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2006~2022 備忘録

思いついたことを書き残す。

住宅省エネ新基準を料理して食べよう

2013年08月29日 | ひとりごと
(画像 湯浅 剛氏よりシェア)

JIA日本建築家協会関東甲信越支部住宅部会では「住まい・暮らし・環境ワーキンググループ」なるものを立ち上げた。
迫り来る省エネ基準法制化を前に住宅省エネを建築家目線で把握しようという集まりだ。
正直言って住宅作家の間での関心事はまず空間の面白さであろう。
ところが周囲の環境はそのような曖昧な官能評価など目もくれず、ただ投網をかける如くの基準ありきで動き出している。

大量生産を前提とする住宅メーカーとは異なり、文字とおり一棟入魂、JIAの会員は頑張っていると思う。
昨日のWG会議ではJIA環境行動ラボの寺尾信子さんをお招きし、住宅省エネ新基準や環境データーシートの読み方など専門的見地からお話を伺った。
住宅省エネを以前から積極的に研究され自らの事務所を断熱改修されたデータまで公開していただき詳しい説明をいただけたことは大きな刺激となった。

建築家目線で住宅省エネをみると住宅省エネ新基準はなんとも荒っぽい仕組みのようだ。
すべての法律がそうだが管理する行政側の能力で基準を単純化するきらいがありる。
本当はもっといろいろな選択肢があるのに設計の画一化がますます進み、つまらない環境になることへの危惧がある。

建築基準法は国民の生活、生命を守る部分と、私権を制限する部分がある。
もちろん省エネ基準は私権の制限である。
制限することに実は異議はない。
地球温暖化の原因とされるCO2削減政策が足踏みしている以上、われわれもCO2排出、燃料の浪費は慎まなくてはならない。

今回の基準で大きな特徴は経産省の意向が強く反映されていることだ。
新基準では最新設備機器への誘導があきらかに見受けられる。

エアコンを使わない生活などあり得ないとの決め付け。24時間換気を必要とするような不自然な室内。
いつも疑問に感じている点をあっさり基準化。
2020年を過ぎると断熱材が薄い家は違反建築として摘発されるのかもしれない。

選択肢が狭まることは住宅の創作範囲が狭まることだ。
新基準は性能規定が中心となるから、一度新基準を建築研究所のHPにアクセスして計算してみると良い。

建築研究所の該当ページ

こんなことまでするのという世界が待っている。

住宅の企画から設計、監理まで一貫して活動しているわれわれJIA会員の発言がもっとあって良い。
曖昧な官能評価などにうつつを抜かしていないで環境性能を直視し、
新基準などやすやすとクリアーできるスキルを手にすることが今設計者に求められているといったら言い過ぎだろうか。
それには住宅部会の会員は相互に手を携えて研鑽していかねばならないだろう。



カトレア美容室(高崎市倉賀野町)オープン間近

2013年08月20日 | ひとりごと

今日はカトレア美容室(高崎市倉賀野町6001 TEL:027-346-6150 )の引き渡し。
といってもお日柄のために設定した日なので現場はまだ最後の調整中。
美容室のスタッフと残工事の調整が同時と慌ただしい限りだが開店前の緊張感はそれはそれで素敵だ。

8月23日 プレオープン
8月24日 開店となる。

直ぐ近くからの移転とはいえ全く雰囲気の違う店である。
基本的なシステムには変わりはないが新しい器に新しいドラマが生まれていくことだろう。
オーナー、店長はじめスタッフの皆様のご活躍をいのる。

PC交替

2013年08月19日 | ひとりごと
事務所のPCのOSがXPだったので明日OSの更新のためPCを新規に購入し引っ越しとなった。
MS社もかってなものだが通信インフラを一私企業に頼り切ることの危うさを感じる。
Linuxがもっと手軽に扱えれば選択肢があるのだが。

そんな訳で今夜はデータの引っ越し。
特に画像にはほとほと手を焼く。
重複して保存してあるデータの整理だけでも大変だ。
もっともつい画像にみいって手が止まるのは蔵書の整理と同じ。
まあ気長にやろう。

FM群馬「EVENIN'の扉」の「社長のお宝ベスト3!」

2013年08月14日 | ひとりごと
今日はFM群馬「EVENIN'の扉」8月14日午後6時30分ころ放送の「社長のお宝ベスト3!」が放送された。
お宝3点を話すという内容。以下の3点を挙げた。ラジオから聞こえる自分の声ってやはり不思議。へん。

3位 サイクリング用自転車
LOOK566というロードバイク


一昨年、還暦記念に購入。5000km走行
健康維持のために始めた自転車ももう5年たった。
運動から全く離れていたので最初はきつかったがあっという間に8kgの減量に気を良くして現在まで続いている。
四季の移ろいや風や光や熱との一体感は人工環境である建築の世界で忘れがちなこと。建築に関する考え方にも影響を与えた。
やめたら不健康に逆戻りしそうでやめられない。生涯一緒に在りたいと思う。


2位 ブログ「備忘録」

2006年5月から始めた。
その時々に感じたこと、考えたこと、自分で反省すること。少し人に伝えたいこと、
様々なメモを画像とともに書き散らかした。
たまには読み返す。
忘れていけないことも時には思い出す。これから先の道のりも過去の道のりの延長線上にあるので時には振り返るのもよいものだ。


1位 ファーバーカステル TK9400 芯ホルダー

直径3.15mmの鉛筆の芯を内蔵する、変なシャープペンシルである。
当然細かい作業には不向き。その代わりコンクリートにも合板にもなんでも書ける。設計初期のスケっチの道具としては大変具合が良い。
コンピュータを利用して建築の設計をするようになって20年経った。建築人生の約半分に当たる。
手を動かさなくなると頭が退化する。
コピペでなんでもすまそうとする現代。
かつて胸をときめかせた自動車でさえCAD/CAMになってなんと味気ないこと。

我々米田設計はあえて既成品の組み合わせでなく、0から少しでも作ろうと設計に時間を費やしている。
コストと時間との戦いが続く。
それでもよいではないか。
生きた証を残したい。


備忘録2013

2013年08月12日 | ひとりごと
今日はFM群馬「EVENIN'の扉」8月14日午後6時30分ころ放送の「社長のお宝ベスト3!」の収録に若宮町のFM群馬を訪ねる。
古い友人からの紹介で初めての放送局体験。
アナウンサーの岡部さんと事前打ち合わせをして早速スタジオ入り。録音ブースの重い扉のグレモン錠を閉めると反射音の少ないスタジオ独特の雰囲気。
調整室とヘッドフォンとマイクを介して録音を始める。

録音の内容は「社長のお宝ベスト3!」として自分が大切にしているものを3つ上げるという内容。
改めて自分にとって大切なモノってなんだろうと考える。
結構モノにこだわりがないことに気がつく。形あるものより何か別に大切な宝があるような気がする。その箱を開けずに大事にしまったままにするのか。

事前によく考えたつもりでも咄嗟に喋れず、もどかしさが残る。
あっという間に10分程度の録音が終わり、やれやれと来場記念の画像も撮っていただきFM群馬をあとにした。




帰路、広瀬川沿いの道を走っていたら、比刀祢橋脇の真新しい千羽鶴が目に入った。
それは1945年8月5日の前橋空襲の犠牲者を追悼するものだった。
中学校の時、なぜか美術の先生から聞かされた広瀬川河畔の防空壕の痛ましい出来事が頭から離れない。

自分が生まれる7年前のことである。
8月になると特にきにかかっていたが今日はすでに12日。
所詮自分の関心はこの程度かと不甲斐なく思う。

新しい千羽鶴は亡くなった市民のご遺族のものかもしれない。
しかし世代が変わり記憶が遠のくことでその犠牲も無意味になっていくのか。
長崎で被曝した校舎の保存が決まったそうだ。
形がなくなると、記憶も途絶える。
モノの重みを感じるところだ。

久保医院、工事終了。3.11と建築設計

2013年08月11日 | ひとりごと
久保医院(本庄市栗崎)の主体工事が終わり昨日施工会社から引き渡された。
この医院の特徴は3.11の影響を強く受けていることだ。
3.11は自然とのあり方についての見直し、そして人と人とのつながりの見直しを促した。

限り有る資源を大事にすること。
原発事故は湯水のように使ってきた電気というものが極めて高価であること。また不安定なエネルギーであることを思い知らせた。
安易に原発再開を叫ぶ経済界の近視眼的な視野には呆れるばかりである。
一向に解決の目処が立たないどころではなく崩壊が進む福島第一原発につぎ込まれる負担をどのようにコスト計上しているのであろうか。

計画停電というかつてない事態を我々は経験した。
顕在化しないが弱者である罹患者に停電による負担により犠牲者も出たものと考えられる。
久保先生はこれらを踏まえ、診療活動の安定的継続のための電力バックアップを目的に太陽光発電システムの導入を決定された。
太陽光発電は売電による利益のことばかり話題になりこのような視点で導入される方は少ない。

太陽光発電は蓄電設備都の組み合わせで電力の備蓄が可能になるがまだまだ開発途上の技術である。
今回は接続は見送られたがスマートシティー構想の一翼になり得る発電量は今後の発展性を秘めている。

ゼロ・エミッションのためには太陽光発電設備を設けるだけではなく電気を使わない工夫も欠かせない。
省エネルギーのためにはまず医院として欠かせない冷暖房負荷の低減を避けては通れない。

事業系の建物ではまだまだ初期投資を抑えるため断熱性能等は低いレベルにとどまっている。
木造であることあり住宅の「次世代省エネ」レベルの性能をもたせることで冷暖房エネルギー削減を図った。
また壁面緑化など古来から行われてきた省エネの仕組みも取り入れられている。

華美な建築が一方ではもてはやされているなか、この建物のように質実剛健な素直な建築が
3.11以降の新しい環境作りに積極的な建築主に受け入れられたことは幸福なことであった。

震災は同時に人と人との関係性の見直しを迫った。
今回のプロジェクトには各方面多数の方々が関与した。
その多くは久保先生方の直接面識のある方々によるところが多い。
計画の初期には情報化社会をふまえ、より多くの範囲との連携も検討されたが顔の見える関係での絆の深さを改めて感じている。

このようにこれからの社会、地域、環境、といった命題に正面から向かい合ってこの医院は建設された。
建築設計の分野においてもあらためて3.11以降の社会との向き合い方が問われている。