英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

1票の格差

2013-03-22 21:54:06 | 時事
 ずっと問題にされている話題なので、3月6日のニュースと少々古いのですが、気にせず書きます。(それに私に中では、もう数年くすぶっている問題です)

「東京高等裁判所は、去年12月の衆議院選挙で、選挙区ごとの1票の価値に最大で2.43倍の格差があったのは憲法に違反すると判断した」
 争われたのは、去年12月の衆議院選挙の選挙区ごとの1票の価値で、最大で2.43倍と4年前の選挙を上回る格差があった。弁護士などのグループは、国民の意思を反映した正当な選挙と言えず、憲法違反だと主張し、選挙を無効にするよう全国で訴えを起こしている。
 違憲の理由として東京高等裁判所(難波孝一裁判長)は、「衆議院選挙の1票の格差は4年前の選挙よりさらに拡大している。最高裁は一昨年、不平等を解消するため、早急な見直し求める判決を出し、その後も充分な時間があったが、去年12月の選挙まで是正は行われなかった」と指摘した。
 一方、選挙の無効を求める訴えは退けられ、弁護士らのグループは判決を不服として、最高裁判所に上告した。

 一昨年の最高裁の判決のあと、国会では去年11月、小選挙区を5つ減らす「0増5減」の法律が成立した。しかし、去年の選挙では、小選挙区の区割りの見直しが間に合わず、1票の格差は是正されなかった。
 これについて今日の判決は、国会に権限があることを考慮しても、見直しが遅れたことは許されるものではないと批判した。【3月6日、NHK午後7時ニュースより】


「選挙区ごとで票の重みが違うのは不公平である」
 正論だと思う。
 しかし、裁判所の理論はおかしい。
 まず、不平等(違憲)とする基準がわからない。最高裁でもずっと論議されてきており、判決が出されているが、比率の数値に法則性はない。2.92倍でも合憲と判断されていたり(1986年選挙・1988年判決)、前回の判決(2009年選挙・2011年判決)は2.30で違憲状態とされた。
 また、参議院での格差はもっと大きく、5倍付近で違憲・合憲が揺れている。
 つまり、格差が○倍あったら、実際にどれだけの不平等があるかの検証はされていないのである。感覚的に「2倍だったら我慢できるかな。3倍だったら文句が出るだろうなあ」ぐらいなのではないだろうか
 その証拠に、今回の違憲とした理由に「衆議院選挙の1票の格差は4年前の選挙よりさらに拡大している。最高裁は一昨年、不平等を解消するため、早急な見直し求める判決を出し、その後も充分な時間があったが、去年12月の選挙まで是正は行われなかった」を挙げている。
 国会の怠慢を指摘するのは良いとして、それを「選挙が違憲である」ことの根拠にするのは論理が成り立たない

 1票が軽いとされる選挙区として、東京、神奈川、千葉、大阪の選挙区が挙げられているが、福井県のような少数人口県の県民に言わせると、「そのぐらい我慢しろよ」と言いたい。
 世の中、人が多いところの意見が反映されるのである。人の多いところに産業や経済や文化が集中するのである。大都市圏にスポーツや文化のイベント、博物館、商業施設、スポーツ施設、レジャー施設が溢れている。
 ディズニーランドに行く、大相撲やプロ野球を見に行くのも、一大イベントなのである。もちろん、人が多いことで生じるストレスや不都合もあるだろう。1票の格差もその一部なのである。「いいじゃん、それくらい我慢しろよ」
 あっ、「だったら、都会に出てくればいいじゃん」という反論も聞こえてきそうです。でも、なかなか住居を移すのは大変である。でも、それを理由にするのはちょっと情けないので、別の反論を用意してあります。「1票の格差に文句があるなら、福井県に引っ越して来なさい」
 国会議員を減らして、これ以上福井県を弱くしないでください。


 弁護士の先生たち、日本のことを考えるのなら、もっと別のことに優秀な頭脳を働かせてください。
 選挙のことを考えるのなら、敗者復活戦のような救済措置のある選挙制度、勢いのある大政党が大勝ちしてしまう選挙の不平等さを検証してください

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2 コメント

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難しい問題 (かみしろ)
2013-03-26 00:19:31
先ずは簡単な方から。
この問題にも司法と立法が分立していないことが、大きく影響しています。
本来なら、日本は凡例主義なので、最初の違憲判決が基準となる筈なのです。しかし
「違憲状態」
という言葉を使って選挙無効を回避してきた。
「冷温停止状態」
と同様の言葉を弄んだ誤魔化しです。
司法と立法が完全に独立していれば、
「違憲なので無効」
という結論以外だしようがない。


難しい方。
人間だけを基準にするやり方に大きな問題がある、というのは、地方の人間はかなり感じると思います。
ただ、法的な話をすると、現行の法制度、しかも根幹をなす価値観が変わらずには、やはり人間の数で公平性をきすしかない。少なくとも私には思いつきません。
例えば仮に、人権の他に土地権(土地の所有権でなく、土地そのものに権利を認める)というようなものを設定し、その意思は居住者が代弁するとして、

東京の議員数=(住民の数×東京都面積)×定数

みたいな凄く大雑把なアイデアはあるのですが、土地権というスタート地点が我ながらぶっとんでいて、まあ無理だなと。

香川や沖縄は面積でも救済されませんが、人数が集中しているところの影響を下げるにはこんな感じでしょう。北海道最強になりますなあ・・・。
試しにいくつか計算しましょう。

人口は単位万人、面積は平方キロメートル、以下は切り捨てで。

北海道 (550×83456)=45900800
東京都(1315×2187)= 2875905
群馬 (200×6363)= 1272600
岩手 (133×15278)= 2031974
福井 (80×4189)= 335120
香川 (99×1876)= 185724

北海道強すぎ・・・そして多分四国と山陰、新潟除く北陸地方はもっと悲惨になるか変わらない)。

関東と東北に限定すればバランスが取れそうですが、下手に定量的な基準に沿わせようとすると、返って人の感覚としてバランスを欠いた結果になるのでしょうね。
ただ人の感覚というのを優先すると、やはり人の数になってしまうのだろうなあと。
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面積では無理があると ()
2013-03-26 13:25:29
かみしろさん、こんにちは。
試算、ありがとうございます。

 かみしろさん自身もおっしゃっていますが、面積を考慮するのは無理がありそうですね。

 さて、ついに広島、岡山で「選挙は無効」という判決が出ました。
 これについては、ナンセンスだと感じています。広島、岡山だけを無効にしても、全国的には一票の格差は解消されません。福井や島根、高知、徳島の方にもはっきり言及しないと駄目だと思います。
 あと、全裁判官や弁護士に、違憲の基準や論拠を聞きたいです。格差が何倍なら違憲で、何倍なら合憲なのでしょう?
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