2つの建築の展覧会を見に東京へ。
「宮脇檀 手が考える」建築家会館
1991年5月22日に建築会館で行われた「吉村順三を囲んで」という座談会で進行を務められていたのを拝聴した。次々と手振りを交え賑やかな進行ぶりと端的に回答する吉村順三が印象的だった。その後体調を崩され、1998年に亡くなってしまう。
今回はその病床でのスタッフへの手書きの指示書が展示されていたがあの早口の喋り型を彷彿させるものだった。
「手が考える」とあるようにさまざまな図面やスケッチのトレーシングペーパーはCADには表現しきれない何かを感じ取れた。
「日本の家」東京国立近代美術館
戦後の建築家の設計した住宅の展示という珍しい企画。なつかしい住宅の資料もある。
日本の住宅に建築家が関わることは極めて少ない。大規模な住宅産業が大きなシェアを握る。その意味で海外に日本の家を問うならばこれら住宅産業の作り出す商品住宅も合わせて展示したら本当の日本の状況が伝えられたのでは。
一部の教育機関や建築ジャーナリズムの限られた世界だけでは片手落ちと言えよう。
東京国立近代美術館工芸館
間もなく8月15日、敗戦記念日。その1945年8月15日の「宮城事件」の舞台となった建築である。
当時は近衛師団司令部。映画「日本の一番長い日」では森師団長がポツダム宣言受諾に反対する陸軍将校に斬殺される重要な一場面である。文民統制が揺れている折、ふと映画を思い出すのだ。