受信履歴に旧知の山猫さんの番号が残っているのを見て胸騒ぎを覚えた。
電話をかけると「山猫さんから「きさく」の健さんが体調を崩し、やむなく店を閉じることになったと」告げられる。
最近古い友人からの連絡はろくなことがない。
「きさく」は八間道路から馬場川にそって脇道に入り二本目の角を曲がったところにあり、隣の寺の墓地に面した静かな界隈にある。一年通しての焼き鳥と冬季のおでんが店の看板献立であった。
自分が通いだしたのはよく覚えていないくらい前でおそらく26年くらい前ではなかったろうか。
初めて行ったときに偶然、山猫さんやOさんに遇い、奇遇に驚いたものだった。美容師のSさん、流山に移ったKさん、中学校の後輩のTさん、近所のIさん等々毎晩のように飲み交わした。となりのスナック「さかえ」にもそのままなだれ込んだものだ。
健さんもまだ40代、お客もみんな若かった。ここで多くの友人を作ることが出来たし、その縁で住宅をいくつか設計させていただく縁も出来た。現場で骨折した際は松葉杖を突いて通ったりしたこともあった。頂き物のぐい飲みを預かっていただきずっと24年も使い続けてきた。
良くいただいたのは「焼き鳥」「おでん」「ふきのとうのシュウマイ」等など、もう食べられないかと思うともっと行けばよかったと後悔が残る。
ここのところ店を閉める時間が早く、こちらはこちらで事務所を締める時間が遅いので足が遠のいてしまったがまたよってみたいと思っていた矢先だ。
仕事の仕舞い方は非常に難しい。
日々、時間を大切にしなくてはとの思いを強くした。