英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

王座戦 第3局   ………今さらですが

2014-01-26 17:22:05 | 将棋
 gooブログの編集の編集エリアにアップロードした画像をチェックしていたら、季節外れになってしまい記事にできずに放置状態の画像がちらほら。将棋の図面はアップロードした際に記事にしてしまうので、放置状態になることはほとんどありません。
 しかし、今回、記事にしていない画像を発見。見ると、対局者は中村(太)六段-羽生三冠、どうやら王座戦第3局(昨年10月)らしい。
 その後に、アップロードしてある画像が第1局の図面で、時系列的には逆である。記憶をたどると、第3局を書こうとした時、『将棋世界』11月号の第1局観戦記「刻みつけた成長の証」(記・大川慎太郎氏)を読んで触発されて、「異空間の将棋 ~ずれる感覚~ (王座戦第1局 その2)」(10月19日)を書いたようだ。で、そのまま放置……

 この第3局は角換わり腰掛け銀で、△1二香と穴熊を見せた瞬間に▲2五桂と仕掛けた野に対し、銀を逃げずに△3七角と打ちこんだ将棋。

 羽生三冠は「銀を打たれてすでに苦しい。そもそも△3七角と打った手がどうだったか」という感想を述べている。△3七角以下、▲3三桂成△同金直▲3八飛△2六角成▲4七金△2七馬▲4八飛△3五歩▲4五歩△3六歩▲4六角△4五歩▲6四角△9二飛▲8二銀△6三歩▲1九角△6四桂▲8一銀成(第1図)と進む。
 途中の中村六段の▲4五歩が新手で、羽生三冠が「銀を打たれてすでに苦しい」と述べたのは第2図の数手前の▲8二銀で、桂香を取りにいく構想が秀逸だったらしい。


 実戦は△7五歩▲6七銀△7六歩▲6八銀△2六馬▲2八飛△4四馬▲3六金と進み、ここで△5五銀が成立せず(△5五銀には▲4八飛△6六銀は▲4五金で先手よし)、△3五歩▲2五金と後手の玉頭を攻められ、押し切られてしまった。
 この将棋は「中村六段の完勝」という評価がなされているが、当時、悔しいので第1図あたりを突っついた記憶がある。


 変化図は、第1図より△5六桂と変化し、▲同歩と応じた局面。
 後手としては、先手の角道を止めながら飛車当たりにもなる△3七歩成を実現させたい。
手段A・△4六銀

 この手は、先手の角道を遮断しつつ、次に△3七歩成を見た手で、先手は▲4六同金と応じる。これに、平凡に△4六同歩だと▲同角で捌かれてしまう(以下△3七歩成▲9一角成△同飛▲4二飛成が一例)。
 ▲4六同金には△3七歩成(参考図1)が狙いの手。

 図で、飛車が逃げれば、そこで△4六歩と金を取れば右辺を後手が制圧できる。
 しかし、図から▲9一成香△同飛▲3五金(参考図2)が気持ちの良い順。

 △4八とと飛車を取れば、▲9一角成と飛車を取り返されてしまう。手順に取れる金を3五に進まれては後手勝てない。▲9一成銀に飛車を逃げる手もあるが、これにも▲3五金とかわされ、玉頭攻めを見られると、△4八とと飛車を取る余裕はない。

手段B・△3七銀

 この手は、歩を成る地点に駒を打つのであまり筋の良い手ではない。こういう重い手に対して▲3七同金と応じるのは、△3七同歩成と後手の重い形を解消させてしまう。手段Aと同じ狙い(▲9一成銀△同飛の形にさせて後手が飛車を取れば▲9一角成と飛車を取り返す)はあるが、手段Aと違い、金を3五に進出されず、金を手持ちにして手順に△3七歩成を実現されてしまう。
 なので、銀打ちを相手にせず▲6八飛と逃げるが、△4六歩▲5七金△4五銀(参考図3)でどうか。

 後手の狙いは△5四歩~△5五歩~△5六歩。先手からは▲6五歩からの飛車の捌きや▲2五桂と絡む筋もあり、形勢は微妙。
後手も一旦、△3二金寄って、自陣を引き締めつつ飛車の展開も含みにした方が良いのかもしれない。

 話は戻って、△3七銀(変化図B)より▲6八飛に△4六歩の時▲同金△同銀成▲同角と捌かれる手があるので、△4六歩を急がず△3二金寄としておく方が良いのかもしれない。


 私は、玉頭が厚いのが好きだが、その厚みを活かして相手の攻めを抑え込んだり上部に脱出する指し方は、どこかで綻びが生じてしまうことが多い。こう書くと「有利な後手が指し損なう」というイメージだが、「もともと先手が有望で後手の指し方が無理で、厚みが好きな私が厚みを築かれている側の手が見えない」だけなことが多い。
 とにかく、変化図で

私が後手なら100%△3七銀と打つし、先手なら△3七銀と打たれる手を真剣に心配するだろう。

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4 コメント

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まさかの王座戦 (tomov)
2014-01-27 15:38:17
こんにちわ。
王将戦がくるかと思っていたので、びっくりしたtomovです。

やや内容がずれるかもしれませんが、将棋つながりということでご了承ください。

あと2カ月くらいしたら、このサイト恒例の「年度別棋士活躍度」の記事があられると思うのですが、これが実質的に年度最優秀棋士に当たるものと思っています。

今年はタイトルホルダーが3人しかおらず、棋王戦で三浦九段が取ったとしても、さすがに最優秀はないでしょうから

森内竜王、名人
羽生3冠
渡辺王将、棋王

のいずれかと思ってます。
さらに言えば、タイトル数とタイトルの大きさからして森内竜王、名人か羽生3冠かというところでしょう。
羽生3冠が王将戦に勝てば、さすがにそのまま最優秀棋士でしょうが、2連敗の現状は厳しいと羽生ファンながら半分以上諦めてます(「アキラ」だけに、、、ごめんなさい)。

ややこしくなりそうなのは、森内竜王、名人が、残る朝日杯とNHK杯を獲った時でしょうか。
特に、NHK杯は二人ともすでに破れているので、朝日杯が俄然クローズアップされるのかと。

個人的には、
羽生3冠が王将戦で敗れ→朝日杯で森内竜王、名人が優勝し→NHK杯で森内竜王・名人が優勝した場合のみ、最優秀棋士が森内竜王、名人になるのかと思ってます。

英さんほど細かい検証がありませんが、ざっくり考えた時に2月初めの朝日杯は面白いなあと思ったのでした。
返信する
内緒のキーポイント ()
2014-01-27 22:22:57
tomovさん、こんばんは。

>王将戦がくるかと思っていたので、びっくりしたtomovです。

 羽生さんの記事に関しては、敗局を取り上げることが多く、連敗の羽生さんにエールを送る意味も込めて王将戦を取り上げようと思ったのですが、第2局は少し書きにくい内容でした。
 いずれ第1局、2局ともに書くつもりではいますが、書きたい記事が山積していて、手が回らないかもしれません。(「なら、なぜ王座戦を?」という声が聞こえてきそうです)

>あと2カ月くらいしたら、このサイト恒例の「年度別棋士活躍度」の記事があられると思うのですが、これが実質的に年度最優秀棋士に当たるものと思っています。

 ああ、もうそんな時期ですね。気がつけば、今年度もあと2カ月ですね。
 「これが実質的に年度最優秀棋士に当たる」…おお、なんて嬉しいお言葉。2か月後の意欲が高まります。

 tomovさんの分析は的確ですね。確かに朝日杯がキーポイントで、活躍度ランキングにおいては天王山の戦いとなりそうで、楽しみです。羽生三冠が優勝して欲しいのはもちろんですが、準決勝はぜひとも勝って決勝戦に進出していただきたいです。

 私も、ランキング一位の行方(ゆくえです、「なめかた」ではありません。もちろん、「舐め方」でもありません)が気になりますが、この段階できちんと算出して、「○○がタイトルを取った場合は○○氏が1位」とか分析してしまうのは、野暮でつまらないですよね。
 なんとなくのおおよその予想はもちろん楽しいのであれこれワクワクしてくださいね。
 先ほども申しましたが、tomovさんの分析にはほぼ同感ですが、実はもう一つキーポイントがあるのですが、それが何かは内緒です。
返信する
何とっ! (tomov)
2014-01-28 09:10:01
>実はもう一つキーポイントがあるのですが、それが何かは内緒です。

これは楽しみです!
私の単純な予想だけでなく、英さんの踏み込んだ分析は読んでいて面白いです!!

>「なめかた」

や、、、、やりやがったな!!
返信する
私のランキングとは離れて、印象では ()
2014-01-28 12:03:33
tomovさん、こんにちは。

 キーポイントというほどのものではないのですが……2か月後ということで。
 ランキング1位の「行方」はともかく(笑)、個人的には今年度の最優秀は森内竜王・名人でいいと思います。タイトルの重みも重要ポイントですが、とにかく、羽生・渡辺相手にスコアも内容も圧倒しましたから、これを覆すには他の5冠を制覇、プラスNHK杯、朝日杯も優勝して何とか…ぐらいだと思っています。
 王将戦は苦しいですが、フルセットまで持ち込んで欲しいです。次局が勝負ですね。

 
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