(画像 湯浅 剛氏よりシェア)
JIA日本建築家協会関東甲信越支部住宅部会では「住まい・暮らし・環境ワーキンググループ」なるものを立ち上げた。
迫り来る省エネ基準法制化を前に住宅省エネを建築家目線で把握しようという集まりだ。
正直言って住宅作家の間での関心事はまず空間の面白さであろう。
ところが周囲の環境はそのような曖昧な官能評価など目もくれず、ただ投網をかける如くの基準ありきで動き出している。
大量生産を前提とする住宅メーカーとは異なり、文字とおり一棟入魂、JIAの会員は頑張っていると思う。
昨日のWG会議ではJIA環境行動ラボの寺尾信子さんをお招きし、住宅省エネ新基準や環境データーシートの読み方など専門的見地からお話を伺った。
住宅省エネを以前から積極的に研究され自らの事務所を断熱改修されたデータまで公開していただき詳しい説明をいただけたことは大きな刺激となった。
建築家目線で住宅省エネをみると住宅省エネ新基準はなんとも荒っぽい仕組みのようだ。
すべての法律がそうだが管理する行政側の能力で基準を単純化するきらいがありる。
本当はもっといろいろな選択肢があるのに設計の画一化がますます進み、つまらない環境になることへの危惧がある。
建築基準法は国民の生活、生命を守る部分と、私権を制限する部分がある。
もちろん省エネ基準は私権の制限である。
制限することに実は異議はない。
地球温暖化の原因とされるCO2削減政策が足踏みしている以上、われわれもCO2排出、燃料の浪費は慎まなくてはならない。
今回の基準で大きな特徴は経産省の意向が強く反映されていることだ。
新基準では最新設備機器への誘導があきらかに見受けられる。
エアコンを使わない生活などあり得ないとの決め付け。24時間換気を必要とするような不自然な室内。
いつも疑問に感じている点をあっさり基準化。
2020年を過ぎると断熱材が薄い家は違反建築として摘発されるのかもしれない。
選択肢が狭まることは住宅の創作範囲が狭まることだ。
新基準は性能規定が中心となるから、一度新基準を建築研究所のHPにアクセスして計算してみると良い。
建築研究所の該当ページ
こんなことまでするのという世界が待っている。
住宅の企画から設計、監理まで一貫して活動しているわれわれJIA会員の発言がもっとあって良い。
曖昧な官能評価などにうつつを抜かしていないで環境性能を直視し、
新基準などやすやすとクリアーできるスキルを手にすることが今設計者に求められているといったら言い過ぎだろうか。
それには住宅部会の会員は相互に手を携えて研鑽していかねばならないだろう。