英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season17 第8話「微笑みの研究」

2018-12-08 19:08:13 | ドラマ・映画
ドラマ冒頭で、大木刑事(志水正義)が特命係3人のやりとりを窓越しにかなりの間、凝視していました

大学教授が死亡に纏わる多重構造
1.心臓麻痺と見られたが、毒殺だった。犯人は准教授の高野鞠子(冨樫真)
2.その犯行を誘導したのは、助教の川村里美(佐津川愛美)
3.さらに、それを仕組んだのは准教授の猪瀬(オクイシュージ)


………いくつかの疑問点を一掃するかのような、ドラマ終盤にこの多重構造が浮かび上がる見事な構成であった。
ドラマ序盤から中盤にかけて川村里美の不可解な言動が真相解明への伏線となっていたが、気づくことができなかった。……不覚!(でも、私は粘着質なので、疑問点などはしっかり後述します)

事件関係者の人物像や思惑
宇佐美教授(被害者)……研究の為なら被験者の心や命などはどうでも良い
高野准教授……このまま研究を続けたら、現被験者の少女が第2の犠牲者になってしまうと危惧し、教授に殺意を抱く
川村助教……エンパス(周囲の感情を過敏に察知し共感してしまう)で、高野が抱く殺意に苦しみ、その苦しみから解放されるためには高野の殺意を成就させることだと考え、高野を犯行に誘導した
猪瀬准教授……“エンパスを強い憎悪のそばに置いたらどうなるか”を観察。今回の殺人の真の誘導者

キーポイントはエンパス
 ………周囲の感情を感知し、影響を受けてしまう。憎悪や怒りなどの強い負の感情ほど、苦痛は大きくなる。「NIGHT HEAD」の霧原直也(テレビドラマでは武田真治が演じた)を思い出す。
 川村里美のエンパスの症状?として
・研究室での「死ね」と呟いた(高野の感情に反応)
・「教授の死について捜査陣は不審に思っていない」という説明に笑みを浮かべた(高野の感情に反応)
・元彼の証言「いきなり感情が不安定になる」(周囲の感情に反応)
・農学部の薬品棚に施錠したという女子学生の嘘を見抜いた

盛りだくさんな右京の推理
毒殺に至る(物理的検証)
1研究室に残されていたレシートから、近くで購入したコーヒーを毎日飲んでいた
2そのコーヒーに毒を混入した可能性
3農学部から毒物を入手
4その検証、事件関係者の関与を確認
5毒薬を盗む際のゴム手袋使用の可能性

 尺の関係もあり、迅速で鮮やかな推理と検証だったが、1⇒2が唐突


高野准教授が犯行に至るまでの推移とその証拠
・過去の被験者の天才少女の自殺や現被験者の自傷跡から宇佐美教授に対する高野の感情を推察
・高野准教授の実験の延期から高野の心理状況の推察
・殺害時のコップの唯一性の立証

 紙コップに販売者が書き込むという行為はよくある事なのだろうか?
 さらに教授のトッピング(注文)は、その日唯一のパターンだったというのは都合がよい展開

川村里美と猪瀬准教授との関係を推察
 里美の研究室転籍の経緯(面接したのは猪瀬)
 里美は猪瀬によく相談していた


コールドリーディング(人間観察)とバーナム効果(誰にでもあてはまることを言う)
 自称霊能力者は冒頭のお祓いシーンによる導入(掴み)効果だけかと思われたが、冠城がそれを学習して農学部の女子学生に尋問
 ただ、普段の冠城の機転の利く様子から考えると、霊能力者の芸に冠城が引っかかるのには無理を感じる


【その他、些細な疑問点など】
①「研究者を名乗る資格などありませんよっ!」という右京の糾弾
その後の「人を名乗る資格すらない」という言葉を含めて同意だが、「今回の実験結果を公表できない(社会的制裁を受ける)」と指摘していたが、探究心から非人道的な実験を行い、公表できなくても、その結果(成果)に満足する研究者は存在しそうだ
②天才少女を実験の被害(自殺)から守りたいという思いが、強い憎悪(殺意)に転化するものなのか?(右京が里美に諭していたように“他の方法はなかったのか?”)
③毒殺した現場にマウスがいたからと言って、予定していたマウスを使った実験を中止するものなのだろうか(生体実験ではなく、行動実験だったようだし)?


第1話「ボディ」第2話「ボディ ~二重の罠」第3話「辞書の神様」第4話「バクハン」第5話「計算違いな男」第6話「ブラックパールの女」第7話「うさぎとかめ」


【ストーリー】番組サイトより
大学教授を死に追いやったのは呪いの科学!?
特命係が常識では解明不可能な事件に挑む!


 人間の心のメカニズムを総合的に研究する認知科学の権威である大学教授が心臓麻痺で死亡した。一部の学生が、『呪い殺された』とSNSで騒いでいるという噂を聞きつけた右京(水谷豊)は興味を抱き、亘(反町隆史)と共に調べ始める。
 学生が“呪い殺した張本人”と名指ししているのは、半年前に転籍してきた助教の川村里美(佐津川愛美)。学生によると、教授が死亡する前日、彼をにらみながら「死ね」とつぶやいていたらしく、さらに「人を呪い殺せる」と公言している霊能力者と会っているところを目撃したという。
 その里美と、同研究室の准教授である高野鞠子(冨樫真)、猪瀬(オクイシュージ)に事情聴取した右京は、「事件性はない」と聞いた時になぜか里美だけが密かに微笑んだことを不審に思う。しかし、事件当時の里美には完璧なアリバイが存在していて…!?

教授を呪い殺したと噂される助教の鉄壁のアリバイ…
科学と呪いが交錯する事件の背景に複雑な人間関係が…
右京と亘が、罪深き人間心理の深淵に迷い込む!


ゲスト:佐津川愛美 冨樫真 オクイシュージ

脚本:金井寛
監督:権野元
コメント (2)
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