うーむ、早熟の天才、
ちょっと立ち止まって、息を整えたほうがいいんじゃないかい。
「トム・アット・ザ・ファーム」57点★★★
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カナダ、モントリオールの
広告会社で働くトム(グザヴィエ・ドラン)。
彼は同僚で恋人だったギョームの葬儀に参列すべく
彼の実家である農場に行く。
そこにはギョームの母親(リズ・ロワ)と
威圧的な兄フランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)がいた。
ギョームは母親に自分がゲイであることを知らせておらず、
トムはフランシスに命令され、嘘を突き通すことになる。
次第にフランシスは
トムを暴力で懐柔するようになり――?
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「マイ・マザー」「胸騒ぎの恋人」「わたしはロランス」と立て続けに世間を驚かせ、
25歳にしてカンヌ国際映画祭の常連である
グザヴィエ・ドラン監督&主演の4作目の新作。
初の原作(戯曲)ありな作品で、
サスペンやホラー、田舎の閉塞感を盛り込み
暴力に抗いつつも、それに囚われてしまう人間の
心理の不可思議が描かれます。
才能ほとばしる監督であることは疑いもないのですが
うーむ・・・
だんだん物語が置いてきぼりになっている。
天性のセンスで
語りたいことは、確かにほとばしっているんだけど
今回は
「とりあえず、いくでしょ?」的な波とスピードに乗り、
結果として
いわゆる“技巧に走ってしまった”感じ。
中身が伴わないまま、
カット割や音楽で怖がらせテクに走ったりとかねー。
まあ
本人はとっても楽しそうですけどね(笑)。
アメリカ文化への屈折もあるようなんですが
いまいち探りにくく
どうみても
軸となるストーリーの幹が細い。
撮影期間も17日間だったそうですし。
焦らず慌てず、もう少し練って撮るといいのにな。
・・・と言いつつ、
すでに6作目を製作中だそうで。
はい、楽しみにしています(笑)
★10/25(土)から新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほか全国順次公開。
「トム・アット・ザ・ファーム」公式サイト