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ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

偽りなき者

2013-03-10 13:49:57 | あ行

この映画のマッツ・ミケルセンも
生涯忘れられない気がします。

「偽りなき者」77点★★★★

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デンマークの小さな町で
幼稚園教師をするルーカス(マッツ・ミケルセン)。

優しい先生である彼は、園児たちにも人気者だ。

そんななか、園児のクララはルーカスに
淡い恋心を抱く。

だが、ルーカスにやんわりと
その思いを拒絶されたクララは

校長にある“嘘”をつく。

それが大変な事態を巻き起こしていき――?!

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デンマーク映画を牽引する
「光のほうへ」トマス・ヴィンターベア監督の新作。

いやあ、
相変わらず落ち着いた描写で、
しかしはらわたを
たっぷり煮えくり返りさせてくれますなあこの監督は!

ませガキがついたウソが原因で
「変質者」にされてしまう男の話で

愛犬と二人きりで暮らす彼に
想像できる限りの「いや~なこと」が全部起こっていく憤りと

それを描く淡々とした筆致のコントラストに
むかっ腹が収まらない。

騒動を起こす園児クララが
心底憎たらしく思えるし

また
「なぜもっとはっきりと『違う!』と叫ばないのだミケルセンよ!」と
万事にイライラさせられどおし。

子ども嫌いで動物好きには
我慢ならないかもしれないですね(苦笑)

それでもしかし、残るものは大きいんです。

子どもを「無垢」「宝」と信じて
何でも許しかねない社会の危うさに
一石投じてもいるし

また
ミケルセン演じる教師も
けっこうキレやすかったり完全なる善人ではない。

そうした人物造型が
監督の技とあいまって、最高潮です。

その収束がまた
淡々として見事なんだよね。

観て「爽快!」って映画では決してないけど
でも、かなりおすすめです。


★3/16(土)から全国で公開。

「偽りなき者」公式サイト
コメント (2)
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