英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『将棋世界』3月号(先月号)③ 級位コース(次の一手)第2問、第3問

2011-03-10 16:15:44 | 将棋
 先日のその①で将棋世界誌についての感想を述べましたが、その続きです。
 本当に読み応えがあります。
『イメージと読みの将棋観』
 一流棋士が将棋観、局面の捕らえ方を述べていて、非常に参考になりますし、それぞれの個性を感じる点でも面白いです。
 その中でも、テーマ1「菅井新手の▲7六飛」は、現在戦っている渡辺竜王と久保二冠の棋王戦にリンクしていて興味深かった。
 菅井新手とは、初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩△8四飛▲7八飛△8五歩に▲7六飛(菅井新手図)と浮いた手。

 従来、以下△8八角成▲同銀△4五角の筋があり成立しないといわれていたが、菅井四段が谷川九段戦で指し、△4五角以下、▲6六飛△2七角成▲7四歩△同歩▲5五角と進めている。
 今月号(4月号)で、竜王の自戦記で、「将棋世界誌で△4五角は打たない。振り飛車側は当然研究しているだろうからという趣旨の発言をした。あれは半分冗談だが、△4五角はいろいろリスクがある」と書いていて、実際に3月号で予言したとおり▲7六飛に△8八角成▲同銀△2二銀と指している。
 竜王は半分冗談と言っているが、かなり本音も入っているはず。久保二冠は「先を越された」と言っている。
 この局面の周辺の各棋士の捉え方が一致しているのが面白い。
渡辺竜王「(△6二銀など指して)▲7七桂と跳ばれたら、後手の作戦失敗(動くべき)」
佐藤九段「(もし△4五角と打たれても)先手がいいなら、後手の△8四歩~△8五歩がどうかということになってくる」
森内九段「そもそも△8五歩は▲7六飛型を作らせないための作戦なので、この手が通ってしまうと根本的な見直しを迫られることになる。この局面になったら、△8八角成▲同銀△4五角とするしかない。この変化で自信がなければ、後手は最初に△8四歩~△8五歩とはできないことになる」
谷川九段「△8四歩~△8五歩は角道を止める石田流にはさせない作戦で、このあと△6二歩▲6六歩となったら、最初に△8四歩~△8五歩と突いた方針と反する。それなら最初から△8四歩と突かない方がいい。なので後手は△8八角成▲同銀としなければ面白くない」
久保二冠「このあと△6二銀▲7七桂となれば▲6六歩を突かない石田流がかなり得している」
広瀬王位「次に▲6六歩や▲7七桂となれば先手石田流の意志が通るので、後手としては△8八角成▲同銀△4五角としたい。

 ▲7七桂と▲6六歩の優先順位が若干異なるが、考え方はほとんど一致している。特に菅井新手が有効となれば△8四歩~△8五歩自体の意義が危うくなるという考えで一致するのはすごいです。

突き抜ける!現代将棋
 これは濃密です。非常に参考になるのですが、濃密過ぎてなかなか消化し切れません。苦労して読み、勉強になったと満足するのですが、先月号の内容はほとんど覚えていません。


 さて、またしても、前置きが長くなってしまいましたが、本題の級位コース(次の一手)です。

 (解答は後日)
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『将棋世界』3月号(先月号)② 級位コース(次の一手) 解答

2011-03-10 10:53:08 | 将棋
 『将棋世界』3月号 級位コース第1問


 正解は、▲2二角です。
 この手の角打ちは、通常、△3三角(正解図1)と角を合わされて

 ▲3三同角△同銀となり、効果なしというより手損になってしまいますが、この場合は▲1一角成と香を取り△同角に▲8七香(正解図2)で飛車を召し取ることが出来ます。

 解説では、これで先手優勢とあります。
 しかし、正解図2以下△8七同飛成▲同銀に△7一銀(参考図)と整備されると

 先手の指し方も難しいと思います。
 目に付く▲8三飛は△8二香でダメ、また▲8六飛(8四飛)は△9五角があります。また▲8五飛は△8二歩と受けられて、▲8三歩と飛の成り込みを目指しても、△8三同歩▲同飛成に△8二香で失敗です。
 また、1二飛とこちらにも飛車が打ち込めますが、△3三角とかわされ、次に△1一香で召し取られてしまいます。
 後手としては、1筋8筋に先手から飛車打ちの隙(現在は大丈夫)を抱えているので、自陣の整備など注意を払わないといけないので、やはり大変なのかもしれません。
 しかし、先手も後手に角香を持たれているので、迂闊には動けません。
 たとえば、▲2五歩と突くと△4四角で△2六香を狙われる。また、後手から△6五歩と突かれる筋もあります。
 とにかく、簡単に「先手優勢」と断言できないように思います。
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