英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

女流棋士考 その7「女流棋士の濫造?③ 女流棋士の降級点の検証…年度終了時の勝率(勝数)」

2022-04-24 08:04:54 | 将棋
このシリーズ、ずいぶん間が空いてしまいました。
書いている本人も、かなり忘れていたので、過去記事を読み直して復習しましたが、過去の経緯や制度が複雑、さらに、公表されていない降級点の算定システムなど、ややこしいことこの上ないです。

でも、よくわからなくても大丈夫です。
本記事からが、主題(言いたいこと)なので、率直に言うと(ぶっちゃけた話)、本記事から読んでも大丈夫です。

一応、
【これまでのあらすじと補足】です
①「その1」~「その4」
 予選やトーナメントを見ると、《激戦の組や山がある反面、密度の低い組や山があるなあ》と思い、検証してみた(その検証道具として、独自のランキングを設定)
 すると、やはり、著しい偏りが生じることがあった。まあ、抽選の結果なので運が良いとか悪いとかで納得すべきことなのかもしれないが、《女流棋士が増え過ぎたのが、この現象の一因ではないだろうか?》

②「その5」
 女流棋士の人員の増減は、簡単に言うと、A「新女流棋士数」、B「引退女流棋士数」の大小によって決まる。A>Bなら増加し、A<Bなら減少する。
 ここ数年、女流棋士はかなり増加した。増加するのは良いことだ。大人数であればあるほど、トップにたどり着くのは大変で、その分、強くなる。
 トップが強くなり、切磋琢磨して、周辺のレベルも上がり、下辺にも波及し、全体がレベルアップ。
 ただし、大所帯になれば、それだけの人数を養うだけの運営資金が必要になる。有難いことに、女流棋戦も次々に増え、今やタイトル戦も8つに増えた(歴史ある女流名人戦は序列としては5番目という盛況ぶり)
 それでも、連盟も少し増え過ぎたと考え、数年前から降級点制度を設けた。運営的な面もあるが、《“価値があるのか?”という内容の将棋に対局料を出すのは如何なものか?》という考えもあるのだろう
 私も、実際、《この将棋でプロと名乗れ……》(詳しくは今後書くかも)

③「その6」
 で、実際、公表されている降級点制度について検証してみようと。
 降級点が付くのは、年度で5名(推定)
 どういう算定基準なのかは不明だが、年度成績の最下位から5名までというのはどういう女流棋士がいるのか?実際に2021年度の2月2日現在で調べてみた……


このあらすじでは不安な方は、過去記事をご覧ください。
読まなくても大丈夫ですが、読んでいただけると嬉しいです
その1「女流棋士独断ランキング」
その2「トーナメントにおける抽選の偏り① 清麗戦予選トーナメント」
その3「トーナメントにおける抽選の偏り② 女流名人戦予選トーナメント」
その4「トーナメントにおける抽選の偏り③ その他の棋戦」
その5「女流棋士の濫造?➀ 女流棋士になる条件(女流棋士でいられる条件)」
その6「女流棋士の濫造?② 女流棋士の降級点の検証(勝率、勝数)」


「その6」で、記事アップ時点(2月2日)での成績で検証したが、ぐずぐずしていたら2021年度が終わってしまった。
 なので、年度終了時のデータをアップ。
2021年度の全女流棋士成績・記録を基に、手作業(目視)でランキングを作成したので、漏れなどのミスがあるかもしれません。連盟サイトの成績上位ランキングは5位までのみ。せめて10位までは表示してほしいです)

2021年度最終勝率(下位) 左側は2月2日現在 右側の青字が最終勝率
  (※はLPSA所属女流棋士)
 山口稀女流1級 0.353( 6勝11敗)   中村桃女流二段 0.364( 8勝14敗) 
 中村桃女流二段 0.350( 7勝13敗)   藤井女流初段  0.353( 6勝11敗)
※中倉女流二段  0.350( 7勝13敗)   貞升女流二段  0.333( 7勝14敗)
 斎田女流五段  0.333( 7勝14敗)   山口稀女流1級 0.333( 7勝14敗)
 藤田女流二段  0.316( 6勝13敗)   竹部女流四段  0.333( 7勝14敗)
 貞升女流二段  0.316( 6勝13敗)  ※中倉女流二段  0.318( 7勝15敗)
 藤井女流初段  0.313( 5勝11敗)   斎田女流五段  0.318( 7勝15敗)
 伊奈川女流二段 0.300( 6勝14敗)   石高女流二段  0.318( 7勝15敗)
 石高女流二段  0.300( 6勝14敗)   伊奈川女流二段 0.318( 7勝15敗)
 竹部女流四段  0.263( 5勝14敗)   藤田女流二段  0.286( 6勝15敗)
 相川女流初段  0.263( 5勝14敗)   相川女流初段  0.286( 6勝15敗)
 和田は女流1級 0.263( 5勝14敗)   和田は女流1級 0.263( 5勝14敗)
※島井女流二段  0.263( 5勝14敗)  ※島井女流二段  0.250( 5勝15敗)
 安食女流初段  0.250( 4勝12敗)  ※船戸女流三段  0.238( 5勝16敗)
※船戸女流三段  0.222( 4勝14敗)   山口絵女流1級 0.235( 4勝13敗)
 北尾女流二段  0.176( 3勝14敗)   安食女流初段  0.222( 4勝14敗)
 山口絵女流1級 0.133( 2勝13敗)   北尾女流二段  0.222( 4勝14敗)
  「和田は女流1級」は「和田はな 女流1級」(「和田(という人)は女流1級です」という意味ではありません)

 山口絵美菜1級は2022年3月30日付で引退・退会。退会したので、降級点の対象外となるのだろうか?
 連盟所属ではないLPGA所属の女流棋士は降級点の対象外となるのだろうか?「その6」の記事を書いた当初は、LPSA所属棋士は降級点の対象外だと思っていたが、現在はLPSA所属棋士も対象に入ると考えている。そうしないと不公平だし、連盟のホームページ内の記述とは言え、所属云々についての記載はないので、すべての棋士が対象のような気がする。そう考えると、LPSA+中井女流(無所属)の9名を加えると、制度対象人数は68人で降級点該当人数は7人となる。
 勝率基準の場合は、以上の要件を考慮すると、降級点相当の女流棋士は、北尾女流二段、安食女流初段、※船戸女流三段、※島井女流二段、和田はな女流1級、藤田女流二段、相川女流初段全員、勝率3割未満なので妥当であろう。(0.333以下の勝率の棋士は皆、該当させてもいい気がする)

勝数・下位成績者(※はLPSA所属女流棋士)
 石高女流二段     7
 貞升女流二段     7
 伊奈川女流二段    7
 山口稀女流1級    7
 K・ステチェンスカ女流初段 7……2021年8月11日より休場
 竹部女流四段     7
 藤田女流二段     6
 相川女流初段     6
※田中女流2級     6……9月1日付で女流2級に
 井道女流二段     5……2021年10月1日より出産・育児のため休場
 宮宗女流二段     5……2021年10月1日より出産・育児のため休場

 藤井女流初段     5
 和田は女流1級    5
※船戸女流三段     5
※島井女流二段     5
 北尾女流二段     4
 安食女流初段     4
 山口絵女流1級    4……2022年3月30日付で引退・退会

早水千紗女流三段(全休)、山田朱未女流二段(全休)、カロリーナ・ステチェンスカ女流初段(8月11日~、7勝5敗)
【連盟発表の休場期間、休場理由による降級点の扱い規定】
・出産・病気による休場者は、休場の時期に関わらず、休場期間を含む当該年度において降級点の対象外となる
・出産・病気以外の理由による年度単位の休場者には、年度終了時に降級点0.5がつき、0.5の降級点は2回で降級点1となる
・出産・病気以外の理由による年度途中の休場者は、年度成績の順位下位者に該当した場合、降級点の対象となる
  井道女流二段、宮宗女流二段は対象外
  田中女流2級も対象外と思われる(途中参加なので)
  早水女流三段、山田女流二段は降級点0.5と思われる
  K・ステチェンスカ女流初段は対象外とはならないと思われるが、7勝は安全圏


 ………勝数を基準に考えると、5勝までの安食女流初段、北尾女流二段、※島井女流二段、※船戸女流三段、和田はな女流1級、藤井女流初段が降級点、6勝の藤田女流二段、相川女流初段がボーダーラインとなる。


将棋連盟の「お知らせ」(4月1日)によると
「安食総子 女流初段(女流棋士引退規定により/引退日付・最終対局日未定)」

 2021年度成績で降級点を取り、累計3のとなり、引退に至ったと考えられる。
(参照「その5」


 将棋連盟が、降級点の詳細を公表しないので、長々と推測することになってしまったが、実は、誰が降級点を取るかは、このシリーズ記事の主題ではない。
 サブタイトルに挙げた「女流棋士の濫造」や「結果的互助会」が主題である

【以下、続く】
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