはしつこくならないのだろうかと思ったが、アルコールの風味がしっかり残っている白ワインのジュレがぺっとりとしそうな口の中をうまくさらってくれる。
メインは牛頬肉の赤ワイン煮込み、夫は子羊のソテー。
デザートのチョコレートケーキにはエスプレッソのアイスが乗っていた。
最後にこの店ではコーヒーでなくハーブティーを注文することを薦めたい。
お店の名前のヴェルヴェーヌとはレモンバーベナのこと。
シャープな葉で、少し触れるだけで驚く程フレッシュなレモンのにおいがする。乾燥させても2年は香りがしっかりと残り、フランスでは一般的なハーブティ。うちの玄関でもよく育っている。

お店の名のお茶をいただき満ち足りて店を出る。


クイズ番組の漢字の読みを答えながらみそ汁をすすり、炒めたキャベツや豚肉を食べるシーン、吉牛にならんで座り空腹に耐えかねて牛丼を掻き込むシーン、朝食に失敗して崩壊した出汁巻きを食べるシーン、夕食のメニューを考えながらふたりでスーパーをぐるぐる歩き、鮮魚売り場で魚を見ていたら寿司が食べたくなって回転寿司に行ってしまうシーン、そんなに使い慣れないナイフとフォークを持ってレストランで対面するシーン

日々が血肉になっている体。それはもちろん食事だけではなく。

生活を大切にしなさい、という大野一雄さんの言葉。生活を大切にするとはどういうことか、その言葉を体に浮かべておこうと思う。