ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

愛、アムール

2013-03-02 19:29:58 | あ行

アカデミー賞外国語映画賞受賞、おめでとうございます。


「愛、アムール」74点★★★★


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パリのアパルトマンに暮らす老夫婦
夫ジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)
妻アンヌ(エマニュエル・リヴァ)。

元音楽家の二人は仲むつまじく、
満ち足りた人生を送っている。

だが、ある朝
アンヌに異変が起きる。

突然、人形のように表情をなくし、
返事をしなくなったのだ。

いったい彼女に何が起こったのか――?

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「白いリボン」ミヒャエル・ハネケ監督の新作は
老老介護のシビアな現実を描いたもの。

静かで、不穏で、哀しいけれど
“愛”の灯りがあるのが見事で、

印象の強烈さは
「白いリボン」ほどではないけれど、
惹き付ける作品であることは間違いなしです。


2作品連続、カンヌ国際映画祭<最高賞>受賞でもあるしね。


真っ黒な扉からのファーストシーン。
そして、劇場で舞台を見つめる群衆の長回し。

視覚の法則を熟知しているような、
ある意味トリッキーな絵づくりがすばらしい。

そして
老人特有の緩慢な動作や
病人をベッドに寝かせるまでの一部始終など

長回しを多用して
忍耐強く、観るものを痛め付けるような感じがある。

しかし、そうされることで
主人公の老夫婦が
自分自身か、あるいは身内か、というほど脳裏に焼き付くんですね。


夫ジョルジュが迷い込んできた鳩を捕まえるシーンが
実に切ない。

死に囲まれた家のなかで
「生」の温もりに触れたかったのだろう、と
胸がつぶれそうになりました。

主演女優賞にノミネートされた
エマニュエル・リヴァの演技も、もちろん素晴らしいけれど

ワシはジャン=ルイ・トランティニャンのこの作品での姿を
一生忘れることはないと思います。


★3/9(土)から全国で公開。

「愛、アムール」公式サイト
コメント (2)
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