かなりギョっとしましたよ?(笑)
「やさしい人」72点★★★★
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フランス、ブルゴーニュ地方の町。
30代の独身男マクシム(ヴァンサン・マケーニュ)は
実家のあるこの町に帰り、父親と暮らし始めた。
パリでは少し名の知れたミュージシャンだったマクシムだが
いまや先行きは不透明。
そんなある日、マクシムは
若く魅力的な女性メロディ(ソレーヌ・リゴ)に出会い――?!
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「女っ気なし」ギヨーム・ブラックの長編第一作目。
前作(&その前の短編「遭難者」も)に続いて
ヴァンサン・マケーニュを主人公にしています。
この方、36歳にして頭髪寂しげで
それが哀愁と味わいになってるんだよねー。
とまあ、前作好きだったので、期待大。
本作も冒頭から日常の一コマや男女の機微を
心地よい軽さとドキリとする観察眼、ユーモアで描いている。
んで
フンフン~♪と中盤までクスクス笑いながら、見ていたんです。
が、これがですね・・・
いきなり「ギョッ」とする展開になってびっくり。
短編からその先に行くと、
やっぱりこういう話になっちゃうの・・・?と。
「女っ気あり」になると、悲劇も起こるわあ・・・という(苦笑)。
と、
まあちゃんと持ち直しはしますが
かなり予想を裏切ってくれる作品ではありました。
しかし主人公、今回はまずまずのモテ役なはずで、
若い彼女ともうまくいくのに
どうしても最初から“必死さ”が哀愁で。
結果、空気読めず、
彼女を追いかけ回し、残念なことになっていく。
ただね
最初から「悲恋の予感」はバリバリなんですが
おもしろかったのは
どう見たって上位にいるだろう若くて魅力的な彼女が
「あなたは、どうせ、私を捨てるんでしょ?」と言うところ。
しかもかなり本気で言ってるっぽい。
えええ?どう考えたらそうなるん?
マジでそんな自信ないの?と。
男も女も“自分”を掴みにくい世の中。
相手に自分を投影することで、自分を見ようとしても
その相手が不安定なんで
映る像はより不安定になってしまう・・・という
ことなんでしょうか。
★10/25(土)から渋谷ユーロスペースほか全国順次公開。
「やさしい人」公式サイト