2022 備忘録

思いついたことを書き残す。

秋のみのり

2007年10月01日 | ひとりごと

事務所の新年度始まる。
前年度は7つの作品を仕上げる。現在も工事が進んでいるもの、設計が進んでいるもの、引き続きの仕事が続く。
私は設計監理した建築を「作品」と呼ぶことにしている。
マンション業者、住宅メーカー、不動産業者は「物件」と呼ぶらしい。
天邪鬼な性格だから彼らとは同じ土俵で相撲を取りたくないのだ。

設計料を頂戴して生業にしている以上キレイ事も言っていられないのだが少なくとも自分の職能はこの国の、瑞穂の国とともにずっとともに歩んできた住宅の歴史とともにあり、未来への責任もおっているはずだ。

家は建てるものだと思っている。一方買うものだと思っている人も要るのは事実ではある。
商品としてみてしまったら今の自分のやり方は明らかに違っている。
誤解を恐れずに書けば限界意識がずれている。

建築主とともに夢の実現に向かおうと思えばどんどん内容が高価になっていく。
その結果を施工者に迷惑を掛け極力建築主の希望を実現しようとしている。
素人にはわからない部分など法規制の範囲で省略しても企業倫理には問題ないはずだが技術的の自分の正しいと信じる方向をめざせば、法規制の網の目をくぐることなど興味は無い。予算の折り合いのため変更せざるを得ないこともたびたびある。
しかし施主を説得しても隠れてしまう部分に費用を割いてしまう。
そのため仕上がってみると妙にさっぱり(質素)になってしまうこともある。

その点、「物件」派の人たちは見事である。
使用した材料がすぐ陳腐化するものであっても何の衒いも無く使う。
今,TVで建築家を持ち上げてデザイナー住宅なる珍語がまかり通る。
彼らはへんてこな洋風住宅を作ったかと思えば庇の無い「住宅特集」風の商品を開発する。
そんなのに振り回されるのは真っ平ごめんということだ。