ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

野蛮なやつら/SAVAGES

2013-03-03 23:03:56 | や行

さすがオリバー・ストーン監督、
ただの“野蛮な映画”ではないね。


「野蛮なやつら/SAVAGES」69点★★★☆

********************

セレブとサーファーが集う
カリフォルニアのビーチ。

植物学者のベン(アーロン・テイラー・ジョンソン)と
アフガニスタン帰りの元備兵チョン(テイラー・キッチュ)は

二人で新しい大麻を開発し、
ベンチャー事業を立ち上げる。

事業は大成功し、
ものすごい収益をあげるが

しかし、昔ながらのメキシコの巨大麻薬組織に
目を付けられて――?!

********************


見る前は激しそうなバイオレンス描写に
やや尻込みした。

でもそれだけでない、おもしろさはちゃんとありました。


冒頭のグロテスクな首切り処刑映像
(そんなにズバリ描写じゃないけどね)に、
悪役ベニチオ・デル・トロの容赦なさ(しっかし太ったなア!苦笑)

相次ぐ痛そうな描写で
「いつ最悪の事体が起こるかわからない」という
舞台設定はばっちり整える。

しかし、主要舞台は
あくまでも明るいLAの青空と海の街。

そこで植物学者とイラク帰りの元備兵という幼なじみコンビが、
大麻開発で大儲けし、

しかし旧態依然とした
麻薬組織に目をつけられる、つう話。


主人公のコンビは
まさにアップルか、フェイスブックか、という感じの
ガレージ発のベンチャー企業で

ここに
「現代的な若者たちによる金の稼ぎかた」と
「古い麻薬組織」の戦いという
おもしろい構図が立ち現れる。

んで、フツーは
頭脳系の若者たちに
まったく勝ち目なさそう・・・と、思うじゃないすか?

いやしかし
そこに「アフガン帰り」という
若者側のフィジカル要素が加わることで

真に「いまふう」のダークサイド・バトルに
なっているんですねえ。


エンディングの構成は
小説のエンディングとは違うそうで、

「ん?」と一瞬眉間にしわが寄りかかったけど、
まあ許容範囲・・・かな。

「キック・アス」のアーロン・テイラー・ジョンソン、
いかにも肉体派のテイラー・キッチュの若者コンビ、

そこに
ジョン・トラボルタにデル・トロの
ベテラン強面が対峙するという
キャスティングも洒落てました。


★3/8(金)からTOHOシネマズみゆき座ほか全国で公開。

「野蛮なやつら/SAVAGES」公式サイト
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする