英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2020箱根駅伝 往路

2020-01-02 22:31:37 | スポーツ
 昨年優勝、2019全日本大学駅伝を制した東海大(出雲は4位)が本命、それを追う青山学院(昨年2位、出雲5位、全日本2位)、駒澤(昨年4位、出雲2位、全日本3位)、東洋(昨年3位、出雲3位、全日本5位)、國學院(昨年7位、出雲優勝、全日本7位)という勢力図。
 5強に食い込めそうなのは、東京国際大、帝京、早稲田、順天堂辺りか。
 昨年の模様はこちら→2019箱根駅伝 往路2019箱根駅伝 感想(復路&全体)

 東海は昨年優勝メンバーが8人残り、さらに“黄金世代”と呼ばれる4年生のエース級を欠いても全日本を制した層の厚さを誇る。20kmを走り切れるランナーを10人も求められる箱根駅伝では、やはり優勝候補の筆頭である。
 層の厚さでは定評のあった青学は、ここ数年はそれにやや陰りを感じさせるが、エース吉田(圭)を中心とした総合力の高さと調整力、駒澤も総合力に加え、異次元のスーパールーキーの田澤で優勝を狙う。
 東洋は層の薄さが不安だが、学生界の大エース相澤と“1秒を削る走り”で個々の走力を100%以上引き出す走りは侮れない。出雲を制した國學院も箱根を走りきる戦力が整ってきている。



~渡辺康幸語録~
「各大学の力が拮抗してますので、高速レースになることは間違いないんですけど、それでも、本当に強いチームが往路のゴールテープを切るんじゃないかなと思っています
………当たり前のような気がする。


【1区】
 創価大の米満が区間記録に迫る快走で区間賞。國學院の藤木が5秒差の2位。3位は日体大の池田(8秒差)、4位は東海大・鬼塚(10秒差)、5位中央学院・栗原(13秒差)、6位早稲田・中谷(13秒差)、7位青学・吉田(18秒差)、8位帝京・小野寺(19秒差)、9位駒澤・中村大聖(54秒差)、10位明治・小袖(56秒差)。
 東洋・西山(2年連続1区区間賞)は14位(2分2秒差)と大きく遅れた。

 例年より、1区にエースや準エースの起用が多い。特に、青学はエースの吉田圭を起用、勝負を懸けてきた。30秒程度リードしてレースの主導権を奪う狙いだろう。しかし、18秒遅れの7位。かなりの誤算と言える。
 東海はほぼ予定通り、國學院は上出来、駒澤は準エースを起用しての54秒差は誤算、過去2年連続1区1位の東洋・西山は2分遅れ。西山は万全でないという情報もあったが、勝負を懸けた1区西山の起用は裏目に出た。


~瀬古利彦語録~
(11km過ぎで50mほど集団から遅れてきた西山(東洋)を見て)
「ペースが速いと見て、無理しちゃいけないと判断で下がったんだと思います」(瀬古)
「いや、西山なんですが、口が開いてきましたね」(リポーター)
「う~ん、一気に離れましたね。ここは(少し前を走る)神奈川大学につかないといけませんね」
 ひとりが飛び出して、それを様子を見るのなら有り得るが、大人数いる先頭集団から離れていくのは、ランナーの表情は関係なく、ついていくことが出来ないと判断すべき。50m離されているのは、かなりの危険信号だ。


【2区】
 各大のエースが競う“花の2区”。注目ランナーは、学生界の大エースの相澤(東洋・中継時では2分2秒遅れ)、予選会トップの伊藤(東京国際・1分49秒差)、出雲駅伝でアンカーで大捲りで國學院を優勝に導いた土方(5秒差)、1年生ながら青学のエース格の岸本(18秒差)。
 留学生ランナーは、、創価・ムイル(中継時トップ)、日大・ドゥング(15位・2分4秒差)、拓大・レメティキ(17位・2分27秒差)、国士館・ヴィンセント(20位・4分12秒差)

 2区開始後、1区7位の青学・岸本らが追い上げ、7大学が集団を形成(創価、國學院、日体、東海、中央学院、早大、青学)。
 後方では相澤が伊藤に追いつき、ふたりで11位グループを形成。相乗効果が期待される。

 横浜駅前(8.2km地点)のチェックポイントの区間タイムは、
1位R.ヴィンセント(国士館)区間タイム:23:06
2位相澤(東洋)1秒差
3位岸本(青学)11秒差
4位太田(早大)12秒差
4位レメティキ(拓大)12秒差
6位伊藤(東京国際)14秒差

 横浜駅前通過以降、日体大が遅れ始め、権太坂(15.2km)手前で中央学院が遅れ、権太坂付近で創価・ムイルが遅れ始め、トップは4大学に。8位を走っている帝京・星の走りも良さそう。
 長らく続いた4大学(東海、青学、國學院、早大)の並走から抜け出したのは、青学1年生の岸本。そのまま、1位で中継点に到達。1秒差で早大(太田)、2秒差で東海(塩澤)、3秒差で國學院(土方)がなだれ込んだ。
 5位に帝京(星、27秒差)、6位創価(ムイル、37秒差)。そして、なんと!その直後に相澤がに到着(7位、38秒差)。1時間05分57秒の区間記録を達成!大記録だ。
 5強の一角、駒澤は13位の1分50秒差に沈んだ。

2区区間順位
1位 相澤(東洋) 区間タイム:1:05:57(区間新)
2位 伊藤(東京国際) 21秒差
2位 レメティキ(拓大)21秒差
4位 R.ヴィンセント(国士館)49秒差
5位 岸本(青学) 1分6秒差
6位 太田(早大) 1分8秒差
7位 塩澤(東海) 1分16秒差
8位 土方(國學院)1分22秒差
9位 星 (帝京) 1分32秒差
10位 加藤(明大) 1分55秒差

 2区は留学生を含む過去の最速ランナーの顔が浮かぶ。その彼らの記録を上回るという恐るべき記録だ。大記録を達成した相澤はゴール後すぐ、インタビューに普通に応えていた。
 相澤に必死に食らいついた伊藤も昨年の塩澤(順大)の記録を上回る快記録。


2区終了時点順位
1位 青山学院  総合タイム:2:08:34
2位 早稲田   1位との差:00:01
3位 東海大   1位との差:00:02
4位 國學院   1位との差:00:03
5位 帝京大   1位との差:00:27
6位 創価大   1位との差:00:37
7位 東洋大   1位との差:00:38
8位 東京国際  1位との差:00:46
9位 日体大   1位との差:01:12
10位 中央学院  1位との差:01:13

13位 駒澤大   1位との差:01:51

 青学は1区の吉田で30秒の貯金、2区の1年生でエース格の岸本が各大学のエースと互角の走りをして、リードを保つか、あわよくばリードを広げるという目論見があったはず。
 4連覇時代の原采配は、バランスよく戦力を配置して、「1,2区で失敗しても3~4区で挽回」、「往路で失敗しても復路で巻き返す」という意図を感じた。しかし、「今回は序盤でリードを奪い、レースの主導権を握る」という意図を感じた。
 しかし、吉田が今一つで目論見が崩れかけたが(離されながらも18秒差に留めたという評価もできる)、岸本が期待通りに走り、2区を終えて僅差ながらもトップで襷を繋ぐことが出来た(トップで襷を繋ぐことが心理的に大きい)。
 早稲田も、中谷、太田が健闘し1秒差の2位。
 東海はほぼ予定通り。國學院は1区2区を合わせるとほぼ予定通り。
 東洋は相澤が大記録で走ったが、1区西山(1区連続区間賞)の誤算が大きく、2区でかなりのリードどころか38秒遅れの7位は、今後の苦しい展開が予想される。
 駒澤は1区がやや誤算、2区が大誤算で13位の1分51秒差と厳しい状況。3区のスーパールーキーの田澤に期待したい。
 注目は伊藤の頑張りで13位から8位に浮上した東京国際。3区ではY・ヴィンセントの走力が頭一つ以上抜けており、ここで先頭争いに絡んできそうだ。


(例年通り、2区まで書いてくたびれる。以下は少し省略)

【3区】
 トップの鈴木がハイペースで飛ばし、中継直後に僅差で3区に繋いだ3大学の内、東海、國學院を引き離し、4.4km過ぎに早大も置いていく。(早大・井川は無理してついたのが祟り、区間14位、チームも8位に沈んだ)
 しかし、その鈴木にぐんぐん迫ってきたのがY・ヴィンセント(東京国際)。3区中継時に46秒あった差を10.3km地点で追いついた。鈴木もついていこうとしたが、すぐ断念。
 ヴィンセントはこの後も快調なペースを維持し、区間記録を2分1秒も更新する区間記録。“区間記録を2分更新”と言ってもピンとこないが、昨年区間記録を作った森田(青学)を600m以上置いていく無茶苦茶な速さである。
 区間2位の遠藤(帝京)、区間3位の田澤(駒大)も区間新の快走で、帝京は5位から4位に、駒澤は13位から6位に浮上した。
 鈴木は後半疲れて、中継直後に引き離した青木(國學院)に終盤、追いつかれたが、そこから根性を出して、5秒差をつけて2位で襷を繋いだ。
 東海大は順位を一つ下げ5位、東洋は区間13位で7位から10位に後退した。

3区区間順位
1位 Y・ヴィンセント(東京国際) 区間タイム:59:25(区間新)
2位 遠藤(帝京) 1分58秒差(区間新)
2位 田澤(駒大) 2分0秒差(区間新)
4位 鈴木(青学) 2分7秒差
5位 青木(國學院)2分9秒差
6位 西川(東海) 2分56秒差

3区終了時点順位
1位 東京国際  総合タイム:3:08:45
2位 青山学院  1位との差:01:21
3位 國學院   1位との差:01:26
4位 帝京大   1位との差:01:39
5位 東海大   1位との差:02:12
6位 駒澤大   1位との差:03:05
7位 明治大   1位との差:03:38
8位 早稲田   1位との差:03:42
9位 創価大   1位との差:03:42
10位 東洋大   1位との差:04:00

【4区】
 4区の有力ランナーは区間で最も10000mの持ちタイムの良い吉田祐也(青学)、全日本大学駅伝MVPの名取(東海)。
 名取も区間2位と好走したが、吉田はその名取を1分7秒上回る快走で、3区終了時に1分21秒先んじていた東京国際を抜き去り、逆に1分2秒差をつけた。昨年相澤(東洋)の作った区間記録

を更新する快走だった。
 東京国際が2位。3位は中西が区間3位の好走した國學院。東海大(名取)も順位を一つ上げ4位。5位は帝京大(岩佐・区間6位)。駒澤(小島・区間5位)が6位。
 東洋は区間20位のブレーキで、10位から14位に沈んだ。

4区区間順位 
1位 吉田祐(青学) 区間タイム:1:00:30(区間新)
2位 名取(東海) 1分7秒差
2位 中西(國學院)1分23秒差
4位 福田(創価) 1分25秒差
5位 小島(駒大) 1分31秒差

20位 渡邉(東洋) 5分35秒差

4区終了時点
1位 青山学院  総合タイム:4:10:36
2位 東京国際  1位との差:01:02
3位 國學院   1位との差:01:28
4位 東海大   1位との差:01:58
5位 帝京大   1位との差:01:59
6位 駒澤大   1位との差:03:15
7位 創価大   1位との差:03:46
8位 早稲田   1位との差:04:16
9位 明治大   1位との差:04:46
10位 拓殖大   1位との差:05:36

14位 東洋大   1位との差:08:14

【5区】
 昨年区間記録を更新した浦野(國學院)、昨年区間2位の西田(東海)、一昨年区間賞、昨年区間3位の青木(法政)と“山登り”のスペシャリストが揃う。
 解説の瀬古氏は区間記録保持者の浦野を買っていて、容易に逆転しそうな口調だった。確かに区間記録保持者で、10,000mの持ちタイムも28分25秒と、この区間のランナーでは最速(ハーフマラソン62分02秒)。
 しかし、青学の飯田も昨年8区2位、持ちタイムも28分49秒、ハーフマラソン63分10秒となかなかの走力。原監督も「山登りの目途は突いた」と漏らしていたらしい。
 飯田は軽い走りでバネを感じさせ、2位に上がった浦野に差を縮めさせない。
 飯田は小涌園前(11.7km)では、19秒縮められたが、最後まで軽い走りを持続させ、区間2位(区間新)で逆に浦野に5秒の差を広げた。青山学院は往路記録を5分も短縮した。
 浦野も区間新、國學院も往路新で2位で往路をフィニッシュ(青学との差は1分33秒)
 東京国際の山瀬は東海に抜かれ4位に落ちたが、最後抜き返し3位フィニッシュ(3分17秒差・往路新)。東海大は3分22秒差(往路新)で4位。
 5位は全然目立たなかった明治大。4区の9位からスッと5位に浮上した感じ。
 駒澤は6分25秒差の8位。
 東洋大は宮下が意地を見せ、区間賞(区間新)の走りを見せ順位を3つ上げ11位。
 
5区区間順位  
1位 宮下(東洋) 区間タイム:1:10:25(区間新)
2位 飯田(青学)   15秒差(区間新)
2位 浦野(國學院)  20秒差(区間新)
4位 青木(法政)   41秒差
5位 鈴木(明治) 1分24秒差
6位 井出(神奈川)1分36秒差
7位 西田(東海) 1分39秒差
8位 畝 歩夢(中央学院)2分21秒差
9位 畝 拓夢(中大)  2分24秒差
10位 山瀬(東京国際)2分30秒差

往路成績
1位 青山学院  総合タイム:5:21:16
2位 國學院   1位との差:01:33
3位 東京国際  1位との差:03:17
4位 東海大   1位との差:03:22
5位 明治大   1位との差:05:55
6位 帝京大   1位との差:05:59
7位 創価大   1位との差:06:18
8位 駒澤大   1位との差:06:25
9位 早稲田   1位との差:07:32
10位 拓殖大   1位との差:07:52
11位 東洋大   1位との差:07:59
12位 中央学院大 1位との差:08:01
13位 中央大   1位との差:10:24
14位 順天堂   1位との差:10:36
15位 日本大   1位との差:11:37
16位 法政大   1位との差:11:44
17位 神奈川大  1位との差:12:55
18位 日体大   1位との差:13:19
OP 関東学生連合1位との差:13:38
19位 筑波大   1位との差:16:37
20位 国士舘   1位との差:17:21

 青山学院はエースの吉田圭を1区に起用しながら7位の誤算。しかし、その暗雲を払拭したのが2区の1年生岸本の快走。これが非常に大きかった。

 駅伝は前半で遅れると、その順位に引きずられた走りに陥ってしまうことが多いので、前半(往路)重視のメンバー構成になることが多い。
 層が厚い大学は復路にも戦力を残すことが可能で、前評判では層の厚いのは東海、青学、駒澤、帝京。ただし、帝京、駒澤は青学に約6分の大差をつけられており、逆転は難しい。
 逆転の可能性があるのは東海大のみ。しかし、前年覇者、全日本大学駅伝を制した東海大とは言え、3分22秒の差は小さくない。青学の優位は大きい。しかし、駅伝は何が起こるのか分からないので、予断は許されない。
 ちなみに、往路2位の國學院は往路優勝を狙った布陣と考えられ、逆転優勝の可能性は低そうだ。明治は大エースの阿部が控えに回っているが、調子が悪いのか、戦況を見て投入する区間を決めたかったのか、どちらなのか。もし、後者なら明治は面白い存在だ。
 
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