英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

札幌か?東京か? 2020東京五輪・マラソン

2019-10-31 22:54:51 | スポーツ
いきなりの東京五輪・マラソンの開催地の変更だった。
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10月16日、IOC「札幌での開催を検討する」と発表、
10月17日、IOC・バッハ会長「(日本の)組織委員会との協議の結果、マラソンと競歩の会場を札幌に変更することに決めた」と述べた。
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理由は「選手たちの健康を守るためだ」(バッハ会長)
また「日本側(組織委員会)の同意を得ている」(バッハ会長・16日の談だったと思うが、いまひとつ曖昧で17日だったかも)
 この時点で、記事で書こうと思ったが、ズルズルと今日に至ってしまった(←いつものこと)が、今、この記事を書いているのだがこの時(17日ごろ)思ったこととほとんど変わっていないことを強調しておきたい。
 と言うのは、バッハ会長の主張の「選手の健康が第一」という論理は反論し難い正論だという風潮だったが、最近になって「コースを札幌に変更するのが正しいのか?」という疑問の声も上がってきており、それに乗っかって書いていると思われたくないからだ(←人間が小さいなあ)


1.コースを札幌に変更すべきか?
 札幌と言えどやはり暑く、フルマラソンのコンディションとしては厳しいことには変わりがないが、札幌は東京より気温が低く、マラソンのコンディションとしては札幌の方が良いというのは間違いない。
 1987年より8月下旬に北海道マラソンが開催されているという事実も「札幌に変更」論を後押しししている。東京都の準備する暑さ対策では効果が期待できないと考えざるを得ないここ最近の猛暑だったし。、
 「アスリートファースト」(小池知事もよく使用したように思う)の考えで、札幌にコース変更は妥当だという意見が多かった。

 しかし、運営側も選手側も東京の猛暑に対して、「過酷なコンディションを克服する」と決意・対策を練っていたのである。
 では、なぜ、開催まで1年を切ったこの時期に急遽変更したのか?
 ……ドーハの陸上世界選手権の女子マラソンでで、棄権者が続出したことがコース変更の動機と言う。

 出場した68人のうち完走したのは40人で、強豪のエチオピア勢の全員が棄権するなど4割を超える28人が途中棄権。優勝タイムの2時間32分43秒は、世界選手権史上最も遅いタイム。
 11位で完走した中野円花選手は「これまででいちばん過酷なレース」と。日本代表の武冨豊コーチは「こういうレースは二度と走らせたくない」と話していた。
 実際のコンディションは、男子マラソンが行われた頃は割と涼しかったが(川内優輝選手は逆に誤算だったと)、女子マラソンが実施された頃は、夜になっても気温が30度を超え、湿度も70%以上という暑さだった。


 この「気温30度、湿度70%以上」は、真夏の東京で早朝5時にスタートしたとしても、大いにあり得る気象条件である。ドーハのマラソンを見たバッハ会長が「東京でマラソンを実施するのは危険」と思ったのも無理はない。

 しかし、私は
「ドーハの状況⇒東京から札幌に変更」と即断するのには大いに疑問を感じている。

1.ドーハ世界選手権マラソンの考察
 陸上の世界選手権は大きな大会で、五輪に次いで重要と位置づけされる大会である。しかし、“世界選手権のマラソン”はどうかと言うと、そうとは言い切れない……と言うより、他の陸上種目に比べてレベルは低い。
 もちろん、トップレベルの選手が出場しない訳だはないが、夏の過酷なマラソンはダメージが大きいと敬遠する選書も多い。また、出場する選手も重要視せずに調整不足だったり、暑さ対策を怠る選手も多いようだ。
 そんなわけで、世界選手権におけるマラソンはややレベルが低いと言える。(余談にはなるが、世界選手権と言う冠の割にはやや低いレベルのマラソンにも関わらず、『8位以内に入賞した日本人選手の最上位を翌年の五輪の代表に内定する」という大甘な選考基準を設けたせいで、代表選考が迷走したこともあった)
 つまり、ドーハのマラソンもそういう状況で、実力の低い選手や調整不足や暑さ対策を怠った選手が多かった可能性がある
 もうひとつ考慮しなければならないのが、「真夜中(午前0時)開始のレースは体調の狂いを引き起こしたのでは?」とういこと。
 予め、睡眠や食事などの生活パターンを変えて準備するという対策は出来るが、それでも、人間の体内時計とのズレもあり、もしかしたら暑さに対処することより難しい可能性もある。暑さよりも軽視して準備を怠った選手もいるかもしれない。
 とにかく、暑さに加えてレース時間の異常さが棄権者続出を引き起こしたのではないだろうか?


2.コース変更、選手にとってはどうなのか?
 それは札幌の夏の方が東京の夏よりもマラソンのコンディションはいいに決まっている。
 しかし、2020年の五輪のマラソンは真夏の東京開催ま前々から決定しており(実際は急遽変更できるものだった)、「暑いから実力を発揮できない」と五輪出場を諦めるトップアスリートは少ないはずで、暑さに対して準備・練習してきたはずで、今さらの変更は、それが無駄になってしまうことになる。

 そもそも、ドーハの「棄権」が問題視されたが、棄権をそれほど問題視することなのだろうか?
 もちろん、棄権した時の状態が、健康に害を及ぼすもの、命が危うくなるほどのモノは駄目なのは当然。また、意識を失って倒れて頭部を強打するなどの危険性もある。
 暑いことは十分承知し、対策を取ってきても、棄権せざるを得なくなる事態は充分考えられる。しかし、五輪に参加するようなトップアスリートならば、体の変調を察知し、棄権、あるいはペースを落とすなどの対処が出来なければならない。
 運営側もランナーの状態を注視し、異常を察知したらドクターストップを掛けるなど対応すべきである。
「棄権」=「経歴に傷」というランナーもいるかもしれないが、「軽度の変調⇒棄権」は「勇気ある決断」と考えるべきだ。

 

3.マラソンコース変更の手順が大いに疑問
 五輪の諸項目の決定権はIOCにあると聞いているが、今回の変更については横暴さを感じる
 マラソンコースの変更という重大事項を、しかも今更、開催地の東京都に何の相談もなく決めてしまうのは、おかしい!
たとえ、開催地変更が正しい判断だったとしても。……思想や目的が正しくても、そのやり方が間違っていたら、その行為は間違いなのである。

 バッハ会長は日本側の同意を得たと言っているが、組織委員会の森会長が同意したことを言っているのだろう。
 エンブレム騒動、陸上競技場騒動、その他当初の見込み予算を大オーバーなど、多くの問題起こったにもかかわらず何の責任も取らない森会長……相変わらずの会長である。前の騒動の時に辞任させておけばよかったのに。
 それはともかく、東京都は遮熱性舗装(逆効果になるという指摘もある)などの暑さ対策で既に300億円を投じている。なのに、何の相談もなく変更決定とは!
 暑さ対策だけでなく、走路としてのコース整備、交通整備など警官や補助員の手配などがすべて無駄になってしまう。

 (札幌変更の決定を発表した時は、IOCと組織委員会は「札幌開催の費用も東京都が出す」と厚かましいことを言っていた)

 東京都だけでなく、急にマラソン開催を振られた札幌市も大変である。
 コースや人員の確保、宿泊施設の確保など早急に始めなければならない。同時期開催の多くの行事、イベントの開催も延期や中止も余儀なくされるだろう。
 今行われている“調整委員会”に札幌市が参加しないのも不思議である。

 IOCは「決定事項」と言い切っているが、はたしてどういう判断が下されるのだろうか?
 札幌開催が決定したら、都民はどんな反応をするのだろうか?(選手の健康が第一だからと、納得してしまうと思うが)




 これだけドタバタ劇を見ると、既に動いている東京五輪は仕方がないとしても、五輪はなくなった方が良いんじゃないかと思ってしまう。
 IOCは大会運営はせずにあれこれ言うだけで、五輪で収益を上げる。その収益の9割が放映権収入で、テレビ局の意向で五輪実施の日程などが左右される。
 この際、競技団体が五輪に参加せず、世界選手権を最高峰の大会として行って欲しいのだが、五輪なしでは競技の人気や競技人口が減ってしまうので不可能だろう。
 ならば、今のIOCを見限って、新たに五輪運営組織を作って、新五輪を開催して欲しいものである。

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