国立新美術館に安藤忠雄展を観に行く。意志の強さなただただ圧倒される。住吉の長屋で新しいタイプの作家として世に出て以来、さしたる組織の支えもなく、ひたすら自身の才能を強靭な意志の力で自力で地位を得てきた。近作の活躍ぶりは観るものを圧倒する。
同級生が「水の教会」の現場に関わったときのエピソードを聞かせてくれた。非常に気配りのある人だったそうだ。名が出てからも常に周囲に気を配っていたことはいろいろな方面からも伝わってくる。周囲を巻き込んでの上昇志向をいつまでも絶やすこと無く、現在も更に突き進んでいく意志の強さに感服するまでだ。
国立新美術館は黒川紀章の大作。10周年記念にまさか安藤忠雄の個展は開かれようとは夢にも思わなかったのではないか。
新国立競技場では様々な波紋を広げたものの、そんなことを超越した高みに登り上がってしまったのだと思う。
国立美術館の敷地は戦前、戦中に旧陸軍歩兵第3連隊の兵営が有った場所。226事件では安藤輝三大尉らが兵を率いて決起したことでも知られている。東大生産技術研究所から建て替えになるときにJIAでも近代建築遺構として保存運動が起きたが有耶無耶になった後味の悪い場所でもある。別館として外壁保存でわずか面影が残ったが今日始めて様子を見た。ちょった虚しい状態。
安藤忠雄は国外で古い建物との共存を果たした仕事をいくつも手がけている。安藤忠雄が設計者であったらこの美術館と旧兵舎を共存するプランを持ち得たかどうか、興味の湧くところではある。